トップリーグ2015-2016【LIXIL CUP2016】5~8位決定トーナメント マッチサマリー(キヤノン 24-18 近鉄)

キヤノン
イーグルス
キヤノンイーグルス
24 合計 18
17 前半 3
7 後半 15
近鉄
ライナーズ
近鉄ライナーズ
キヤノン 24-18 近鉄

キヤノンイーグルス 24-18 近鉄ライナーズ

トップリーグ2015-2016【LIXIL CUP2016】5~8位決定トーナメント
2016年1月16日(土)11:40キックオフ/東京・秩父宮ラグビー場

これまで僅差での激闘を繰り返し、観る者の記憶に多くのシーンを残してきた両陣営。ともにトップリーグ全7節のうち5つの勝ち星を挙げ上位勢に食い込んだが前節、王者パナソニックの総合力の前に沈黙したキヤノンイーグルス、そして神戸製鋼の層の厚さに苦杯を喫した近鉄ライナーズ。互いに好敵手と認め、幾度となくスタンドを大いに沸かせたゲームの再現となるのか、観客のボルテージは高まる。
トップリーグ昇格後、3シーズンを経て着実に結果を残すキヤノン。昨年、一昨年の7位を1つでもステップアップするためにはどうしてもこの一戦で凱歌を上げたいところだ。対して昭和2年に創設された近鉄のもつ歴史と伝統、互いのプライドをかけた試合の幕が上がる。

前半開始早々、キヤノン陣22m付近でキヤノンが痛恨のノットリリース・ザ・ボール。近鉄SO重光のペナルティキックは正確な放物線を描き、ゴールポストへ。3-0と幸先の良いスタートを切った近鉄。気持ちを切り替えたいキヤノン、近鉄陣22mでのラインアウトからのスピーディな展開で焦る近鉄のオフサイドを誘う。キヤノンCTB三友のPG成功で3-3の振り出しに戻す。勢いに乗るキヤノンのFW・BKの縦横無尽に織りなす波状攻撃の前に体を張って必死に食い止める近鉄ライナーズ。

均衡が破れたのは15分、キヤノンFBウィリー・ルルー(南アフリカ代表)のインゴールへのキックを同LOアイブス ジャスティン(日本代表)が押さえてトライ。CTB三友のゴールも決まり3-10と突き放す。ルルーについて「彼のひらめきに、周りはアジャストできていない。周りがついていけるようにしていきたい」(キヤノン永友監督)。変幻自在の幅広いオプションを、このトップリーグで観る喜びを今後も共有していきたい。続く22分には近鉄ボールをターンオーバー。速攻一閃、FBルルー、WTB森谷からCTBティム・ベネットに渡ったボールは近鉄陣ゴールにグラウンディング。CTB三友のゴールも決まって3-17と前半はキヤノンが完全に勢いを掴んだ。

後半、古豪の意地を見せたい近鉄。ハーフタイムを終えてグラウンドに踏み出す選手達には、何故か幾度もの接戦を繰り広げた者同士のもつ因縁を感じさせる雰囲気があった。開始早々2分、近鉄の圧力が増し一気にゴールライン付近の密集を形成、近鉄SH金がゴールへ飛び込んでトライ(8-17)。8分にはキヤノンオフサイドからのPGを近鉄SO重光が慎重に決めて11-17。流れを引き戻したいキヤノン、13分にはNO.8アダム・トムソンが巨体を見事にコントロールして近鉄ディフェンスを翻弄しトライ。三友のゴール成功で11-24とキヤノンが再び突き放す。

19分、26分にはPGをキヤノン三友が続けて外し、勝負のヤマは最後まで持ち越される。

35分には、後半から出場した近鉄の切り札WTBアンドレ・テイラーがキヤノンディフェンスを置き去りにしてトライ。自らゴールも決めて18-24と追撃の鐘を打ち鳴らし、呼応するかのように観客のどよめきが高まる。終了間際、近鉄陣から縦横無尽に繋がれたボールは近鉄のフィニッシャーWTBアンドレ・テイラーに託され観客の声援はこの日、最高潮に達した。もしも決まれば1トライ1ゴール、1点差での逆転劇へのシナリオはゴールライン間際、必死のキヤノン選手陣が辛うじてタッチライン外に押し出し、18-24。辛くもキヤノンが逃げ切った。マン・オブ・ザ・マッチにはキヤノンHO庭井祐輔が選出された。
(志賀 剛)

キヤノン 24-18 近鉄

● 記者会見ダイジェスト ●

近鉄ライナーズ

近鉄ライナーズ
前田監督(右)、豊田キャプテン

前田隆介監督

「たくさんのファンの皆様の前で試合ができてありがとうございました。試合は前半、イージーなミスが出てしまいました。後半は切り替えて、アタックを変えて点差を縮めることができました。前半、ペナルティで獲られたのが痛かったです。切り替えて、次の試合に臨みたいと思います」

──テイラー選手が良いインパクトを与えているが?

