トップリーグ2010-2011特集 TOPプレビュー&TOPマッチレポート「今シーズンのトップリーグはここを見よ!
今シーズンより、トップリーグホームページでは、スポーツライターとして活躍中の永田洋光氏と村上晃一氏による毎節の見どころと、両氏およびその他第一線で活躍する豪華執筆陣によるマッチレポートをお届けいたします!

リーグ戦 第8節(11/27 - 11/28)

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試合結果

開催日 Kick Off Host   Visitor 会場
11/27(土) 12:00 リコーブラックラムズ 26-29 トヨタ自動車ヴェルブリッツ 秩父宮
11/27(土) 12:00 ヤマハ発動機ジュビロ 31-30 福岡サニックスブルース 近鉄花園
11/27(土) 13:00 三洋電機ワイルドナイツ 44-6 クボタスピアーズ 太田
11/27(土) 14:00 サントリーサンゴリアス 50-14 NTTコミュニケーションズシャイニングアークス 秩父宮
11/27(土) 14:00 近鉄ライナーズ 25-18 豊田自動織機シャトルズ 近鉄花園
11/28(日) 13:00 NECグリーンロケッツ 6-38 神戸製鋼コベルコスティーラーズ 柏の葉
11/28(日) 14:00 コカ・コーラウエストレッドスパークス 22-82 東芝ブレイブルーパス コカ・ウエスト

マッチレポート

千両役者・大畑のトライで4強チャレンジャーに勝ち残った神戸製鋼

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後半20分に試合の流れを決するトライを奪った大畑。ラストシーンを駆け抜け続ける大スターの勇姿を見逃すな
(C)2010,JRFU(photo by Hiroyuki Nagaoka (RJP))

11月28日、ウィンドウマンス明けの第8節残り2試合が行われ、千葉・柏の葉で行われた注目のNECグリーンロケッツ-神戸製鋼コベルコスティーラーズ戦は、"ラストシーズン"に燃える大畑大介のトライも飛び出した神戸がボーナスポイントも加える快勝(38-6)。神戸は順位をひとつ上げて5位となり、4強入りが現実味を帯びるかっこうに。一方、鹿児島・鴨池では、計12トライを奪う爆発力を見せた東芝ブレイブルーパスが82-22の大差でコカ・コーラウエストレッドスパークスを破り、2位をしっかりキープした。

神戸製鋼コベルコスティーラーズ ○38-6● NECグリーンロケッツ(前半7-6)──11月28日

前半7節を終えて、ともに4勝3敗で6位と8位。
勝てば4位トヨタ自動車との勝ち点差をひと桁台に戻すして4強入りが現実味を帯びてくる一方、負ければプレーオフ進出の可能性は絶望的に──。
そんな"ウイン・オア・ダイ"な状況にファンはヒートアップ。
さらに、"大スター"大畑大介のプレーを見られるのも残りわずかという状況も加わり、柏の葉公園総合競技場で行われたトップリーグの試合としては過去最高の5、315人が集まった。

「NECとはいつも我慢比べになる」
大畑自身がそう予想していたとおり、前半はお互いの堅守の前にお互いが攻め切れない、重苦しい試合展開に。
立ち上がりの一瞬の隙をつくかたちで、神戸製鋼がラインアウトからモールで攻め込んだ後、SOピーター・グラントが相手DFのギャップをついてトライ(ゴール)を奪ったの対して、NECもSOブライス・ロビンスが1PGと1DGを返して7-6。

この日、大観衆の関心を一身に集めていた大畑だが、前半終了間際まではボールタッチがわずか1回。その姿を自らの目に焼き付けておくためにスタジアムに足を運んでいたファンにとっても、フラストレーションを感じざるを得ない40分間だった。

まさかの相手からのキックパスを見逃さず……

結論から言うなら、立ち上がりからの我慢比べを制して、見事な生き残りを果たしたのは神戸製鋼であり、"大スター"その人だった。
後半20分。神戸製鋼にとって、千両役者・大畑にとって、そして、その勇姿を期待して集まったファンにとっての、歓喜の瞬間はやってきた。

