5節 マッチサマリー(NEC 22-17 リコー)

NEC 22-17 リコー   NEC 22-17 リコー   NEC 22-17 リコー

NECグリーンロケッツ 22-17 リコーブラックラムズ
【week5/2010年10月9日(土) at 埼玉・県営熊谷ラグビー場】

NECグリーンロケッツは、過去のトップリーグのリコーブラックラムズとの対戦の中、昨年のリーグ戦で初めて黒星をつけられた。NECがその雪辱を果たすのか。リコーが昨年に続きNECを撃破するのか。前節まで勝点11で7位のリコーを3点差9位で追うNECが雨の降りしきる熊谷で死闘を繰り広げた。

試合は開始直後よりNECがアグレッシブにリコーを攻めたてた。
前半5分、NECは相手ペナルティで得たチャンスに、タッチキックで敵陣ゴール前まで進め、ラインアウトからモールでリコーFWを押し切り、最後はFLニリ・ラトゥがインゴールにボールを押さえた。
その3分後には、自陣より相手パスをカットして左オープンにカウンター攻撃を仕掛け、最後は今季からFBに転向した窪田が、左ライン際を快足を飛ばしトライを奪った。
NECはその後も、自陣では無理せずに確実にキックで前進し、FWが安定したラインアウトと一体となった攻撃で主導権を握った。
前半13分にもリコーのペナルティからタッチキックで敵陣に迫り、最初に奪ったトライと同様、FW一体となったモールでゴールラインを超え、またもラトゥがトライを奪った。

これに対し、リコーは前半18分にNECのオブストラクションで得たペナルティを、FB河野が着実に決め3点を返す。
前半は、ここからこう着状態を迎える。
両チーム一進一退の展開となったが、両チームとも雨のためかパスの精度が低くなり、もう一本パスが通れば大きなチャンスとなる場面でのミスもあり、お互い得点に結びつかなかった。
特にリコーは、前半34分にはNECをゴール前に釘付けにし、トライ目前までいきながら、NEC FWのしつこいディフェンスに、ノット・リリース・ザ・ボールを取られ、前半の唯一のビッグチャンスを潰してしまったのが後々響いてくる。
その後リコー陣内まで陣地を取り戻したNECは、リコーのオフサイドにより再度チャンスを得る。
ここも確実に敵陣ゴール前までタッチキックでゲインし、ラインアウトのモールからラトゥが、この日3本目となるトライを奪う。
前半を終えて、NEC 22-3 リコー。
リコーが絶好のチャンスを逃した後のNECのトライは、スコアの上からもリコーの戦意を一気にダウンさせるとも予想できた。

迎えた後半、リコーとNECの立場が一変した。
リコーはSOラーカムが、積極的にラインを大きく動かし、NECのディフェンスを揺さぶりにかかる。
NECも必死のディフェンスで何とかリコーの攻撃を凌いでいくが、果敢なライン攻撃でNECのディフェンスラインがブレイクされる場面が増えてくる。
後半11分には、応援に来てくれた浦和ラグビースクール出身のLO相選手が、密集での一瞬の隙をついて、一気にゴールラインを割り、後輩のスクール生の期待に応えた。
その3分後にもハレ・ティーポネがゴールポスト左にトライ、FB河野が確実にゴールを決め、前半で19点あった点差は一気に5点差まで迫った。
NECは前半安定していたラインアウトの精度が下がり、キック攻撃も相手のカウンターアタックに繋がるなど、後半に入り相手のペースに嵌ってしまった感がある。一方のリコーは、ターンオーバーでチャンスを掴む機会もあったが、あと一本が取れなかった。
最後はリコーのペナルティをタッチに蹴りだし、NECが薄氷の勝利でノーサイドを迎えた。

この試合、キャプテンのラトゥの攻守にわたる激しいプレーがNECを救った。
前節、東芝ブレイブルーパスに惨敗したことで、「自分がチームをリードしなければ…先週出せなかった事を出せるように先頭で引っ張っていかなければと思った」という言葉どおり、厳しい時間帯でも攻守に激しいプレーで、チームを奮い立たせたのは事実だった。
NECは計4トライを奪い、ボーナスポイントを取れた事は収穫だったが、後半1点も取れなかった事は、今季共通した課題であり、後半の得点力を上げられるかが、今後の成績を大きく左右すると思う。
一方リコーは、敗戦ながら勝点1を上げられた事は収穫であった。
モールに対してのディフェンス対策を取り、後半のアグレッシブな戦いを持続させる事ができれば、上位争いに絡んでくるだろう。(辛島 勝広)

会見ダイジェスト
リコーブラックラムズ
山品コーチ(左)、滝澤ゲームキャプテン
山品コーチ(左)、滝澤ゲームキャプテン


◎リコーブラックラムズ
○山品博嗣コーチ
「NECさんが相手とのことで、タイトなゲームとなることは予測していました。それに対しこの結果となってしまったのは、NECさんの強みを最初に出させてしまったことに尽きます」

──ラーカム選手の途中交代については?
「交代で入れたキリキリラウは、ボールを前へ運ぶ力のあるインパクトプレーヤーとして、ゲーム展開からもワンパスのクラッシュで前進を図るプレーが有効と考えました。交代の時間帯としてはベストなタイミングです」

○滝澤佳之ゲームキャプテン
「結果は非常に残念です。FWとして負けてしまったゲームです。自分自身FWの一員として反省点を修正して次のゲームに臨みたいと思います」

──NEC、ニリ・ラトゥ選手について。
「力強いプレーはもちろん、キャプテンとして自ら前に出るプレーでチームを引っ張れる選手と思います。キャプテンとして見習うところが多いです」

NEC 22-17 リコー   NEC 22-17 リコー   NEC 22-17 リコー
NECグリーンロケッツ
岡村ヘッドコーチ(左)、ラトゥ キャプテン
岡村ヘッドコーチ(左)、ラトゥ キャプテン


◎NECグリーンロケッツ
○岡村要ヘッドコーチ
「まずは個人的な感想ですが、今シーズンいちばんドキドキした試合でした。これまでの4試合で前シーズンの良いところ悪いところがあらためて確認できてきましたので、それを基に今日のゲームに臨むことができました。ただ、後半に得点できないという状況は続いてしまっているのでその点の修正は急務かと思います」

──後半、キックの使い方に問題は無かったのか。
「シンプルに同じことを繰り返していくことは良いが、うまくいかなかったのはスキルの問題ですね。何がミスの原因なのかを見極めずにオプションのほうを変えてしまうほうが良くない。今日は我慢比べでもいくべきだったと思います」

──前節の敗戦の反省点は改善できていたか。
「今日はFWの勝利です。先週はパニックに陥るような場面がありましたが、今日は今までやってきたことに信念をもって試合に臨みました。前半はしっかりできたが、後半、個々の役割にやや迷いが出たところはありました」

○ニリ・ラトゥ キャプテン
「素晴らしい前半でしたが、後半にペースが落ちてしまいました。この傾向は続いてしまっているのですが、勝つことができたのは大きな収穫と思います」

──キャプテンとしてチームを引っ張っているという印象でしたが。
「前週、私自身が前へ出るプレーができませんでしたが、今日はFWを前に出すことができたかと思います」

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