トップリーグ2012-2013特集 TOPプレビュー & TOPレビュー

こちらでは次節の各試合の見どころ、そして試合結果のサマリーと全体のレビューを、トップリーグ観戦をより楽しく、より興味深いものにしていただけるよう、毎週掲載していきます。

リーグ戦 第13節(1/6)

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試合結果

開催日 Kick Off Host   Visitor 会場
1/6(日) 12:00 リコーブラックラムズ 21-46 ヤマハ発動機ジュビロ 秩父宮
1/6(日) 12:00 パナソニック ワイルドナイツ 44-14 キヤノンイーグルス 西京極
1/6(日) 12:00 福岡サニックスブルース 36-55 NECグリーンロケッツ レベスタ
1/6(日) 13:00 神戸製鋼コベルコスティーラーズ 29-43 サントリーサンゴリアス ホームズ
1/6(日) 14:00 東芝ブレイブルーパス 50-30 近鉄ライナーズ 秩父宮
1/6(日) 14:00 トヨタ自動車ヴェルブリッツ 31-24 NTTドコモレッドハリケーンズ 西京極
1/6(日) 14:00 九州電力キューデンヴォルテクス 27-28 NTTコミュニケーションズシャイニングアークス レベスタ

レビュー

セミファイナル前哨戦はサントリーが神戸製鋼に完勝
もう一方のセミファイナルカードは東芝 - パナソニックに

 
 

王者サントリーはWTB小野澤の3トライなど前半だけで勝負を決めた
photo by Kenji Demura (RJP)

マンオブザマッチに輝いたFLスミスを中心にブレイクダウンの攻防でもサントリーは神戸製鋼を圧倒
photo by Kenji Demura (RJP)

突破をはかる神戸製鋼HO松原。2週間後の再戦ではFWでプレッシャーをかけられるか
photo by Kenji Demura (RJP)

 8月31日の開幕戦から13節に渡って熱い戦いを繰り広げてきたレギュラーシーズンが終了した。
6日、最終13節7試合が行われ、リーグ戦最終順位が確定。
戦いの舞台はポストレギュラーシーズンのプレーオフトーナメント(1 - 4位)、ワイルドカードトーナメント(5 - 10位)、入替戦(13 - 14位)にそれぞれ移行することになる。

 最終節の最注目カードとなったのは兵庫・ホームズスタジアム神戸で行われた神戸製鋼コベルコスティーラーズとサントリーサンゴリアスの一戦。
すでに両チームともプレーオフ進出を確定させていたが、王者サントリーのリーグ戦1位通過が揺るぎないものになっていた一方で、神戸製鋼がセミファイナルでのホームアドバンテージが与えられる2位をキープするためには、王者から少なくとも勝ち点2(引き分けか、4トライ以上での7点差以内の敗戦)を奪うことが必要だった。
 逆に、神戸製鋼が勝ち点2を取れなかった場合———かなりの確率で神戸が東芝ブレイブルーパスとパナソニック ワイルドナイツに抜かれて4位に沈み、2週間後のセミファイナルでサントリーと再戦することになる。

 そんなふうに、プレーオフを見据えて非常に意味の大きな一戦。立ち上がりから王者サントリーの一方的なペースで試合は進んだ。

 開始4分に敵陣深くのスクラムから、サントリーがいつものように連続アタック。最後はラックからSO小野晃征が飛び込んで、あっさり先制。
 挑戦者である神戸製鋼としては、ジャパン組も多い強力FW陣がまずはセットプレーでプレッシャーをかけて、サントリーのリズムをつくらせない戦いに持ち込みたかったところだが、このファーストトライでもあっさりとスクラムからのアタックを許したとおり、「あまり効果的なセットプレーにはならなかった」(LO伊藤鐘史ゲームキャプテン)。
 加えて、接点で食い込まれたことが響いて、密集での反則が多くなり、前半16分には早くも伊藤ゲームキャプテン自身が反則の繰り返しによるシンビン退場。
 これで、試合の流れは完全に決まってしまう。

 17分、25分、36分と、いずれも連続攻撃から、最後は外側のスペースをうまく使い、エースWTB小野澤宏時が相手ディフェンスを手玉に取るように抜き去って3連続トライ。
 神戸製鋼も、前半最後のプレーとなった相手陣のPKでスクラムを選択し、インゴールへの高いキックパスをCTBフレイザー・アンダーソンが約20cmの身長差を生かして競り勝って、一矢を報いた。
 何とか点差を21(28-8)に縮めてハーフタイムを迎えたものの、神戸製鋼としては王者との力の差を見せつけられるかたちの40分間となってしまった。
「前半、ファーストタックラーがファイトできずに、ブレイクダウンで食い込まれてしまったのが全て」(苑田右二ヘッドコーチ)

