トップリーグ2012-2013特集 TOPプレビュー & TOPレビュー

こちらでは次節の各試合の見どころ、そして試合結果のサマリーと全体のレビューを、トップリーグ観戦をより楽しく、より興味深いものにしていただけるよう、毎週掲載していきます。

リーグ戦 第2節(9/7 - 9/9)

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試合結果

開催日 Kick Off Host   Visitor 会場
9/7(金) 19:30 キヤノンイーグルス 15-21 東芝ブレイブルーパス 秩父宮
9/8(土) 17:00 NECグリーンロケッツ 26-27 トヨタ自動車ヴェルブリッツ 秩父宮
9/8(土) 18:00 近鉄ライナーズ 34-13 福岡サニックスブルース 長居第2
9/8(土) 18:00 リコーブラックラムズ 15-26 神戸製鋼コベルコスティーラーズ 石川西部緑地
9/8(土) 19:00 NTTドコモレッドハリケーンズ 9-41 ヤマハ発動機ジュビロ 鈴鹿
9/8(土) 19:00 サントリーサンゴリアス 34-29 九州電力キューデンヴォルテクス 秩父宮
9/9(日) 13:00 パナソニック ワイルドナイツ 22-25 NTTコミュニケーションズシャイニングアークス 月寒

速報サマリー

"下克上"連発! キヤノン、九電が大健闘の後
NTTコムはSBWのパナソニックをノックアウト

 
 

FBで先発した橋野など若い選手たちが生き生きとしたプレーを見せて東芝を追い詰めたキヤノン
photo by Kenji Demura (RJP)

奔放な走りで2トライを奪ったFB荒牧など、インパクトあるランナーの活躍も目立った九電
photo by Kenji Demura (RJP)

 9月7-9日の3日間にわたって行われた第2節は、昨季の順位では下位だったチームが上位陣を追い詰める"下克上"とも言える熱い戦いが相次いだ。

 口火を切ったのは、7日のフライデーナイターで東京・秩父宮ラグビー場に登場した初昇格のキヤノンイーグルス。
 前節で1年先輩格のNTTドコモハリケーンズに対して4トライを奪って38-14と快勝する衝撃的なトップリーグデビューを飾ったキヤノンは、この日もリーグ随一と言っていいフィジカルさを誇る東芝ブレイブルーパス相手に粘り強いプレーで大健闘。
 前半こそ東芝に3トライを奪われたものの、後半40分間は“零封"。

「前半はカラム・ブルースをSOに入れて、キックでスペースにボールを落としていき、東芝の選手が集まったところでFBに入れた橋野(皓介)を走らせる。後半はSOに橋野を上げて、横のスペースを使って攻める」
 永友洋司監督が思い描いていたゲームプランが見事にハマるかっこうで、前半31分にWTB大居広樹、後半13分にCTB三友良平がトライを奪い、さらに後半22分には三友がPGも決めて15-21と6点差に迫る猛追ぶり。
 後半31分には、再び橋野のブレイクから外側を攻めて大居が東芝インゴールに飛び込んだが、惜しくもスローフォワードの判定。
 大金星にはあと一歩及ばなかったが、昨季3位で過去5回の優勝経験を持つ常勝軍団をタジタジにして、貴重なボーナスポイントを獲得した。

「前半からFWがファイトできていたし、しっかり守れてもいた。ペナルティが多かった以外はプランどおりにプレーできた」(WTB和田拓主将)
 デビュー戦での勝ち点5に加えて、この日の東芝からのボーナスポイント獲得が、若いチームにとって大きな自信になったことは間違いないだろう。
 一方の東芝にとっては、前節のNTTコミュニケーションズシャイニングアークス戦に続いて、「ブレイクダウンで受けてしまい、アタックを継続できなかった」(和田賢一監督)と、"らしさ"が出ない試合となった。

 翌8日、土曜日のナイトゲームで秩父宮を沸かせたのは、キヤノンと同じ昇格組の九州電力キューデンヴォルテクスだった。
 開始2分で王者サントリーサンゴリアスに先制トライを許したものの、一切ひるむことなくチャレンジャー精神全開で攻め続けた。
 6分に敵陣でPGを狙わずにラインアウトを起点にフェイズを重ねて、最後はSO斉藤玄樹、FB荒牧佑輔が相手DFを翻弄しながらボールを外に運び、WTB吉田克也が右隅に飛び込んだのを皮切りに、なんと王者相手に計5トライを奪う猛攻ぶり。

