9節 マッチ&会見リポート(三洋電機 29-10 横河武蔵野)

マッチリポート
三洋電機ワイルドナイツ 29-10 横河武蔵野アトラスターズ
(week9/2008年12月13日 at群馬・太田市運動公園陸上競技場)

前日の陽気が嘘のように冷え込んだ群馬県太田市陸上競技場。ここまで8戦全勝の三洋電機と1勝7敗の横河電機の一戦は、寒さのせいか試合開始早々から両チームにイージーなミスが多く見られた。10分に横河の激しいブレイクダウン、連続ラックから9番小池が三洋DFの裏に抜け出し、14番、佐藤に繋ぎ右隅にトライ、ゴール成功で0-7と横河が先制した。その後も一進一退の攻防を繰り返すが、15分、ラインアウトから三洋2番、堀江がトライ、ゴール不成功で5-7。これで三洋も勢いづくと思われたがラインアウトが安定せず、波に乗りきれない状況。23分入江のPGが決まって8-7と逆転。横河は個々の突進から再三にわたり、三洋のゲインラインを越えるが反則の繰り返しで得点に結びつけられない。38分横河陣内22m付近から右に展開し、川俣がトライ、ゴール成功で15-7と三洋リードで前半を終了する。

後半も前半と同じ試合展開となり、両チーム共に決定的な得点チャンスがなかったが、19分、三洋の反則からジョナサン・ベントレーがPGを決めて15-10と1トライ差まで近づく、その後も激しいブレイクダウンの応酬となるが、27分、NO.8、キーラン・ブラックのトライ、33分、ダニエル・ヒーナンのトライでボーナスポイントを獲得。29-10で横河を振りきって9戦全勝と1位をキープした。
ターンオーバーから素早い攻撃で得点する三洋のパターンが見られず、セットプレーも安定しなかったことからこのような試合内容になったものと思われる。横河は、前に出る積極的なディフェンスで三洋の攻撃パターンを封じ込め、BKのワイドな展開でチャンピオンチーム三洋を苦しめた。
三洋電機 29-10 横河武蔵野

会見リポート
横河武蔵野アトラスターズ
ラファイアリ ヘッドコーチ(右)、藤山ゲームキャプテン
ラファイアリ ヘッドコーチ(右)、藤山ゲームキャプテン

◎横河武蔵野アトラスターズ
○レオ・ラファイアリ ヘッドコーチ
「今日は選手がよく頑張ってくれた。これに尽きると思う。練習でやってきたとおり三洋にアタックするということが今日はできていた。先週東芝に大敗して、今週またチャンピオンチーム三洋と、相次ぐ戦いであったが、70分間競った試合ができたと思う」

○藤山慎也ゲームキャプテン
「うまく戦えたかなといった感じ。先週東芝に大敗して、またチャンピオンチームと戦うこの2週はしんどいかなと思っていた。東芝に大敗して逆にふっきれ、思い切って三洋に勝ちにいこうという気持ちで臨んだ結果がこの様な戦いになった。結果に満足はしていない。正直勝てる試合だったというのが選手の気持ちです」

──先制して前半よい流れであったが、どの辺がよかったのか。また、後半流れが悪くなったが、どの辺が悪かったのか。
○ラファイアリ ヘッドコーチ
「前半はある程度パターンを決めてアタックするように指示した。ワイドに展開して逆目をねらう、状況を見みながら攻撃の方向をスイッチする判断をするように伝えた。また、相手ボールのラインアウトでは常にプレッシャーをかけ続けることもうまくいったと思う。後半に流れが変わったということに関しては、最初の時間帯にマイボールをしっかりキープできなかったこと。例えば、7点ビハインドでマイボールラインアウトを獲得したときに、我々のサインミスで相手にボールを渡してしまったこと。これは、まだチームとして成長する余地があるということである。突き詰めていえば集中力の問題であると考えている」
○藤山ゲームキャプテン
「前半はよく前に出て三洋さんのアタックを止めていたが、後半の最後の10分は三洋さんのワイドなアタックと速い攻撃に少しずつゲインされてしまったことが、前半と後半の大きな違いであると思う」

──相手チームは、非常にディフェンスの固いチームで、それに対して最初にトライを取れたということは、前半非常に良い流れであったと思うが、今日は相手チームの強さを見て、どのようなことが今後課題になると思われるか、三洋さんに比べてどこが違うのか。
○ラファイアリ ヘッドコーチ
「一番の違いは、経験だ。三洋さんはトップレベルで長い間戦ってきている。それに対して、我々のチームはトップリーグ1年目。こういった経験の違いと三洋さんは長い間一緒にプレーしているメンバーが大勢いる、そういう意味でも違いがある。ただ、横河としても若い選手がトップチームを相手に戦えるという感触を得たので、この後もっといいチームになると思う」
○藤山ゲームキャプテン
「違いはやはり相手のミスを突けるかどうかだと思う。三洋さんがミスをしたときにトライにもっていけなかったのに対して、三洋さんは相手のミスをトライまでつなげると。そうしたことが日本一のチームとの違いではないかと思う」

三洋電機 29-10 横河武蔵野
三洋電機ワイルドナイツ
飯島監督(右)、榎本キャプテン
飯島監督(右)、榎本キャプテン

◎三洋電機ワイルドナイツ
○飯島均監督
「FWの前に出る意識、BKのディフェンスも含めて前に出る意識が横河さんのほうが強かったと感じている。来週から強いチームとの対戦になるが、そのことは選手が一番強く感じていると思うので横河さんに習ってもう一度しっかりと調整したいと思う」

○榎本淳平キャプテン
「三洋らしくないゲームが今日の試合を含めて2試合続いたが、来週からまた強いチームとの対戦となるのでしっかりと調整して試合に臨みたいと思う」

──三洋さんはこれまで得点、失点ともに他のチームを引き離しているディフェンスのすばらしいチームであるが、前半の動きが悪かったように思う。それはどのような点に原因があったのか。
○飯島監督
「ディフェンスは、システムとして機能するので、一人がそのシステムを守れないとディフェンスは破綻してしまう。アタック面ではラインアウトが取れなかったのが原因だ」

──ハーフタイムでのチームの立て直しというか、切り替えの指示はどのようなものであったのか。
○榎本キャプテン
「前半は、ラインアウトミスでリズムに乗れなかった。後半の最初の10分間はキックを多用して相手にプレッシャーをかけていこうというゲームプランで臨んだ」

──途中でハーフ団を代えた理由は。
○飯島監督
「田中は唇の怪我で交代した。能力の高い選手が多いのとリズムが悪かったので代えた」

──今日のゲームがこれからのリーグ戦に与える影響は。課題も見えたのではないか。
○飯島監督
「もう少し冷静になってから考えたい。原因はたぶん複合的なものだろう」

──メンタルの面で問題はなかったか。
○飯島監督
「人間の性ではないか。失敗して反省するということの繰り返しである。そういう意味では、この試合は良かったと思う」

──トニー・ブラウンの状態は。
○飯島監督
「順調に回復し、医師からは練習を始めてよいといわれている。(練習は)1週間ほどニュージーランドで休養してからになるだろう。予定よりも早く回復している」

三洋電機 29-10 横河武蔵野

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