7節 マッチ&会見リポート(神戸製鋼 14-31 サントリー)

神戸製鋼のキックオフで始まったゲームは、サントリーがモールを支配し、ゲームを優勢に進めるが、BKのハンドリングミスで攻めきれない。対する神戸製鋼は、ハイパントと素早いプレッシャーで活路を見出したいが、サントリーSO野村のキックで押し返され、ジワジワと自陣内に攻め入れられる。
FW戦を制するサントリーに、低いタックルで応戦する神戸製鋼だが、20分サントリー陣10m付近のラックからサントリーが展開、CTB平が抜け出すと、FB有賀→WTB小野澤とスペースを大きく使い、最後はリターンを貰ったSO野村が左中間にT(GK成功0-7)。一瞬攻めに迷いの出た神戸製鋼の間隙を突き、個々の突破力と走力で獲ったサントリー技ありのプレーであった。
これに対し、LOウイリスに合わせることで、ラインアウトに安定感が出てきた神戸製鋼は、徹底したハイパント攻撃を試みるも、その都度サントリーの堅守に跳ね返される。キックの応酬となった27分、神戸製鋼陣内22m付近から、タッチを狙った神戸製鋼SO森田のキックを有賀がチャージ、こぼれ球を小野澤が拾い、左隅にT(GK不成功0-12)。
徹底的なハイパント攻撃で、ほころびを狙う神戸製鋼に対し、無難にキックで対処するサントリー。34分ノータッチキックからのカウンターでチャンスをつかんだ神戸製鋼は、サントリーゴール前中央付近のラックから右展開、最後はライン参加していたNO.8伊藤がすり抜けT(GK成功7-12)。前節からの好調が続く、伊藤の効果的なランであった。ここからモールが前に出だした神戸製鋼を、我慢のDFでこらえるサントリーが前半を凌ぎハーフタイムとなった。

サントリーは、後半開始直後にラインアウトから右展開、CTBニコラスの突破をショートで受けたCTB平がT(GK成功7-19)。攻め手がなく後半もアップ&アンダーに固執せざるを得ない神戸製鋼、前節でもみせたSH後藤を起点とした効果的なカウンターアタックも、最後のツメが甘く、得点に結びつかない。BKラインに工夫も決定力もなく、HO松原、NO.8伊藤がBKラインに参加して突破できる状況に陥る。
60分、神戸製鋼陣内10mスクラムからSH田中が左にアタック、WTB小野澤につなぎ左中間にT(GK成功7-26)。点差が開いた時点でつなぐアタックを試みる神戸製鋼だったが、効果的な前進は結局アップ&アンダーとカウンターアタックでしかなく、1Tを返すものの、総合力で一枚上手のサントリーが、神戸製鋼を土俵下に叩き落したゲーム内容となった。(14-31)
。(廣島 治)
神戸製鋼コベルコスティーラーズ 14-31 サントリーサンゴリアス   神戸製鋼コベルコスティーラーズ 14-31 サントリーサンゴリアス

C:2007, JRFU(Photo by A. HASEGAWA)

神戸製鋼コベルコスティーラーズ

平尾総監督(左)、後藤キャプテン
平尾総監督(左)、後藤主将

神戸製鋼コベルコスティーラーズ 14-31 サントリーサンゴリアス(12月15日)

◎神戸製鋼コベルコスティーラーズ
○平尾誠二総監督

「結果は見ての通りです。ハイパント攻撃に徹したが、もうひと転がりしてくれませんでした。これがサントリーさんの厚みなのかと感じた。不用意なミスがゲーム展開を苦しくしてしまった。今後の課題としてしっかり受け止めていきたい。次戦も厳しいゲームになるので何とかしていきたいと思う」

○後藤翔太主将
「やれることはやったし、相手にもやりたいことをさせなかったと思う。しかし、この点数差が自力の差なのでしょう。この差を埋めないとサントリーさんをひっくり返すことはできない」

