9節 マッチ&会見リポート(三菱重工相模原 15-39 リコー)

トップリーグ新年の第1試合、前節終了時点で勝点「5」13位のリコーブラックラムズに対するは、同じく勝点「3」14位の三菱重工相模原ダイナボアーズと、今季苦戦の続いている両チームの対戦カードとなった。
薄日は差すものの厳冬の中、熱心な両チームサポーターの声援を受け、三菱重工のキックオフで試合開始。

開始直後からリコーがペースをつかむ。先ずは前半5分、リコーはラインアウト後のモールから展開、SO武川がポスト下に飛び込み、ゴールも決まって7点を先制。続く9分にも武川の好タッチキックからゴール前に迫ったラインアウトモールを押し込み、FL相がサイドを突いて右隅にトライ。0-12とする。一方の三菱重工は12分にSH正田のPGで3-12とすると、その後は暫くリコー陣でゲームを支配し続けるもののスコアに繋がらない。逆に23分、リコーWTB小松が左タッチ際を、相手タックルをかいくぐりながら長駆50m近く走り抜いて左隅にトライ。武川が難しいGを決めて3-19と差を広げる。さらに30分、三菱重工陣10mライン付近の混戦から、またしても好スピードで走りこんだWTB小松が防御網を突破して左隅に連続トライを決め、前半で早々に4トライのボーナスポイント「1」を確保した。これに対し三菱重工は38分、相手陣右ゴール前のラインアウトから執拗な揺さぶりをかけ、最後はNo.8カスプロウィックスが縦を突いてトライ、SH正田のGも決まって10-24とし、後半の反撃に望みをつないだ。

後半に入ると空模様は快晴となり、両チームの意地のぶつかり合いがヒートアップする。膠着状態を破ったのはリコー、15分にゴール前のモールを押し込んで最後はFL伊藤主将のトライ。入替出場のSO河野がGを決め、10-31とする。後半15分過ぎからは両チーム次々と選手を入れ替える。リコーは相手をゴール前に釘付けにしつつもなかなか追加点が奪えないが、27分にSO河野が正面のPGを決め10-34。33分には三菱重工が相手ゴール前で得たPKからサインプレーを展開、縦を突いたWTB山崎が右中間にねじ込んで15-34とするが、反撃もここまで。36分にはリコーCTBロコツイの突破からFB小吹に繋いでダメ押しのトライを奪い、最終スコア15-39で、言わばサバイバル戦に入った試合をリコーが制した。

リコーはセットでの優位と相手チームに対する分析が功を奏したことに加え、伊藤主将の復帰により試合運びに安定感が戻った。残る4試合で古豪・名門チームの意地と底力をさらに発揮することを期待したい。
かたや三菱重工は残留がいよいよ厳しくなってきた観もあるが、リーグ終盤戦に向け、いま一段の奮起によりプレゼンスを示してもらいたい。(陶久)

三菱重工相模原 15-39 リコー   三菱重工相模原 15-39 リコー
黒いスティックで応援する観客の前でモールに耐えるリコー ラインアウトでも活躍の伊藤キャプテン

三菱重工相模原ダイナボアーズ

相良監督(右)、佐藤主将
相良監督(右)、佐藤キャプテン

三菱重工相模原ダイナボアーズ 15-39 リコーブラックラムズ(1月5日)

◎三菱重工相模原ダイナボアーズ
○相良(サガラ)南海夫監督

「今日は絶対勝たないといけない試合で、初勝利を目指しましたが力を出せず、相手の力を引き出してしまいました。残り4試合、1戦1戦、自分たちのラグビーを出していきたいと思います」

――敗因は?
「10分で2トライ獲られたのが大きかった。チャンスはイーブンか、むしろもしかしたらこちらのほうが多かったかもしれません。リコーさんにワンチャンスを生かされて、一方、こちらはラインアウトが取れなかったりしてチャンスをつぶしたのが痛かった。練習はしっかりやっているので、選手は責められないが、練習でやっていることを試合で出せない。もっと厳しいコンディショニングで選手に力を出させてやれない、こちらが悪いのかもしれません。とにかく(TLは)そんな場所だと思います」

○佐藤喬輔キャプテン
「初勝利を目指して臨んだのですが、率直に言って、リコーさんより足りない点が多くあってこの結果になったと感じています。当然、選手は80分諦めずに戦い抜いたので、それは誇りにしたいと思います。残留が危ぶまれる状況ですが、最後までもがいて、あがいて、足跡を残したいと思います」

――リコーの分析は?
「速い出足のBKラインのディフェンスは分かっていましたので、裏へのキック、すれ違いのアタックを考えていましたが、その前にリコーの伊藤鐘史キャプテンたちにうまく対応されて、FWでプレッシャーをかけられて球がうまく出せませんでした」


三菱重工相模原 15-39 リコー   三菱重工相模原 15-39 リコー
少ないラックからバックスへ 力強い突進は幾度か見られた

リコーブラックラムズ

佐藤監督(右)、伊藤キャプテン
佐藤監督(右)、伊藤キャプテン


◎リコーブラックラムズ
○佐藤寿晃監督

「うちとしては、強みであるFWを前面に出して戦おうと布陣を組みました。ある程度FWは頑張ってくれて、BKもきっちりトライを獲ってくれて、アタックに関しては良いゲームでした。エリアは後半、もたついたところもありましたし、ディフェンスではオーバーラップを作られていたので反省点です。次に向けて練習します」

――ゲームプランは変わったのか。
「春から、FWで前へ出てBKで仕留めることを目指してきましたが、上位チームにはFWで前へ出られず、ラインアウトも取れずでBKに回していたのが実情でした。春からやってきて、これからの相手には勝てると読んだとおりでした」

○伊藤鐘史キャプテン
「ご無沙汰しております。無事復帰できて何よりです(笑)。不調にもかかわらず、沢山の応援に来てくださった皆様にまず、感謝します。スクラム、ラインアウトとセットプレーが前半、機能して、敵陣に入れて得点できたのが良かったと思います。後半、もっと我慢するところで我慢できると良かったのですが。何より、5ポイント取れて相手に取らせなかったのが良かったと思います」

――ラインアウトを珍しく競って、奪ったが?
「2週間あったので、準備できたのと、三菱さんのディフェンスシステムも分析どおりスポットで来て、機能的に働いたと思います。自分が怪我している間に、外から見て、現場では気がつかないことに気づいて冷静になれたのも大きかったと思います。良い対応策を考え付きました。(佐藤監督が『もう1点は伊藤キャプテンが入ったこと』と割って入る)ありがとうございます(笑)。」
――後半、15mのモールトライは?
「あそこは前半からFWでプレッシャーをかけていた所で、トライを獲りたかったということで、前の8人は押し切ることで意思統一していました」


三菱重工相模原 15-39 リコー   三菱重工相模原 15-39 リコー
ゴール前の素早いラックからの球だしも頑丈なディフェンスが待ち受ける 再三、バックスへの展開を図ったのだが

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