●セカンドステージ第1節プレビュー

５週間チームを離れていた代表選手の状態も影響？
東京、名古屋、大阪、福岡でセカンドステージ開幕

	欧州遠征グルジア戦で日本代表初キャップを獲得したPR垣永。サントリーでも出番は増えるか photo by Kenji Demura (RJP)
	この秋は日本代表に参加しなかったパナソニックHO堀江主将。連覇へのキーマンであることは間違いないところ photo by Kenji Demura (RJP)
	新人とは思えないプレーぶりでファーストステージ全試合出場を果たしたWTB山下楽。思い切りのいい走りで神戸製鋼躍進の鍵を握る？ photo by Kenji Demura (RJP)
	日本代表組の多い東芝FW陣。同じようにジャパン勢の多い神戸製鋼に対してセットプレーで優位に立ちたいところだ photo by Kenji Demura (RJP)

11月28日、６週間ぶりにジャパンラグビー トップリーグ 2014-2015が再開される。
10月19日まで行われたファーストステージの成績によって８チームずつグループA、グループBに分かれて戦われることになるセカンドステージは11月最終週から年明けの１月11日まで７週連続で熱戦が繰り広げられることになる。

セカンドステージのグループA、グループBのチーム分けは以下のとおり。

＜グループA＞
神戸製鋼コベルコスティーラーズ（４）
パナソニック ワイルドナイツ（４）
サントリーサンゴリアス（３）
東芝ブレイブルーパス（３）
キヤノンイーグルス（２）
ヤマハ発動機ジュビロ（２）
NTTコミュニケーションズシャイニグアークス（１）
トヨタ自動車ヴェルブリッツ（１）

＜グループB＞
近鉄ライナーズ（４）
クボタスピアーズ（４）
NECグリーンロケッツ（３）
リコーブラックラムズ（３）
コカ・コーラレッドスパークス（２）
豊田自動織機シャトルズ（２）
NTTドコモレッドハリケーンンズ（１）
宗像サニックスブルース（１）

（　）内はファーストステージ成績によるボーナスポイント（勝ち点）

公式戦という意味では５週間試合のなかった各チーム。
チームを再構築する十分な時間があったとも言え、「いったんしっかりスイッチを切ってセカンドステージに臨む」（宗像サニックスブルース藤井雄一郎部長兼監督）というようなかたちで、新シーズンのスタートに近い感覚でいるチームも少なくないかもしれない。
もちろん、セカンドステージも計７節しかないだけにスタートダッシュに成功するかどうかも重要なポイントとなるのも間違いないところ。

周知のとおり、トップリーグ５週間の中断は日本代表の活動を優先するための処置だったわけだが、当然ながら日本代表選手たちはその間所属チームを離れていた。
セカンドステージ開始3日前に欧州遠征から戻った日本代表選手たちが久しぶりに戻った各チームでどんなプレーぶりを見せるかも、当然、それぞれの開幕ダッシュに大きな影響を与えることになりそうだ。

ちなみに、欧州遠征に参加した日本代表メンバーのトップリーグ所属チームの内訳は以下のとおり。

○サントリー＝７人（PR垣永真之介、PR畠山健介、LO真壁伸弥、FLツイ ヘンドリック、SH日和佐篤、SO小野晃征、CTB／WTB／FB松島幸太朗）
○東芝＝５人（PR三上正貴、HO湯原祐希、LO大野均、FLリーチ マイケル、SO／WTB廣瀬俊朗）
○神戸製鋼＝４人（PR山下裕史、HO木津武士、LO伊藤鐘史、SO／CTB／FB山中亮平）
○パナソニック＝３人（PR稲垣啓太、SH内田啓介、WTB山田章仁）
○ヤマハ発動機＝３人（SH矢富勇毅、CTBマレ・サウ、FB五郎丸歩）
○キヤノン＝１人（LO宇佐美和彦）
○NTTコム＝１人（NO8アマナキ・レレイ･マフィ）
○近鉄＝１人（LOトンプソン ルーク）
○クボタ＝１人（SO／CTB立川理道）
○NEC＝１人（SO／CTB田村優）
○豊田自動織機＝１人（PR長江有祐）
○宗像サニックス＝１人（WTBカーン・ヘスケス）