 それでも、後半は神戸製鋼がセットプレーやブレイクダウンで互角以上に戦える時間が多くなり、前半で退いていたNO8マパカイトロ パスカに替わってペネトレーター役を務めることが多くなっていたFLジョシュ・ブラッキーが2トライ。途中出場のNO8鈴木敬弘が1トライを挙げて計4トライのボーナスポイントは獲得。
 ただし、「後半はブレイクダウンでスローダウンさせることができるようになった」(WTB大橋由和)というものの、完全にサントリーの勢いある連続攻撃を止めるには至らず、2トライを献上。
 神戸製鋼はもう1点のボーナスポイントを得られる7点差以内の敗戦にはあと1トライ/1ゴール足りない14点差で、王者の前に屈するかたちとなった。

昇格争いはコカ・コーラウエスト、豊田自動織機が1歩前進

 神戸製鋼が最終節で加えた勝ち点が1にとどまったことで、リーグ戦最終順位で神戸を上回る可能性が出てきた東芝とパナソニックは共に4トライ以上を奪って大勝(東芝50-30近鉄ライナーズ、パナソニック44-14キヤノンイーグルス)。
 この結果、リーグ戦最終成績は1位サントリー、2位東芝、3位パナソニック、4位神戸製鋼となり、2週間後に予定されているプレーオフTセミファイナルは、サントリー-神戸製鋼(19日、東京・秩父宮ラグビー場)、東芝-パナソニック(20日、同)の組み合わせで行われることになった。

 一方、日本選手権出場権をかけるワイルドカードTの組み合わせも決まった。
 前節までに6位以内を確定させていたトヨタ自動車ヴェルブリッツはNTTドコモレッドハリケーンズに31-24で競り勝って5位。6位にはリコーブラックラムズから7トライを奪ったヤマハ発動機が入り、両チームはワイルドカード2回戦からの登場が確定。
 昨季ベスト4のNECは福岡サニックスブルースとのトライの取り合いを55-36で制して8位。NTTコミュニケーションズシャイニングアークスは終了間際の劇的なトライ&ゴールで九州電力キューデンヴォルテクスに逆転勝ちして9位となった。

 ワイルドカードT1回戦は20日、大阪・近鉄花園ラグビー場においてNEC-NTTコム、近鉄-リコーのカードで行われる。

 また、入替戦に進む2チームは共に勝ち点1ずつを獲得し、13位=NTTドコモ、14位=福岡サニックスの順位で残留をかけた戦いに臨むことになった(NTTドコモは2月9日に大阪・近鉄花園ラグビー場でトップチャレンジ1 4位と、福岡サニックスは2月3日に福岡・レベルファイブスタジアムで同3位とそれぞれ対戦する)。

 今季の昇格組、キヤノンと九州電力はそれぞれ11位、12位で来季の残留を決めている。

 尚、5日には来季の昇格チームを決めるトップチャレンジ1第1節2試合が東京・秩父宮ラグビー場で行われ、豊田自動織機シャトルズが三菱重工相模原ダイナボアーズに26-16で、コカ・コーラウエストレッドスパークスがクボタスピアーズに37-31で勝利を収めた。
 トップチャレンジ1第2節は12日に大阪・近鉄花園ラグビー場で、同第3節は20日に福岡・レベルファイブスタジアムで行われる予定になっている。

(text by Kenji Demura)

22点差をひっくり返す大逆転劇勝利のコカ・コーラウエストがTL昇格に大きな勝ち点5を獲得した
photo by Kenji Demura (RJP)

 

痛い敗戦を喫したクボタは第2節以降で立て直せるか(写真はSO立川理)
photo by Kenji Demura (RJP)

三菱重工相模原に競り勝った豊田自動織機は第2節でクボタと対戦する
photo by Kenji Demura (RJP)

 

速報サマリー

[1月6日]リーグ戦終了。セミファイナルはサントリー-神戸製鋼、東芝-パナソニック

最終節7試合が行われ、レギュラーシーズン最終順位およびプレ—オフトーナメント セミファイナル、ワイルドカードトーナメント1回戦の組み合わせが確定した。

兵庫・ホームズスタジアム神戸では、すでにレギュラーシーズン1位でのプレーオフ進出を決めていたサントリーサンゴリアスが前半だけで4トライを奪う猛攻ぶり。後半、神戸製鋼コベルコスティーラーズも追い上げたものの、サントリーが43-29で快勝。13戦全勝でリーグ戦を乗り切るとともに、総勝ち点はトップリーグ最多タイ記録である63となり、前年覇者として堂々たる成績でV2のかかるプレーオフに臨むことになった。

