5節 マッチ&会見リポート(三洋電機 54-10 九州電力)

マッチリポート
三洋電機ワイルドナイツ 54-10 九州電力キューデンヴォルテクス
【week5/2009年10月10日(日) at東京・秩父宮ラグビー場】

HO山本、LOヒーナンが復帰した三洋電機ワイルドナイツは、SOブラウンを欠きながらも九州電力キューデンヴォルテクスを終盤圧倒して無傷の5連勝、前夜サントリーが勝ち点5を上げたことによって暫定で明け渡していた定位置(首位)にあっさり戻った。

前夜の試合中、「2016年リオデジャネイロ五輪から7人制ラグビー実施」の報に沸いた秩父宮はこの日、スタンドにトンボ舞う爽やかな秋晴れ。珍しいHO(九電マンレー)の先制PGでスタートした試合は、すぐに三洋の見事なアタックによってひっくり返る。ゴール前でうまくマークをずらしてヒーナンにつないだFB田邉が、リターンパスをもらいポスト脇にトライした。その後も三洋は精力的に攻め続けたが、仕留めの場面でのミスが多く、思った程にトライが増えていかない。

「トップリーグ公式球プレゼント抽選」などいくつかのお楽しみがあったハーフタイムが終わり、前半は3トライに留まった三洋の、後半最初のトライは幸運だった。自陣でチャージされたキックを、前方(普通ならオフサイドの位置)にいた選手がキャッチ、三宅に繋いで生まれたもの。しかし、その後はHO堀江(途中出場)のトライを挟んで、WTB北川がハットトリックをマーク(北川はこれで、記念すべきトップリーグ通算50トライ)。中でも後半32分のトライは三洋らしいプレーから生まれた。九電のタッチキックを田邉がクイックでスローイン。受けた堀江は鋭いランで大きくゲイン、そこから繋ぎに繋いで最後、右翼の北川に渡ったもの。

結局三洋は後半4トライを上げ、九電を終了間際の1トライに抑え快勝。ホラニのキックオフリターン、ヒーナンやLO劉のラインアウトキャッチ、SO入江や田邉の正確なキック、そして今季初出場のCTB榎本や霜村主将の好タックルが光っていた。九電はタックルの甘さを突かれて再三三洋の突破を許し、また敵を捕まえても立って繋がれてしまう場面が目についた。ホンダヒートと並んで今季まだ白星がない九電には、今後も厳しい戦いが続く。(米田)

三洋電機 54-10 九州電力 三洋電機 54-10 九州電力 三洋電機 54-10 九州電力 三洋電機 54-10 九州電力

会見リポート
九州電力キューデンヴォルテクス
郷田監督(右)、吉永キャプテン
郷田監督(右)、吉永キャプテン


◎九州電力キューデンヴォルテクス
○郷田正監督
「全勝の三洋さんとの戦いであり、九電としては最後の最後まで強い気持ちで臨もうとしました。三洋さんはキックからプレッシャーをかけてくるのは分かっていました。前半はある程度対応できましたが、後半20分から三洋さんのスピードについていけなくなりました」

──ブレイクダウンは?
「三洋さんの強みであり、ブレイクダウンでの絡みが激しいので、準備してきたところではありましたが、人数をかけられて最初の球が出せませんでした」

──5節、結果が出ていないが?
「5節、続けて負けてはいますが、今日の試合など、粘り強くディフェンスできていますし、アタックもある程度通用していますので、開幕以来の良いところを繋げていきたいです」

○吉永将宏ゲームキャプテン
「東京でこれだけ沢山の応援をいただき、ありがたかったです。期待に応えられず残念です。自分たちのやりたいことを前半は出せたが、後半、受けてしまって三洋さんの流れになったと思います。後手、後手になったという印象です」

──最後の20分は?
「それまではディフェンスもしっかり上がって、何かしてくる前にタックルでしっかり止めることができました。後半20分過ぎから、蹴られて受けてタックルしているので、一人で何人もタックルを抜かれてしまったと思います」

三洋電機 54-10 九州電力 三洋電機 54-10 九州電力 三洋電機 54-10 九州電力
三洋電機ワイルドナイツ
飯島監督(右)、霜村キャプテン
飯島監督(右)、霜村キャプテン

北川選手
北川選手


◎三洋電機ワイルドナイツ
○飯島均監督
「九電さんの思い切りのよいタックルでリズムに乗れなかったが、最後の20分30分、われわれの時間が来ました」

──今日、復帰した選手の評価は?
「今日が悪かったというわけでなく、みんなの力からすると、もっとできるとも思いますが、ゲームフィットネスの足りないところ、意気込みが強すぎた部分を修正して、次の試合はもっとやってくれると思います。ヒーナン選手なんか、ものすごく真面目な選手なので、今までの迷惑を取り返すつもりでしたね。もっと落ち着いてくれば、もっとやってくれると思います」

──北川選手がトップリーグ通算50トライを決めたが?
「チームとしては別に何のプレッシャーもないですね(笑)。私など、ラグビー人生で10トライもしていないので、気持ちは分からないながら、自分のプレーだけやれば良いとアドバイスしました」

○霜村誠一キャプテン
「前半、リズムがつかめず、九電さんのプレッシャーがありましたが、強いメンバーが後半、フィットネスで上回って、自分たちのペースをつかめました。これを前からやっていきたいです」

──今日、復帰した選手は?
「連携やコミュニケーションの面では問題なかったのですが、一人一人が勢いあって、前へ、前へ出るので少しサポートが遅れてうちのペースにならなかったと思います」

──北川選手がTL50トライを決めたが?
「あまり意識していなくて、FWがあれだけプレッシャーかけてくれればね。今日のトライはみんなのおかげだと思っていてほしいです(笑)」

──去年と比べて?
「去年までのベースの部分に、フィットネスの自信が加わっています」

○北川智規選手(この日の試合でトップリーグ通算50トライを記録)
──50トライを獲って。
「自分では知らなかったし、意識もしていなかったのですが、皆さんや周りから言われて意識するようになりました。先々週、獲れなくて、へこんでいたんですが、素直に嬉しいです。相馬さんとか、こんなところで足踏みすんなよ、とプレッシャーをかけてくれました(笑)。自分でチャンスを作れなかったけれど、あきらめずにやってよい結果になりました」

──チーム内プレッシャーは?
「キャラ的に、いじられやすいので、霜村や三宅さんからも言われました。たまに、心にグサッと来る言葉もあって(笑)。でも、1年目からずっと支えてくれたチームの人たちのおかげです。バックスタンドでも、智規、おめでとうって言ってくれて、感謝しています」

──今後の目標は?
「まず、小野澤さんですが‥‥。100トライを目指します!」

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