「プレーオフトーナメント LIXIL CUP 2015」セミファイナル マッチサマリー(東芝 15-50 パナソニック)

東芝
ブレイブルーパス
東芝ブレイブルーパス
15 合計 50
3 前半 37
12 後半 13
パナソニック
ワイルドナイツ
パナソニック ワイルドナイツ
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東芝ブレイブルーパス 15-50 パナソニック ワイルドナイツ

プレーオフトーナメント LIXIL CUP 2015 セミファイナル
2015年1月25日(日)14:00キックオフ/東京・秩父宮ラグビー場

パナソニック、15人の集中力で前半から東芝を圧倒、ファイナル進出を決める

プレーオフトーナメント LIXIL CUP 2015今季、トップリーグ ファーストステージの初戦と、セカンドステージ第2節の2回の対戦では東芝が勝利しているが、実力はほぼ互角の両チーム。トップリーグチャンピオンになるために一番大事なこの日の対戦を制したのはパナソニックだった。
7週間続いたセカンドステージが終わり、両チームともケガ人を抱えてはいるが、一方、ケガから復帰してきた選手もいる。東芝はこの日、LO大野均と、CTB増田慶介が、パナソニックではCTB霜村誠一が久々の先発となった。東芝のFWがセットプレーとブレイクダウンで優位に立てるか、パナソニックとしては、FW戦で負けることなく得意なアンストラクチャーからのアタックで得点につなげられるかが焦点の一つとなった試合だ。

試合はいきなり、パナソニックのペースで始まった。前半1分、東芝陣でのマイボールのラインアウトで東芝がボールを確保できず、パナソニックがボールを取るとSOベリック・バーンズからBKに展開する。CTB霜村、LOヒーナンが相次いでポイントを作ると、ラックから出たボールをSH田中史朗からバックラインに並んでいるNo.8ホラニ龍コリニアシ→SOバーンズ→CTB林泰基→FL西原忠佑へと素早く回して西原が右隅にトライ。バーンズのゴールも成功して、開始1分で0-7とパナソニックが早くもリードした。
その後、5分に東芝がPGを返し3-7とするが、11分には東芝陣でのスクラムで東芝FWが強みを出すべきところを逆にコラプシングの反則をとられ、パナソニックがPGで3点加点。3-10と7点差のリードに戻す。

さらに、パナソニックは敵陣内でのラインアウトからSH田中からのボールを受けたSOバーンズが、ブラインドサイドから内に切れ込んできたWTB山田章仁に素早くオフロードパスをつなぐと山田が独特のステップ、スワーブで東芝のプレーヤーを3人4人と振り切り、そのままゴールに飛び込みトライ(ゴール成功)。前半16分で3-17とパナソニックが14点のリードとし、試合の流れを決めてしまった。

パナソニックは前半28分にも、モールでヒーナンとコリニアシがジャッカルで奪ったボールをHO堀江翔太→PR川俣直樹→FL西原と素早くつなぐと、CTB霜村が大きくラインブレイク。霜村はタッチライン際で東芝ディフェンスに捕まるも、しっかりSH田中にボールをつなぎ、再びフォローしてきたHO堀江からいいスピードで走り込んできたWTB北川智規にパスしてトライ。さらに38分には東芝のノックオンからターンオーバーしたボールをCTB霜村が判断よくコーナーフラッグを狙って大きくグラバーキックを蹴ると、バウンドしたボールはタッチライン際を快足で走り込んできたWTB北川の胸に収まり、そのままトライ。前半だけでパナソニックが4トライを取り、3-37と大きくリードして前半で試合を決めてしまった。