「良いインパクトプレーヤーとして準備してくれています。最後のタッチに出されたプレーで、本人は悔しがって、ごめん、ごめんと反省していました。今日も後半のチームを支えてくれました」

──グラウンドコンディションは?

「これだけ傷んだコンディションは経験ないですね。選手たちは苦労したと思います。日本のラグビーを観て下さる人に、素晴らしい環境と言われるのは大切ですね。限られた資源だとは思いますが、たくさんのお客様の前でそう言われるようになってほしいです」

豊田大樹キャプテン

「シーズン初めての秩父宮で、たくさんのラグビーファンの前で試合できて嬉しく思います。セットプレーでプレッシャーを受け、BKに迷惑をかけてしまいました。そこをしっかり修正して、来週の試合に挑みたいと思います」

──スクラムは?

「キヤノンイーグルスさんのプレッシャーは確かに強かったと思います。秩父宮のグラウンドは特殊で、難しかったです。そこはお互い様ですが、次の試合がここなら、対応していきたいと思います」

──特殊とは?

「芝生でなく、土で緩いので、もうちょっと準備しないと」

キヤノン 24-18 近鉄

キヤノンイーグルス

キヤノンイーグルス
永友監督(右)、橋野キャプテン

永友洋司監督

「本日は関係者の皆様、ありがとうございました。先週、パナソニックさんに言い訳できないぐらいの内容、結果で、何とか選手が切り替えて戦ってくれました。最後は良く粘りました。近鉄さんは今シーズン、素晴らしいラグビーをしているので苦戦すると思っていましたが、予想どおり、接戦になりました。ここまでやって来たディフェンスで、5mラインの中を守れたと思います」

──ルルー選手は?

「どのチームもディフェンスをしっかり整備してきている中、何度かラインブレイクしているのはさすがです。彼のアイディア、閃きに周りがアジャストできない部分が見られます。来週は付いて行けるように、今日の試合を良い反省にしていきたいと思います」

──グラウンドコンディションは?

「グラウンドコンディションがこれでは、スキル、ステップがなかなか難しいです。お互い同じ条件とはいえ、選手の安全も考えて、協会だけでなく我々も何かやらなくてはいけないと思います」

──最後の場面は?

「胃がキリキリ、が正直な状況でした。シンビンのところなど、我々は自分たちでピンチを招いてしまったところにフォーカスしたいと思います。また、相手の5mライン内で獲りきれないところも反省点です。だが、最後は選手たちは良く守ってくれました。シーズン最後になって、キヤノンの成長を嬉しく思います」

橋野皓介キャプテン

「本日はありがとうございました。先週、完敗して、1週間しっかり切り替えてきました。キヤノンは昨シーズン、7位でしたので、それを超えようと毎日言い続けて臨みました。キヤノンがやろうとしたことはできませんでしたが、勝つんや、という気持ちで勝てたと思います。来週、トヨタ戦ですが、トヨタさんは昨シーズン6位なので、絶対5位になると力を入れて来ると思いますが、絶対勝ちます」

──ルルー選手は?

「シーズンが深まるにつれ、ルルーへのプレッシャーが強いのですが、相手のスペースを見つけて、チップキックや大きなキックでバリエーションがあって、相手にとって脅威だったと思います。ティム(・ベネット)やWTBがフリーになるところなども注目してもらいたいです」

──最後の場面は?

「最後は6点差で、絶対トライを取られないように、仮に獲られたとしても真ん中にはさせないでいこうと。一人少なかったので、一人が一人分以上やろうとラストプレーに向かっていました。昨年度を超えようと勝ちたい気持ちで上回れたと思います」

キヤノン 24-18 近鉄

キヤノン 24-18 近鉄

キヤノン 24-18 近鉄

キヤノン 24-18 近鉄

キヤノン 24-18 近鉄

キヤノン 24-18 近鉄マン・オブ・ザ・マッチはキヤノンイーグルス2番、庭井祐輔選手

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