トップリーグ2010-2011特集 TOPプレビュー&TOPマッチレポート「今シーズンのトップリーグはここを見よ!
今シーズンより、トップリーグホームページでは、スポーツライターとして活躍中の永田洋光氏と村上晃一氏による毎節の見どころと、両氏およびその他第一線で活躍する豪華執筆陣によるマッチレポートをお届けいたします!

リーグ戦 第7節(10/23 - 10/24)

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試合結果

開催日 Kick Off Host   Visitor 会場
10/23(土) 12:00 サントリーサンゴリアス 72-0 ヤマハ発動機ジュビロ 秩父宮
10/23(土) 12:00 豊田自動織機シャトルズ 13-46 リコーブラックラムズ 近鉄花園
10/23(土) 13:00 三洋電機ワイルドナイツ 65-21 福岡サニックスブルース 太田
10/23(土) 14:00 東芝ブレイブルーパス 33-19 クボタスピアーズ 秩父宮
10/23(土) 14:00 近鉄ライナーズ 21-17 トヨタ自動車ヴェルブリッツ 近鉄花園
10/24(日) 14:00 NTTコミュニケーションズシャイニングアークス 14-30 神戸製鋼コベルコスティーラーズ ユアスタ
10/24(日) 14:00 コカ・コーラウエストレッドスパークス 3-28 NECグリーンロケッツ コカ・ウエスト

マッチレポート

サニックスの挑戦を一蹴。三洋電機が4年連続となる全勝で折り返し

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SOとしては初先発ながら、欠場したブラウンの穴を埋めた三洋・野口。「安定感がある」(飯島監督)プレーぶりで勝利に貢献した
(C)2010,JRFU(photo by Kenji Demura RJP)

10月23、24日に行われた第7節で前半戦を終了したトップリーグ。開幕から唯一白星街道をばく進する三洋電機は、第7節でもサニックスの攻撃力を封じ込めて65-21で圧勝。4年連続となる全勝での折り返しに成功した。
また、それぞれ連勝して前半戦を終えた近鉄、神戸製鋼の関西勢がひとつずつ順位を上げて6位、7位となり、後半戦での上位進出へ望みをつないだ。
トップリーグ後半戦はウィンドウマンス明けの11月27日に再開される。

三洋電機ワイルドナイツ ○65-21● 福岡サニックスブルース(前半39-14)──10月23日

「似たようなラグビースタイル」
三洋電機の飯島均監督もそう認める、共にスペース感覚に秀でたチーム同士の対戦。常にスペースを意識しながらボールを動かし続けるサニックスのアタックが、スペースを埋めるのに長ける三洋電機のDFを崩すことができるか──。
熱戦を望む多くのファンの関心が、"そこ"にあったのは間違いないだろう。結論から言うなら、そんな期待は前半30分過ぎに一瞬だけ膨らんだに過ぎなかった。

すでに序盤で0-25と大きくリードされていたサニックスは自陣15m付近で得たペナルティキックのチャンスから果敢にアタック。2度、3度と攻める方向を変えながらスペースを作った後、FB古賀龍二がタテに抜け出し、フォローしたCTBタファイ・イオアサにラストパスを通して、この日初めて三洋ゴールを陥れることに成功。
直後にも、自陣からのカウンターアタックでLOジェイク・パリンガタイが前に出た後、再びFB古賀→CTBイオアサとつないで、連続トライ。

「相手が日本一のチームということで、選手ひとりひとりが意識過剰になってしまい、いつもよりも自分で何とかしようとし過ぎたかもしれない」(CTB小野晃征)
立ち上がりから不用意なペナルティやミスが多く、前半8分にLO秋田太朗が危険なタックルでシンビン退場を余儀なくされたことも響いて序盤で大きくリードされたサニックスだったが、"らしい"トライを重ねて点差を縮めただけに、試合が一気にもつれ始める予感も漂い始めたのだが‥‥。

