トップリーグ2012-2013特集 TOPプレビュー & TOPレビュー

こちらでは次節の各試合の見どころ、そして試合結果のサマリーと全体のレビューを、トップリーグ観戦をより楽しく、より興味深いものにしていただけるよう、毎週掲載していきます。

リーグ戦 第6節(10/13 - 10/14)

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試合結果

開催日 Kick Off Host   Visitor 会場
10/13(土) 12:00 パナソニック ワイルドナイツ 35-18 ヤマハ発動機ジュビロ 秩父宮
10/13(土) 12:00 神戸製鋼コベルコスティーラーズ 70-24 九州電力キューデンヴォルテクス 近鉄花園
10/13(土) 14:00 リコーブラックラムズ 36-19 NECグリーンロケッツ 秩父宮
10/13(土) 14:00 NTTドコモレッドハリケーンズ 7-59 近鉄ライナーズ 近鉄花園
10/13(土) 14:00 トヨタ自動車ヴェルブリッツ 22-25 サントリーサンゴリアス 瑞穂
10/14(日) 13:00 キヤノンイーグルス 17-31 NTTコミュニケーションズシャイニングアークス ユアスタ
10/14(日) 13:00 福岡サニックスブルース 20-29 東芝ブレイブルーパス グローバル

レビュー

サントリーが全勝守り、神戸製鋼、東芝も順当勝ち
ヤマハ発動機を下したパナソニックが4位に浮上

 
 

青のジャージーが似合ってきたSBWの活躍もあってパナソニックがヤマハ発動機に快勝

 唯一の全勝チームで、連覇を目指すサントリーは13日に愛知・瑞穂公園ラグビー場でトヨタ自動車ヴェルブリッツと対戦した。前半はPGだけで得点は動き、サントリーが6-3とわずかにリード。後半にトヨタがSOスティーブン・ブレットの2トライなどで逆転したが、サントリーは23分、ベテランWTB小野澤宏時の今季7本目のトライで再び主導権を握り、31分には右WTB長友泰憲もゴールラインを越えて、25-22で粘るトヨタ自動車を振り切った。

 一方、東京・秩父宮ラグビー場では、前節終了時に4位だったヤマハ発動機ジュビロと、同5位パナソニック ワイルドナイツが対戦。
 試合の流れを決定づけるプレーを見せたのは、パナソニックのブルージャージーが似合ってきたCTBソニー ビル・ウィリアムズ。前半10分、スペースを得たNZ代表のスターがブレイクし、オフロードでもらったWTB山田章仁が先制トライを挙げる。その3分後には、パナソニック陣内でヤマハ発動機がこぼした球をFB田邉淳が確保すると、サイドからWTB山田が切れ味鋭いステップでディフェンダーをかわし、きっちりつないでCTB霜村誠一がインゴールに入った。

 攻めたヤマハ発動機だが、パナソニックが守ってからの切り返しで得点へとつなげる。3トライ目は相手のラインアウトミスからのカウンターで奪い、後半31分は、こぼれ球をNO8ホラニ龍コリニアシが拾って一気にビッグゲインし、WTB山田のハットトリックを演出した。山田は開幕戦から6試合連続トライ。早くも11本をマークしている。

 35-18で勝ったパナソニックの中嶋則文監督は、「スクラム、ラインアウトから安定した球出しをしてくれた。ブレイクダウンでも相手にしっかりプレッシャーをかけることができた」と快勝を振り返った。

 同じく秩父宮で行われたリコーブラックラムズ-NECグリーンロケッツ戦は、前節で初勝利を挙げた勢いのままに、リコーが序盤から主導権を握った。
 開始1分でWTB小松大祐がゴールラインを越えると、17分には南アフリカ代表のCTBワイナンド・オリフィエがキックチャージから拾ってトップリーグ初トライ。28分にはSH池田渉のタックルからボールを奪って、最後はNO8マイケル・ブロードハーストが締めた。