後半に入ると、東芝のプレーヤーもようやく吹っ切れたのか、東芝らしいプレーが続けられるようになり、後半5分にはモールを押し込みパナソニックのコラプシングを取ると、PKでスクラムを選択。スクラムをプッシュしてからボールを展開しフェイズを重ねた攻撃からHO湯原祐希がトライ。23分にも敵陣ゴール前でスクラムを繰り返し、最後にはペナルティトライを獲得したが、試合としてはすでに前半にパナソニックに取られすぎており、「焼け石に水」。東芝ファンにとっては、この東芝らしいラグビーを前半試合開始直後からなぜできなかったのか? という結果となった。

特にパナソニックが前半に見せたディフェンス、そしてアンストラクチャーでのボールへの集中力、対東芝戦の2度の敗戦からの修正力、さらにベテランがチャンスを作り、ボールをもらうと得点につなげられる両WTBの決定力といったパナソニックの総合力が印象に残った。ヤマハ発動機には2週間前のセカンドステージでの対戦で負けたばかりだが、再度対戦することになったLIXIL CUP ファイナルでも、このチームの総合力を出すことができれば、パナソニックの昨年に続いての連覇の可能性も大きそうだ。
(正野雄一郎)



● 記者会見ダイジェスト ●

東芝ブレイブルーパス

東芝ブレイブルーパス
冨岡ヘッドコーチ(右)、リーチ ゲームキャプテン

冨岡鉄平ヘッドコーチ

「良い準備をしてきたつもりでしたが、パナソニックさんの準備と気持ちのこもったラグビーを受けてしまったと思います。選手がパニックに陥ってしまいました。ビッグゲームで、後半しっかり吹っ切れた選手たちが勝利を信じてやりましたが、スコアを取ってからの失点が痛かったです。すべては前半の20分、立ち上がりが良くなかったことに尽きます」

──序盤の崩れはどうして?

「ブレイクダウンで圧倒されました。一気にいかれたというより、相手に転がったアンラッキーもありましたが、厳しいミスのないプレーをやられました。ほんのちょっとの差でした。東芝に甘いプレーが出て、序盤にドンドン取られましたが、そんなにまずいプレーがあったわけではありません」

──今シーズン、二回勝っている相手はどう変わったのか?

「ゲームのシャープさ、切れ、セットアップの速さ、リアクションの速さが素晴らしかったです。1個1個、後手を踏んだうちが10分過ぎの7対3から、ジリジリとやられました。前半の20分で、ゲームに対する厳しさの差が出たと思います。選手の気持ちが入っていなかったわけではなく、良い準備をしてくれていただけに、それが悔しいところですね。こういうビッグマッチでは、ミスは敗戦を意味します。今日の日の前に、時間はあっただけに、僕がしっかり詰め切れなかったのかなと思います」

──交代のタイミングとメンタルは?

「FWで圧倒されるとラグビーにならないので、もともと用意した時間帯ではなかったが、外国人枠を考え、バランスを考えて入れました。選手は良く準備してくれて、現状ではこれ以上ない状態、そこまで準備してきましたが、まだまだでした。日本選手権はNTTコムさんもキヤノンさんもトヨタ自動車さんも(ワイルドカードで)負けて、気を抜いたら負ける強い相手です。もう一度マイケルが言うように戦う意味、存在意義を確かめ、負けたってスイッチを切ってしまったら、応援してくれる人が悲しむので、強い東芝を見せる必要があります」

リーチ マイケル ゲームキャプテン

「一番、今、思っていることは、今年ずっと応援してくれたファンに恥ずかしいゲームをしてしまったことです。ごめんなさいとしか言えません。東芝の強みを出させてくれなくて、キャリアーもモールも止められて、スクラムもやらせてもらえなかったと思います。試合中、立て直せなくてパニック状態になりました。どう攻めたらよいか分からなかったです。次は日本選手権に向けて、準備して、上を向いてもう一度東芝の強い姿をお見せしたいと思います」

──序盤の崩れはどうして?

「二人目がプレッシャーを受けて、ブレイクダウンに人数を掛け過ぎました。試合中、修正できませんでした」

──ハイパントは?