控え組が主力と変わらない質の高いプレーを見せた三洋

今季、前節のNEC戦までの6試合で三洋電機が奪われたトライは計6個のみ。1試合平均1個しかトライを取られていない三洋電機にとって、これだけ短時間で連続トライを奪われるのはもちろん今季初のこと。
少しはパニックになっても良さそうなものだが、そこは3年連続でトップリーグファイナルに勝ち上がり、同時に日本選手権V3も続けている常勝集団。
前半最後の4分間で、三洋電機がきっちり2トライを取り返して、39-14でハーフタイムへ。しかも、その2トライともが、サニックスのトライ同様、自陣からの連続攻撃で奪ってみせたものだったことも、いったんは追い上げて再び引き離されたサニックスにとってはダメージが大きかったかもしれない。

「ここ3、4年、どれだけ三洋に対して通じるかチャレンジしたいと言い続けているが、今日に関してはチャンレンジすることなく終わってしまった」(サニックスFL菅藤友主将)
勝敗という意味では、すでに25点差がついていた前半終了時点で決していたと言っていいだろう。
三洋電機は後半開始時点からSH田中史朗、FB田邉淳のジャパン組を来週からの日本代表戦に備えて"休養"させるために、それぞれ高安厚史、サム・ノートンナイトと交替。
さらに、「走り込みで張り切りすぎてヒザを痛めた」(飯島監督)というトニー・ブラウンに代わって、この日、指令塔を務めたのは、SOとしてはこれが初先発となる24歳の野口裕也。
そんなふうに、主力組がいなくなっても全くラグビーの質が落ちないのが、三洋の強み。

「普段、試合に出てない選手がしっかりプレーしてくれたことで、チームがさらにまとまった」
後半はグラウンドの外から試合を眺めることになったSH田中がいうとおり、ハーフタイム以降の三洋は"切り札"WTBカーン・ヘスケスを投入してきたサニックスに全くと言っていいほどペースをつかませず、ボーナスポイントも与えない完勝ぶり。
堅守からの切り返しを身上とする両チームだけに、余計に現在の三洋の充実ぶりが際立つ内容となった。

これで、4年連続で前半戦を無敗で折り返したかっこうの三洋電機。
「開幕から自分たちへのチャレンジを目標に戦ってきて、自分たちのプレーができれば勝てることが実感できた。楽しみながら、勝てたので、充実した前半戦になった」(CTB霜村誠一主将)

ウィンドウマンス開けの11月27日から再開される後半戦でも、攻守に隙なく進化し続ける三洋ラグビーが見られることは間違いなさそうだ。

(text by 出村謙知)

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2トライを奪い、MOMに輝いた三洋WTB山田。「日本代表にも選ばれるように頑張りたい」とカーワンジャパンへのアピールも
(C)2010,JRFU(photo by Kenji Demura RJP)
三洋はセットプレーなどFW戦でも優位に立ち、サニックスを圧倒した(写真は敵ボールのラインアウトを奪うFL劉)
(C)2010,JRFU(photo by Kenji Demura RJP)
後半投入されたサニックスの切り札WTBヘスケスも流れを変えられず。「カーン(ヘスケス)に頼り過ぎた」とFL菅藤主将
(C)2010,JRFU(photo by Kenji Demura RJP)

 

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クボタスピアーズ、東芝に健闘むなしく勝ち点獲得ならず

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クボタのしつこいプレーに苦しみながら、後半3トライを奪い6連勝。2位で前半戦を折り返すことになった東芝(写真はSOヒル)
(C)2010,JRFU(photo by Hiroyuki Nagaoka RJP)

日本代表活動による休止期間(ウィンドウ・マンス)を前に、前半戦の最後となる第7節が行われ、大阪・花園ラグビー場では近鉄ライナーズがトヨタ自動車ヴェルブリッツに21-17と逆転勝ちを収める金星を挙げた。
群馬県太田市では三洋電機ワイルドナイツが福岡サニックスブルースに65-21と快勝して全勝を守り、東京・秩父宮ラグビー場では、東芝ブレイブルーパスが、クボタスピアーズの粘りに苦しみながらも33-19と退けて2位をキープした。
サントリーサンゴリアスもヤマハ発動機ジュビロに72-0と圧勝。勝ち点を26に伸ばして3位に浮上した。

