5節 マッチ&会見リポート(日本IBM 23-12 福岡サニックス)

今季これまで勝ち星に恵まれていなかった日本IBMビッグブルーが、NO8フィリピーネの活躍などで福岡サニックスブルースを後半に逆転、今季初勝利をあげた。

勝利に飢えたIBMは開始直後から好タックルを連発、3分にはサニックスSOヴァレンスの突破をトイメンのSO加瀬が倒したラックでターンオーバー。フィリピーネが持ち出し、最後はSO加瀬がトライして幸先よいスタートを切った。ところが、その直後のキックオフリスタートでボールを確保しながらも加瀬のキックがチャージダウンされ、サニックスにトライを返されてしまう。その後もサニックスFWにプレッシャーをかけられ、地域的にも劣勢、さらに9分にもラインアウトモールからトライされるなど前半は終始苦しい展開だった。

しかし、ハーフタイムに小学生から中学生のチアリーダー"ペップス"の可愛いパフォーマンスで元気をもらったIBMが再び盛り返していく。敵ゴール前の混戦でフィリピーネが踏ん張ってボールをキープ。最後はHO安江がポスト近くにトライし、ゴールも決めて試合を振り出しに戻した。8分にSH山中がPGを追加した後の18分、大きく勝利を引き寄せるトライが生まれた。敵陣22m付近のラックでFWがターンオーバー、またもフィリピーネが左サイドを突破し、オフロードパスを受けたWTB勝俣がインゴールへ持ち込んだ。さらに27分、この日も最後尾から正確なキックでチームを支えていたFB高主将のPGで11点差に広げ、終盤のサニックスの猛攻を粘り強いディフェンスで凌ぎ切り、念願の初勝利を手に入れた。

サニックスは前半、FWがセットプレーやブレイクダウンでも優位に立ち、元ニュージーランド7人制代表ヴァレンスが仕掛けてチャンスを作ったものの、反則が多く、最後までリズムに乗れなかった。後半ヴァレンスが退いてからはトライチャンスも遠のき、PG失敗も響いて無得点。この試合で勝ち点4をあげたIBMに順位でも迫られてしまったサニックスは次節、ホームアイランド九州(熊本)でNECを迎え撃つ。(米田太郎)
福岡サニックスブルース

藤井監督(右)、古賀キャプテン
藤井監督(右)、古賀キャプテン

日本IBMビッグブルー 23-12 福岡サニックスブルース(12月1日)

◎福岡サニックスブルース
○藤井雄一郎監督

「不用意な反則から相手のペースになり、なかなか前に出られなかったのが敗因です。前半、わりと簡単に前へ出られたが獲りきれなかったこと、レフリーとの解釈の違いで反則が重なったこと、ちょっとしたことからやられました」
――ゲームプランとハーフタイムの指示は?
「前半から攻撃して、後半はキックで前に出てディフェンスで勝負というプランでした。前半は、まずペナルティが多かったので少なくしようと言いましたが、なかなか機能できませんでした。やること、やることすべて裏目に出た感じです」

○古賀龍二キャプテン
「まず、敵陣ゴール前でミスが出たことと、後半の入りがすべてだったと思います」
――前半のペースは良かったが。
「密集地帯の反則でレフリーとのギャップがありました。ゴール前の集中力にも欠けました。そこで確実に行けなかったことが敗因です」
――ふだん見られないミスが出たが。
「全体的にゴール前であわてて、取り急いでいる感じがしました。皆が、行こう、行こうというところでミスが出ました。また、前半、もっとディフェンスが上がってくるかと思ったのですが、予想以上にプレッシャーがなくて、逆に後半は速いディフェンスをやられて、ゲーム中の修正が後手、後手になりました」


日本IBMビッグブルー

安藤ヘッドコーチ(右)、高主将
安藤ヘッドコーチ(右)、高キャプテン


◎日本IBMビッグブルー
○安藤裕樹ヘッドコーチ

「トップリーグ初勝利、正直、ほっとしています。22名の選手だけでなく、試合に出られなかった選手、スタッフに感謝したいと思います。まだ、8試合残っていますので、ひとつの通過点として、今日の勝ちに満足することなく、80分、自分たちのラグビーができるよう精進します」
――今日勝てたのは?
「正直、サニックスさんの出来が良くなかったと思います。ミスに助けられました。勝てたのが不思議です。前半は、ラインアウトが取れない、ミスが多い、ペナルティが多いなど悪い流れでしたが、後半、うちのペースがつかめました。ヤマハさんに勝ったサニックスさんですので、すごい力があります。チャレンジャーという気持ちで戦いました。」
――サニックスは前半と後半のディフェンスの速さの違いにとまどったそうだが。
「(キャプテンと顔を見合わせて)勘違いじゃないですか(笑)。高キャプテンがハーフタイムに、まず、基本をしっかりやろう、ディフェンスはいつもの自分たちのスタイルを貫こうと声を掛けてくれたので勢いが出たのだと思います」

○高忠伸キャプテン
「初めて秩父宮で勝ててほっとしています。新しい監督、スタッフに勝利をプレゼントできたのは選手冥利に尽きます。支えてくれたファンの皆様にも感謝したいと思います」
――勘違いが生じたわけは?
「後ろから見ていて、前半は一人一人の動きが硬かったし、フォワードの動きも悪かったので、その辺、ちょっと勘違いが生まれたのかなと思いますが」
――サンヨー戦と比べて。
「今日は、僕を筆頭に、個人の調子が悪いけれど、15人全員でカバーすることができました。今日はラインアウトの出来も良くなかったのですが、あきらめなかったり、得点できなくて満足していなかったり、選手がしっかりやってくれました」


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