トップリーグ2011-2012特集 TOPプレビュー&TOPマッチレポート「今シーズンのトップリーグはここを見よ!
昨シーズンに引き続き、トップリーグホームページでは、スポーツライターとして活躍中の永田洋光氏と村上晃一氏による毎節の見どころと、両氏およびその他第一線で活躍する豪華執筆陣によるマッチレポートをお届けいたします!

リーグ戦 第11節(1/21-22)

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試合結果

開催日 Kick Off Host   Visitor 会場
1/21(土) 13:00 ヤマハ発動機ジュビロ 15-22 トヨタ自動車ヴェルブリッツ ヤマハ
1/22(日) 12:00 NECグリーンロケッツ 24-18 コカ・コーラウエストレッドスパークス 秩父宮
1/22(日) 12:00 NTTドコモレッドハリケーンズ 21-68 リコーブラックラムズ 近鉄花園
1/22(日) 13:00 パナソニック ワイルドナイツ 29-27 神戸製鋼コベルコスティーラーズ 太田
1/22(日) 13:00 Honda HEAT 14-27 福岡サニックスブルース 鈴鹿
1/22(日) 14:00 サントリーサンゴリアス 18-21 東芝ブレイブルーパス 秩父宮
1/22(日) 14:00 近鉄ライナーズ 38-33 NTTコミュニケーションズシャイニングアークス 近鉄花園

マッチレポート

ラストワンプレーで逆転。王者パナソニック、首位に立つ

昨季の覇者パナソニック ワイルドナイツが因縁の神戸製鋼コベルコスティーラーズを地元・太田に迎えた注目の一戦は、後半43分に飛び出したNo8ヘンドリック・ツイのトライでパナソニックが劇的な逆転勝ち。東京・秩父宮での“府中ダービー"で東芝ブレイブルーパスが全勝サントリーサンゴリアスに土をつけたため、残り2節を前に王者パナソニックが首位に立った。一方、敗れた5位の神戸製鋼は4位NECグリーンロケッツとの勝ち点差が6に広がり、プレーオフ進出は厳しい状況に追い込まれた。

■パナソニックワイルドナイツ 29-27 神戸製鋼コベルコスティーラーズ(前半10-13)──1月22日

 
 

終盤、王者らしい集中力を見せたパナソニックが劇的な逆転勝ち(写真はハードタックルを受けながらゴールに迫ったWTB山田)
photo by Kenji Demura (RJP)

 王者が王者たる所以を見せつけた、壮絶な幕切れだった。
 3点のビハインドで迎えたロスタイム。あとワンプレーの状況で得た敵陣深くでのPKのチャンス。
 やや角度があったとはいえ、同点PGを狙ってもおかしくない場面だったが、王者パナソニック ワイルドナイツが選んだのは、トライでの逆転。
「正直、迷ったんですけど、スラッシ(FB田邉淳=ゴールキッカー)さんが『いこう(攻めよう)!』と言ってくれて、それにみんなが反応した感じがあったので。トライ取ったろうか、と」(HO堀江翔太ゲームキャプテン)

 あるいは、この最後の瞬間、この試合で初めて王者のスイッチが完全に入ったのかもしれなかった。
 すでに時計の針は41分になっていたPKから、何かが乗り移ったかのような集中力でパナソニックのアタックが2分ほど続く。近場を堀江がえぐり、CTBジャック・フーリーが針の穴のようなディフェンスラインの隙間を強烈なステップで切り裂き、WTB山田章仁が首筋に強烈なタックルを受けながら潜り込むようにトライラインに迫る。

 時計が43分を回り、ゴール前のラックから、途中出場していた新人NO8ヘンドリック・ツイが飛び込み、それまでギリギリのところで踏みとどまっていた神戸製鋼コベルコスティーラーズのディフェンスがとうとう崩壊。
 かつてパナソニックの前身である三洋電機が何度も勝利を掴みかけながら、最後の最後に神戸製鋼が勝負強さを発揮して劇的な勝利を収め続け、黄金時代を築いた時の両者の対決を彷彿とさせるドラマチックさ。
 結果的には、約20年の歳月を経て、両チームの立ち位置が完全に入れ替わってしまっていることを印象づけるファイナルシーンとなった。

終盤、「ペース上げるぞ」の声に全員が呼応

 開幕戦でサントリーに惜敗しながらも、その後は連勝を続け、首位に勝ち点差3の2位につけるパナソニック。
 一方、第8節で東芝ブレイブルーパスを圧倒した後も、続く第9節にリコーブラックラムズに敗れるなど、いまひとつ戦いぶりが安定しない5位の神戸製鋼。
 試合開始直後からペースを掴んだのは、プレーオフ進出のためには、もう1敗もできない状況に追い込まれていた神戸製鋼だった。