自陣深くで、ボールを持ったNECロビンスが何かに魅入られたかのように、逆サイドへの禁断のキックパスを蹴る。いったんはNECのFB窪田幸一郎がキープしたものの、「一瞬、僕に対するパスかなと思った」というポジションにいた大畑がすかさず激しいタックルで潰し、そのこぼれ球を途中出場していた神戸FL橋本大輝がゲット。当然のごとく、ボールはタックルから起き上がった大畑に再び回り、独特の殺気さえ感じさせる瞬間的な身のこなしで相手DFを置き去りにしたスターWTB(この日はCTBとしての出場だったが)はNECゴールに飛び込んだ。

後半12分にグラントがこの日2本目となるトライを記録していた神戸製鋼のリードは、この千両役者のトライで13点差に(19-6)。
まだ2トライ2ゴールでひっくり返せる得点差だったとはいえ、NEC岡村要ヘッドコーチをして「今までやってきてないことをやってしまい、あのプレーで全員が落胆した」という、信じられないような相手キックパスからのトライだったため、現実的にはここで勝敗は完全に決したと言ってよかった。
実際、神戸はこの後、大畑自身が「僕のトライよりも大きかった」と評価した後半23分のCTBフレイザー・アンダーソンのインターセプトからのトライなど3トライを重ねて、前半の流れからは想像できなかった38-6という大差で、4強への挑戦権を維持。

前半、NECに攻め込まれる時間帯でしっかり守り切ったこと、1ヵ月のブレークを経て再びSOに起用されたグラントが「早いテンポのラグビーにも慣れてきたし、回りとのコミュニケーションもよく取れるようになってきた」と本人が語るとおりのパフォーマンスをみせた点も含め、神戸にとっては後半戦での快進撃を予感させるリスタートとなった。

(text by 出村謙知)

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開幕から3ヵ月を経てチームに慣れてきた神戸SOグラントはひとりで2トライ4ゴールを記録。マン・オブ・ザ・マッチに選ばれた
(C)2010,JRFU(photo by Hiroyuki Nagaoka (RJP))
しっかりしたセットプレー、迫力あるモールなど、FW戦で互角以上に戦ったことも神戸の勝因のひとつ
(C)2010,JRFU(photo by Hiroyuki Nagaoka (RJP))
前半1PG、1DGを決めたNECのSOロビンスだったが、自陣深くでの不用意なキックパスが命取りに
(C)2010,JRFU(photo by Hiroyuki Nagaoka (RJP))

 

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攻め合いを制したトヨタ、4トライでの勝利で4強をキープ

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激しい攻め合いとなった一戦はトヨタが競り勝ち、2敗をキープしたまま次節の東芝戦を迎えることに(写真はトヨタSOアイイとリコーCTB金澤)
(C)2010,JRFU(photo by Kenji Demura RJP)

ウィンドウマンス明けの第8節は27日に5試合が行われ、群馬県太田市運動公園陸上競技場では首位の三洋電機ワイルドナイツがクボタスピアーズから8トライを奪って44-6と快勝。勝ち点を38に伸ばした。 番狂わせが起きたのは、大阪・近鉄花園ラグビー場。第1試合で、前半節を終えて12位と苦しんでいたヤマハ発動機ジュビロが、7位の福岡サニックスブルースを大接戦の末に31-30と破り勝ち点5をゲット。暫定順位ながら10位に浮上した。もう1試合は近鉄ライナーズが豊田自動織機シャトルズを25-18と破った。 東京・秩父宮ラグビー場では、トヨタ自動車ヴェルブリッツがリコーブラックラムズの激しいプレッシャーに苦しみながらも29-26と逆転勝ち。第2試合ではサントリーサンゴリアスがNTTコミュニケーションズシャイニングアークスに50-14と快勝した。

