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| 1/19(土) | 14:00 | サントリーサンゴリアス | 38-19 | 神戸製鋼コベルコスティーラーズ | 秩父宮 | 
| 1/20(日) | 14:00 | パナソニック ワイルドナイツ | 8-20 | 東芝ブレイブルーパス | 秩父宮 | 

セミファイナル[2]
        ブレない力強さ貫き、東芝が3年ぶりの頂点獲りへ
        パナソニックはチャンスに仕留めきれず4強止まり
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| 後半29分のSH吉田朋のトライで逆転した東芝が3年ぶりのファイナル進出を決めた | |
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| セット、ブレイクダウン、DF。シンプルに力強さを前面に出した東芝がパナソニックにリベンジ | |
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| 東芝DFの圧力を受けながら突破をはかるHO堀江。パナソニックは6年連続ファイナル進出ならず | 
 昨季のセミファイナルの再現となったパナソニック ワイルドナイツ - 東芝ブレイブルーパス戦。
         この6年間で5度目のプレーオフでの対戦となるライバル同士の一戦は、北から南、具体的にはバックスタンドに向かって左から右に強い風が吹いた東京・秩父宮ラグビー場で行われた。
         トスの結果、サイドを選ぶ権利を得た東芝はあえて前半、風下で戦うことを選択。
         当然、東芝サイドとしては、この時点で前半はテリトリー的には苦しい状況が続くことに関しては想定済みだったはずだが、ボール保持率でも後手に回り続けるという、これに関しては想定外と言ってよかった展開になる。
        「前半、あそこまでアタックボールが少ないとはイメージしていなかった」と、東芝・和田賢一監督が言えば、パナソニックの中嶋則文監督も「アタックに関してはゲームプランどおりできた」。
         それでも、ハーフタイム時点でのスコアは3-3。
         圧倒的にボールキープを続けながら攻めたパナソニックに対して、東芝が守り切った。思い切り単純化するなら、それが最初の40分間だった。
        
         当然、サイドが入れ替わった後半は前半の裏返しのように、東芝がテリトリーで優位に立つようになることも予想されたが、試合はそれほど単純には進まなかった。
         後半立ち上がりの時間帯も、多くのチャンスを作ったのはパナソニック。
         6分には、SOマイク・デラーニのラインブレークからCTB霜村誠一主将→FB笹倉康誉とつないでトライラインを越えるが、グラウンディングできずノートライ。
         それでも11分には、「後半、風下になっても(東芝FB立川)剛士が上がってくるので、裏にキックしていこうという話はしていた」(霜村主将)という意図どおりに、パナソニックWTB山田章仁が相手陣深くに蹴り込んだ好キック。東芝SOデイビッド・ヒルが処理にもたついたところを、FB笹倉が押さえてパナソニックがリードした(SOデラーニのゴール失敗で8-3)。
         立ち上がりから攻め続けたパナソニックがようやくトライを奪って、勝利に近づいたかに思われたが、皮肉なことにこれ以降はほぼ一方的な東芝ペースのまま試合は推移していくことになる。
NEC、近鉄がワイルドカードトーナメント2回戦へ
        コカ・コーラウエスト、クボタのTL復帰決定
「前半からディフェンスに関しては安心して見ていられたので、トライを取られたあたりからは、ブレイクダウンがこちらの意図どおりに動き出していたし、アタックしたいと思い、ペネトレーターを多くしようと考えた」(和田監督)
         そんな東芝ベンチの積極的な選手起用がことごとく当たることになる。
 11分、FLスティーブン・ベイツ→マイケル・リーチ
         15分、SH藤井淳→吉田朋生
         21分、PR久保知大→三上正貴
 ミスも多かったが、ボールキャリー能力ならチーム1、2のリーチが入ったことで、東芝FW全体に前に出る意識が高まったのは間違いなかっただろう。
         そして、吉田、三上の2人に関しては、実際に試合の流れを決定づけるビッグプレーをしてみせた。
