8節 マッチ&会見リポート(近鉄 18-24 NEC)

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C:2008, JRFU(Photo by A. HASEGAWA)

マッチリポート
近鉄ライナーズ 18-24 NECグリーンロケッツ
(week8/2008年12月6日 at大阪・近鉄花園ラグビー場)

生駒おろしとコタツ観戦。気温が一気に下がり、花園らしい風景が戻ってきた中でのトップリーグ第8節。前節、福岡サニックスとの接戦をものにし、上位をうかがってさらに勝利を重ねたい近鉄は、久しぶりの地元花園でのゲームでサポーターの熱い応援を受ける。対するNECも前節のトヨタ自動車ヴェルブリッツ戦を制した勢いを駆って、マイクロソフトカップ進出を確かなものにするためにも落とせない試合。

先手をとったのはNEC。試合開始早々の前半2分、ゴール前30m右端の難しい位置からのPGを15番FB松尾が決め、0-3と先行。近鉄も7分、10番SO重光がPGを返し、両チーム正確なキックの応酬で3-3と互角の滑り出し。序盤はNECが優位にゲームを進めるが最初のトライは近鉄。11分、22mライン付近右中間のスクラムから左BK展開、13番CTB吉川がNECディフェンスのギャップをつき、絡みつくタックラーを振りほどいてインゴールに飛び込み、8-3と一歩リードする。この後しばらく、NECは10番SOヤコ・ファン・デル・ヴェストハイゼンの突破と好リードで敵陣深く前進を図るものの、逆に、近鉄の早い出足と強力なタックルにあい、後退を繰り返すフラスレーションの募るゲーム展開が続いたが、ようやく29分、ゴール直前のラックからFB松尾がトライを決め(ゴール)、8-10とNECがリードして前半を折り返した。

後半に入っても両チーム互角の熱戦を展開。NECはFWの縦への突進とBKの内外を使い分ける巧みなパスワークにショートキックを織り交ぜた攻撃が功を奏しはじめ、4分、22mライン付近のラインアウトからパスをつないで左へBK攻撃、最後は11番左WTB大東が左隅にトライし、リードを広げる。この後、8分、近鉄10番SO重光がゴール前30m左15mライン上からのPGを返して追撃すると、NECも15番FB松尾が20分、24分、28分と立て続けにPGを決めて11-24と突き放し、勝敗の行方が見えたかと思われた。しかし、近鉄は地元の熱いサポーターの応援を背に、30分、ゴール前のラックから右へ展開、後半吉川と替わったCTBイエロメがトライ、ゴールも成功し、18-24と必死に追いすがるも、この後、得点は動かずノーサイド。
勝ちにこだわって、敵陣でのPKを着実に得点に結びつけたNECが、この節も接戦を制した。近鉄も最後まで粘り強く戦い、ボーナスポイントを獲得した。
この試合のマン・オブ・ザ・マッチは1トライ4PGと活躍したNECの松尾健選手に贈られた。

会見リポート
近鉄ライナーズ
スローン ヘッドコーチ(左)、トンプソン主将
スローン ヘッドコーチ(左)、トンプソン主将

◎近鉄ライナーズ
○ピーター・スローン ヘッドコーチ
「負けたことは残念だが、部分的には良いラグビーができたと思っている。(前半の)向かい風で良いディフェンスができた。後半の追い風とキックで一気に行けるかと思っていたが、ラインアウトとキックが良くなかったと思う。
今回だけでなく過去にも同じようなことがあったので直していかなければいけない」

──近鉄の前半はディフェンスが非常に良かったと思うが、NECに2つトライを与えたことは誤算か?
「最初のトライの原因は、私たちのラインアウトスロワーが遠くに投げすぎたことからチャンスを与えたが、その前のキックにもミスがあった。全般にタッチキックが良くなかったが、この点を直していけばもっと良いチームになるだろう。
毎週のように基本的なスキルやキックを良くしなければいけないといっているが、まだ完成はしていない。でも後半よいアタックができたことはうれしいことだ」

○ルーク・トンプソン主将
「勝てると思って戦ってきたが負けたことは残念だ。しかし我々はプライドを持った時には勇気あるプレー、敵を圧倒したプレーができた。また、トップリーグで戦えるチームになってきたことも付け加えたいと思っている」

──チャンスにラインアウトが取れなかった原因は?
「NECのプッレシャーもあり、予定通りにいかなかった(タイミングと個人のスキル)。ミスを一人のせいにするのではなく全員で直していきたい」

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NECグリーンロケッツ
細谷監督(右)、箕内ゲームキャプテン
細谷監督(右)、箕内ゲームキャプテン

◎NECグリーンロケッツ
○細谷直監督
「近鉄は外国人3人を有するタイトなチームであることから、今日は厳しい試合になると予想していた。受けたら負けるという意気込みで、前に出て1対1の勝負にいこうという気持ちで試合に臨んだ。全体的にラインアウトのディフェンスが機能し、ターンオーバーからのトライが勝因と思う。そこそこゲームの流れは良かったが、ミスから相手に元気を与えてしまったことは修正をしなければいけない。ボーナスポイントを取れなかったことは後々響いてくることになるかもしれない。これからは負けない試合をしなければならない。1戦必勝で(九州電力戦にも)臨みたい」

○箕内拓郎ゲームキャプテン
「先週のトヨタのFWより近鉄FWの強さと圧力を感じたタフなゲームでした。ブレイクダウンで少し受けてしまった。ディフェンスには満足しているが、攻撃ではフラストレーションがたまる展開で、奪ったトライも敵のミス(ターンオーバー)からでした。攻撃のリズムが作れるように来週までに練習をして鹿児島に乗り込みたい」

──ラインアウトが良かった点について?
「この春から、まず空中に上げ、競ることから練習を積んできた成果がでたと思う。NECがディフェンスに飛び上がったところにボールが来た。選手を持ち上げる精度が良く、今日はレベルが高かった」

──点差が10点あった後半3本目のPKのとき、ゴールを狙った意図は?
「トライを取りに行くか実際迷った。それまでNECはゲインしてラインブレイクできてはいたが、ちょっとしたミスやフィフティフィフティパスがつながらないことに選手が無理をしていたこと、近鉄の外国人選手がいること、すでに1本トライを取られていることを考えて、今日は確実に勝ちたかったので狙ってしまいました(苦笑)」

──結果、正解でしたね。
「そうですね(笑)。最後にトライをされ、近鉄にボーナスポイントを与えてしまったところは(原因を)分析していきたい」

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