東芝ブレイブルーパス ○33-19● クボタスピアーズ(前半14-13)──10月23日

先週、豊田自動織機シャトルズを38-35と破って今季初勝利を挙げたクボタスピアーズが、現在2位の東芝ブレイブルーパスに挑戦。戦いぶりが注目された。
果たして立ち上がりからクボタが東芝を攻め立てる。
3分、クボタSH李明根がチャンスを大きく広げてFLドゥルー・ヒッキーにつないで先制トライ。SOシェーン・ドゥラームのゴールも決まって7-0と早速パンチをたたき込んだ。

東芝も、10分にクボタのディフェンス・ミスをついてSH藤井淳がトライを返し、SOデイビッド・ヒルのゴールで同点にしたが、攻め込んではハンドリング・エラーや反則を犯す繰り返しで、得意のランニング・ラグビーは不発のまま。
クボタに1PGを加えられた直後の17分にWTB宇薄岳央がトライを挙げて(ゴール成功)14-10と引き離しにかかっても、30分には逆に自陣で反則を犯して1点差に迫られる。
その後も、東芝はラインアウトからモールでトライを取りに行くなど“力勝負"に出たが、ここでもクボタが耐えに耐えて得点を許さず、1点差のまま前半が終了した。

勝負を分けた、シンビンの10分間の使い方

後半、立ち上がりのキックオフを受けた東芝WTB廣瀬俊朗が自陣から一気に抜け出すが、味方プレーヤーがオブストラクションの反則をとられていきなりピンチを招く。
ここでクボタはHO荻原要キャプテンが、「得点を重ねるより、みんなに攻める気持ちを伝えたかった」と、トライを取りに行く。しかし、連続攻撃から最後はドゥラームがインゴールに飛び込んだものの惜しくもノートライ。それでも4分にはPGで逆転。7分に東芝に1トライを奪われ再逆転されても、12分にはまたPGで同点に追いついた。

東芝は11分にFL中居智昭が反則の繰り返しでイエローカードをもらい14人になっていたが、同点に追いつかれて1人少ない逆境にもかかわらず集中力を発揮。クボタ陣内で攻めることに意思を統一し、23分にはピッチに戻ったばかりの中居がトライを奪って勝負を決めた。

敗れたクボタの荻原キャプテンが唇をかんで試合を振り返る。
「最後は自分たちのミスから2トライを奪われて負けた。それが本当に悔しい。トップ4のチームと対戦するといつも小さなミスから崩される。その点をしっかり修正したい」
確かに、個々にはいいプレーが出たクボタだが一方でつまらないミスも出た。対照的に東芝は、ミスが出たときに、全員でカバーしてミスをピンチに広げなかった。
その落差が、東芝との14点差に反映されたように思えるゲームだった。

この試合に先立つ第1試合では、サントリーサンゴリアスが小野澤宏時、長友泰憲の両WTB、PR畠山健介の3人が、いずれもハットトリック(3トライ)を達成。前半23分からは3連続ノーホイッスル・トライを記録するなど、ヤマハ発動機ジュビロからトライを量産した。

(text by 永田洋光)

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得意のドライビングモールでトライを取りきれないなど、東芝はFW戦で圧倒できず思わぬ苦戦。LO大野が突進するが孤立する場面も
(C)2010,JRFU(photo by Hiroyuki Nagaoka RJP)

王者・東芝を追いつめたクボタにとっては、後半戦に向けてポジティブになれる一戦となった(写真はテンポよくFWを前に出した SH李)
(C)2010,JRFU(photo by Hiroyuki Nagaoka RJP)

とうとうサントリーのアタッキングラグビーが炸裂。WTB小野澤の3トライなど計12トライを奪い、ヤマハに圧勝した
(C)2010,JRFU(photo by Hiroyuki Nagaoka RJP)

 

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