1節 マッチ&会見リポート(神戸製鋼 36-21 NEC)

トップリーグ・花園開幕第一戦は、NECグリーンロケッツの先制トライで幕を開けた。神戸製鋼コベルコスティーラーズの安定しないスクラムに対して、NECは猛チャージで神鋼を圧倒する。序盤は、神鋼22m付近でのゲーム展開。
しかし、15分を過ぎた頃から神鋼10番ホラの動きが良くなり、バックスにボールがよく回るようになった。神鋼が初めて相手陣22mまで押し込んだチャンスを2番松原がトライの形にしたことで流れが変わった。NECの防御は決してゆるくはなかったが、神鋼は攻守の切り替えの反応がよく、ボールの展開が速くなった。神鋼はゴール前の浅い位置のスクラムから巧妙なタップパスを通し、14番小笠原が飛び込み逆転。その後バックスのスイッチプレーやきびしいタックルを振り切り13番今村のトライで得点を加え、完全に流れをつかんだかに見えた。しかしながら、NECは10番ヴェストハイゼンのパントキックをゴール前に落とし、こぼれ球の処理を誤った隙に2つ目のトライを取って、26-14とし後半につなげた。

後半に入って、NECは流れを取り戻すために展開したが少ない人数で密集を整理できず、攻めつつもボールを支配できない。神鋼もホラがDGを狙うが得点にはならない。お互いのイージーミスで攻守が変わるゲーム運びとなった。
NECは、神鋼の深いキックボールがデットラインの前で止まった際、選手が外からボールを広いあげ「ドロップアウト」ではなく「キック位置でのスクラム」を選択するルールを熟知した頭脳プレーも見せた。またゴール前に落ちる巧妙なキックパスを受け取ったが惜しくもタッチを割ってしまった。
神鋼は、後半11分と28分の2回、危険なタックルでシンビンを受けながらも、後半開始直後に負傷で代わった22番濱島が2つトライを決めるなど、その影響を感じさせなかった。2つのトライの内の1つは10番ホラが狙ったDGがゴールポストにあたり、跳ね返りを、忠実に走り込んで来た濱島が拾い押さえたものだった。
終了前、NEC15番武井がステップで神鋼のラインを割って前進するなど健闘を見せ、18番二リ・ラトゥが1トライを返すもボーナスポイントには届かなかった。これでトップリーグでの両者の対戦成績は神鋼2勝・NEC3勝。NECは4連勝できなかった。(長澤孝哉)
動きを取り戻した神鋼ホラ   DFの壁を崩すNECマーシュ
動きを取り戻した神鋼ホラ DFの壁を崩すNECマーシュ

C:2007, JRFU(Photo by A. HASEGAWA)

NECグリーンロケッツ
細谷監督(右)、浅野キャプテン
細谷監督(右)、浅野キャプテン

神戸製鋼コベルコスティーラーズ 36-21 NECグリーンロケッツ(10月28日)

◎NECグリーンロケッツ
○細谷監督

「今日のゲームは接点で神戸のペースになってしまった。ディフェンス、アタックのイージーミスからのトライで相手に流れを与えてしまった、まずはこれに尽きる」

○浅野キャプテン
「開幕に向けてターゲットにしていた神戸戦…なんとか勝ちたかったゲームだった。非常に悔しい、負けることは考えていなかった。
最初に簡単にトライをいい形で取ったが、その後に相手陣でコツコツとPGで積み重ねる選択もあったが、昨年のようにボーナス点を取れなかった問題点もあり今日のゲームはトライにこだわった。
次のゲームまで5日間しかない、この5日間でNECの強さを出せるよう、今日のゲームを良いステップにしたい」

――ブレイクダウンでのゴール前で何度もターンオーバーされたのは?
○細谷監督
「神戸はラックでの攻防で人数をかけてくるし、寄りも早い。こちらは少ない人数でボールを出すプランでそこのファイトで負けてしまった。リリースはできるがそのボールを出すまでの過程でうまくいかなかった、その点を修正したい」

――箕内をリザーブにしたのは?
○細谷監督
「ワールドカップでのケガの状態もあるが、箕内の持っていないスピード、前半はこれで突破していこうというプラン、またヤコに対するプレッシャーを考えればSO経験者を2枚そろえて、相手陣で戦うことを意図した」


隙を突くNECヤコ   神鋼後半トライへ濱島
隙を突くNECヤコ 神鋼後半トライへ濱島
神戸製鋼コベルコスティーラーズ

平尾総監督(左)、後藤キャプテン
平尾総監督(左)、後藤キャプテン


◎神戸製鋼コベルコスティーラーズ
○平尾総監督

「初戦ということで勝ちたかったゲーム、5ポイント取れていい滑り出しができた。内容はまだまだだが、気迫、気持ちのこもったゲームで、特にディフェンスでほころびることのないゲームだった。FWが頑張ってくれて、ラックで負けずに押し返し、取り返すことができた。今季は春先にけが人が少なく、体をぶつけ合う練習ができたが、一つの成果が出たと思う、今シーズンを戦う上で明るい材料が見えたゲームだった。
プレシーズンマッチでサントリーにボロボロに負けたが、今日の試合からが選手の成長の過程で、地ならしし、積み上げていく、いわば醸成していく。これからまだ伸び代が期待できるし、若手の出場活躍も期待できる。次のゲームを楽しみにむかえることができる」

○後藤キャプテン
「FWの頑張りにつきると思う。東芝VSサントリーのいいゲームを見せてもらった、日本一のいいゲームだと思う。我々がそこへ到達するにはこれを超えなければならない。全員が80分を切れることなく意識付けられた。これをベースに、これを底と位置づけて積み上げていきたい」

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