 三上は入ってすぐのスクラムで敵陣深くの相手ボールのスクラムでプレッシャーをかけてターンオーバー。その後のPGをSOヒルが外して、直接得点には結びつかなかったものの、「チームに勢いを与えられた」のは間違いなかった。
         そして、実際に、勝敗を決めたのは和田監督が「9人目のFWとしての働きを期待した」という吉田だった。
         29分にFWがモールで相手ゴールに迫った後、「流れのまま、空いているのが見えた」という相手ディフェンスギャップをついて、悪いグラウンドに足を取られながらもトライラインを越えてグラウンディングに成功。
         この吉田のトライで11-8と逆転した東芝は終了間際にも、長いボールキープの後にWTB伊藤真がダメ押しトライ決めて20-8で昨季のリベンジを果たして決勝進出を決めた。
         前半、多くの時間をパナソニックに攻められながらも全くと言っていいほど破綻することのなかったディフェンス力、終始圧倒したセットプレー、ブレイクダウンでの力強さ。
         80分間どの時間帯を取ってもブレない東芝の力強さが印象に残る、因縁の相手同士のセミファイナルだった。
 尚、同日に大阪・近鉄花園ラグビー場で行われたワイルドカードトーナメント1回戦では、NECグリーンロケッツがNTTコミュニケーションズシャイニングアークスに38-14、近鉄ライナーズがリコーブラックラムズに43-21でそれぞれ快勝。
         2回戦では日本選手権出場を賭けて、NECがトヨタ自動車ヴェルブリッツと、近鉄がヤマハ発動機ジュビロと対戦する(26日、大阪・近鉄花園)。
 また、福岡レベルファイブスタジアムで行われたトップチャレンジ1最終節では、コカ・コーラウエストレッドスパークスとクボタスピアーズが勝利。両チームが来季のトップリーグへの自動昇格を決める一方、豊田自動織機シャトルズと三菱重工相模原ダイナボアーズは入替戦でのトップリーグ昇格を目指すことになった。
         入替戦は福岡サニックスブルース対豊田自動織機(2月3日、福岡・レベルファイブ)、NTTドコモレッドハリケーンズ対三菱重工相模原(同9日、大阪・近鉄花園)の組み合わせで行われる。
(text by Kenji Demura)
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| 前半12分のWTBナドロを皮切りに計5トライを奪ったNECがNTTコムを退け、ワイルドカード2回戦へ | WC1回戦でリコーに快勝した近鉄は2回戦ではヤマハ発動機と対戦する | 
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| コカ・コーラウエストの1年でのTL復帰が決定 | 苦しみながらもクボタも来季は3シーズンぶりのTLでの戦いとなる | 

セミファイナル[1]
        後半攻撃ラグビー取り戻し、サントリーV2に王手
        神戸製鋼は好守で健闘も、後半息切れ
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| 前半18分のLO安井のトライなどで優勢に試合を進めた神戸製鋼だったが、後半は失速 | |
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| LO安井のトライをアシストするなど見せ場をつくったCTBフーリーが後半早々に退いたのも神戸製鋼には痛かった | |
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| タックルを受けながら前進するサントリーLO真壁主将。後半は自分たちのアタックを取り戻した | 
 レギュラーシーズン最終節で戦った同士の再戦となったサントリーサンゴリアス-神戸製鋼コベルコスティーラーズ戦。
         2週間前の対戦時には「ファーストタックラーがファイトできずに、ブレイクダウンで食い込まれてしまった」(苑田右二ヘッドコーチ)ことで前半だけで4トライを献上した神戸製鋼にとって、限られた時間で修正すべき点は明らかだった。
        「この2週間、DFの練習ばかりやってきた」(LO安井龍太)
         とにかく、守りで前に出てサントリーのアタックを分断していく──。
        「リーグ戦の最終節とはシステムも変えたし、ノンメンバーに仮想サントリーのアタックをしてもらったりもした」(苑田へッドコーチ)という神戸製鋼のアグレッシブなDFは間違いなく機能した。
