12節 マッチ&会見リポート(福岡サニックス 12-52 神戸製鋼)

雨の中での福岡ダービーで九州電力キューデンヴォルテクスに惜敗し、何とか勝ち点を取りにいきたい福岡サニックスブルースと、マイクロソフトカップへの出場を目指すためにも、元木、大畑、松原を欠きながらも是非5ポイントを獲得しておきたい神戸製鋼コベルコスティーラーズの対戦となった。
強風の秩父宮ラグビー場で、前半風下の福岡サニックスブルースは、最小点差でコベルコスティーラーズに食らいつき、後半に期待をかけたい所であったが、キックオフ早々から押し込まれ、前半3分に自陣ゴール前のラックからコベルコスティラーズCTB今村にインゴールへ運ばれ先制トライを奪われた。その後両チームとも互角の戦いとなり、今度は風下の中、サニックスブルースFL菅藤がコベルコスティラーズのミスボールを拾いそのままインゴールへ飛び込んだ。ゲーム展開はほぼ互角で、両チームとも風の影響かイージーミスが見られ、お互いに局面を打破できない状況だったが、コベルコスティラーズは前半32分にFL林が、40分にはベテランFB八ツ橋が連続トライをもぎ取り、5-19と引き離しハーフターイムとなった。

後半になり、ボーナスポイントまで後1トライとなったコベルコスティラーズは、後半開始早々からドライブが掛かり、3分にはフッカー村上、7分にはCTB高倉がトライし完全にゲームの主導権を握った。17分にはサニックスブルースのキックにカウンターを仕掛け約30mをNO.8ロンが個人技で走り抜きトライ。コベルコスティラーズは24分にもCTB大石が追加トライを取るが、サニックスブルースもSOヴァレンスの巧みなステップでトライを奪い返したものの、33分にコベルコスティラーズWTB小笠原がトライを取り、最後にサニックスブルースが攻撃しかけるが得点には結びつかずノーサイドとなった。点差は12-52と開いたものの、サニックスブルースの好タックルが随所に見られ、引き締まったゲームであった。(児玉 隆一郎)

福岡サニックスブルース

藤井監督(右)、古賀キャプテン
藤井監督(右)、古賀キャプテン

福岡サニックスブルース 12-52 神戸製鋼コベルコスティーラーズ(1月27日)

◎福岡サニックスブルース
○藤井雄一郎監督

「フロントローなどにけが人が出るなど、予期せぬことが起こり、結果として大差が出てしまった。次の試合に向けて気持ちを切り替え、入れ替え戦をすることのないようにしていきたい」

──ディフェンス、アッタクにイージーミスが多かったのでは?
「スタンド・オフの日本人選手にけが人が多く、そこに外国の選手を起用した。本来であればアウトサイド・センターに外国人選手を起用することでディフェンスがしまるが、今回は、神戸の今村選手に、若干ゲインラインを切られてしまった」

○古賀龍二キャプテン
「ディフェンスが高くなってしまった。その点を修正して、最後の試合は勝って終りたい」

──タックルが高くなってしまった理由は?
「個々のディフェンスにおいて、一人ひとりが何とかしようとする気持ちが強すぎて、次のこと(相手につながれるのではないか)を考えすぎてしまった。相手につながれたときも、自分で何とかしようという思いが強すぎた。いつもだと思い切って前に出て行くが、今日は勝ちたいという気持ちが強すぎ、それがプレイに出てしまった」
──前半の出来はプランどおりであったのか。また、後半に点数をとられたのは。
「前半までは大丈夫だと思った。ただし、もう少しトライは取れたと思った。後半は敵陣でやっていこうということで意思統一した。しかし敵陣に入ると、相手はキックしてくると思い、相手にプレッシャーをかけることが遅れ、相手にボールを回され自陣に入られた。それが続いてしまい、なかなか修正ができなかった」


神戸製鋼コベルコスティーラーズ

平尾総監督(右)、後藤キャプテン
平尾総監督(右)、後藤キャプテン


◎神戸製鋼コベルコスティーラーズ
○平尾誠二GM兼総監督

「勝ち点5をとることを心がけ、今日は積極的にやることとした。ミスも多少あったが攻撃に勢いがあった」

──勝ち点5を狙うということは、得失点差を挽回することは無理と感じているのか? また、攻撃的なラグビーを心がけるといっていたが、この試合の前までは、得失点差がマイナスであったが。
「あきらめてはいない。確かに失点は多かったが、勝っているゲームでは勝ち点を4以上取っており、これは評価している。もっと得点できるチームであるが、いま少し攻守のかみ合いがよくなかった。ミスは多いが、今日ぐらいの得点が取れるチームだ」
──新旧交代を進めながら戦わざるを得ない状況の中で、今シーズンを振り返って。
「後藤主将をはじめ2・3年の選手が中心であり、これからのチームであり、楽しみである」
──思った以上に、戦いながら若い選手を育てることができたか?
「苦しいゲームが多かったので、経験としてはよかった。格上のチームには今少しであるが、この差は早く詰まると思う。今シーズンは若い選手が伸びている」
──予測より早まっているか?
「もう少し、いけたかなという気持ちはなきにしも非ずである。ただこれは選手がどうのこうのという問題ではない」
──下位チームには取りこぼしはないが、上位チームには負けている。取りこぼしがないことを善しとしているのか、または、上位に勝てないことについて力の差を感じているのか。
「善しとはしていないが、若いメンバーで取りこぼしをしないことは難しい。この点はよくやっている。ただしチームとしては、昨年より力はついているが、頂点までの力は足りない。トップ4までは届いていないが、圧倒的な差ではない」

○後藤翔太キャプテン
「点数は取れたと思う。ただし、ゲーム中に孤立したシーンもあり、その点は気になった。今後、改善する余地があり修正していきたい。まずは、次の試合でも全力を出していきたい。これから1週間、しっかり練習して今シーズンベストの試合をしたい」

──試合によって、でき不出来の差があるが、今日は?
「ボールキャリアの強さはあったが、サポートプレイヤーのアクション、判断が遅かった。サポートプレイヤーが次に何をすべきかをしっかり判断することが大事である。ボールキャリアが常に勝ち続けないとどのチームにも勝てない。トップ4に勝つにはボールキャリアが勝たなければならない。そこがベースであり、そこで勝てないとゲームには勝てない」
──その点についてはシーズン中に進歩してきたか?
「その意識が常に出てきた。そのことがないと勝てないと思う」

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