1節 マッチ&会見リポート(東芝 17-10 NEC)

予報では夜遅くまで雨となっていた国立競技場は、キックオフまで1時間ほどの時点で、開幕を祝ってくれるかのように雨は止み、日没のまぎわ、ほんのり空が明るくもなった。

東芝ブレイブルーパス 17-10 NECグリーンロケッツ
国歌を独唱する麻倉未稀さん
9月1日、ジャパンラグビー トップリーグ 2006-2007は、15,000人を超える観客が見守るなか、東芝ブレイブルーパスとNECグリーンロケッツの対戦で幕を開けた。キックオフ前、和太鼓が奏でられ、森・日本協会会長が開幕宣言。対戦する東芝・NEC両社長によるペナント交換などのセレモニーがあり、そして国歌独唱は麻倉未稀さん。舞台は整った。

ディフェンディング・チャンピオンの東芝ブレイブルーパスのキックオフで始まった試合は序盤、ディフェンスの攻防が続く。接点では東芝ブレイブルーパスがやや上回っている印象があり、NECグリーンロケッツはチャンスをミスでつぶしてしまう。そんななか、NEC陣に攻め込んだ東芝は、この日スタンドオフに抜擢された吉田大樹選手がゴールポストの中央付近に小さくキック、それを自ら押さえてトライ。コンバージョンも決まり7-0とする。東芝はさらに22分にペナルティゴールを成功させ、10-0。
なんとか挽回したいNECは、ヤコ・ファン・デル・ヴェストハイゼンを投入。スタンドからは歓声が大きく上がったが、たしかにヤコ選手のロングキック、パスワークなどでNECの動きがよくなった。前半の残り10分あまりはNECが主導権を握り、1ペナルティゴールを返した。

華やかなチアリーディング、そして麻倉未稀さんのHERO熱唱で短く感じられたハーフタイムをはさみ、後半。NECも踏ん張るが、12分、東芝得意のモール攻撃。日本国籍を取得し名前も変わったルアタンギ・侍バツベイ選手がトライ。コンバージョンも決まり17-3に。後半も40分を過ぎ、東芝が敵陣に攻め込み、これでノーサイドかと思われた。が、東芝の外へのパスがワンバウンド。鋭く前に出ていたNECの窪田選手がボールを拾い、一気に相手ゴールラインまで走り切った。ヤコ選手が角度のあるコンバージョンも決め、17-10とした。
東芝ブレイブルーパス 17-10 NECグリーンロケッツ   東芝ブレイブルーパス 17-10 NECグリーンロケッツ   東芝ブレイブルーパス 17-10 NECグリーンロケッツ  

NECグリーンロケッツ

NECグリーンロケッツの高岩監督(左)、浅野キャプテン
NECグリーンロケッツの高岩監督(左)、浅野キャプテン

東芝ブレイブルーパス 17-10 NECグリーンロケッツ

◎NECグリーンロケッツ
○高岩映善監督

「チームの調整がなかなか進まない状況で開幕戦を迎えましたが、まず、開幕戦を盛り上げようということで、だいぶ前から準備をし、たくさんの方に応援に来ていただきました。会社や関係者に感謝しています。
それに応えようと選手も一生懸命やりましたが、攻撃するチャンスがなかなかつくれず、ミスや反則も多かった。ただ接点、ディフェンスでは決して東芝さんに負けてはいなかった」

○浅野良太キャプテン
「トップリーグ開幕にあたり、会社関係の方にたくさん来ていただいて感謝しています。
内容としては、やはりブレイクダウンでの反則(の多さ)ですよね。それをゲーム中に修正しきれなかった。あと前半、最初に敵陣に入ったときに3点でもとっておきたかった。
ただ最終的に勝ち点1がとれた。次節以降の戦いにいい影響のある1点だと思います」

――具体的に修正点は。
○高岩監督
「大きなことではないんです。たとえばスクラムからの球出しの速さだとか二次攻撃への動きの速さ。そのへんのリズムですね」

――ヤコ・ファン・デル・ヴェストハイゼン選手の投入は予定より早かった?
○高岩監督
「ずっと敵陣に行けない状況で、チーム全体、特にフォワードがイライラしていた。それを変えたかった」

――両チームともハンドリングエラーが多かった。
○浅野キャプテン
「グラウンドは滑らなかったが、ボールがとても滑りやすかったです。芝の水分を吸っていたからだと思います。だからパスの距離を短くする、パスを回す回数を少なくするという対処はできますが、リップ、ガットなど細いつなぎの部分のミスが多かったですね」
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東芝ブレイブルーパス

東芝ブレイブルーパスの薫田監督(左)、冨岡キャプテン
東芝ブレイブルーパスの薫田監督(左)、冨岡キャプテン


◎東芝ブレイブルーパス
○薫田真広監督

「正直、ほっとしてます。それといろいろな選手を試してきたスタンドオフも先が見えてきた。
当初、暑いと思っていたが、それほどでもなく、バツベイが80分もったことも大きい」

○冨岡鉄平キャプテン
「ほっとしてます。マクラウドと吉田大樹をスタンドオフに入れたほうが、これまでにない形をつくっていけるんじゃないかなと、これは面白いラグビーができるなと試合中に思いました。
NECという強いチームに勝って反省ができることが大きいです」

――ディフェンスに関しての評価は。
○薫田監督
「(プレシーズンマッチの)サントリー戦とはちがって、メンバーがそろいました。NECのメンバーをみて、切られるとしたらフォワード周辺だろうと。それとNECはキックが多いチームですから、そこからのラインアウト。結果として面としては切られていないので満足しています」

――スタンドオフの起用については。
○薫田監督
「ひとつにはNECがキックが多く、安藤・武井・ヤコなどに蹴り負けないことを考えました。それでうちには廣瀬がいますが、その次の吉田(大樹)ということで用意しました。それと仕掛けられる選手、ゲインラインの攻防という点で、吉田とあとマクラウドの2枚となりました」

――終了間際、ペナルティゴールのチャンスがあったが。
○冨岡キャプテン
「(勝ち点の)5ポイントを取ろうと思っていたので、トライを狙いました。それにトライを取られない自信もありました。最後にトライされたのはうちのミスですが」

――2つのトライについて説明を。
○薫田監督
「初めの吉田大樹のトライは、相手のFBの武井選手が、外側にポジションをとるということで、ゴール下を狙いました。インゴールに入れないような、中央へのキックが有効であろうと、ゲームプランに入っていたものです。
2つめのバツベイについては、思った以上にボールが滑るということでしたので(モールという)得意なかたちでいきました」

――年齢も若く経験も浅い吉田大樹選手を開幕戦で使うことに不安はなかった?
○冨岡キャプテン
「昨年は、吉田朋生・廣瀬という若い選手がチームに力をくれました。今年は吉田大樹。1年目から努力してきて、筋力もアップし、信頼もあるし、こういう選手が出てきてくれたらチームは強くなるなあと感じていました。はっきりいって、今日は彼のトライで勝てました。今日は彼の日です」

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