プレシーズンリーグ プール戦 第1節マッチサマリー(キヤノン 14-14 豊田自動織機)
(写真:松本かおり)
プレシーズンリーグ プール戦 第1節 プールD 小野澤、キヤノン2年目で初先発・初トライ。豊田自動織機が最後のPGを外して引き分けで終わる ラグビーワールドカップ2015が行われるため、今年に限って行われるプレシーズンリーグの第1節。日本代表選手や、有力な新人外国人はチームに合流していないこの時期の両チームの若手選手にとって、秩父宮で行われる正式ジャージでの有料試合は、11月からのリーグ戦でのレギュラーをつかむための大きなアピールのチャンスになる大事な試合だ。 キヤノンではリザーブを含めて大学新卒の新人選手を4人、豊田自動織機でも、移籍の外国人を含めて新戦力を5人、登録してきた。キヤノンはWTBに小野澤宏時、LOに菊谷崇の日本代表のエース経験者を起用してきたのも注目だ。 試合開始後、キヤノンは、今季の狙い通りであろう、ボールをよく動かしてアタックを継続するゲームメイクをして敵陣で戦う時間が多かったが、ノックオンなどのミスで得点にはつながらない。 その後はキヤノンがボールを確保して試合を進める時間が多いが、豊田自動織機もフィフティーンで良くディフェンスして、キヤノンはなかなか得点できない。 これでスコアは7-7となったが、その直後のキックオフからのプレーで、キヤノンSH福居のボックスキックから豊田自動織機がボールをターンオーバー。豊田自動織機CTBヴァカジョセフウィルソン-SOヘガティーとうまくボールをつなぎ、WTB松井がタッチライン際をインゴールまで好走。すぐに豊田自動織機がトライを返し、7-14として前半を終えた。 後半もキヤノンはボールを持つ時間は多く、アタックを繰り返すが、ノックオンなどのミスが多くなかなか得点につながらない。豊田自動織機もディフェンスでの反則が多くなり、24分には「チームとしての反則の繰り返し」としてLO藤井がシンビンで14人となる。キヤノンはその直後のラインアウトからの攻撃でモールを作り、モールから出たボールをもらったNo.8カール・ロウがモールサイドを抜け、トライ。ゴールも決まり、14-14の同点に戻した。 豊田自動織機は、後半10分から投入している、今年の新戦力である南アフリカ代表12キャップのJ.J.エンゲルブレヒトにボールを回してチャンスをつかもうとするが、キヤノンが良くタックルしてこれを止める。このまま引き分けになるかと思われた39分、敵陣に攻め込んだ豊田自動織機CTBベンジャミン・サンダースがキヤノンBKの裏にグラバーキック。これを捕ったキヤノンBKにサンダースがナイスタックル。それでもキヤノンがボールを継続するが、ハンドの反則をとられ、豊田自動織機にとってはサヨナラPGのチャンスを得た。 両チームとも選手にとって11月からのリーグ戦でのレギュラー争いとなる試合であり、選手もチームの狙いを理解してよく動いていたが、まだミスや反則も多く、チームとしても個々の選手としてもこれらの課題をしっかり修正すればリーグ戦で大きく活躍できる可能性を示した試合だった。また、キヤノンの菊谷・小野澤も80分間プレーし、まだまだリーグ戦でも活躍する可能性を示してくれた。 ● 記者会見ダイジェスト ●
豊田自動織機シャトルズ 丹生ヘッドコーチ(右)、松岡キャプテン 丹生雅也ヘッドコーチ 「本日はありがとうございます。このような素晴らしい会場でプレーできたことに感謝申し上げます。プレシーズンという意図で初めて臨んだゲームでした。11月14日のトップリーグ開幕戦に向けた準備期間としてとらえて臨みました。少し準備してきたことが出せたのですが、改善点も良く分かった試合でした。反則も多かったので修正し、ボールキープ率を多くしていきたいと思います」 ──準備はうまくいったのか? 「ディフェンスはしっかり準備してきたことができ、ボールを獲得できたと思います」 松岡毅キャプテン 「本日はありがとうございます。今日は1選手としても公式戦に近い感覚で臨みました。この一戦に全力で、必死で戦いましたが、修正しなければいけないこととして勝ち切れなかった点が残りました。修正して、次週に臨みたいと思います」 ──準備はうまくいったのか? 「11月のトップリーグでのジャージを選手が取り合っています。23人に入れるよう全員が頑張っています。全力で競争して勝ち取ろうと言っています」 キヤノンイーグルス 永友監督(右)、湯澤選手 永友洋司監督 「本日はありがとうございます。夏合宿を経て、ファーストジャージで勝利したいと臨んだが、最後は豊田自動織機さんに助けられたというか、我々としては引き分けをいただいた試合になってしまいました。良い意味で課題が見つかったので、次週に向けてチーム力を上げていきたいと思います。ルーキーも経験を積めたので、財産になったと思います」 ──小野澤選手は移籍後2年目で初トライ、菊谷選手はロックで出場だが? 「二人とも新しいチャレンジをしています。菊谷選手に関しては、ワールドカップで3列で試合に出たプライドもあると思いますが、チームのためにやってくれました。ボールキャリアとしての強さ、セットプレーでの痛いところでのプレーを期待しています。練習から身体を張って良い影響をチームに与えてくれています。僕としては、エディーさんにロンドンに連れて行って欲しかったですが、2019年を目指して頑張ってもらっています。 ──宇佐美選手は代表から戻って? 「宇佐美選手もベネット選手も二人ともバックアップメンバーで、呼ばれた時に遜色ないプレーをしてもらう必要があります。エディーさんからも情報をいただきました。彼らも悔しい思いをしていると思いますが、呼ばれたらすぐ戦えるようにしっかり準備をさせてやりたいと思います」 湯澤奨平選手(マン・オブ・ザ・マッチ) 「春から時間をかけてやってきたスクラム、ラインアウトでやって行こうと思っていましたが、スクラムで豊田自動織機さんのプレッシャーを受けてゲームプランが狂いました。しかし、やってきたことは間違いないと思える試合でした」 ──小野澤選手のトライは? 「やはり、小野澤さんが春から怪我が重なったのにも関わらず、初試合でトライを獲ったので、他の人も嬉しかったと思います。トライを獲った後も、皆で祝福に行きました」 マン・オブ・ザ・マッチはキヤノンイーグルス4番、湯澤奨平選手
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