 3分に神戸製鋼がSOピーター・グラントのPGで先制。
 14分にパナソニックもFB田邉がPGを返すが、19分に神戸は自陣22m付近で相手キックを処理したWTB濱島悠輔のカウンターから、SOグラント、NO8マパカイトロ パスカとボールが渡ってトライ。
 この時、巨漢NO8に簡単に吹き飛ばされたパナソニックSOマイク・デラーニだったが、アタックでは「よく前に出てくれた」と中嶋則文監督が評価したとおり、神戸製鋼ディフェンスを翻弄。34分には、敵陣22m付近のラックでのミスマッチを突くかたちで一気に走り抜けてトライ。
「今日は(キックの)当たりが悪かった」という田邉とデラーニが合わせて3本の距離のあるPGを外したこともあって、前半は13-10と神戸がリードして終了。
 パナソニックとしては、「課題である前半の悪さが修正できなかった」(堀江ゲームキャプテン)、最初の40分間となった。

 それでも、後半キッチリ立て直して逆転するのが、今季のパナソニックの特徴。
 この試合でも、後半6分にこの日、田中史朗に代わって先発していたSHイーリニコラスのトップリーグ初トライで逆転。13分には狭いスペースに走り込んできたCTBフーリーにショートパスが渡って連続トライ。
 ところが、これで王者の気が緩んだわけではないのだろうが、パナソニックのシンビンやミスに乗じるかたちで神戸製鋼が息を吹き返して、27分、32分と連続トライを奪って再び試合を引っくり返したのだ(共にSOグラントのゴール決まって)。

 逆転された直後に「ここからペース上げるぞ」と、選手たちに訴えた堀江ゲームキャプテンのかけ声に呼応するように、追い込まれてとうとうスイッチの入ったパナソニックが信じられないような集中力を発揮したのは冒頭のとおり。
 後半32分の神戸製鋼の逆転トライの起点もスクラムでの反則を取られてのFKからだったように、それまでやられっぱなしだった感もあったスクラムでもプレッシャーをかけてターンオーバーするなど(途中出場していたHO設楽哲也は「思わずドヤ顔しちゃいました」)、信じられないようなビッグプレーの連続で地元ファンを沸かせた。

 試合後、「ウチの方がいいラグビーをしていた」と悔しがった神戸製鋼の苑田右二ヘッドコーチの言葉もどこか空虚に響くほどの懐の深さを見せたパナソニック。
 昨季とは全く違う道筋ながら、2年連続の歓喜にたどり着くための王者のステップアップは着実に続いている。

(text by Kenji Demura)

 

パナソニックHO堀江ゲームキャプテンは自らの体を張ったプレーとリーダーシップでチームを逆転に導いた
photo by Kenji Demura (RJP)

CTBフーリー(左)にオフロードパスをつなぐSOデラーニ。大物外国人選手の活躍もパナソニックには大きかった
photo by Kenji Demura (RJP)

 

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接点にこだわった東芝、劇的な逆転でサントリーの全勝止める

22日、トップリーグ第11節6試合が行われた。注目の"府中ダービー"は、シンプルに前に出続けることにフォーカスした東芝ブレイブルーパスが残り10分で2トライを挙げて劇的な逆転勝ち。ノートライで敗れたサントリーサンゴリアスの全勝は10で止まり、同日、神戸製鋼コベルコスティーラーズを際どく破って1敗を守ったパナソニックワイルドナイツに首位を明け渡した。両者の勝ち点差はわずかに「1」で、残り2節を前に共にプレーオフ進出が確定。3位東芝も次節以降、勝ち点1を獲得した段階でプレーオフ行きが決まる。

■サントリーサンゴリアス 18-21 東芝ブレイブルーパス(前半6-7)──1月22日

 
 

後半39分、LO望月(写真)の劇的な逆転トライで東芝 が"府中ダービー"を制した
photo by Hiroki Takami (T&t)

 ドラマは最後に待っていた。
 18-14でサントリーサンゴリアスがリードの試合終了間際、東芝ブレイブルーパスは相手陣10mラインと22mラインの間のスクラムからボールをキープして攻め続けた。ほとんどは1パスか2パスでクラッシュするシンプルなアタック。それを何度も真っ直ぐ愚直に繰り返す。

