トップリーグ2014_2015特集 TOPプレビュー & TOPレビュー

こちらでは次節の各試合の見どころ、そして試合結果のサマリーと全体のレビューを、トップリーグ観戦をより楽しく、より興味深いものにしていただけるよう、毎週掲載していきます。

トップリーグオールスター(3/8)

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試合結果

開催日 Kick Off Host   Visitor 会場
3/8(日) 13:00 FOR ALL ORANGE 48-39 FOR ALL GREEN 長良川

速報サマリー

史上2番目の入場者を集める大盛況
MVPは五郎丸。引退表明選手も活躍

引退する箕内、西浦、遠藤の3選手を中央に記念写真に収まる出場選手たち。普段の試合とは違うリラックスした雰囲気の中、ラグビーの素晴らしさを伝えるイベントとなった
photo by Kenji Demura (RJP)

8日、岐阜・岐阜メモリアルセンター長良川競技場で「トップリーグオールスター『FOR ALL チャリティーマッチ2015』 in岐阜 supported by バローグループ」が行われた。

2月1日のLIXIL CUP 2015ファイナルから1ヶ月強。同28日には日本選手権決勝戦も終わり、トップリーグ所属チームの2014-15年シーズン公式試合全日程が終了した状況で行われたオールスター戦。
2年ぶり6度目となる今回は、東海地方を中心にスーパーマーケットやホームセンター、ペットショップなどをチェーンストア経営に基づいて運営しているバローグループに特別協賛をいただく形での開催となった。
「社名のバローは英語で『勇気ある者』という意味を持つ。この『勇気』という言葉が一番ふさわしいスポーツはラグビーである。ラグビーが持つ『ONE FOR ALL, ALL FOR ONE』のスピリッツは弊社グループの理念に共通するところが多い。今回のオールスターの開催を通じて、岐阜県内のラグビーがさらに盛り上がり、地域がさらに元気になってくれることを望んでいます」(株式会社バロー代表取締役社長 田代 正美氏)
そんな理念が通じた面も多かったのだろう。

快晴に恵まれた岐阜メモリアルセンター長良川競技場にはトップリーグオールスターとしては歴代2位の5,382人の大観衆が集まった。
今回のオールスターのチーム分けはファーストステージにおけるプールA対プールB。
パナソニック ワイルドナイツ、東芝ブレイブルーパス、ヤマハ発動機ジュビロ、NTTコミュニケーションズシャイニングアークス、クボタスピアーズ、NECグリーンロケッツ、豊田自動織機シャトルズ、宗像サニックスブルースのプールA組が「FOR ALL ORANGE」。
神戸製鋼コベルコスティーラーズ、サントリーサンゴリアス、キヤノンイーグルス、トヨタ自動車ヴェルブリッツ、近鉄ライナーズ、リコーブラックラムズ、コカ・コーラレッドスパークス、NTTドコモレッドハリケーンズのプールB組が「FOR ALL GREEN」。

「両チームともよくボール動かして、いい試合になった」
FOR ALL GREENの廣瀬佳司監督の言葉通り、キックオフ直後から、普段のガチンコ勝負とはひと味違った“魅せるプレー”も多く見られた内容に観客席は大いに沸いた。

中でも、影のMVPとも言えるエンターテイナーぶりを見せたのが、FOR ALL ORANGEのPR瀧澤直。
双方が1トライ、1ゴールを決めた後の前半12分、勝敗にこだわる姿勢を見せたFOR ALL ORANGEのFB五郎丸歩がPGを狙おうとしたところに現れて、日本代表のプレースキッカーでもある先輩FBからボールを取り上げて、自らキック。「自分のルーティンがある」という五郎丸のゴールキック時の動きを真似たパフォーマンスから蹴り出された楕円球は見事にゴールポスト中央に吸い込まれていった。

その後も比較的簡単なゴールキックの際に現れては偽・五郎丸を演じた瀧澤は2ゴールを成功させ(2ゴールは失敗)、その度ごとに客席を盛り上げた。ただ、本人は「自分のプレーで盛り上げたいです」という本音も。

一方、真似された五郎丸も負けていられないとばかりに、ゴールキックをあえてハーフウェイ地点まで下げての50mキックを決めた。

「普段と違う触れ合い方をファンとできる
貴重な機会」(和田キャプテン会議代表)

そして、今季での引退を表明した2人の元日本代表選手が出場した際の盛り上がり方は“本物対偽物”五郎丸キック対決よりも上だったかもしれない。
後半10分にPR西浦達吉が、同28分にはWTB遠藤幸佑が、それぞれ途中出場。
共に現役最後のトライも決めるなど、精一杯のプレーを見せて、ファン、そして仲間の選手たちなどから温かい祝福を受けた。

