トップリーグ2011-2012特集 TOPプレビュー&TOPマッチレポート「今シーズンのトップリーグはここを見よ!
昨シーズンに引き続き、トップリーグホームページでは、スポーツライターとして活躍中の永田洋光氏と村上晃一氏による毎節の見どころと、両氏およびその他第一線で活躍する豪華執筆陣によるマッチレポートをお届けいたします!

リーグ戦 第11節(1/21 - 1/22)

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見どころ永田洋光の目

トップリーグも、残るは3節。いよいよ佳境。第10節では、上位チームに順位の変動はなかったが、これまで連敗を続けてきたコカ・コーラウエストレッドスパークスがNTTドコモレッドハリケーンズを23-11と破って待望の初勝利を挙げ、リーグ残留に希望をつないだ。
第11節は、いよいよ熾烈な順位争いが本格化。全国各地で熱い戦いが繰り広げられそうだ。

全勝のサントリーと東芝が激突! 府中ダービーの行方は?
注目の4位争いは、神戸製鋼がパナソニックに挑む

 
 

サントリーとの"府中ダービー"に臨む東芝。接点での激しさで上回ることが全勝を止める条件になる(写真はNO8豊田主将)
photo by Kenji Demura (RJP)

真価が問われるサントリーの防御力

 まず上位の順位争いに目を向ければ、注目は何と言っても10戦全勝勝ち点46で首位を走るサントリーサンゴリアスと、8勝2敗同41で3位につける東芝ブレイブルーパスの直接対決だ(22日14時キックオフ 秩父宮ラグビー場)。
 両者は10月にプレシーズンマッチで対戦し、17-5でサントリーが勝利を収めているが、シーズンも深まった今、その結果はあくまでも参考程度。今季の成績も全勝を続けるサントリー有利を示唆するが、同じ府中市に本拠地を置くライバル同士の戦いは、そうした事前予想を超えるプラスαをもたらす可能性がある。

 焦点は、組織防御の完成度。サントリーは今シーズン、後半に大量失点する傾向があり、前節でも近鉄ライナーズに後半4トライを奪われて26失点。第9節でもNECグリーンロケッツに4トライを奪われている。マイケル・リーチ、スティーブン・ベイツの両FLを筆頭にパワフルなランナーを揃えた東芝相手に、防御がほころびを見せれば連勝が止まる可能性もある。
 一方の東芝は、10試合で116失点と唯一100点台をキープして、ダントツの防御力を誇る。神戸製鋼コベルコスティーラーズに力負けした後遺症も感じられず、前節では福岡サニックスブルースの厳しい防御に苦しめられながらも、35-10ときっちり勝ち切った。
 BKの早いパス回しでアタックを仕掛けるサントリーを東芝防御が鋭く前に出て封じ込めるのか。それとも、抜群の決定力を誇る両WTB成田秀悦(通算9トライ)、小野澤宏時(7トライ)を擁するサントリーが東芝の堅守を打ち破るのか。いずれにしても、一瞬も目が離せない緊迫したゲームになりそうだ。

トップ4入りに一戦必勝の神戸製鋼がパナソニックに挑戦

 プレーオフ進出の最後の椅子である4位を巡る争いも熾烈だ。
 現在はNECが勝ち点36で4位にいるが、前節で神戸製鋼コベルコスティーラーズがHonda HEATを52-23と破って5ポイントを獲得。総勝ち点を34に伸ばして、NECとの差を2に詰めた。
 そのNECが最下位のコカ・コーラウエストレッドスパークスと対戦するのに対して(22日12時 秩父宮ラグビー場)、神戸製鋼の相手は現在9勝1敗、勝ち点43で2位のパナソニック ワイルドナイツ(22日13時 太田市総合公園陸上競技場)。
 神戸製鋼は、第8節で東芝を圧倒したように高い潜在能力を持つが、9節ではリコーブラックラムズに27-31と星を落とすなど、安定感はもう一つ。
 プレーオフ進出のためにも4トライ以上の勝利が必要な神戸製鋼が、ラインブレイクは許しても「ここ」というときはトライを許さない懐深いパナソニック防御をどう食い破るか。磨き抜いた「ムービング・ラグビー」の成果が問われる。

 その他にも、NTTコミュニケーションズシャイニングアークスが、日本選手権へのワイルドカード出場権(5位-8位)をかけて近鉄ライナーズに挑み(22日14時 近鉄花園ラグビー場)、Hondaは自動降格圏脱出をかけて、福岡サニックスブルースと対戦する(22日13時 鈴鹿スポーツガーデン)。
 これからの試合は、各チームにとって実質的に「負ければ終わり」のトーナメント。順位を巡る意地と意地のぶつかり合いが、さらにゲームを熱く激しく盛り上げてくれそうだ。

 

サントリーの防御は東芝の迫力あるランナーたちを食い止めることができるか(写真は近鉄WTB李にタックルするスミス、佐々木の両FL)
Photo by Kenji Demura (RJP)

王者パナソニックは地元に神戸製鋼を迎える。接戦をものにしながら1敗を守ってきた真価が問われる戦いになる(写真はSH田中)
Photo by Kenji Demura (RJP)

 

トヨタ、東芝連破の後、リコーに敗れるなど浮き沈みの激しい神戸製鋼は4強入りに向けてパナソニックに挑戦(写真はTL100試合出場達成のLO林)
Photo by Kenji Demura (RJP)

前節リコーと引き分けたNTTコミュニケーションズはワイルドカード出場のためにも近鉄を倒したいところ(写真はいぶし銀の活躍を見せるFB栗原)
Photo by Kenji Demura (RJP)

 

注目選手

注目選手 Photo

ネマニ・ナドロ
(NECグリーンロケッツ WTB)

◇フィジー生まれの怪物クン、「みんなのおかげで」トライ王へ独走中!