 守っても、後半はノートライに抑えるなど、低く、しつこく粘り続けるDFでサントリーが誇るアグレッシブ、アタッキングラグビーを分断してみせた。
 トライ数では上回ったものの、プレースキックの差が出て、金星こそ逃したが(最終スコアはサントリー 34-29 九州電力)、トップリーグ復帰2戦目にして、王者から勝ち点2(4トライ以上および7点差以内での敗戦に対するボーナスポイント)を記録。
 首都圏のファンに「九電復活」を強く印象づけた。

「ブレイクダウンを捨てる勇気と判断が良くなったし、負けの中から多くのことを学ぶことができた。大きな転機となる」(平田輝志監督)
 キヤノン同様、昇格組が今季のトップリーグの台風の目となっていきそうな勢いを感じさせる大善戦だった。
「勝ったことだけが収穫」
 試合後、サントリーの大久保直弥監督、LO真壁伸弥主将がそう口を揃えたことが、この日の「王者対昇格チーム」の対戦がどんな内容だったかを如実に表していると言っていいだろう。

ヤマハ発動機、神戸製鋼は開幕2連勝

 そして、2日続けて東京で蒔かれたアップセットの種は、日曜日の札幌で一気に開花することになった。
 ソニービル・ウィリアムズのトップリーグデビュー戦となったパナソニックワイルドナイツ-NTTコミュニケーションズシャイニングアークス戦。
 前半、風上に立ったパナソニックは22分にはCTBウィリアムズ得意のオフロードからフォローしたFL西原忠佑がトライを奪うなど、ハーフタイムでは17-3とリード。

 ところが、この14点差のビハインドはNTTコムにとっては、あくまでもゲームプランの一部とさえ言えるものでもあった。
「前半は完璧だった。後半、風上になるのでもっと攻められるようになる。今日は東京に帰らないで札幌に泊まろう。力出し尽くせ」
 ハーフタイムのロッカールームで林雅人監督の口から出た、そんな指示を忠実に実行に移すかたちで、NTTコムの選手たちは昨季の準優勝チームであるパナソニックに襲いかかった。

 試合再開直後の後半2分に、パナソニックHO設楽哲也のトライでいったんはリードを19点差にまで広げられたが、9分にゴール前スクラムからSO君島良夫が相手DFのギャップをついて反撃開始。
 15分には、「ウチがソニービル・ウィリアムズに対してできるのはそれぐらい」(林監督)と、SBW対策という面もあってCTBのポジションに入っていたサモア代表アレサナ・ツイランギがハーフウェイライン近くからパワフルなランニングでパナソニックDFを切り裂いて、点差は1トライ/1ゴールで追いつく7点となった。

 一気に勝敗の行方がわからなくなる中、今季が昇格3年目のNTTコムは、競り合いをものにするために、実にしたたかな選択もしてみせた。
 26分に敵陣で得たペナルティキックでSO君島がPGを狙い、点差を1トライで逆転可能な「4」に。
「相手の足が止まっていて、もう1トライ取れるだろうというイメージがあったので、まずは1トライで逆転できる点差にしておこうと。自分たちは最後まで足が止まらないで攻め続けることができた」
 WTB友井川拓主将の判断通りに、後半29分には、なんとSBウィリアムズのオフロードパスをツイランギがインターセプトする象徴的なプレーから最後は主将自身が逆転トライを決めて、NTTコムが大金星をものにした。

「いいプレーをして勝つために日本にきたので、残念だ」
 試合後、憮然とした表情で語ったSBWにとっては、何ともホロ苦い北の地でのトップリーグデビューとなった。

 また、いずれも第1節で"地方ダービー"をものにした神戸製鋼コベルコスティーラーズとヤマハ発動機ジュビロは、第2節でも好調ぶりをキープ。それぞれ神戸製鋼がリコーブラックラムズに26-15、ヤマハ発動機がNTTドコモレッドハリケーンズに41-9で快勝して、開幕2連勝。
 さらに、福岡サニックスブルースを34-13で破った近鉄ライナーズと、NECグリーンロケッツに27-26と競り勝ったトヨタ自動車ヴェルブリッツが、それぞれ今季初勝利を挙げた。

 昨季の順位で言うなら下位チームによる上位いじめが続く今季のトップリーグ。
 戦国時代突入とも言える熱い戦いから目が離せない。

(text by Kenji Demura)

 

NTTコムは最後まで足が止まらず、プランどおりの逆転勝ちで大金星をものにした
photo by Kenji Demura (RJP)

まさかの黒星デビューに苦い表情のSBW。パナソニックは後半NTTコムの気迫に圧倒され続けた
photo by Kenji Demura (RJP)

 

