ワイルドカード ファイナル マッチ&会見リポート(クボタ 21-22 NEC)

ワイルドカードトーナメント
クボタスピアーズ 21-22 NECグリーンロケッツ
【ワイルドカードトーナメント ファイナル/2010年1月23日(土) at 東京・秩父宮ラグビー場】

ワイルドカードトーナメントファイナル、勝ったチームは日本選手権への出場権を得、負けたチームはシーズン終了となる。第一試合はリーグ最初は調子が良かったものの後半勝てなかったクボタ、反対にリーグ後半から勢いづいたNECの対戦となった。

目の覚めるような白のセカンドジャージのNECはクボタのトライチャンスを凌ぎ、前半9分に先制トライ、ゴールは決まらなかったものの勢いにのるかのように見えた。
しかしながら前半は両チームとも気合が空回り、インターセンプト・キックパス・ドロップゴールなどグラウンド中盤を行ったり来たりしているだけで、どれも得点のきっかけにはならず苦し紛れのプレーが続いた。クボタは前半23分にペナルティゴールを決め、40分にはスクラムからのボールをインゴール左隅にトライ、ゴールは不成功だったもののホーン直後に貴重な追加点をあげ8-5、クボタリードで前半終了。

後半は前半とはうってかわりテンポアップ、後半最初の得点はNEC、マイボールラインアウトからグラウンドを左右一杯に使って、最後はラックからのボールをNo.8ラトゥが相手選手を連れたまま、インゴール右隅へボールを叩きつけた。ゴールも決まり8-12でNEC逆転。ここからクボタはキックに定評のあるSOドゥラームが3本続けてペナルティーキックを蹴り、2本成功して6点追加し14-12と再逆転。
またクボタは後半23分に今日が引退試合であった??8ケフを囮にしたサインプレーでFLブロードハーストがトライ、ゴールも成功して21-12と得点差を広げる、時間はまだあったがこのままクボタが逃げ切るような雰囲気となる。

しかしながら後半30分にNECのベテランWTBの窪田が密集よりこぼれたボールを短いキックでつなぎ、一緒にボールを追いかけたクボタの選手を置き去りにしてインゴールに入ったボールを自ら抑え込む。キックも決まり21-19とNECが2点差まで追いつめた。

そして後半36分にはクボタが自陣でオフサイド、距離は40M以上あったがほぼ中央のためNECには絶好の逆転のチャンス。しかしながらSO松尾のペナルティキックは無情にもゴールを外れ、「NECコール」で試合中会場を沸かせていた応援団のため息が響く。
残り2分を切りクボタボールのスクラム、ゆっくり時間を使いボールを出して蹴りだせばクボタの勝利は目の前、会場の多くの人がクボタの勝利を確信していた。

残り10秒でボールイン、出して蹴れば‥‥するとレフリーの高い笛が鳴った「スクラムコラプシング」ペナルティはクボタ、ここでホーンが鳴りNECはペナルティーキックを選択、5分前にはずした場所よりやや中央より、このキックで両チームの明暗が決まる。
 先程のキックの失敗ははこのための布石、NECのSO松尾は大きなプレッシャーのキックを蹴り、すぐにガッツポーズ、キックは決まり劇的な再々逆転となった。

クボタ 21-22 NEC   クボタ 21-22 NEC   クボタ 21-22 NEC   クボタ 21-22 NEC

会見リポート
クボタスピアーズ
山神監督(右)、荻原キャプテン
山神監督(右)、荻原キャプテン

ケフ選手
ケフ選手


◎クボタスピアーズ
○山神孝志監督
「非常に残念です。1年間を振り返ると、開幕ダッシュから始まり、今日はベストメンバーで戦えました。ただ、今日はNECさんの勢いを感じました。セービングの差で、ワンチャンスをものにされました。流れを断ち切れず、残念です。
リーグ戦で6位になり、やはりリーグ戦で勝つことは大変なことですので、上位のチームに負けずに上がってこられたことは、選手がこの1年、良くやってくれたからと感じます。4年、監督をしましたが、このチームが一番強いと思います。日本選手権でトップ4チームと戦いたかったが、勝ちきれなかったのは監督の甘さだと、試合が終わってから選手たちにコメントしました。
今が、新しいスタートだという気持ちです。最後のスクラムで勢いの違いが出て、流れを断ち切ることができなかったのが勝負のアヤだったと思います。悔しい思いですが、この思いがつながっていくシーズンでした」