「ハイパントと裏へのショートキックはリアクションが遅かったと思います。1テンポくらい遅れていました」


パナソニック ワイルドナイツ

パナソニック ワイルドナイツ
ディーンズ監督(右)、堀江キャプテン

ロビー・ディーンズ監督

「(堀江キャプテンが先に話したので)翔太がすべて話したとおりです(笑)。選手は特別なパフォーマンスをしてくれました。誇りに思います。東芝さんには2回厳しいレッスンをしてもらったので、今日の結果になったと思います」

──これまで若い選手を使ったが、この試合はベテランぞろいだったのは?

「ビッグゲームでは経験者が中心となり、しっかりプレーすることが大切です。最初の20分、堀江たちが素晴らしいリーダーシップを取ってくれました。最初からうまくいくわけではありませんが、しっかり流れを引き寄せてくれました。今日の試合で言えば、一元的でなく、タックルを耐えてボールをキープし、素早くアタックしてスコアする多面的なプレーができていたと思います。プレッシャーを受けながら、前半の4つのトライに結び付けることができました。相手は、自分たちで今までと違うことをしなくてはならなくなりました」

──東芝のレッスンから学んだ今日のゲームプランは?

「過去2試合で東芝さんがしたパフォーマンスをさせないことが大切でした。まず、プレーオフではすべてはディフェンスからです。しっかりディフェンスし、ペナルティを与えてフィールドポジションを与えないことです。モールディフェンスもできました。スクラムも良かったが、後半はちょっとそうではない時間もありました」

──次のファイナルは?

「考えてないよ(笑)。ヤマハ発動機さんとパナソニックは今シーズン1勝1敗で、次に勝ったチームが今シーズンを勝ち取ることになります。お互い、宿題が出ていたので、それをどちらがやってくるかで決まると思います」

堀江翔太キャプテン

「東芝さんに2回負けて、特にメンタルが大事だと教えてもらいました。今日は自分たちのストラクチャーを信じて、東芝さんより情熱のある80分を続けることができました。ペナルティトライを獲られるなど、反省点もありましたので、次のヤマハ発動機戦に向けてしっかり準備していきたいと思います」

──前半20分のプレーは素晴らしかったが?

「これといってブレイクダウンは特別な練習はしていません。ただ、二人目の仕事を明確にして、しっかりやろうと話しました。何か変わってとか、東芝さん相手の特別なブレイクダウンでなく、気持ちが出たプラスアルファと、ボールを越えるのか、絡むのか、捨てるのかの判断が各自しっかりできたと思います。他の選手のコールも素晴らしかったと思います。ブレイクダウンでは外にスペースで逃げるのでなく、しっかりボールを確保しようとしました。レフリーの戸田さんともコミュニケーションがしっかりとれたのも相当良かったと思います。うちの9番と5番がやかましいので(笑)、俺に言えと言いました」

──ターンオーバーからの反応も素晴らしかったが?

「僕はいつもどおりだと思います。ヤマハ発動機戦で負けてから、80分、コミュニケーションを取り続けようと言ってきました。入りは、特に東芝さんはガンガン来るから、入りの始めの1秒から意識しようと、僕が言わなくても選手が言ってくれていました。キャプテンらしいことはほとんどしなかったです(笑)」

──次のファイナルは?

「ヤマハ発動機戦のことは考えていませんでした。この間の試合では、強いランナーでどんどん前へ出て、五郎丸選手のキックで前へ出るシンプルなラグビーの印象です。サウ選手がボールを運び、タッチからタッチへボールを動かすラグビーをしてくると思います。僕たちに合ったディフェンス、アタックをしてくると思うので、神戸製鋼戦のビデオをしっかり見て準備して、ロビーさんがいつも言うように、目の前の判断をしっかりして、何が起こるか、どうマイナーチェンジするかが大切になると思います。スクラムもヤマハ発動機さんは結構強いので、相馬さんと相談して(笑)やりたいと思います」












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