セカンドステージ第4節 マッチサマリー(クボタ 20-22 NEC)

クボタスピアーズ
クボタスピアーズ
20 合計 22
8 前半 10
12 後半 12
1 勝点 4
18 総勝点 18
NECグリーンロケッツ
NECグリーンロケッツ

クボタスピアーズ 20-22 NECグリーンロケッツ

セカンドステージ・第4節 グループB
2014年12月21日(日)13:00キックオフ/千葉・フクダ電子アリーナ

前日の重苦しい曇天の空からうってかわった快晴の空の下、ジャパンラグビー トップリーグ セカンドステージ グループB 第4節 クボタスピアーズ対NECグリーンロケッツの試合が行われた。
両チームのファーストステージの結果からトップリーグ優勝の可能性はないが、セカンドステージ4位以内を確保し、ワイルドカードからの日本選手権の出場に向けて負けられない一戦だ。
両チームはファーストステージでも対戦している、トップリーグ開幕カードだ。その際はクボタの痛いシンビンでの退場もありNECが快勝している。ホームゲームのクボタとしては、本拠地が同じ「千葉ダービー」でもあり、意地を見せたいところだ。
NECはファーストステージでは初戦こそ無難な立ち上がりをしたが、それ以降は失点が多く、自分たちの試合に持ち込めずに苦戦していたが、セカンドステージでは持ち前のディフェンスが徐々に機能し始めている、注目の対決である。
また当日は、会場に隣接したサブグラウンドでは両チームの選手、スタッフが中心となったラグビースクール交流戦および中学生対象のラグビークリニックも開催された。会場のフクダ電子アリーナ周辺は、いつものサッカー少年にラグビージャージー姿の子供達が加わり、フットボール一色という雰囲気に包まれた。

試合はNECのキックオフで始まった。キックオフから両チーム激しいコンタクト合戦がくりひろげられる。NECは開始早々からクボタ陣内奥深くまで攻め入るが痛い反則もあり得点できずに、5分が経過する。対するクボタはグラウンドの幅をいっぱいに使ったオープンラグビーで対抗する。CTBトエアバを中心として何度もラインブレイクをするが、NECは全員がよく走り、そしてしっかりとディフェンスし得点を許さない。

だが、先制したのはクボタだった。11分タッチキックのカウンターアタックからCTBトエアバがNECディフェンスを突破し、ゴール前での攻防となる。その後の左オープン攻撃から再びCTBトエアバがディフェンスを突破し左中間にトライ、5点を先制する。
対するNECも負けてはいない。17分ハーフライン付近のラインアウトから左オープンに展開し、SOウェブの仕掛けからWTB宮前がライン参加してクボタディフェンスを突破し、そのまま40m独走し右中間にトライ、ゴールも成功し、7-5と逆転する。

その後はお互いにHB団のキックを中心として、一進一退の攻防となる。そして迎えた33分クボタはNEC22m付近の反則からCTB立川がペナルティゴールを決め、8-7と逆転する。対するNECも36分クボタ陣内22m付近からSOウェブがペナルティゴールを決め、10-8と再逆転し、そのままハーフタイムの笛を迎えた。両チームともにエリアマネージメントを意識しながらも、ボールを動かしてよく攻めたが、ミスも重なり、僅差のまま試合が推移した前半の攻防であった。

後半も開始早々からNECがペースをつかむ。WTBナドロの突破からチャンスを作り、クボタ陣内奥深くに攻め込む。しかし、7分のSOウェブのペナルティゴールがポストに当たって外れるなどの不運も重なり、なかなかスコアメイクができない。約10分間のNECの攻勢に耐えたクボタは、12分連続攻撃から左ブラインド攻撃を仕掛け、CTBトエアバの飛ばしパスが決まり、WTB宮田が左中間にトライ、ゴールも成功し、15-10と試合を逆転した。

NECも19分SOウェブがペナルティゴールを決め、追い上げるが、22分クボタにビッグプレーが生まれる。ノータッチキックからカウンターアタックを仕掛け、10m付近のラックからSH井上大介が好判断を見せ右ブラインドへ好パス、突破したFB森が40mを独走して右すみにトライ、20-13と引き離しにかかり、試合は決したかに見えた。しかし、その後は優位に立つフォワードを軸にしたNECがペースをつかみ、圧力を受けるクボタが次々と反則を犯し始める。

27分SOウェブがこの日3つ目のペナルティゴールを決め、追い上げを見せたNECは、さらに32分、38分とSOウェブがペナルティゴールを決め、ついに22-20と試合をひっくり返した。その後NECは、グラウンドに終了のホーンが鳴り響いた40分から43分までのクボタの猛攻を必死のタックルで凌ぎきり、最後はクボタのハンドリングエラーを誘い、ノーサイドの笛を迎えた。

