[2月8日、トヨタ自動車 - 近鉄、ヤマハ発動機 - NEC 大阪・近鉄花園ラグビー場]
日本選手権出場権を獲得するのはどのチーム?
コカ・コーラW残留か、三菱重工相模原が昇格か
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FBで起用されているイェーツのカウンター攻撃能力もトヨタ自動車快進撃の要因のひとつに |
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グループBから唯一2回戦に勝ち上がった近鉄。日本選手権への下克上なるか(写真は3戦連続先発のCTB吉川) |
2月8日、大阪・近鉄花園ラグビー場でワイルドカードトーナメント2回戦2試合が行われる。
1日に行われた同1回戦を経て2回戦に勝ち上がったのは、ヤマハ発動機ジュビロ(リーグ戦5位)、トヨタ自動車ヴェルブリッツ(同6位)、NECグリーンロケッツ(同8位)、近鉄ライナーズ(同10位)。
あと一歩で4強に届かなかったヤマハ発動機を筆頭に、実力的にはプレーオフトーナメントに出場していてもおかしくないチームばかりが揃った2回戦はトヨタ自動車対近鉄(12:00 KO)、ヤマハ発動機 - NEC(14:05 KO)の対戦カードで行われる。
“4強”組との対戦が続いたセカンドステージ序盤戦で4連敗した後、同後半戦では3連勝。
リコーブラックラムズを攻守に圧倒したワイルドカード1回戦も含めて4連勝中と、現在最も勢いに乗るチームのひとつがトヨタ自動車だ。
リコー神鳥裕之監督が「完敗」と脱帽したブレイクダウンで本来の力強さを取り戻していることに加えて、セカンドステージ5節以来、指令塔に固定されているSO文字隆也のソリッドなゲームメイクが、チームに勢いを与えている。
4年目にして10番をしっかり自分のものにした文字のプレーぶりに関しては、同じポジション出身で元日本代表でもある廣瀬佳司監督も「リーダーシップもあるし、しっかりしたゲームをしてくれている」と、高く評価。
文字がSOに定着できたことで、スティーブン・イェーツがFBとして先発できる点もアタックの幅を広げる結果につながっている。
対する近鉄はセカンドステージのグループBから唯一2回戦に勝ち上がったチーム。
「アタックではまだミスが多くて継続できていないが、ブレイクダウンでファイトを感じる」と、前田隆介監督が語るとおり、こちらもコンタクトエリアで前に出られるようになっている点がシーズン終盤戦での好成績(=セカンドステージ以降8戦して6勝2敗)につながっている。
リーグ戦最終節を欠場した大黒柱のSO重光泰昌もワイルドカードT1回戦では1トライ/5ゴール/2PG/の計21点をひとりで挙げる大活躍で完全復活をアピール。
前述のとおり、共にコンタクトエリアを制しながら勝ち上がってきたチーム同士だけに、まずはセットプレーやブレイクダウンでどちらが優勢に戦えるかがキーとなる。
レギュラーシーズン中はお互いDF面で波があったのも事実。両チームとも一気にトライを取り切る能力が高いだけに、相手ミスに乗じて得点を重ねた方が一気に勝負を決める可能性もある。
ファーストステージ、セカンドステージ共に異なるプール/グループで戦ったため、両者の対戦は今季初。
昨シーズンの対戦では18-10でトヨタ自動車が勝利を収めている。
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1年5ヵ月ぶりに先発復帰を果たしたSH矢富はヤマハ発動機を日本選手権に導けるか |
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ヤマハ発動機の強力FWと対等以上に戦えるかがミラクルNEC再現なるかのポイントに(写真はFLラトゥ) |
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DFで粘りWTBウィリアムズの決定力を生かしてTL昇格を勝ち取りたい三菱重工相模原 |
続く第2試合は、セカンドステージ最終節で王者サントリーサンゴリアスをあと一歩のところまで追い詰めながら惜しくもプレーオフに届かなかったヤマハ発動機と、ファーストステージでサントリーを破ったものの、セカンドステージではまさかの全敗に終わったNECの対戦。
モチベーションやチーム状態を心配する声もあったが、共にワイルドカードT1回戦では快勝を収めて、日本選手権出場に王手をかけた。
「セットプレーで自分たちのリズムが作れた」(FL三村勇飛丸主将)というヤマハ発動機は、豊田自動織機シャトルズに対して、攻めては6トライを奪って46得点を挙げ、守っても1点も相手に与えない完璧な内容。
清宮監督が「スーパーブーツ」と呼ぶ、FB五郎丸歩という絶対的な存在のキッカーを持っていることに加えて、1回戦ではレギュラーシーズン中は途中出場に甘んじていたSH矢富勇毅が先発復帰し、攻撃面でのバリエーションは明らかに増えている。
レギュラーシーズンを盛り上げた実力が本物であることを証明するためにも、日本選手権でのリベンジに燃えている。
前述のとおり、NECはセカンドステージでまさかの全敗。ファーストステージ最終節のトヨタ自動車戦も含めて泥沼の8連敗が続いていたが、ワイルドカード1回戦ではセカンドステージのグループBで1位となったクボタスピアーズから6トライを奪う快勝(47-10)で復調ぶりをアピールした。
練習試合とはいえ、1月25日には王者サントリーを24-19で破ってもいるだけにチーム状態は上向きでポストレギュラーシーズンに突入しているのは間違いないところ。
「サントリーに勝って、勢いが出た」(LO/FL浅野良太主将)というNECは元々勝ち抜きトーナメント戦に強い歴史を持っているチームでもあり、日本選手権を制した05、06年、そしてワイルドカードTから日本選手権準決勝まで勝ち進んだ10年の“ミラクルNEC”の再現を狙っている。
レギュラーシーズン(12月21日=セカンドステージ第4節)の対戦では40-26でヤマハ発動機が勝利を収めている。
また、同日には福岡・レベルファイブスタジアムでコカ・コーラウエストレッドスパークス(トップリーグ14位)と三菱重工相模原ダイナボアーズ(トップチャレンジ1 3位)による入替戦も行われる。
シーズンを通してトップリーグで厳しい戦いを続けてきた、地元コカ・コーラウエストに分があるのは確かだが、チャレンジャーの三菱重工相模原としては粘り強いDFでロースコアの戦いに持ち込み、切り札のWTBシェーン・ウィリアムズの決定力に賭けたいところ。
昨季のトップチャレンジ1の対戦ではコカ・コーラウエストが26-22で三菱重工相模原を退けている。
(text by Kenji Demura)