トップリーグ2011-2012特集 TOPプレビュー&TOPマッチレポート「今シーズンのトップリーグはここを見よ!
昨シーズンに引き続き、トップリーグホームページでは、スポーツライターとして活躍中の永田洋光氏と村上晃一氏による毎節の見どころと、両氏およびその他第一線で活躍する豪華執筆陣によるマッチレポートをお届けいたします!

リーグ戦 第10節(1/15)

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見どころ村上晃一の目

年末年始の休止期間を経て、1月9日に行われた第9節は、僅差勝負が相次ぎ、実力拮抗のトップリーグを証明する形となった。9節を終えて全勝を守ったのはサントリーサンゴリアス(勝ち点41)。これをパナソニック ワイルドナイツ(39点)、東芝ブレイブルーパス(36点)が追い上げる。そして、プレーオフ進出枠のトップ4入りを巡る争いはますます激しさを増している。第10節の注目カードを見ていこう。

激しさ増す4強争い。ヤマハ発動機-NEC、サントリー-近鉄など注目カード目白押し

 
 

サントリーにチャレンジする近鉄。4強入りのため是が非でも金星を獲得したい(写真は攻守に安定したプレーで引っ張るFB高主将)
photo by Kenji Demura (RJP)

トップ4争いで優位に立っているのは、NECグリーンロケッツ(4位 勝ち点32)だが、5位の神戸製鋼コベルコスティーラーズ(29点)、6位近鉄ライナーズ(28点)、7位ヤマハ発動機ジュビロ(26点)、8位リコーブラックラムズ(25点)と、勝ち点差は少なく、この4節でどんな逆転劇が起きても不思議はない。

第10節は、1月15日に全7試合が行われるが、気になるのが近鉄花園ラグビー場第1試合のヤマハ発動機対NECグリーンロケッツ戦である。追う立場のヤマハSO大田尾竜彦は言う。「NECは、もともと強いFWに、田村優、ネマニ・ナドロが入ったことで攻撃力がアップして、バランスのとれたチームになっています。でも、(ヤマハとしては)ここで負けると、NECを追えなくなる。なんとしても勝ちたい」

NECは、爆発的突破力を持ち、今季14トライをあげているWTBネマニ・ナドロを軸に、グラウンドのどこからでも一気にトライを奪う攻撃力を有する。ヤマハとしては、スクラム、ラインアウトで圧力をかけ、NECの攻撃のキーマンである田村優を自由にさせないディフェンスをしたい。前節のパナソニック戦で何度も防御を破ったLOデーリック・トーマス、NO8モセ・トゥイアリイらパワフルなランナーを走らせながら、ボール保持時間を長くしたいところ。

ただし、NECはナドロだけでなく、FLニリ・ラトゥ、NO8土佐誠、CTBアンソニー・ツイタヴァキら防御を縦に切り裂ける選手が揃う。SH櫻井朋広のパス捌きも攻撃のテンポを上げ、チーム状態はいい。ヤマハが勝てばトップ4争いはさらに混沌とするが、NECが勝てば、トップ4入りの可能性が大きく膨らむ試合。互いの力を引き出しあう激しい試合になりそうだ。

崖っぷちのトヨタ自動車が、王者に挑む

近鉄花園ラグビー場の第2試合では、2位につけるディフェンディング・チャンピオン、パナソニックがトヨタ自動車ヴェルブリッツと対戦する。トヨタ自動車は、現在、3勝6敗の10位。トップ4の常連チームとしては信じがたい不振である。LO谷口智昭、FL中山義孝、SOオレニ・アイイ、WTB水野弘貴など主力に負傷者が多いのも一因だが、伝統の接点の強さが見られないのが気がかり。前節もNTTコミュニケーションズシャイニングアークスにブレイクダウン(ボール争奪局面)で後手を踏み敗れた。「1人目のボールキャリアが前に出ていないから、2人目がいい態勢になれていない」(朽木監督)。

ただし、負傷の癒えたCTBスティーブン・ブレットが力強いプレーを見せるなど、わずかながら光明も。今季はバランスのいい攻撃をしようとして上手く運べていない感もあり、戦い方を絞り込めば、上位陣を崩す力は持っている。パナソニックも、前節は地元・太田でヤマハに大苦戦。簡単なハンドリングエラーも多く、決して盤石ではない。トヨタ自動車が再浮上のきっかけにできるのか、それともパナソニックが連覇に向けて勢いに乗る試合になるのか。ボールキャリアが激しく前に出るトヨタらしさが出れば僅差勝負になるが、果たして。

現在6位の近鉄ライナーズ(4位との勝ち点差4)が首位サントリーサンゴリアスと、同8位のリコーブラックラムズ(4位との勝ち点差7)が前節でトヨタ自動車を破って再び勢いを取り戻したNTTコミュニケーションズとそれぞれ対戦する東京・秩父宮ラグビー場の2試合も、4強入り争いという意味では見逃せない。

 

前節サントリーに惜敗も貴重な勝ち点2をゲットとして4位をキープしたNECはヤマハ発動機と対戦(写真はNECの激しさの象徴LO浅野とNO8土佐=右)
Photo by Kenji Demura (RJP)

