11節 マッチ&会見リポート(三洋電機 40-10 ヤマハ)

三洋電機ワイルドナイツが地元サポーターの前で全勝を守り単独首位をキープした。
プレーオフ進出をかけて熾烈な混戦に突入したヤマハ発動機ジュビロとの対戦には2つのジンクスがあった。1つはリーグ発足以来、一度も勝利していないこと。もう1つは地元・太田でのホーム戦をトップリーグ5シーズン中、一度も負けていないこと。試合に対する強い意味合いをそれぞれが持ち、またともに信念を持って"ボールを動かす"ラグビーを志向する両チームの対戦に、4,156人のファンが太田市運動公園陸上競技場に詰めかけた。

期待の通り、どちらも果敢な攻撃を挑みディフェンスではよく粘りつづける好ゲームとなり、質の高いプレーは観客を魅了した。一進一退の攻防の中でBKで華麗に3本、FWでも力強く押し切って1本のトライ奪い、結果的に30点差をつけた三洋の強さは本物というしかない。三洋はこの勝利でマイクロソフトカップへの出場を確実にした。ヤマハは攻めながらのミスが悔やまれ、残り2試合に向けての修整に期待したい
。(群馬県協会・相澤)
ラインアウトからの早い球出しに勝機 ラグビーを楽しんだ三洋フィフティーン
ラインアウトからの早い球出しに勝機を見出したかったヤマハ バックスタンドには両軍サポーターが多数
ヤマハ発動機ジュビロ

堀川監督(左)、木曽キャプテン
堀川監督(左)、木曽キャプテン

三洋電機ワイルドナイツ 40-10 ヤマハ発動機ジュビロ(1月20日)

◎ヤマハ発動機ジュビロ
○堀川隆延監督

「今日は静岡からバス4台で応援に駆けつけてくれた大勢のファンの皆さんに感謝します。このような結果になって残念です。前半で自分たちのペースを作ることができず、アタックをしかけてもイージーなミスでつぶしてしまうという最悪のパターンになっていた。
今日の試合には自信を持って臨み、通用したプレーもあったので我々のラグビーが間違っているとは考えていない。残りの2試合にむけて、ブレイクダウンの精度を上げるなど我々が春からやってきたことをもう一度確認したい」

──どの部分で優位に戦うプランだったか?
「ブレイクダウンからの速い球出しがゲームの鍵になると考えた。5次・6次まで攻撃を重ねることで相手ディフェンスのほころびを作ってそこを突いていきたかったが、三洋の1人1人の激しい守りをこじ開けることができなかった」

○木曽キャプテン
「たくさんのサポーターが群馬まで来てくださったことに感謝します。
ヤマハらしくないミスを連発して自滅して自分たちの首を絞めてしまった。三洋の力が強かったことも事実だったが、パスミスなどのイージーなミスが多く自分たちでフラストレーションを溜めていってしまった。相手のプレッシャーが特に強かったとは思わない。ミスはあくまでヤマハの中の問題」

ラインアウトからの早い球出しに勝機 ラグビーを楽しんだ三洋フィフティーン
ラグビーを楽しんだ三洋フィフティーン 鋭いステップで初トライ・SH田中

激しい接点での攻防 攻守に素晴らしい仕事ぶり・PR相馬
激しい接点での攻防 攻守に素晴らしい仕事ぶり・PR相馬
三洋電機ワイルドナイツ

宮本監督(右)、榎本キャプテン
宮本監督(右)、榎本キャプテン


◎三洋電機ワイルドナイツ
○宮本勝文監督

「ヤマハは4強入りをかけて高いモチベーションで挑んでくることは分っていたので、それを我々が受けてしまったら危ないと思っていたが杞憂に終わった。プレッシャーのかかる中で選手たちは80分間果敢にプレーをしてくれたと思う。今シーズンのベストゲームといえる試合の一つとなった」

──プレーオフ一番乗りですが、残りの2戦では手の内を隠すようなことを考えるか?
「我々は隠すほどのものは持っていない。それはカタチにこだわっているわけではなく、つねに選手たちが判断してプレーをしているということ」
──"出来すぎ"という不安は?
「この後にポロっと負けるのが三洋らしい(笑)?
たとえ1位でもそれが優勝ではないので、我々には気負いはありません。格好をつけるわけではなく本音として言いますが、選手たちには好きなラグビーをできるという喜びを1試合1試合感じながら、いいラグビーをしてもらいたいと思っている」

○榎本淳平キャプテン
「ゲームに入る前に、チャレンジャーとして1歩ずつ前に出ようと話した。
自分たちはチャンピオンでも強いチームでもないので、泥臭く少しでも前に出ようと。今日はアタック、ディフェンスともに意思統一ができたと思う。個人的には、入社以来一度も勝利していないヤマハに勝ちたいという強いモチベーションを持って臨むことができた」

──ペナルティでショットを選ぶ手堅い選択と、自陣からもBKラインに回していくというアグレッシブな選択のバランスは?
「自分たちは先手先手を取っていきたいと考えているので、その場面場面において、信頼できるブラウンのキックを選び、また自分たちの持っている強いアタックを自信を持って選択した」
──後半12分のスクラムトライは、スクラムで行くと決めていた?
「ハーフタイム時に山本と相馬から"押せる"という感触を聞いていた。あのトライの前も相馬が"行ける"と言ったので完全にスクラムトライを狙っていった」

最後まで激しく守り続けたヤマハ
最後まで激しく守り続けたヤマハ

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