──今後のクボタは?
「新しい人が入ってきます。私としても、ちょっとつかみかけていたシーズンでしたから、クボタ自身も変わると考えています。会社と話していきます」

○荻原要キャプテン
「ありがとうございました。正直、負けてすぐなので、何て言葉を出してよいか分かりません。一年間応援してくださったファンの皆様と、試合に出られなかった部員に感謝します」

豪州代表60キャップの偉大な選手が現役引退
○トウタイ・ケフ選手
「今日のゲームは失望するゲームでしたが、今年はチームが改善した年でした。私は6年前にクボタに入りましたが、年々良くなってきたと思います。一つだけ残念なことは、トップ4に成れなかったことです。それ以外は、6年間、よい時間を過ごさせてもらいました」

──ベストメモリーは?
「最初のころは今日の試合のような試合ができず、劣っている面もあったが、だんだん良くなっていったことが良い思い出です」

──これからの計画は?
「まず、1年ゆっくり休んで考えます。何らかのラグビーに関わる仕事をしたいと考えています」

──今日も激しいプレーだったが、引退はいつ決意したのか?
「3日くらい休まないと体が戻らなくなってきました。リカバリーできなくなってきたのが理由です。チョット、オジサンネ(と日本語で)」

クボタ 21-22 NEC   クボタ 21-22 NEC   クボタ 21-22 NEC   クボタ 21-22 NEC

NECグリーンロケッツ
岡村ヘッドコーチ(右)、ラトゥ ゲームキャプテン
岡村ヘッドコーチ(右)、ラトゥ ゲームキャプテン

◎NECグリーンロケッツ
○岡村要ヘッドコーチ
「戦う選手たちが最後まであきらめずに戦った、ただそれだけです」

──準備は、また、その優先順位は?
「どの相手に対しても、我々のラグビーをやろうと、ディフェンスの部分、そこは我々のプライドでもありますが、優先順位としてはまずディフェンス、次にアグレッシブな攻めにフォーカスしました」

──最後のキックの場面は?
「もう、何回もタケシ(松尾選手)のキックで勝っていますので、もちろん入ることを信じていましたが、入っても入らなくてもタケシを労うことを考えていました。毎回、こういうシーンばかりですが、(その前の場面で外してしまったのは)こういう布石だったのか(笑)と。また、作っているな(笑)と」

──日本選手権に向けて?
「まず、冷静に見れば、修正する点が多いゲームでした。内容的にも悪かったと思います。勝って修正できる幸せを感じています。アグレッシブだが、バタバタしたときに蹴りだすのかはっきりせず、ちょっと甘かったと思います。この辺りを修正していきます」

○ニリ・ラトゥ ゲームキャプテン
「本当にもっとこのチームでやりたかったので、勝利をつかむことができたと思います。すべての試合でやっている通り、今日の試合もがんばることができました。あきらめずに戦った選手たちの姿勢を誇りに思います」

──今シーズンを振り返って?
「今シーズンはチームとして勢いがダウンしたときもありましたが、生きるか死ぬかの姿勢で80分間戦わなければいけないと皆の気持ちが一つになりました」

──ラトゥ選手がキャプテンになってから勢いが出たが?
「2006年から国の代表のキャプテンも経験しているし、言葉の問題もあるが、信頼して皆がサポートしてくれるので務まっています。ただ、我々のチームには、試合中、他に21人のキャプテンが居ると思っています」

──松尾選手が最後に蹴るときは?
「すべてのチームメートを信頼していますので、自信を持って信じていました。しっかり、プレッシャーを克服して蹴ってくれたと思います」

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