トップリーグ2015-2016 第6節 マッチサマリー(キヤノン 26-10 トヨタ自動車)

キヤノン
イーグルス
キヤノンイーグルス
26 合計 10
16 前半 10
10 後半 0
4 勝点 0
25 総勝点 21
トヨタ自動車
ヴェルブリッツ
トヨタ自動車ヴェルブリッツ

キヤノンイーグルス 26-10 トヨタ自動車ヴェルブリッツ

トップリーグ2015-2016 第6節 グループB
2015年12月19日(土)13:00キックオフ/東京・町田市立野津田公園陸上競技場

キヤノン、フレッシュなメンバーで5勝目。ヤマハとのグループB最終戦へ

今シーズンのトップリーグはリーグ戦が7週連続での試合となり、選手には厳しい日程となっている。キヤノンはこれまでの5試合が全て、アウェイ戦。毎週末の試合会場との往復の移動のため、選手にとってはなかなかベストのコンディションを継続できない。前節、キヤノンもトヨタも勝利してグループBでの上位4位入りが確定し、リーグ戦はこの日を含め、残り2試合。しかし、強豪同士の試合が続く1月のLIXIL CUPへ向けて、コンディションも整えていかなければならない。この日キヤノンは、ウィリー・ルルー、アダム・トムソン、それに主将の橋野、副将の庭井、三友らの主力を休ませ、フレッシュなメンバーを多く起用してきた。キヤノンはゲームキャプテンには昨シーズン怪我でトップリーグ出場がなかったFL植松宗之を、SOには今シーズン初出場となる森田慶良を起用し、前節のスターティングメンバーから11人も変更して、この日の試合に臨んだ。

対するトヨタはスターティングメンバーをほぼ固定してきており、前節からは2人だけの変更である。

試合は、前半、両チームともミスが出て、決定的なチャンスはなかなか得られなかったが、キヤノンが敵陣に攻め込むと、トヨタが反則を犯してしまい、キヤノンにPGチャンスを与えるという場面が、前半3分、9分、13分と続き、この日のキッカーWTB原田季郎がこれをきっちりと決め、キヤノンが9-0とリードして試合が進んだ。これに対してトヨタも17分にPGを返し、スコアが9-3となった後、前半の終盤に試合が大きく動いた。

34分にキヤノンがラインアウトから中盤でボールを展開、バックスがハンドリングミスすると、トヨタCTBイェーツ スティーブンがボールをターンオーバー。トヨタはこれを素早く展開するとLOトーマス優 デーリックデニイがキヤノンの甘いディフェンスを突き破り、そのまま中央を抜けて50m独走トライ、SO文字のゴールも決まり、トヨタが9-10と逆転した。その直後には、トヨタFBロビー・ロビンソンが大きくハイパントを蹴ると、キヤノンNo.8カール・ロウがカウンターアタック。ロウがトヨタ選手のタックルを2人3人とひきずり、22m付近まで進める。これにフォローしたFL植松が次のポイントをつくると、ラックから出たボールをCTBティム・ベネットからCTB藤近紘二郎がクロスで受けてタテに突き、ゴール前でNo.8ロウにオフロードパス。最後はSO森田が右中間のインゴールに飛び込んだ。WTB原田のゴールキックも決まり、キヤノンが16-10とリードしてハーフタイムとなった。

キヤノンは後半にもフレッシュな戦力が活躍を続けた。後半12分にはトヨタが敵陣ゴール前でパスミスしたボールをCTB藤近が足に掛けると、フォローしたFBマイケル・ボンドがこれをよく確保。後半CTBに入っているダラン・マーフィーがすぐにゴール前に大きくキックする。トヨタはWTB和田耕二がよく戻ったが、マーフィーが自ら和田にタックルしてボールを獲得すると、WTB原田-WTB林とすばやく左に展開、これにフォローしたSO森田がこの日2つ目のトライを取った。
さらにその直後の15分にも中央スクラムからのアタックでFBボンドがトヨタの甘いディフェンスを突き、中央をラインブレイクすると、ボンドからCTB藤近がパスを受け、そのままトライ(ゴール不成功)。キヤノンがあっという間に26-10と点差を広げ、試合を決めた。

この日のトヨタでは後半に出場したレナルド・ボスマ(ナミビア代表)のブレイクダウンでの再三のいいファイトなども見られたが、チームとしてはパスやキック、タックルでのミスが多く、そのミスがキヤノンの得点につながる結果となり、強豪ばかりとの試合が続く次節以降への課題がはっきり出た試合となった。
一方、キヤノンでは主力選手が次節以降の試合に向けてコンディションを整えることができ、試合出場の機会の少なかった選手が活躍して結果を出し、次節以降のレギュラー争いも激しくなってくる。この日、ヤマハスタジアムで神戸製鋼がヤマハに勝利したため、グループBでは神戸製鋼(勝点25)、キヤノン(勝点25)、ヤマハ(勝点24)が5勝1敗で並び、勝ち点および得失点差で1位神戸製鋼、2位キヤノン、3位ヤマハでリーグ戦最終節を迎える。最終節の対ヤマハ戦はキヤノンにとってグループ1位を決めるための大事な試合となった。
(正野雄一郎)