前節まで2位につけていた神戸製鋼は4トライによる勝ち点1を加えたものの、同3位の東芝ブレイブルーパスと同4位のパナソニック ワイルドナイツが揃って勝ち点5を記録したため(東芝50-30近鉄ライナーズ、パナソニック44-14キヤノンイーグルス)、最終成績で両チームに抜かれて4位となり、プレーオフセミファイナルではサントリーと再戦することが決まった。
もう一方のセミファイナルは2年連続での対戦となる東芝-パナソニックの顔合わせに。

ワイルドカード争いは、すでに6位以上を決めていたトヨタ自動車ヴェルブリッツがNTTドコモレッドハリケーンズを31-24で破って5位を確定させ、リコーブラックラムズに46-21で大勝したヤマハ発動機ジュビロが6位となった。両チームは同トーナメント2回戦からの出場となる。

7位には東芝に敗れた近鉄、8位には福岡サニックスブルースから9トライを奪ったNECグリーンロケッツ、9位には劇的な逆転勝ちで九州電力キューデンヴォルテクスを破ったNTTコミュニケーションズシャイニングアークスが入り、ヤマハ発動機に敗れたリコーは10位に。

プレーオフTセミファイナルおよびワイルドカードT1回戦の日程は以下のとおり。

<セミファイナル>
1月19日 サントリー - 神戸製鋼(東京・秩父宮)
1月20日 東芝 - パナソニック(東京・秩父宮)

<ワイルドカードT1回戦>
1月20日 NEC - NTTコム、近鉄 - リコー(大阪・近鉄花園)

(text by Kenji Demura)

WTB小野澤のハットトリックなど計6トライを奪ったサントリーがSF前哨戦となった神戸製鋼戦に快勝
photo by Kenji Demura (RJP)

●特別編
[1月5日]トップチャンレンジ1 第1節 豊田自動織機、コカ・コーラウエストが先勝

来季のトップリーグへの昇格を賭けた「トップチャレンジ1」第1節3試合が東京・秩父宮ラグビー場で行われ、豊田自動織機シャトルズ(トップウェストA1位)とコカ・コーラウエストレッドスパークス(トップキュウシュウA1位)が、共に苦しみながら勝利を収め、幸先いいスタートを切った。

第1試合で三菱重工相模原ダイナボアーズ(トップチャレンジ2 1位)と対戦した豊田自動織機は立ち上がりから相手の厳しいDFの前にミスを連発。前半14分には三菱重工相模原FL李眩羽にトライを許すなど、10-13とリードされて後半を迎える苦しい展開となった。
「最悪の出来。それでもハーフタイムでは3点のビハインドだけだったので、選手たちには後半ボールキープできればうまくいくと話した」
後半は田村誠監督の指示どおりに、豊田自動織機がボールキープする時間が増え、23分には途中出場のWTB朝見力弥が左サイドを突破してトライを奪い逆転。終盤、SOマーク・ジェラードが冷静にDGとPGを重ねて、26-16で三菱重工相模原を振り切った。

第2試合は立ち上がりから接点で優位に立ったクボタスピアーズ(トップイーストDiv.1 1位)が前半28分までに3トライを重ねて22-0と大きくリード。ところが前半36分、後半29分と2度のシンビン退場者が出るなど、時間の経過と共にクボタ側に密集での反則が多くなり、試合は次第にコカ・コーラウエストペースに。
前半の3トライの後、SO立川理道の3本のPGでしか加点できなかったクボタに対して、コカ・コーラウエストは前半37分のWTB築城昌拓の追撃トライを皮切りに計4トライを重ね、37-31で鮮やかな大逆転勝ち。
試合後、コカ・コーラウエストの山口智史ヘッドコーチは「やりたいことができなかった。勝ったことだけが収穫」と渋い表情だったが、苦しみながらも、念願のトップリーグ復帰へ大きく前進するかっこうとなった。

4チームの総当たり戦で行われているトップチャレンジ1は12日に第2節、20日に第3節が行われる予定となっており、上位2チームが来季のトップリーグへの自動昇格権を獲得。下位2チームはトップリーグ組(NTTドコモレッドハリケーンズ、福岡サニックスブルース)との入替戦に回ることになる。

(text by Kenji Demura)

ひとりで16得点を挙げたSOジェラードの活躍もあって、豊田自動織機が三菱重工相模原を振り切り勝ち点4を獲得
photo by Kenji Demura (RJP)

後半2分の途中出場CTB福田のトライなどで大逆転勝利を収めたコカ・コーラウエスト。1年でのTL復帰なるか
photo by Kenji Demura (RJP)

 

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