   

ネマニ・ナドロ◎WTB。1988年1月31日生まれ。身長195cm、体重129kg。セントジョセフナッジーカレッジ→NSWワラタス(豪)→ブルゴアン(仏)→エクスターチーフス(英)→NECグリーンロケッツ。フィジー代表3キャップ
Photo by Kenji Demura (RJP)

 歓声とどよめき、それに笑い声。
 歓声とどよめきならば、これまでも多くのフィニッシャーがボールを持つたびに聞こえてきた。
 しかし、NECグリーンロケッツのWTBネマニ・ナドロが、195センチ129キロの巨体を生かして相手のディフェンダーを跳ね飛ばし、ゴールラインに向かって爆走すると、スタンドからは必ず笑い声も聞こえるのだ。

 特に、第10節のヤマハ発動機ジュビロ戦の前半34分にSO田村優のキックパスを、トイメンのWTB屋宜 ベンジャミンレイの上にのしかかるように片手でキャッチし、着地するや屋宜とFB五郎丸歩を押しつぶしてそのまま独走トライを挙げた場面では、スタンドから痛快なアクション映画を見たような、感嘆まじりの笑い声が返ってきた。
 思わず笑っちゃうほど凄い──あまりにも自分の理解を超えた凄さに直面したときに人間が見せる、それはごく自然な反応なのかもしれない。何しろ、こんなにわかりやすく、こんなにも期待通りに凄さを魅せてくれるプレーヤーは、世界各国のトッププレーヤーがひしめくトップリーグにもそうはいなかったのだから。

 昨季のカーン・ヘスケス(福岡サニックスブルースWTB)もファンに強烈なインパクトを残したが、ヘスケスが主に後半から投入される「インパクト・プレーヤー」だったのに比べると、ナドロは第3節からずっと先発に起用されている。80分間楽しめる分、ファンへのインパクトも大きい。それが恐らく“愛される理由”なのかもしれない。
 先発デビューとなったトヨタ自動車ヴェルブリッツ戦では、前半16分に5人を弾き飛ばして秩父宮デビューを飾り、水戸で行われたHonda HEAT戦(第7節)ではトップリーグ記録を塗り替える1試合6トライの離れ業を演じて見せた。
 試合後、チームメイトでこれまでの記録保持者だった窪田幸一郎が、半ば呆れたような表情でこう言った。
「まあネムズ(ナドロの愛称)に記録を破られたんだから、しょうがない(笑)。納得しています」

 現在の通算トライ数は16。これまでのシーズン最多トライ記録は、三洋電機ワイルドナイツ時代に北川智規が持っていた19だが、残りはあと3試合。新記録達成が期待されている。チームメイトも「記録更新のためにどんどんボールを回します」(CTB櫻谷勉)と、全面支援の考えだ。
 当のナドロは冷静で、チームメイトへの感謝をいつも忘れない。
 たとえば1試合6トライの記録を達成した直後には「6トライは初めての経験だが、トライはチームメイトが頑張ってくれた結果。これからもチームに貢献したい」。ヤマハ戦のあとで5試合連続トライの感想を聞かれても、「FW主体のゲームの限られたチャンスにトライを取れた。これも、みんながいいプレーをしてくれたおかげ」と、いたって謙虚なコメントを残す。
 1月31日生まれの23歳が「どや顔」を見せるのは、トライした瞬間だけなのである。

(text by Hiromitsu Nagata)



チケット

開催日 Kick Off Host   Visitor 会場 チケット
1/21(土) 13:00 ヤマハ発動機ジュビロ トヨタ自動車ヴェルブリッツ ヤマハ チケット
1/22(日) 12:00 NECグリーンロケッツ コカ・コーラウエストレッドスパークス 秩父宮 チケット
1/22(日) 12:00 NTTドコモレッドハリケーンズ リコーブラックラムズ 近鉄花園 チケット
1/22(日) 13:00 パナソニック ワイルドナイツ 神戸製鋼コベルコスティーラーズ 太田 チケット
1/22(日) 13:00 Honda HEAT 福岡サニックスブルース 鈴鹿 チケット
1/22(日) 14:00 サントリーサンゴリアス 東芝ブレイブルーパス 秩父宮 チケット
1/22(日) 14:00 近鉄ライナーズ NTTコミュニケーションズシャイニングアークス 近鉄花園 チケット
■チケット全国発売日
第1節~第8節  2011年9月10日(土)
第9節~第13節 2011年11月26日(土)
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