現在7位のヤマハ発動機は4位NECと直接対決。勝ち点差6を一気に縮めるチャンスだ(写真は力強い突破を見せるLOトーマス)
Photo by Kenji Demura (RJP)

 

2位パナソニックは首位サントリー追撃のためにも不調トヨタ自動車を一蹴したいところ(写真はヤマハ発動機FB五郎丸とハイボールを競るFL劉)
Photo by Kenji Demura (RJP)

最下位コカ・コーラウエストは鹿児島でNTTドコモと対戦。自動降格を免れるため絶対に負けられない一戦となる(写真はFL桑水流)
Photo by Kenji Demura (RJP)

 

注目選手

注目選手 Photo

大田尾 竜彦
(ヤマハ発動機ジュビロ SO)

◇日本人SOとしての責務も大切にするゲームメイカー

   

大田尾竜彦(おおたお・たつひこ)◎SO。1982年1月31日生まれ。身長181cm、体重92kg。佐賀工業高校→早稲田大学→ヤマハ発動機ジュビロ。高校日本代表、学生日本代表、U19、U21、U23、7人制日本代表、日本A代表、日本代表キャップ7
Photo by Kenji Demura (RJP)

着実に力をつけるヤマハ発動機ジュビロ不動のSOである。外国人SOが活躍するチームが多い中で、今季も9節まで全試合で10番を背負い、長短自在のパスで味方選手を走らせている。戦術眼に優れ、窮地に陥っても冷静に対処する度胸もある。日本を代表するゲームメイカーの一人だ。今季より、早稲田大学時代の師でもあった清宮克幸監督がヤマハ発動機の指揮を執ることになり、大田尾の役割はこれまで以上に重要なものになっている。

「清宮さんには、ラックで死ぬなと言われますね」。大田尾の動きだけを追うと分かるのだが、昨季より、相手に捕まる回数が少ない。ラックに巻き込まれず、突破役の選手へ好球を配して走らせることに徹しているのだ。「去年までも、マレ・サウや、五郎丸歩など、強いランナーはいたのですが、今年はFWにも強い選手が多い。そういう選手にパスを出しながら、うまくコントロールできると面白いですね」

出身は佐賀県佐賀市。ラグビーを始めたのは、小学校1年生で佐賀ジュニアラグビースクールに入ってからだ。中学時代はバスケットボール部に入っていたが、父と佐賀工業高校ラグビー部の小城博監督(当時)の話し合いで、ラグビー部入りは半ば強制的に決められていた。才能はすぐに開花し、全国大会でも活躍。高校日本代表、学生日本代表、日本代表と順調に階段を上った。早稲田大2年時に、清宮監督がやってきて、全国大学選手権で準優勝、翌年は13年ぶりの学生王座に就いている。

8年ぶりに清宮監督の指導を受ける大田尾は、ヤマハ発動機の変化をこう語る。「清宮さんが来て、各選手の役割分担が明確になりました。特にFWの選手が活き活きしている」。大田尾には、プレーヤー兼アドバイザーという役割も与えられた。「コーチ的な役割ではなく、スタッフ・ミーティングに出席して、監督の意思をよく理解した上で、それをグラウンドで選手に落とし込む役目です」。キャプテンとは違う立場で、監督の意思をよく理解した選手がいれば、ゲーム運びはよりスムーズになるというわけだ。

日本人SOとして、自らに課された責務を意気に感じている。「外国人SOを見ていると、正直、上手いと思います。でも、日本の学生がトップリーグを見て、SOではトップリーグの試合に出られないと思われるのは悲しい。そう思われないように、道は作りたいと思っています」。

9節のパナソニック 戦では、FWが健闘し、あと一歩まで迫りながら勝利はならなかった。ゲームメイカーとしては悔いが残る。「もう少し、チャレンジしても良かったかな」。ゲームプラン通り、強いランナーにパスを配したのだが、チャンスではもっと思い切ってワイドに展開しても良かったかもしれない、という思いだ。いずれにしても、トップ4は視野に入っている。左右にパスを振り分けながら味方選手を走らせる背番号10が、ヤマハ発動機のトップ4入りのカギを握っているのは間違いない。

(text by Koichi Murakami)


 



チケット

開催日 Kick Off Host   Visitor 会場 チケット
1/15(日) 12:00 リコーブラックラムズ NTTコミュニケーションズシャイニングアークス 秩父宮 チケット
1/15(日) 12:00 ヤマハ発動機ジュビロ NECグリーンロケッツ 近鉄花園 チケット
1/15(日) 12:00 コカ・コーラウエストレッドスパークス NTTドコモレッドハリケーンズ 鴨池 チケット
1/15(日) 13:00 神戸製鋼コベルコスティーラーズ Honda HEAT ホームズ チケット
1/15(日) 14:00 サントリーサンゴリアス 近鉄ライナーズ 秩父宮 チケット
1/15(日) 14:00 パナソニック ワイルドナイツ トヨタ自動車ヴェルブリッツ 近鉄花園 チケット
1/15(日) 14:00 東芝ブレイブルーパス 福岡サニックスブルース 鴨池 チケット
■チケット全国発売日
第1節~第8節  2011年9月10日(土)
第9節~第13節 2011年11月26日(土)
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