もちろん、激しいテストマッチを戦った後だけに、体のダメージやコンディションが万全ではない選手も少なくない。
過去の経験から、直接的なケガはなくとも「時差ボケもあるし、遠征から戻ってすぐの試合は、ふわーっとした感じで入ってしまう」傾向があることを認める代表選手もいる。
ただ、日本代表最多キャップホルダーであるLO大野（東芝）のように「今回は最後に負けたので、その分、チームに戻っても気合いが入った状態で試合ができる気がする」と語る選手もいるだけに、長期に渡って日本代表としてチームを離れていた影響がプラスとなるかマイナスとなるかは個人差がありそうだ。

ちなみに、今季同様、日本代表の欧州遠征終了直後にセカンドステージが始まった昨季（中断期間は４週間）は、多くの日本代表選手を輩出したパナソニック（24-20　対ヤマハ発動機）、サントリー（37-23　対神戸製鋼）、東芝（27-12　対トヨタ自動車）はいずれも厳しい試合をものにして後半戦、好スタートを切っている。
日本代表メンバーをほぼそのまま先発させた東芝、逆にほぼ控えに回したサントリー、その中間だったパナソニックなど、チームによって代表選手の起用方法もまちまちだったが、今年はそれぞれどんなかたちを取るのかにも注目だ。

勝てば日本選手権への道が開け、負ければ
降格危機のグループBの熱き戦いにも注目を

そのセカンドステージ開幕節は、28日（金）に東京で１試合。29日（土）には東京、名古屋、大阪でそれぞれ２試合ずつ。30日（日）に福岡で１試合が予定されている。
東京・秩父宮ラグビー場で今季最後の金曜ナイターとなる28日のNTTコム - キヤノン戦（19:30）は、どちらがグループAの上位陣への挑戦権を得るのか、一種のサバイバルマッチ的な要素を含む試合となる。
新人ながら、この秋、日本代表の８番を自分のものにしたと言っていいNTTコムのNO8レレィ・マフィはベンチスタート。出場機会こそなかったものの、日本代表に帯同し続けたキヤノンLO宇佐美和彦は先発予定だ。

土曜日の秩父宮では、いきなりサントリー対ヤマハ発動機（14:00）の因縁対決。そして、明らかに秋のテストマッチ期間中に調子を上げたSO／CTB立川理道がクボタの司令塔としてコカ・コーラ相手にどんなゲームを見せるのかも楽しみだ（11:40）。

29日の名古屋市瑞穂公園ラグビー場ではトヨタ自動車がパナソニックを迎え撃つ（14:00）。
日本代表選手がいなこともあり、中断期間にファーストステージで故障していた主力が戻り、チーム力が上がっていることが想定されるトヨタ自動車は地元で王者に対して、いいゲームをして勢いに乗りたいところ。
一方、パナソニックもHO堀江翔太主将、NO8ホラニ龍コリニアシ、SH田中史朗といった主力選手がこの秋は日本代表には参加しなかったこともあり、チーム全体のコンディションとしては良好なかたちでセカンドステージを迎えることになりそうだ。
豊田自動織機 - NTTドコモ戦（11:40）は降格を避けるためには、双方にとって絶対に勝っておきたい一戦。上位陣の対決以上に死に物狂いの熱い戦いとなること必至だ。

同日の大阪・近鉄花園ラグビー場では、神戸製鋼 - 東芝戦（14:05）。もちろん、両チームともに上位進出のためには負けられない一戦であり、前述のとおり特にFW陣の日本代表同士のマッチアップも楽しみだ。
近鉄 - NEC戦（12:00）は戦力的にはグループAに残っていてもおかしくないチーム同士の対戦。ワイルドカードトーナメント、日本選手権と勝ち進んでいくためにも、まずはセカンドステージでいいスタートを切ることが重要になる。
30日に福岡・グローバルスタジアムで行われる宗像サニックス - リコー戦（13:00）は、今季昇格した宗像サニックスが１勝しか挙げられなかった前半戦の戦いを経て、中断期間で持ち前のランニングラグビーをどう進化させているのか地元ファンには楽しみな一戦となる。
対するリコーもファーストステージ後半はいい内容の試合が続いていただけに好ゲームが期待される。

（text by Kenji Demura）