今季のトップリーグで最も注目されることになった対戦は、東芝ブレイブルーパスが1ゴールの差でサントリーサンゴリアスを破り、首位を守った。
足をとられるピッチ、スクラムから立ち昇る湯気、滑って手につかないボール。味の素スタジアムで行われた府中ダービーは、あいにくの雨中戦となった。前半はセットプレーで安定しているサントリーFWがブレイクダウンでも優位に立ち、その分東芝FWの反則が目立つ展開。それでも先制したのは東芝。23分、モールでのターンオーバーからすかさず外へ展開、この日はWTBに入った吉田に渡りトライ。CTBマクラウドやFB立川らが好機を逃さずオーバーラップを作り出した。これに対しサントリーは30分過ぎから敵陣で得たFKやPKでスクラムを選択して攻め続け、38分、右サイドのスクラムからSO菅藤が左コーナーへキックパス、これをWTB小野澤主将がインゴールでダイビングキャッチ。サントリーがこのトライで同点に追いつき前半を終えた。
チームW&Xによるハーフタイムパフォーマンス(チア)が終り(試合前には東京外語大のチアリーディングもあった)、やや空が明るく雨も小降りになったところで後半開始。後半先制したのはサントリー。11分、ゴール前モールからNO8佐々木がブラインドを突き、一度は倒されながらもグラウンディング。サントリーはFB有賀が安定したフィールディングと粘り強さを見せ、CTBニコラスは再三ディフェンスの裏を突くキックを使った。東芝はSH吉田のパスが不安定でSOからのキックも精度を欠いたためチャンスが作れない。しかし20分過ぎから東芝FWの圧力が強まり、今度はサントリーFWが反則の繰り返しでゼブラカード。そしてついに26分、東芝はモールを押し込みトライ、吉田がゴールを決めて逆転し、そのまま逃げ切った。
サントリーにとってはPGとゴール2つずつの失敗は痛かったが、トライ数:2対2という見応えのある首位攻防戦であった。
雨の中、府中RSと八王子RSのボールボーイ達もご苦労様でした。また、試合前には2月24日・25日に行なわれるサントリーカップ第3回全国小学生タグラグビー選手権大会 東京都予選大会が行なわれた。冷たい雨が降る中なので慶応義塾幼稚舎Aチームは学校の許可が下りず、48チームの代表は3チームの変則トーナメントで行われた。優勝は白小フェニックス、そして一敗してしまったのは本町田東小レッドスターズ、はねだトライアタックであった。(米田太郎)
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清宮監督(右)、小野澤ゲームキャプテン |
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東芝ブレイブルーパス 12-10 サントリーサンゴリアス(1月6日)
◎サントリーサンゴリアス
○清宮克幸監督 「トップリーグの1位通過を決める試合で、雨の中、おいでくださったお客様の期待に応える試合だったと思います。東芝さんはシーズン最初から掲げた目標で、今シーズン、3回試合ができるはずであろう相手です。サントリーの成長を証明する相手でもあります。この悪天候でのゲームでお互いに持つものを出し合った、非常に内容のある試合でした。3回試合すれば、ともに全勝するチームではないと言っておきます。
今日は東芝さんに教えていただいたということで、次に勝てばチャンピオンですし、あと2試合勝つというベストのシナリオができたと思います。悔しいのはもちろんですが、自分の気持ちの整理を話しました(笑)。もう少し『たられば』がありましたが、選手たちはできることを全部やったかなと思います。天候は関係ないです。ゴール前ペナルティからのモールでレフリーとの解釈の違いがありました。こちらが妥当だと思うプレーをペナライズされましたが、そもそもゴール前でのあのエリアでペナルティを与えることが問題です。それよりお互いにモール偏重ではないこれからの日本のラグビーの一端を示せたのではないかと思います」
○小野澤宏時ゲームキャプテン 「えー、あの、非常に残念です‥‥。次、頑張ります。東芝さんとはシーズン前も何度も試合して、コンタクトの強さはターゲットにしていましたので、驚きとかはありませんでした。ただ、(この天候で)良い体勢で当たれず滑る部分がありました。もう少し、ステップが切れたらと思いますが、スパイク云々ではありません」
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薫田監督(右)、冨岡キャプテン
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◎東芝ブレイブルーパス
○薫田真広監督 「自分たちの一番強いところで勝負し、フィールドポジションをとることを目指しました。昨日、清宮監督、レフリーとプレマッチミーティングをして、清宮監督がこだわったのがドライビングモールでした。前半、そのためか非常に苦しみました。全般的にゲームを支配されていました。ラインブレイクされたところ、しっかり修正していきたいと思います。サントリーさんは想像以上に強いチームでした。もし、あと2回戦わせていただけるなら、かなりのことをしないと2連勝することは難しいという印象です。スタッフを含めてそういう準備をしないと危ないと思います。
悪天候は東芝以上にサントリーさんには嫌だったでしょう。たぶん、雨でなかったら外へ散らしたかっただろうと思います。小さいタックルミスが、東芝のほうに多く、裏に出られました。アタッキングスキルがサントリーさんは高かったと思います。
(清宮監督はベストのシナリオと言っていたが、という質問に苦笑しながら)僕はそういうのはあまり言いません(笑)。13試合のうちの1試合という位置づけです。次の三洋さんに勝って1位通過したい、その過程においてサントリーさんとやる機会があれば対応したいと思います」
○冨岡鉄平キャプテン
「今日の試合の前からの、府中市、協会、会社の応援に対し、一言感謝申し上げます。ありがとうございました。今日は勝たなくてはいけない試合で、結果を出せてよかったと思います。少し3位を引き離した2チームの試合でしたが、あいにく悪天候で、手もかじかんでボールも滑り、意図したラグビーができず、いつものプランを切り替えて特にボールが回らない試合のプランで試合を進めました。個人的にも勝利を意識してネガティブなプレーをしてチームに迷惑をかけてしまい、もっと強くリードしなければと反省しています。完全に接点で勝っていてもなかなかボールが回らない厳しい試合でした。
(サントリーのほうが滑っていたが、という質問に)サントリーさんのほうがステップワーク良いからではないですか?僕とかオトとかステップしないから(笑)」
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