トップリーグ2015-2016 第7節 マッチサマリー(キヤノン 19-33 ヤマハ発動機)

キヤノン
イーグルス
キヤノンイーグルス
19 合計 33
12 前半 17
7 後半 16
0 勝点 5
25 総勝点 29
ヤマハ発動機
ジュビロ
ヤマハ発動機ジュビロ

キヤノンイーグルス 19-33 ヤマハ発動機ジュビロ

トップリーグ2015-2016 第7節 グループB
2015年12月26日(土)11:40キックオフ/東京・秩父宮ラグビー場

11月13日に始まった今季のリーグ戦も早くも最終節。上位順位が確定する好カードには、ワールドカップ後の五郎丸選手が東京に初登場と重なって、快晴の秩父宮ラグビー場に開門数時間前からお客さんが並び始め、地下鉄外苑前駅からの歩道があふれかえり、大幅に開門時間を前倒ししなければならなかった。試合前のスタンドはというと、前列には少しでも近くで五郎丸の練習風景を写真に収めようと大勢の観客が鈴なり、これまで見たことのない光景だった。

第一試合の観客数は22,843人と先日の早明戦を上回り、第二試合終了時には25,164人とトップリーグ史上最多入場者数を記録することとなる。

キヤノンのキックオフで始まったゲームは両チーム手堅い攻撃の入り。そして、4分、ヤマハ発動機SO大田尾が陣地挽回を図って蹴ったキックを自陣22m付近でキャッチしたキヤノンFBウィリー・ルルー。一閃高速カウンターでヤマハ発動機陣10m付近まで大幅ゲイン。ここでパスを受けたWTB原田が左タッチライン際を走り切り左中間にトライ。ゴールは決まらず5-0と先制する。

次のキックオフからはヤマハ発動機がキヤノン陣内で攻撃を繰り返すも、キヤノンの粘り強いディフェンスでなかなか突破が図れない。そんな中、キヤノンバックライン外側の上がりが速いとみたFB五郎丸がその裏へ絶妙のゴロパント。インゴールを転々とするボールに先に追いついたヤマハ発動機WTBハビリ ロッキーが11分、左隅に押さえる。たくさんのお客さんがカメラを構えるバックスタンドの目の前、FB五郎丸が左隅から狙った難しいゴールキックも期待通り成功。5-7と逆転。

14分にはまたもやキヤノンの個人技が光る。ヤマハ陣10mでSH天野からのパスアウトを浅い位置で受けたSO橋野が、セブンズ日本代表経験もある本領を発揮。ミスマッチをついてステップ一発で裏に、カバーディフェンスもかわして、そのまま40mを走り切って右中間にトライ、すぐに逆転する。CTB三友のゴールも決まって12-7。

25分、ブレイクダウンの名手キヤノンNo.8トムソンが紙一重ハンドの反則。ゴールまで約30mほぼ正面のPGを五郎丸が難なく決めて12-10と肉薄する。

この後はしばらくキヤノンがヤマハ発動機ゴール前でPGを狙わず攻撃を続けるものの、なかなかフィニッシュに持っていけない。そして反則で陣地を大きく戻してしまう。その上、33分PR城が反則の繰り返しによるイエローカード。このPKからのヤマハ発動機の攻撃は防いだものの流れがヤマハ発動機に傾き始める。

37分、キヤノン陣右ラインアウトからヤマハ発動機のサインプレー。SO大田尾の内側に走りこんだWTB伊藤が裏に出て、キヤノンWTB原田のタックルをステップでかわして30mを走り切って中央にトライ。五郎丸が正面のゴールをルーティーン無しで決めて12-17と再び逆転して前半終了。

後半キックオフ早々からキヤノン陣深くで攻撃を繰り返すヤマハ発動機。そして3分、ゴール前5m右中間モールから左に大きく展開。SO大田尾、CTB宮澤とつないだボールがFB五郎丸の手に渡り、キヤノンのBKラインの間に走りこんで左にトライ。このゴールは惜しくもはずれたが12-22。