 後半にも3トライを追加したリコーに対し、NECはFB窪田幸一郎がトップリーグ通算50トライ目を奪うなど終盤に意地を見せたが、反撃が遅かった。

九州電力、NTTドコモは依然勝ち星なし

 第4節(トヨタ自動車戦)の引き分けを挟んでいるものの、負けなしの神戸製鋼は大阪・近鉄花園ラグビー場で九州電力を圧倒した。ラインアウトが安定しなかった神戸製鋼だが、1対1の局面で相手を上回り、ボールを動かすムービングラグビーで10トライ。マン・オブ・ザ・マッチに選ばれたPR安江祥光など、全員がよく走っての勝利だった。

 70-24と大差をつけられた九州電力だが、諦めない姿勢はこの試合でも崩れなかった。前半終了間際にはゴール前密集からNO8小原渉が飛び込み、後半の立ち上がりも、WTBガレス・ホルゲートのビッグゲインからCTBドウェイン・スウィーニーのトライ。24分にはキックパスから4本目のトライにつなげ、ボーナスポイントを獲得している。

 3位の東芝は、福岡・グローバルスタジアムで福岡サニックスブルースに苦しんだが、WTB宇薄岳央のハットトリックなどで計4トライを挙げ、29-20で逃げ切った。

 勝った和田賢一監督は「気迫、あたりの激しさ、今日は福岡サニックスのゲーム。受けに回ってしまった。(東芝の選手は)他人任せの場面が多い」と辛口評。仙波智裕バイスキャプテンも「選手で作り上げていく意識が足りない」と反省に終始し、試合後の会見では笑顔がなかった。

 立ち上がり、キックオフから敵陣深くに攻め込んだ東芝だが、福岡サニックスの激しいタックルの連続でターンオーバーされ、パスで回されて先制トライを奪われた。

 この試合、福岡サニックスは攻める姿勢を前面に出し、自分たちの特長であるボールを動かすラグビーで相手を脅かした。それでも、FWの差で東芝が徐々にゲームを支配していった。「相手FWのプレッシャーが強烈で、受けに回って自分たちは精度を欠いてしまった」と福岡サニックスのPR杉浦敬宏(ゲームキャプテン)。象徴的だったのは前半36分、サントリーは自陣での相手ボールスクラムをターンオーバーしてボールを奪うと、CTBニール・ブリューなどBK陣の力強いランで敵陣22メートル内に入り、素早いつなぎと前進で、最後はWTB宇薄岳央が飛び込んだ。

「ここ一番の集中力が足りない」(杉浦)という福岡サニックスだが、試合終了2分前に執念でトライを奪うなど、次戦へ向け明るい兆しは見えている。

 宮城・ユアテックスタジアム仙台では、NTTコミュニケーションズシャイニングアークスが31-17でキヤノンイーグルスに勝利し、4勝2敗(勝点18)で6位に浮上している。前半を10-17とリードされたNTTコミュニケーションズだが、後半の40分間は相手に得点を許さず、パワフルなサモア代表のCTBアレサナ・ツイランギと、WTB友井川拓キャプテンのトライなどで逆転勝ちを収めた。

 花園で行われたNTTドコモレッドハリケーンズと近鉄ライナーズの関西ダービーは、後半だけで7トライを奪った近鉄が59-7と大勝。

 初勝利を目指したNTTドコモだが、前半はハンドリングエラーが多く、敵陣深くに入りながらも決め手を欠いた。逆に近鉄は、課題だったブレイクダウンとラインアウトも修正し、守っては1トライに抑え、快勝となった。FLタウファ統悦はキックチャージも冴えて4トライ。後半18分にCTB大西将太郎が成功させた約50メートルのドロップゴールもスタンドを沸かせた。

(text by Kiyoshi Takenaka)

パナソニックの激しいプレッシャーの前にヤマハ発動機のエースCTBサウも不発

 

前節、初勝利を挙げたリコーが勢いに乗ってNECを圧倒した(写真は先制トライを奪ったWTB小松主将)