         それは、次の事実が如実に物語ってもいるだろう。
 前半33分、王者サントリーは早くも先発のSHフーリー・デュプレア、SO小野晃征のハーフ団に替えて、SH日和佐篤、SOトゥシ・ピシを投入。
         もちろん、サントリーとしては想定していた選手交替ではなかったはずだ。
        「ゲームのテンポがサントリーのものではなかったので、ゲームのテンポを上げるために替えた」(大久保直弥監督)
         その時点でスコアは19-6で神戸製鋼が13点リード。
         CTBニコラス ライアンのPGでサントリーが先制したものの、前半18分にLO安井、27分にNO8前川鐘平、32分にWTB大橋由和と、3連続トライで神戸製鋼が逆転していた。
         しかも、前川はサントリーSO小野にプレッシャーをかけてのキックチャージから。大橋のトライもターンオーバーから敵陣深くに蹴り込んだ後、相手DFにプレッシャーをかけて奪ったもの。
         いずれもDFで前に出ていたからこそ生まれたトライで、神戸製鋼が2週間前の完敗を経て、狙い通りの試合展開に持ち込んでいたことは間違いなかった。
「神戸がラッシュDFしてくるのは予想していたが、まったく自分たちのラグビーができずにパニックに陥っていた」
         試合後、大久保監督がそう振り返ったとおり、ここまでは全く王者らしくない戦いぶりに終始していたサントリーだったが、とびきり早いハーフ団の交替がピッチ上の選手たちへのメッセージにもなって、次第にペースを取り戻していく。
         その意味では、「こちらも必死だったので、よく覚えていない部分もある」(同監督)というものの、結果的に王者の窮地を救うベンチワークではあった。
「入った時に意識したのはコミュニケーション。15点以上離されていたら厳しかったかもしれないですけど、(2トライ2ゴールでひっくり返る)13点差だったので、自分たちのシェイプをつくっていければ大丈夫だと思っていた」(SH日和佐)
         あるいは、ギリギリのタイミングとも言えたハーフ団の交替によって、落ち着きを取り戻したサントリーが前半終了間際に1PGを返し、神戸製鋼の10点リードでハーフタイムを迎えることになった。
後半は経験の差でも運動量でも王者が圧倒
 早い時間帯でのハーフ団の交替によって、自分たちのラグビーに戻ることを意識できるようになったサントリー。後半はほぼ完全に試合を支配することに成功する。
        「まずは自分たちの形に帰ろうと。グラウンド状態から言って、どんどんつないでいくプレーは難しいので、ひとりひとりがゴー・フォワードしていくようにした」(LO真壁伸弥主将)
 後半9分には、敵陣深くのPKでスクラムを選択。NO8西川征克のサイドアタックの後、タイミング良く走り込んだPR畠山健介がインゴールに飛び込んで初トライ。
         このあたりから、前半は意図どおりに前に出るDFでプレッシャーをかけてサントリーのアタックを分断していた神戸製鋼の運動量がめっきり落ち、単純なタックルミスなども多く目につくようになる。
         17分には、「自分たちのアタックを取り戻すために、気をつけたのはテンポを上げること」というSOピシが相手タックルを次々にかわしてトライラインを越えて逆転。
         さらに20分にも、再びピシが神戸製鋼DFを翻弄して前に出た後、最後はWTB村田大志が神戸製鋼ゴールを陥れた。
 プレーオフでも試合ごとのマン・オブ・ザ・マッチ表彰があれば間違いなく選考されていただろうピシが30分にDG、終了間際にもダメ押しすぎるトライを右隅に決めて、最終的なスコアは38-19に。
        「これぞファイナルという試合。この2年間の経験が生きた」(大久保監督)
         厳しい状況に追い込まれても、自分たちのアタッキングラグビーを取り戻せば最終的には勝者になれる──。
         後半は王者が王者たる所以を見せるかたちで、ダブルスコアにまで点差を広げて、神戸製鋼の挑戦を退けた。
(text by Kenji Demura)
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| 後半9分に貴重な追撃トライを奪ったサントリーPR畠山は「経験の差が出た」 | 後半38分、ダメ押しトライを奪うSOピシ。後半、圧倒したサントリーがファイナルに進出 |