果敢にオープンに展開するクボタと「ディシプリン」を合い言葉にディフェンスをくりかえすNEC。本日の「千葉ダービー」はお互いの持ち味を発揮した「ラグビー」の面白さが随所に盛り込まれた好ゲームであった。素晴らしい個々のパフォーマンスを見せてくれた両チームのプレーヤーとここまでしっかりと準備をした両チームのスタッフに心から感謝したい。
(千葉県ラグビー協会 塚越 康利)

● 記者会見ダイジェスト ●

クボタスピアーズ

石倉俊二監督

「まずホームゲームということで、このような素晴らしいグラウンドをご用意頂いた、日本協会、関東協会、そして千葉県協会の皆さんにまずありがとうと申し上げたい。スクール関係の行事もあり本当に素晴らしい環境で試合ができたのは良かった。この試合のために良い準備をしたし、心技体とも80分間よくやったと思う。もう1トライ欲しかったが、やろうとしたことはできた。後半の4PGは反省しなければならないが……。良いゲームができただけに、勝てなかったことがたいへん残念だ。NECさんはなかなか勝たせてくれない。しかし、試合はこれで終わったわけではないので。次戦のリコー戦に向けて、『ALL in one Team』を合い言葉にやっていきたい」

──立ち上がりからワイドへ展開する意図を感じたが、どんな考えでこの試合に臨んだのか?

「やろうとしたことはできたと感じている。相手の外へ展開し、薄くなったところを攻めるというプランを実践してくれた。結果としてトライこそ奪えなかったが、後半の40分過ぎに10フェイズ以上にわたって攻められたことは成長を感じた。あそこでトライが奪えれば更に成長できたのだが…。本当に選手はよくやってくれたと思う」

今野達朗ゲームキャプテン

「監督と同様に、ご準備いただいた多くの方々にありがとうと言いたい。後半にペナルティが続いてしまったことが敗因だが、『ラグビー』に於いては自分たちのプレーができた。負けてしまったことはもう仕方ないので、切り替えていくしかない」

──後半のペナルティ多発の要因は?

「例えば後半のショルダーチャージなどについては、レフェリーからも試合中にコメントがあったように微妙な判定であった。ブレイクダウン周辺についての反則は、個人の意識の問題かもしれない。後半に反則が続いた場面では、チームとしてジャッカルをやめオーバーで越えていくようになど何らかの対応をとれば良かった」

──NECは最後のプレーに象徴されるようにほとんどポイントには入らない場面もあったのでは?

「そのとおりだと思う」

──前半のラインアウトで苦戦しているように感じられたが、その要因はチームの問題なのか? 相手のプレッシャーなのか?

「両方だと思う。ウチにもミスはあったが、NECはしっかりラインアウトを分析してくるチームなのでプレッシャーをかけるのは非常に上手かった」

NECグリーンロケッツ

相澤輝雄総監督

「『千葉ダービー』ということで、このような素晴らしいグラウンドを提供いただいた千葉県協会の方々に心からありがとうと申し上げたい。多くのファンに囲まれ、両チームとも良い内容の試合ができた。その中で何とか勝利でき、とても嬉しい。多くの方々に感謝したい」

──シーズン後半戦に向け、どのようにシーズンを展開していきたいと考えているのか?

「先のことは考えていない。次のNTTドコモ戦にどう勝つかしか考えていない。例えばディフェンスをどうするのか。今日はブレイクダウンでは2人で戦い、3人目はよほどのケース以外は入らないという約束事ができた。練習ではよくやっているプレーだが、今日は80分これができた。今日も修正しなければならないところは多々ある。次に向け準備をするだけだ」

瀧澤直キャプテン

「相澤監督の言うとおり、クボタのホームゲームだが『千葉ダービー』ということで、我々はクボタファンの方々からも声をかけてもらえたし、NECのファンもクボタの選手に声をかけていた。こう言ってはおかしいかもしれないが『仲間』意識のある良い相手であった。試合はどっちに転ぶかわからないゲームで「攻めのクボタ」「耐えるNEC」という図式だったと思う。しっかりと自分たちをコントロールし、勝ちきったことは自信になった。我々には大きな1勝であった」

──後半開始からコツコツとPGを狙っていたが、タッチからラインアウトという考えはなかったか?

「点差は最大でも7点差であった。1トライで逆転される点差やPGを許せないという状況は相手へのプレッシャーになる。点差を詰めることで相手へのプレッシャーをかけたかった。時間や試合内容からも一概には言えないかもしれないが、今日はプレッシャーをかけられるラグビーができたと思う」

──スクラムは終始優位であったと見られたが、手応えは?

「スクラムではマイボールは良かった。きれいに球出しができ、思い通りであった。相手スクラムについては反則もお互い1個ずつでお互いにギャンブルができず探り合いであったように感じる。反則が怖く、ギャンブルにはいけなかった」

──試合後半、ほとんどブレイクダウンはチャレンジをしなかったが、意図的なものなのか?

「積極的にチャレンジして、反則をしてしまえばPGにつながってしまう。後半は点差を考えると『タックルからプレッシャーを』というチーム内の声もあり、見極めを考えた。ファイトかチャレンジかという判断はできていると思う」

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