 最初のヒット、そして、その後のレッグドライブの強さでじりじりとサントリーディフェンスを押し込んでいく。22mラインを越えて相手陣深くまで進んだラックからの10次攻撃。SH吉田朋生が右サイドに持ち出し、背後から上がってきたWTB廣瀬俊朗がもらうと、FLスティーブン・ベイツを経て右サイドに残っていたLO望月雄太にボールがわたり、インゴール右に逆転トライ。ホーンが鳴った後のSOデイビッド・ヒルのコンバージョンも決まって、東芝が土壇場で21-18と逆転勝ちした。

 試合は、両者が対照的なスタイルを見せた。サントリーはバリエーションに富んだボールの運び方で組織的に東芝ディフェンスに挑戦。SOトゥシ・ピシやSHフーリー・デュプレアのキックを織り交ぜながら、後半半ばまではボールポゼッションでもテリトリーでも優位に試合を進める。CTBニコラスライアンの射程圏では確実にPGを選択。前半に2本、後半は4本のPGを積み重ねた。
 一方の東芝はシンプルに身体を当て続ける。前半15分過ぎ、サントリー陣のゴールポスト正面約25mの位置で得たPKはタッチへ。その後のゴールポスト右5mのPKもタップキックからモールと徹底してFW勝負にこだわった。

 これが最初に実を結んだのが前半26分だ。ゴール前のPKで、ここも豊田真人主将がクイックタップで前進。ラックから右に回すとFLマイケル・リーチが元オーストラリア代表FLジョージ・スミスらのタックルをはずして前進、最後は右手を伸ばしてトライを決めた。さらに、後半も7-18とこの試合最大の11点差をつけられていた30分、FWが塊となってごりごりとゴール目前まで進むと、最後はPR浅原拓真がねじ込み、最後の逆転劇につなげた。

シーズン2敗の苦い経験を生かした東芝

 試合後の記者会見。最初は「最後の10分に相手にチャンスを与えてしまい、東芝はそれを活かした。選手のパフォーマンスは誇りに思っている」と淡々と振り返っていたサントリーのエディー・ジョーンズ監督だが、ブレイクダウンで東芝に素早いリサイクルを阻まれ、テンポの良いマルチフェーズアタックを仕掛けられなかっただけに、途中からは「今日はルールのないレスリング。ブレイクダウンでもコンテストは必要だが、ルールがなければならない」と苛立ちも露わに。プレーオフでも再戦の可能性があるだけに、「東芝には二度と勝たせない」と繰り返していた。

 一方の東芝の和田賢一監督は「府中ダービーとして真っ向勝負するつもりだった。フォーカスポイントはブレイクダウンで、こちらから体をあてていく。(選手がそれを)やりきってくれた結果が(最終)スコアになったと思う」と、してやったりの表情だった。
 再三のPG機にも狙わなかった選択について、NO8豊田真人主将は「FWに自信を持っているので、勝負したいという思いがあった。(PGという)選択肢(自体)がなく、ラインアウトからFWで行くんだという思いだった」。
 和田監督も「(試合で)体をぶつけた選手しか分からないものもあるので、すべて選手に任せている。春からこだわってきたのはFWの勝負。そのこだわりを出せと言っていた」とスキッパーの判断を支持した。

 終了直前の劇的な逆転勝ちに、「事前のスカウティングでサントリーはラスト20分で(フィットネスが)落ちてくると言われていた。そこで、最後の20分にかけるのではなく、前半最初の1分から体を当て続けたことが最後につながった」と豊田主将。後半最初の20分間はボールが保持できず、PGで差を広げられる苦しい時間帯だったが、今季すでに2敗の経験から、逆に、この時間帯を我慢すればいけると信じたという。
 後半20分、ハーフタイム後だけで3本目のPGを決められて7-15とされたところで円陣を組み、「今から行くぞ、今から変えるぞ」と声をかける。これで選手にスイッチが入り、ボールをキープし続けようという全員の強い意志が最後のトライに結実した。

(text by Shoichi Midoro)

 

PGを狙わず、シンプルに前に東芝らしいスタイルでトライ数では3-0とサントリーに快勝(写真はCTB仙波)
photo by Hiroki Takami (T&t)

東芝LO大野(左)にタックルにいくサントリーPR畠山。代表組も多く、高いレベルの肉弾戦にファンは酔いしれた
photo by Hiroki Takami (T&t)

 

サントリーは東芝の堅守の前にジョーンズ監督が指揮を執って初のノートライでの敗戦となった(写真は行く手を阻まれるサントリーWTB成田)
photo by Hiroki Takami (T&t)

"府中ダービー"に先立って行われたNEC-コカ・コーラウエスト戦はNECが24-18で勝ち、4強入りへ一歩前進した
photo by Hiroki Takami (T&t)

 

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