2トライを決めたFBイェーツの活躍などで、NECに辛勝したトヨタ自動車が開幕初勝利
photo by Kenji Demura (RJP)

NECのWTB/FB窪田はトヨタ自動車戦でトップリーグ100試合出場を達成
photo by Kenji Demura (RJP)

 

速報サマリー

[9月9日]SBW、まさかの黒星デビュー。NTTコムがパナソニック破る大金星

下位ランキングの上位に対する健闘が続いた第2節。最後の1試合で強烈なアップセットが現実となった。

9日、札幌・月寒屋外競技場で行われたパナソニック ワイルドナイツ-NTTコミュニケーションズシャイニングアークス戦は、後半3トライを挙げたNTTコムが鮮やかな逆転勝ちを収めた。

昨季、準優勝で2年ぶりのトップリーグ優勝を目指すパナソニックでは注目のCTBソニー ビル・ウィリアムズが先発フル出場。得意のオフロードで味方のトライに結びつける活躍も見せたが、勝利には貢献できず。苦い日本でのデビューとなった。

NTTコムはCTBアレサナ・ツイランギが対面のウィリアムズを圧倒するようなパワフルな走りで自ら1トライを奪った他、29分に飛び出したWTB友井川拓主将の逆転トライを生み出すインターセプトなどビッグプレーを連発。マン・オブ・ザ・マッチに輝いた。

「いいプレーをして勝つために日本に来たので悔しい」。SBWにとってはまさかのホロ苦デビューとなった
photo by Kenji Demura (RJP)

(text by Kenji Demura)

[9月8日]サントリー、ヤマハ発動機、神戸製鋼が開幕2連勝。王者追い詰めた九州電力も勝ち点2を獲得

前日、東芝ブレイブルーパスを追い詰めたキヤノンイーグルスに続いて、昇格組の九州電力キューデンヴォルテクスが東京・秩父宮ラグビー場を盛り上げた。
ダブルヘッダーの第2試合で王者サントリーサンゴリアスと対戦した九州電力は、サントリーを上回る5トライを奪う健闘ぶり。試合はプレースキックの差が出るかたちでサントリーが34-29で勝ち、2試合続けて勝ち点5を獲得したが、九州電力も勝ち点2をゲット。

秩父宮での第1試合では、ロスタイムにNECグリーンロケッツが逆転を狙ったPGを外し、トヨタ自動車ヴェルブリッツが27-26で勝利。今季初白星を挙げた。

三重・鈴鹿スポーツガーデンでは、ヤマハ発動機ジュビロがNTTドコモレッドハリケーンズから6トライを奪い41-9で大勝する一方、石川県西部緑地公園陸上競技場では神戸製鋼コベルコスティーラーズがリコーブラックラムズに26-15で快勝。共に2戦2勝として、開幕好ダッシュに成功。

大阪・長居第2陸上競技場では近鉄ライナーズが福岡サニックスブルースから4トライを奪って34-13で今季初勝利を挙げた。

サントリーを上回る5トライを奪い王者を追い詰めた九州電力は29-34で敗れたものの、勝ち点2を記録する健闘を見せた
photo by Kenji Demura (RJP)

(text by Kenji Demura)

[9月7日]キヤノンの猛攻及ばず、東芝が苦しみながら開幕2連勝

東芝ブレイブルーパス 21-15 キヤノンイーグルス

7日、トップリーグ第2節、キヤノンイーグルス-東芝ブレイブルーパス戦が行われた。前半16分のCTB渡邊太生のトライを皮切りにハーフタイムまでに21-7とリードした東芝が後半のキヤノンの猛攻に耐えて21-15で逃げ切り、開幕2勝目を挙げた。

前節のNTTドコモレッドハリケーンズ戦でいきなりトップリーグ初勝利を挙げたキヤノンイーグルスは、この日もブレイクダウンで前に出て東芝を苦しめたもののあと1歩及ばなかったが、強豪・東芝相手に貴重なボーナスポイント「1」を獲得。初昇格ながら、トップリーグでも十分戦っていける実力があることを証明してみせた。

一方の東芝はWTB豊島翔平、CTB森田佳寿、SOデイビッド・ヒルと、BK陣に負傷退場者が相次ぎ、WTBのポジションにSH藤井淳が入らざるを得ないアクシデントも重なり、前節に続いてボーナスポイントを獲得できない厳しい内容の試合となった。

後半キヤノンの追い上げに苦しみながらも 21-15で逃げ切った東芝が開幕2勝目を挙げた
photo by Kenji Demura (RJP)

(text by Kenji Demura)

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