● 記者会見ダイジェスト ●

トヨタ自動車ヴェルブリッツ

トヨタ自動車ヴェルブリッツ
菅原監督(左)、滑川ゲームキャプテン

菅原大志監督

「今日は多くのファンの方に来ていただいたにもかかわらず、内容の悪い試合をしてしまい申し訳ありません。特に前半は反則が多すぎ、また、ミスも多かったことを反省します。これに対し、キヤノンさんはゲームの入りもよく、トヨタはペースがつかめないまま、試合が終わってしまった感じです。モールやディフェンスでのキヤノンのプレッシャーが強かったと思います。次の試合以降は、トヨタとして自分たちのラグビーをしっかりやりたいと思います」

──LOのトーマス優デーリックデニイが後半から負傷交替しましたが?

「トーマスは腕を少し痛めたようです。ケガ人が何人かは出ていますが、毎週休みなく続く日程なので、どこのチームも同じような問題を抱えていると思います」

──前半は苦しい展開でしたが、ハーフタイムでの監督の選手への指示は?

「タックルが甘かったと思ったので、ハーフタイムには『タックルを決めきろう』と指示しました」

滑川剛人ゲームキャプテン

「トヨタのファンの方々に限らず、キヤノンのファンの方々も多くの方々に観戦に来ていただいたことを感謝します。トヨタの選手としてできる責任を果たすことができませんでした。選手たちが、魂を込めたプレーをすることができなかったと思います。一つのパス、一つのキックをやり切る、また、強いモールやブレイクダウンをやり切るということができませんでした。これらの課題を修正して、次の試合に生かしたいと思います」

──昨シーズンはキヤノンと2回対戦し、2回とも勝利しているが、昨年のイメージとは違いはあったでしょうか?

「キヤノンはとてもいいチームです。ブレイクダウンは激しく、かつ、ディシプリンは守られています。それに対し、トヨタはブレイクダインでのプレッシャーを受けてしまい、キヤノンがブレイクダウンを有利に進めたと思います。また、特に前半に反則を多くとられましたが、プレッシャーがかかって有利に立てなかったことが問題でした」


キヤノンイーグルス

キヤノンイーグルス
永友監督(左)、植松ゲームキャプテン

永友洋司監督

「今日は、ホームの町田での試合ができたことに、町田市および各関係者の方々にありがとうございましたと言いたいです。今日の試合には昨年からあまり試合に出ていない植松選手をゲームキャプテンに起用しましたが、チームキャプテンの橋野とゲームキャプテンの植松が力を合わせ、いい準備をしてくれました。選手を褒めることは少ないですが、今日は感動させてもらえるゲームをやってくれました。橋野主将と植松ゲームキャプテンに感謝します」

──ホームゲームで勝利し、今日、観戦に来ていた町田市長も喜んでいましたが?

「これまで5試合、アウェイでの戦いが続き各地を訪れましたが、ワールドカップでの日本代表の活躍のお蔭で、一般の方々がラグビーを知っていただけるようになったことを実感しました。このワールドカップでの成果を伝え続けていかなければと思っています」

──今日は多くのフレッシュな選手を起用しましたが、その意図は?

「基本的に、その日にベストなコンディションの選手を使います。これまで5試合アウェイが続き、飛行機や新幹線での試合地への移動が続き、必ずしもいいコンディションでない選手が多くいました。今日はそのため、フレッシュなメンバーを多く起用しましたが、彼らがいいパーフォーマンスを見せてくれました。これまで試合に出る機会が少なかった選手達ですが、いい準備をしてくれていました」

──今日のゲームプランは?

「今日の試合でも最後、トライを取り切れませんでしたが、そこが、チャンピオンチームとの差だと思います。今後も、万全な状態でプレーでき、チャレンジャーとして自分たちのラグビーをできるようにしたいと思っています」

植松宗之ゲームキャプテン

「ゲームキャプテンをするのは初めてですので、このような場で何を言っていいかわかりません。ただ、チームとしていい準備ができてゲームに臨めたと思います。橋野主将と事前によく話して、橋野主将の考えていたラグビーができたと思います。選手の一人一人がしっかりやるべきことをやってくれたおかげです」

──今日はどういう思いで体をぶつけたのでしょうか?

「ゲームキャプテンとして体を張ったプレーをしなければいけないと思っていました。今日は、初めから気持が入っていました。春シーズンから橋野主将から一人一人がどういう判断でプレーするか、ゲームを理解してプレーするように、リーダー陣に落とし込んでくれていました。そういったことが結果につながったと思います」









マン・オブ・ザ・マッチはキヤノンイーグルス10番、森田慶良選手

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