「自分の中で体力と気力がうまく噛み合わなくなってきている」のを感じて引退する決断に至ったという西浦にとって、トップリーグ101試合出場を果たしながら、とうとう1個も記録することのなかったトライを最後に奪ってみせるという記念すべき試合にもなった。「今日は最初からトライを取ってやろうと思っていたんですけど、トップリーグ101試合出ていて1トライもしてないし、やっぱりなかなか取れなくて(苦笑)。でも、最後はみんなが取らせてくれた。ラグビーをやってきて、本当に周りの人に恵まれてここまでやって来られたというのを改めて感じました。僕の中でのトライはダイビングして取るものだったので最後はイメージ通りでした」

一方、13年12月に負った右膝の大けがからの復帰を目指していた遠藤は「いまでもまだ決断は出来ていない」と正直な気持ちも吐露しながらも、本来は支障なく日常生活を送ることすら難しい状況から、この日プレーするところまで回復できたことに対する充実感も得てのラストステージとなった。
「本当は本気のバチバチをやりたかった。でも、映画『ロッキー・ザ・ファイナル』みたいに、引退試合に向けてしっかり準備して、今日全部出し切るつもりでやってきて、ここまで出来たので、今は悔いはないです。今回のことが僕の自信に繋がったというのもあるし、(まだまだ続くリハビリなど)これから今まで以上にキツくなるのかもしれないけど、立ち向かっていけるんじゃないかという気がしています」

試合は瀧澤と五郎丸がキックを競い合ったFOR ALL ORANGEが48-39で勝利。
MVPは瀧澤を抑えて(?)五郎丸が獲得し、副賞の「飛騨牛 A5ロース肉10kg」(バローグループ提供)、「スシロー:オスシ1000皿分」(あきんどスシロー提供)などを獲得した。

もちろん試合だけではなく、場内外で多くのイベントが行われるのもオールスターの特徴。
キャプテン会議メンバーによる学校訪問やラグビークリニック、豊田自動織機シャトルズによるタグラグビー体験会、ハーフタイムには前記の2人と今季での引退を表明した元日本代表NO8箕内拓郎などによるトークショーなどが行われる一方、トップリーグ各チームが貴重なお宝グッズなどを出品した「TLチャリティオークション」、「TLチャリティガレージセール」もファンの熱気であふれかえっていた。

「たくさんのお客さんに見てもらえて、喜んでいただけたのを嬉しく思っていますし、僕ら自身にとっても普段と違う触れ合い方をファンの方と出来るので凄く良い機会。こういう機会をどんどん増やしていって、質の面でも高めていければ、色んな貢献活動ができるのでは」(和田拓 キャプテン会議代表)

間違いなく選手とファンの距離を一段と縮める機会となった「トップリーグオールスター『FOR ALL チャリティーマッチ2015』 in岐阜 supported by バローグループ」。大会収益の一部は、東日本大震災の被災地復興支援および岐阜県の「清流の国ぎふ」づくりへの支援に役立てられることになる。

(text by Kenji Demura)

晴天の下、歴代2位の5,382人の熱心なファンが詰めかけて2014-15シーズンを締めるに相応しい華やいだ雰囲気が満ちあふれた
photo by Kenji Demura (RJP)

“偽・五郎丸”パフォーマンスで客席を盛り上げたPR瀧澤だったが、苦労の甲斐なく(?)MVPは“本物”の手に渡ることに
photo by Kenji Demura (RJP)

今季での引退を発表しているPR西浦は記念すべきTL初トライも記録。「僕の中でのトライはダイビングして取るもの。イメージどおり」
photo by Kenji Demura (RJP)

右ひざの大ケガからの復帰を目指してきたWTB遠藤も後半32分にピッチへ。「全部出し切るつもりで準備してきた」と引退後につながるプレーで有終の美
photo by Kenji Demura (RJP)

試合終了後の引退選手セレモニーでは、元日本代表NO8箕内主将を出場メンバーが胴上げするシーンも
photo by Kenji Demura (RJP)

50mゴールを決めてMVPに輝いたFB五郎丸。「飛騨牛 A5ロース肉 10kG」(バローグループ)、「お寿司1000皿分」(あきんどスシロー)など副賞の使い途は…
photo by Kenji Demura (RJP)

MVP以外の出場選手にもチャリティーマッチ出場選手賞の「スシローお食事券」が贈呈された
photo by Kenji Demura (RJP)

トップリーグ各チーム、選手からのお宝グッズが提供されたチャリティーオークションもファンの熱気で溢れかえっていた
photo by Kenji Demura (RJP)

ミニ・ジュニアラグビークリニックで子どもたちと戯れるキャプテン会議の和田代表。「もっといろんな貢献ができるはず」
photo by Kenji Demura (RJP)

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