NECのWTBナドロは後半39分にトライを奪ったが、時すでに遅し

 

速報サマリー

[10月14日]サニックス気迫見せるも東芝崩せず。NTTコムは4勝目

 福岡・グローバルスタジアムでトップリーグ第6節、福岡サニックスブルース対東芝ブレイブルーパス戦が行われ、WTB宇薄岳央のハットトリックなどで計4トライを奪った東芝が29-20で勝利した。
 藤井雄一郎監督の「プライドを取り戻そう」との言葉通り、サニックスが序盤から前に進む姿勢を見せた。前半3分、激しいタックルの連続でターンオーバーすると、自陣深くからキックを使わずにパスを回し、FB古賀龍二が先制トライを決めた。しかし東芝はFW戦でプレッシャーをかけ続け、次第に主導権を握る。1本返したあと、36分のWTB宇薄のトライは、自陣での相手ボールスクラムをターンオーバーしてから生まれた。後半には途中出場のCTB仙波智裕が50メートル独走トライを奪い、宇薄はハットトリックの活躍で、ボーナスポイントも獲得している。苦しんだ東芝だが、5勝1敗(勝点23)とした。

 宮城・ユアテックスタジアム仙台で行われた試合は、NTTコミュニケーションズシャイニングアークスが31-17でキヤノンイーグルスに勝利。前半を10-17とリードされたNTTコミュニケーションズだが、CTBアレサナ・ツイランギと、WTB友井川拓キャプテンのトライなどで逆転し、後半は相手に得点を許さなかった。NTTコミュニケーションズは4勝2敗(勝点18)で6位に浮上、キヤノンは2勝4敗(勝点11)となった。

サニックスのプライドをかけた戦いに苦しんだが東芝だが29-20で勝利。1敗を守った
photo by Hiroaki Ueno

(text by Kiyoshi Takenaka)

[10月13日]サントリー、トヨタ自動車との死闘制して全勝守る

 東京・秩父宮ラグビー場で行われたパナソニック-ヤマハ発動機は、パナソニックが立ち上がりの15分で3トライを奪う抜群の集中力で勝利に大きく近づいた。試合後の記者会見で、「後半勝負と踏んでいたのに…」と唇を噛んだのはヤマハ発動機の清宮克幸監督。「みんなソニー ビル・ウィリアムズ(SBW)の顔ばかり見ていた」と、相手のキーマンを自由に動かしたことを悔やんだ。

 スターのチャンスメイクを仕上げたのはWTB山田章仁だ。絶妙のパスに反応して先制トライを決めるなど、立ち上がりの3トライにすべて絡む(後半31分にも1トライを追加し今季11トライ/リーグトップ)。ヤマハ発動機も諦めることなく中盤に踏ん張り、一時は7点差まで追いかけたが、先制パンチのダメージは拭いきれず18-35と届かなかった。

 秩父宮ラグビー場での第2試合、リコー-NECも、先制パンチが効いた。リコーは開始1分にWTB小松大祐主将がトライを奪うと勢いづく。36-19の快勝を呼んだ。

 瑞穂ラグビー場で開催されたトヨタ自動車-サントリーは、SOスティーブン・ブレットらの活躍で、後半20分過ぎまでリードしたのはトヨタ自動車(17-13)。しかしサントリーは、100トライに迫っているWTB小野澤宏時の逆転トライを機に加速。それでももつれた試合は、25-22でサントリーの辛勝だった。

 花園ラグビー場での神戸製鋼-九州電力、近鉄-NTTドコモは、それぞれ70-24、59-7と大差に。神戸製鋼CTBジャック・フーリーが3トライを決め、近鉄ではFLタウファ統悦が4トライと荒稼ぎした。

パナソニックは35-18でヤマハに快勝(写真は先制トライを奪うなど活躍したWTB山田)
photo by Hiroyuki Nagaoka (RJP)

(text by Kazuhiro Tamura)

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