MSC準決勝 マッチ&会見リポート(トヨタ 10-33 サントリー)

トヨタ自動車ヴェルブリッツ
風下に位置するサントリーのキックオフでゲーム開始。序盤から執拗にラックサイドから突破を図るサントリーだが、NO.8クロフォードを中心に堅いDFを続けるトヨタの前になかなかゲインができない。4分、ならばとトヨタ陣22m中央付近のスクラムから左展開、CTBニコラスがトヨタBKの裏へショートパント、WTB小野澤が巧みにバウンドを合わせキャッチ、好フォローのCTB平に繋ぎ中央にT(G成功0-7)。対するトヨタは接点で人数をかけず、左右に揺さぶる中で、クラッシュポイントに機動力のあるFWを絡ませ高いキープ力を武器に、ゲインを狙う。10分サントリーゴール前5m、ラックから出たボールをトヨタSO正面がDGを決め3点を返すと、流れはトヨタに傾く。16分LO谷口の力強いラッシュから得たチャンスを生かし、サントリーゴール前5mラックからFL中山が左中間に飛び込みT(G成功10-7)。ボールキープ力で優勢なトヨタに対し、サントリーは24分HO青木が反則の繰り返しによるシンビンを喰らい、14名での戦いを余儀なくされる。50/50パスも決まり、何度もビッグゲインするトヨタだが、サントリーのDFを破れない。34分逆にトヨタ陣内10m付近ラインアウトから、サントリーは左展開、巧くライン参加したWTB山下がトヨタDFを突破し、CTBニコラス-FB有賀と繋ぎ、左隅にあっさりT(G成功10-14)。続く38分、FL大久保の突破からトヨタゴール前に迫り、中央ラックから右サイドに出たSH田原が、CTBニコラスに繋ぎT(G成功10-21)。

後半開始直後、サントリー陣22m付近でPGチャンスを得たトヨタだったが、タッチキックを選択、その後のターンオーバーでみすみすチャンスを潰してしまう。風上のサントリーは、ショートパントでトヨタBKの綻びを狙う。トヨタは前半でプレッシャーを受けていたFWの動きが鈍くなっていたこともあり、前に出るDFが外されしばしばピンチを向かえる。膠着気味だったゲームが動いたのは61分。HL中央付近からのラックから左展開、交替出場のCTB野村からWTB小野澤-FB有賀と繋ぎT(G不成功10-26)。トヨタもあきらめず連続攻撃を仕掛けるが、ハンドリングミスでことごとくチャンスを潰すのに対し、サントリーはFW中心に密集付近のアタックを繰り返し、スローダウンを図るゲーム展開。結局74分にもNO.8竹本のTでとどめを刺したサントリーが、昨年の日本選手権の借りを返し、3年連続のファイナリストとなった

トヨタ 10-33 サントリー   トヨタ 10-33 サントリー

トヨタ 10-33 サントリー   トヨタ 10-33 サントリー

C:2008, JRFU(Photo by A. HASEGAWA)

トヨタ自動車ヴェルブリッツ
石井監督(右)、麻田主将
石井監督(右)、麻田主将

トヨタ自動車ヴェルブリッツ 10-33 サントリーサンゴリアス(2月17日)

◎トヨタ自動車ヴェルブリッツ
○石井龍司監督

「完敗。サントリーの強みばかりが良く出たゲームだった。今季二度の対戦で課題が浮き彫りになったので、残る日本選手権までにしっかり修正し、強いトヨタをお見せしたい」

──戦い方について。
「サントリーが、シンビンで1名少ない時間帯に得点できなかったことが痛かった。後半もっとシンプルに攻めておけばよかったが、首脳陣が多くのデータを落とし込んでしまい、結果プレーヤーの意思統一が図れなかった」
──課題とは。
「課題というか、我々の強みは突破力のあるバック3にボールを集中させることだが、今日はインターセプトを狙われていた感がある。どうやって生きたボールをバック3に繋いでいくか、前向きな課題である」

○麻田一平主将
「完敗だ。トヨタのラグビーをさせて貰えなかった。この悔しさを日本選手権で晴らしたい」

──戦い方について。
「特に後半、サントリー陣に入ることができず、バックスがパスを無理に回しすぎたことでも後手を踏んだ」
──同じサントリーと2週続けて戦ったが、違いを感じたか。
「違いはあまり感じていない。前半サントリーFWにうまく時間を使われた」
──DFが悪かった。
「BKのタックルが高く、タックルミスも多かった」

トヨタ 10-33 サントリー   トヨタ 10-33 サントリー

トヨタ 10-33 サントリー   トヨタ 10-33 サントリー
サントリーサンゴリアス

清宮監督(右)、山下主将
清宮監督(右)、山下主将

◎サントリーサンゴリアス
○清宮克幸監督

「昨年(日本選手権)の借りを返すことができた。負けたら終わり、これを我々はファイナルラグビーと言うが、このファイナルラグビー下でのプレッシャーのかかった状況で勝利したことはうれしい。特にCTBニコラスの機転が利いたアタック・ディフェンスが大きな勝因だ。今季は怪我がちだったが、良く戻ってきてくれた。山下は‥‥昨日から体調を崩していたので気合いを入れたのだが‥‥。(『良くなかったです』と山下主将がコメントし、場内爆笑)三洋電機も劇的な勝ち方をしたらしく、来週の決勝が楽しみだ」

○山下大悟主将
「トヨタ自動車に昨シーズンの借りを返せたことはうれしい。サントリーの進化を皆さんにお見せできたと思う」

──前半のピンチを凌いだ要因は。
○清宮監督
「シンビンの時間帯の攻防が今日のゲームのすべて。サントリーが凌ぎ切り、トヨタが攻め切れなかったということ。どちらが勝ってもおかしくないゲームだったが、サントリーが、ファイナルラグビーを強く意識したゲームをした分、上回った」
──BKのトライは容易だった?
○清宮監督
「まぁ、準備していたプレーが当たったということだが、トヨタのバックスDFを簡単にブレイクできたのは意外だ。強いて言及するなら前半からFWがプレッシャーをかけ続け、トヨタFWの動きを封じたということだろう。後半、明らかにトヨタFWの足は止まっていた」
──ゲームプランについて。
○清宮監督
「前半風下だったので、前半は我慢、後半勝負の展開を予想していたが、前半終了前の2トライは嬉しい誤算だった」
──トヨタがBKプレーヤーのポジショニングを変更したことについて。
○清宮監督
「予想外。ここまで巧く事が運んでいたのだから、普通は変更しないだろう。まぁ、今日のゲームの勝因はトヨタの強みを消したこと。次のゲーム(決勝)は全く考えず、トヨタ戦の事だけに集中してきた。リーグ戦終盤の3ゲームについては、ゲームを重ねる毎に戦い方が安定してきた。今日は今シーズンのベストと言える。このままの勢いで、三洋電機の全勝を止めたい」
──SO菅藤については。
○清宮監督
「DFがチームで一番いい。チームメイトからは"フランカー"と呼ばれているよ(笑)。ゲームメーカーというより、鋭いDFという彼の持ち味がよく出ていた」
──決勝への抱負を。
○清宮監督
「昨年以上の熱い戦いをしたい。満員のスタンドで、進化する我々サントリーのラグビーをご披露したい」
○山下主将
「(準優勝という)昨年の悔しい思いを晴らしたい。優勝目指して頑張る」
トヨタ 10-33 サントリー   トヨタ 10-33 サントリー

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