直後のキックオフでもビッグプレーが飛び出す。キヤノンSO橋野が蹴ったキックは明らかなノット10m、と思われたこのハイボールを長い腕を伸ばしてキャッチしたヤマハ発動機LOクリシュナンが大きく50mゲイン。ヤマハ発動機が展開したところでキヤノンがまたしても密集で反則。7分、ほぼ正面のPGを五郎丸が決めて12-25とリードを広げる。

15分、キヤノンがまたしてもイエローカード。FL嶋田が自陣ゴール前で故意の反則、16分五郎丸PG成功12-28。続いて17分、ヤマハ発動機WTBハビリが大きくゲインしてできた密集でキヤノンCTBベネットが故意の反則。この日3人目のイエローカード。13人でのプレーを余儀なくされ、その間の得点こそ許さなかったものの試合の行方が決まってしまった。

28分、キヤノンの人数が15人に戻った直後、キヤノンゴール前右隅スクラムからヤマハ発動機が大きく左に展開。左隅にWTBハビリがトライ。4トライでボーナスポイントを獲得した。ゴールは決まらず12-33。

37分には、キヤノンLO宇佐美が長い腕を伸ばして意地のトライを返し、WTB原田がゴールを決めて19-33とするが時すでに遅し。このままノーサイド。

キヤノンはBKラインの素早いディフェンスで相手の攻撃を寸断、鋭いアタックでトライを取りながら、密集での反則が多く3人のシンビンで自滅してしまった。特に後半の落ち込みが激しかった。レフリーの判定にしっかりと対応していくことが肝要か。

B組1位通過を決めたヤマハ発動機。反則の多かったキヤノンに対し、4つと非常に少なかった点は続けていきたい。また、スクラムでは終始優位に立ったものの、ラインアウトが悪く、16本中10本の成功にとどまり、特に敵陣ゴール前勝負どころでのミスが目立った。これまでヤマハ発動機はラインアウトからの得点機会が多く、しっかり修正していけるかがカギを握りそうだ。
マン・オブ・ザ・マッチは、この日2トライを含めて、再三大きなゲインを繰り返したヤマハ発動WTBハビリ ロッキーが受賞した。
(澤村 豊)

キヤノン 19-33 ヤマハ発動機

● 記者会見ダイジェスト ●

キヤノンイーグルス

キヤノンイーグルス
永友監督(右)、橋野キャプテン

永友洋司監督

「この試合のためにご尽力いただいた皆様に感謝申し上げます。怪我やストレスが溜まるゲームでした。自分たちでゲームを崩してしまいました。しかし、後ろを振り返っている時間はありません。次のトーナメント1回戦に向かっていきたいと思います」

──プレーの選択は?

「通用する部分も多かったし、あくまでトーナメントを見据えての試合でした。今までが生き残るための戦いだとしたら、これからは勝ち残る戦いになります。自分たちの力は測れたので、トーナメントで出していきたいと思います。グラウンド内の判断は橋野に任せています。そこをこなせないのは、コーチングの問題ですので、取り戻していきたいと思います」

──ルルー選手は?

「トライを獲るチャンスを作ってくれたし、いつも通りの高いレベルのプレーを見せてくれました」

橋野皓介キャプテン

「このような大観衆の中でプレーできて嬉しく思います。ディフェンスで前を止めようとしましたが、イエローを3枚もらうなど、ペナルテイが多く、ヤマハさんはブレイクダウンで上回ったと思います。下を向いても仕方ないので、トーナメントに向かっていきたいと思います」

──モールからトライが獲れなかったが?

「シミュレーションどおりラインアウトからモールで獲りたかったのですが、モールを組んだ後の相手の粘り強いデイフェンスに我慢できませんでした」

──プレシーズンには勝った相手だったが?

「勝つのは大前提ですが、ヤマハ戦はずっと勝利がなく、プレシーズンではとにかく1点差でもいいから勝とうという気持ちがありました。今日も、絶対に負けられない試合でしたが」

──ルルー選手は?