――森田選手の起用、ハイパント主体のゲームプランについて。
○平尾総監督
「相手がキック処理をミスする場面もいくつかあり、概ね狙い通りのゲーム展開だった。ゲームが早く動き出したときのディフェンスの甘さが出て残念だ」

――今季掲げている超攻撃的ラグビーと今日のゲームプランは一致しているものか。
○平尾総監督
「パスやモールといった地上戦もあれば、キックという空中戦もある。キックは攻撃的戦法のひとつだと思っている。キック主体の戦法でサントリーさんをあわてさせなければいけなかったのに、前半の不用意な失点からそれができなかったことが敗因だ」

――サントリーとの自力の差はどんなところにあると思いますか。
○後藤主将
「ボールキャリアー、ディフェンダーとなったときの個々の力の差だと思う。1対1で戦えばそんなに差はないと思うが、15人になると今日のゲームの得点差ほどの差があると思う。次に戦う機会があれば必ずひっくり返したい」

――リードされているにもかかわらず、前半終了時のホーンが鳴ったときにマイボールスクラムから積極的に攻撃をしかけなかったのはなぜか。
○後藤主将
「不用意な失点をする要素を取り除くべきだと思った。そのときはそう思った」

神戸製鋼コベルコスティーラーズ 14-31 サントリーサンゴリアス   神戸製鋼コベルコスティーラーズ 14-31 サントリーサンゴリアス

サントリーサンゴリアス

清宮監督(右)、山下キャプテン
清宮監督(右)、山下主将

◎サントリーサンゴリアス
○清宮克幸監督

「注目の一戦。しっかり準備してきた。来週のゲームも視野に入れ、このリーグ中盤が山場であると考えていたので今日のゲームはなんとしても勝ちたかった。長期のブランクあけのライアンだが、もっと活躍してほしかった。佐々木の怪我もあり、前に出るプレーヤーが少なかった。来週も同じようなメンバーになると思うが、いい反省材料をもらったと思っている。相手のキック攻撃に対してはうまく時間を使われたなという感じがする。キック戦法にも対処できるチームを作りたい。選手の1人がワールドカップでアルゼンチンと戦った相手チームの気持ちがよくわかったと言っていた」

○山下大悟主将
「自分は後半20分からの途中出場なので他の選手と感じ方の違いがあるかもしれないが、前半30分から後半20分ころまでやりたいことができず、うまく停滞させられたなと思います。5トライは不満です」

――やりたいことができなかった原因は何でしょう。
○山下主将
「ボールを動かし過ぎている。FWでもう少し固めてワンクッション入れてからBKに展開するようにゲームメイクすればもう少し点が取れたと思う」

――以前、監督は神鋼とサントリーが強くなければトップリーグは盛り上がらないと言っておられました。もっとがっぷり四つの試合を望んでいたのではないですか。
○清宮監督
「今年3度目の対戦でしたが過去2戦は神戸スタイルを貫いてうちの圧勝。チームとして同じ過ちを3度も犯してはいけない。だから神戸さんの選択は正しかったと思う。もし今日も神戸スタイルを貫き50点、60点のゲームになっていたらもっと批判されているだろう。神戸さんはもっと根本的なところでチーム力のアップを図るべきだろうと思う」

――ハイパント攻撃に対する対処はできていましたか。
○山下主将
「前半はインゴールにもハイパントを蹴りこんできた。ほんとうに勝ちたいんだという気持ちが伝わってきた。ミスもいくつかあったが有賀がよくやったと思う」
○清宮監督
「慣れていないからミスも多かった。慣れる必要性を感じた。練習したい。撃ち合いではうちのほうが上だろう。これでうちが負けていたなら称賛に値するゲームプランだったと思うが、結果はご覧の通り。そういう意味で結果がすべてだろう」

神戸製鋼コベルコスティーラーズ 14-31 サントリーサンゴリアス   神戸製鋼コベルコスティーラーズ 14-31 サントリーサンゴリアス

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