トップリーグ入替戦 マッチ&会見リポート(日本IBM 20-17 ワールド)

過去この両チームが同時にトップリーグに在籍していたシーズン(04-05年と06-07年)の対戦成績は、奇しくもそれぞれが最下位であった時に唯一となる白星を奪い合っての1勝1敗。そんな両者の対決は入替戦でも拮抗した戦いになったが、日本IBMビッブブルーがNO8フィリピーネの八面六臂の活躍などでワールドファイティングブルを破り、昨年に続きトップリーグ残留を決めた。

前半は両者決め手を欠き0-0で終了。均衡を破ったのはIBM。後半6分、ワールドがキック処理にもたついているところをFL高が拾い、パスを受けたフィリピーネが外にサポートプレーヤーを余らしながら左中間にドッシリとグラウンディング。16分ワールドにトライを許すも、直後のキックオフリスタートから相手陣深く攻め込み、ラインアウトモールからまたもフィリピーネが左隅へ今度は軽やかにダイビング。31分には同点に追い付かれたが、34分FB高主将が冷静に決勝PGを蹴り込み、そのままワールドを振り切った。ラインアウトが安定せず最後までワールドに粘られたが、フィリピーネの力強いランと密集でのファイトに引っ張られFWが奮起、CTB阪元や高の好守備もあって最後まで乗り切った。

ワールドは前半、SOウェブがリードするBKで再三攻め立てたが、前半だけで10を超えた反則などでリズムに乗れなかったのが響いた。ウェブは前半で負傷退場したが、代りに古巣のSOへ上がった由良も素晴らしいプレーを見せ、16分には自陣22m内からの好ブレイクが途中出場CTBヴァカのトライに繋がった。ワールドは31分にも自陣からIBMのタックルミスを突いて左へワイドに展開、最後はWTB沼田が左隅に飛び込み、その難しいGキックを由良が決めて17-17の同点に追い付いた。しかし残りの時間に勝利を狙った攻撃(同点ではIBMが残留)が不発に終わり、1年でのトップリーグ返り咲きは果たせなかった。(米田太郎)
日本IBM 20-17 ワールド   日本IBM 20-17 ワールド   日本IBM 20-17 ワールド
南監督(右)、中矢キャプテン
南監督(右)、中矢キャプテン

日本IBMビッグブルー 20-17 ワールド ファイティングブル(2月24日)

◎ワールドファイティングブル
○南英雄監督

「選手たちは本当に100%の意思、力を出し切ってくれました。風上の前半に0対0で終わったことが、最終的に敗因となりました」

──どのようなプランで?
「ワイドに展開することと、相手のドリフトディフェンスの穴を突くことでした」

○中矢健キャプテン
「一つのミスが命取りになると臨んだのですが、うちのミスからスコアされて、(点数的に)1回も乗り越えられませんでした。それをさせてくれないのがトップリーグだとよく分かりました。僕自身は100%出せたので、後悔はしていません」

──終了2分前にタッチを狙わなかったのは?
「そこで僕がもっとFWの選手をコントロールできればよかったのですが。そこに関しては後悔しています。しかし、ラインアウトがあれだけ取れていなかったので、選択する自信はなかったというのが本音です」
──ウェブ選手の交代は?
「まあ、ああいう形も想定内で、考えうるメンバーを試していたので、動揺はありませんでした」
──追いついた後、すぐ獲られたが?
「ラインアウトでペナルティをして、FWにはここで止められればチャンスと言ってプレッシャーをかけていたのですが、裏へ、一瞬の隙を突かれました」
──上がるのにもう一年かかるが?
「やっぱりトップウエストでもそうでしたが、タフなゲームが続くので、メンタルな面、そこが弱いので、もっと鍛えたいと思います」
日本IBM 20-17 ワールド   日本IBM 20-17 ワールド
安藤ヘッドコーチ(右)、高キャプテン
安藤ヘッドコーチ(右)、高キャプテン

◎日本IBMビッグブルー
○安藤裕樹ヘッドコーチ

「まず、今日の試合に、また多くのファンの皆様、会社関係者が駆けつけてくださいました。ありがとうございました。本当に今日はいろんな意味で一発勝負の難しさを感じました。トップリーグが終わってひと月、理屈抜きでこういう勝負は難しいです。去年も我々は経験しているのですが、難しいモチベーションのなか、選手はよくやってくれたと思います。また来年、トップリーグという大きな舞台で戦えるのは選手にとってもハッピーなことです。ただ、ワールドさんも一発勝負にかけて、厳しいプレッシャーをかけていたし、難しいゲームでしたが、選手は80分、全力を尽くしてくれました。それについては、僕もコーチングスタッフも選手に感謝したいと思います。今日、来てくださったファンの皆様の声援が力になりました」

──どんな準備を?
「神戸戦が終わって、ワールド戦の準備をしたというより、今年トップリーグで13試合やった上で足りなかったクォリティを高めようと、自分たちのことに主眼を置いてやってきました。間延びもしたが、結果として正解だったかと思います。こういう接戦も予想していましたし、もう一つ、力を出し切れなかった反省もありますが」

○高忠伸キャプテン
「勝てて良かった。本当にそれしか言うことはありません。沢山のファンの皆様、報道陣に注目されるのは嬉しいが、こういう形でなく注目を浴びたいですね。マイクロソフトカップや日本選手権という形で。ただ、また、残留という大きな財産を得ることができたので、それはIBMにとって大きなことだったと思います。来年への準備をしっかりしたいと思います」

──二度追いつかれてすぐに離したが?
「まあ、後半、風上に立ってテリトリーを攻める気持ちを忘れなかったことが良かったかもしれません。まさか、前半、0対0で終わるとは思っていませんでしたが、22人がしっかり攻める気持ちを持っていたのがリードを保てた要因だと思います」
──33分にPGを狙ったのは?
「確かに、僕らがリードを保つ難しさもありますが、保たれるワールドさんへのプレッシャーもあったかと思います。そういう意味では大きな3点でした。相手はトライしか勝つすべがないので、うちのディフェンスも絞りやすくなったと思います」
──トップリーグとの差は?
「トップリーグでは15人のプレッシャーをかけ続けられるので、レベルの差ではないが、その経験の差が3点につながったのかと思います」
──IBMが試合をコントロールできていたように見えたが?
「トップでの13試合は非常に大きいプラス、アドバンテージでした。それが良かったです。1ヶ月間、それを忘れずにできたと思います」
──入替戦でなく、もっと上へ行くためには?
「みんな、ラグビーが好きな奴が集まって、時間を過ごしていますが、もっと日本のラグビー界を背負って、マイクロソフトカップ、日本選手権で優勝したいという意識改革をして、自分たちのラグビーを好きな気持ちを前面に出していきたいと思います」

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