「ラン、キックが素晴らしい選手ですが、何がすごいかというと、80分、常にチャンスを探してスペースを見つけようとしているところです」

キヤノン 19-33 ヤマハ発動機

ヤマハ発動機ジュビロ

ヤマハ発動機ジュビロ
清宮監督(右)、三村キャプテン

清宮克幸監督

「まずは、このような2万2843人と、トップリーグのリーグ戦としては最も多くの観客の試合になったこと、テストマッチのような雰囲気を会場のお客様が作ってくださったことが素晴らしかったです。そのおかげで、集中力高く、80分、ヤマハが支配できたのにゲームだったと思います。キヤノンさんは190cm越えの選手を4人入れていましたが、終始、ヤマハのプレーに足が止まっていたのではないかという印象があります。キヤノンさんの機動力ある選手がほとんどプレーしない、ヤマハのFWの勝利だと思います」

──前半、守り切ったシーンは?

「勝負のアヤでした。ゲームの流れが一気にヤマハに傾いたシーンでしたね」

──神戸製鋼戦の反省は?

「やはり、神戸製鋼戦の敗戦の反省が今日の試合で一番出ました。FWのプレッシャーがないと、自分たちのプランができないのですが、かなり改善できたと思います」

──FWのプレッシャーは?

「向こうのアタックでのボールキャリアーがすぐ出していました。それをカバーできないチームはメインに残れません。相手は、今季好調の橋野くんに2本獲られました。マークしていたが、あのシーンだけやられました。ヤマハとしても修正できるデイフェンスで、後半は余裕をもってデイフェンスできたと思います」

──トーナメントでは?

「コンデイションは良くなると思います。7週連続の試合ですと、週の練習も2回ぐらいしか上げられないんですね。これで、ようやく一息つけるので、コンデイションは良くなります」

──まだ、トップリーグのタイトルを取れていないが?

「去年のリクシルカップでは、スコア的には開けられましたが、ヤマハは全員がピンピンしていて、内容はパナソニックさんという試合でした。10回やれば、途中からヤマハの方が良くなる感じがしました。そういう意味では、去年の雪辱を果たすために、一つ一つ勝っていくことが大事です」

──五郎丸選手のプレーの変化は?

「ワールドカップは、彼にとっても日本のラグビーにとっても、偉大でとても貴重な経験でした。これまでとは、精神的にも影響が違います。ヤマハの1プレーヤーとして奢ることなく、ファンの方にも丁寧に接していて、感心して見ています。ノブレス・オブリージュをしっかりやっていて、責任感が見えますね」

三村勇飛丸キャプテン

「このような雰囲気で試合ができ、観客の皆様に本当に感謝しています。セットプレーから圧力を掛けるつもりでした。ラインアウトのミスもありましたが、ディフェンスで勝てたと思います。これから、負けたら終わりのトーナメントですが、準備期間が長いので、しっかり準備して良いラグビーをお見せしたいと思います」

──ペナルティゴールの判断は?

「FWで行けるところはFWで、セーフティリードがあればPGでと、現場で判断しました。最後は、スクラムでペナルティを取れたし、自分たちの強みを前面に出そうとしました」

──五郎丸選手の得点王狙いは?

「第一優先ではないので」

──前半、守り切った場面は?

「最初に一発で獲られたのですが、全体的にはゴールライン前ディフェンスでは獲られない守りができたと思います。より素早く、スペースを埋める足を動かすことができたと思います」

キヤノン 19-33 ヤマハ発動機

キヤノン 19-33 ヤマハ発動機

キヤノン 19-33 ヤマハ発動機

キヤノン 19-33 ヤマハ発動機

キヤノン 19-33 ヤマハ発動機

キヤノン 19-33 ヤマハ発動機

キヤノン 19-33 ヤマハ発動機マン・オブ・ザ・マッチはヤマハ発動機ジュビロ11番、ハビリ ロッキー選手

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