トヨタ自動車ヴェルブリッツ ○29-26● リコーブラックラムズ(前半14-6)──11月27日

立ち上がりは笛の少ないゲームだった。
といっても、ミスや反則がなかったわけではない。両チームとも積極的にボールを動かして攻めたため、ノックオンは通常の試合の立ち上がりよりもむしろ多かった。
違ったのは、相手のハンドリング・エラーに対する反応だ。
リコーはトヨタのノックオンからボールを奪うと迷わず攻めた。
トヨタも、リコーがタッチに蹴り出したボールを迷わずクイックで投入して攻撃を仕掛ける。
両チームの"攻め合い"は、まさに意地の張り合いそのものだった。

先制したのはトヨタ。
12分にSOオレニ・アイイがリコー防御のギャップをついてゴールラインに迫り、CTBスティーブン・イェーツがWTB水野弘貴にラストパス(アイイのゴール成功)。
17分にはFWがモールを組んでトライラインを陥れ(ゴール成功)、14-0とリードを広げた。
しかし、「フィットネスで上回っていると確信していた」(トッド・ローデンHC)リコーは、23分にトヨタのカウンター・アタックを倒して反則を誘うと、迷わずPKを仕掛けて大きく前進。PGを決めて3点を返す。32分にもPGを追加して8点差でハーフタイムを迎えた。

PGかラインアウトかスクラムか。勝負を分けた決断

後半、リコーはFBタマティ・エリソンがターンオーバーからトヨタ陣へキックを蹴り込み、自ら果敢なセービングでボールを確保して連続攻撃に結びつけ、最後はCTB金澤良がトライを奪って(SO河野好光ゴール成功)1点差に迫る。時間はまだ5分を経過したばかり。
トヨタも14分にトライを返したが、ともに1PGずつ加えた22分には途中出場のリコーWTBロイ・キニキニラウがトライを追加。河野のゴールでついに23-22と逆転した。

勝負の分かれ目は30分過ぎにやってきた。
リコーに1PGを加えられて4点のビハインドとなったトヨタは、リコー陣ゴール正面でPKを得た。距離は20メートル。PGで1点差に迫るべくアイイが進み出る。
が、中山義孝キャプテンが下した決断は、スクラム選択だった。
「狙えとか、ラインアウトにしようとか、いろいろな声があったけど、狙うつもりはなかった。前半にラインアウトからの攻撃をやっていたので、目先を変える意味でスクラムにした」(中山主将)
トヨタは、一度左を攻めてから右に展開。最後はイェーツがインゴールに飛び込んで逆転した。
粘るリコーもエリソンのブレイクからチャンスを作ったが、最後のアタックでノックオン。トヨタの執念に渾身のチャレンジを跳ね返された。
「今日は80分間大胆に攻め続けたことが収穫。ミスや反則も多かったが、それをきちんと修正して来週の東芝ブレイブルーパス戦に臨みたい」と、トヨタの朽木泰博監督。
次節は、地元・名古屋での大一番が待っている。

第2試合ではサントリーがNTTコムを圧倒。今季大活躍のルーキーSH日和佐篤やアジア大会で"金メダル・トライ"を挙げたWTB長友泰憲を休ませながら7トライをたたみかけ、竹本隼太郎キャプテンも「自分たちのラグビーがモノになってきた」と顔をほころばせた。

(text by 永田洋光)

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守りではミスもあったが、激しいプレーと冷静な判断でチームを勝利に導いたヴェルブリッツFL中山主将
(C)2010,JRFU(photo by Kenji Demura RJP)
後半22分、CTBキニキニラウのトライ(写真)などでいったんは逆転に成功したリコーだったが、あと一歩のところで金星ならず
(C)2010,JRFU(photo by Kenji Demura RJP)
サントリー-NTTコム戦はサンゴリアスの攻撃的ラグビーが炸裂。7トライを挙げて快勝した(写真はサントリーPR畠山とNTTコムFL小林)
(C)2010,JRFU(photo by Kenji Demura RJP)

 

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