5節 マッチサマリー(神戸製鋼 18-15 コカ・コーラウエスト)

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C:2010, JRFU(Photo by A. HASEGAWA)

神戸製鋼コベルコスティーラーズ 18-15 コカ・コーラウエストレッドスパークス
【week5/2010年10月9日(土) at 大阪・近鉄花園ラグビー場】

降りしきる雨の中、1勝3敗と下位に低迷する両チームの対戦は神戸製鋼のキックオフで始まる。
前節70分過ぎから近鉄に3トライを奪われ、まさかの逆転負け(22-25)を喫した悪夢を振り払うかのように、キックオフから積極的にプレッシャーをかける神戸製鋼は、コカ・コーラウエスト陣10m付近ラインアウトから左展開、WTBアンダーソンのカットインでビッグゲイン、FLマパカイトロが巧みに繋いで、最後はSO正面がゴールラインを走り抜けて左中間にトライ(G不成功5-0)。

キックオフから1分。電光石火の攻撃でペースを掴むかと思われた神戸製鋼だったが、滑りやすいピッチと、風雨が強くなる状況下、7分コカ・コーラウエストFL桑水流にトライを奪われ(G成功5-7)、たちまち劣勢に立たされる。とはいえ、集中力あるDFと、正面のキックによる巧みなエリアマネジメントで優位に立ちつつあった神戸製鋼は、コカ・コーラウエストのカウンターアタックに一瞬の隙をみせ、ブレイクダウン周辺でのオフサイドからPGを献上、リードを広げられる(5-10)。
強すぎるほどの風上でラッシュを続け、コカ・コーラウエストゴールに迫る神戸製鋼だが、雑なダウンボールやモールでの不用意なオブストラクション、執拗なショートラックで前進を図るべき場面で不確実なショートパントによりチャンスを潰し、ただいたずらに時間が過ぎていく。足の短い芝目をも揺らす風雨は勢いを増すばかりで、ゲームは膠着状態で前半を終える。

風雨衰えない中で開始された後半は、ブレイクダウンでのボールキープで上回るコカ・コーラウエストのペースで進むが、要所での反則により追加点が奪えない。
ポイントゲッターの神戸製鋼WTBアンダーソンが連続でラックに参加せざるを得ないほどボールを継続させるコカ・コーラウエストは、ようやく53分SO福田が左中間にトライ。平易なゴールを外すミスを犯したものの、5-15と突き放す。54分に3名を一気に交替させ、流れを変えたい神戸製鋼は中盤でブレイクダウンを繰り返し支配し、WTBアンダーソンが40m近くを走りぬけ左中間にトライを奪い喰らいつく(G成功12-15)。

落ち着きを取り戻した神戸製鋼は、ディフェンスに勢いが出てくる。69分SO正面のハイパントをキャッチしたコカ・コーラウエストDFにラッシュ、誘発させたPGチャンスをモノにし15-15。残り10分、先に掴んだPGチャンスを逃したコカ・コーラウエストから流れは再び神戸製鋼に移る。強風のために苦しんだラインアウトも奪取し出した神戸製鋼は、終了間際自陣からSO正面が巧みなスワーブでビッグゲイン。連続ラックから繋がるパスをコカ・コーラウエストDFがたまらず叩き(インテンショナル・ノックオン)PGを与える。ほぼ正面のPGをグラントが決め逆転、辛くも逃げ切った(18-15)。

ブレイクダウンにおけるプレーの確度はコカ・コーラが上回ったが、SO正面、WTBアンダーソンのアタック能力と、勝利への執念が若干上回った神戸製鋼に軍配が上がったものの、勝ち点差(神戸製鋼4、コカ・コーラウエスト1)ほど内容には差がなく、コカ・コーラウエストにとっては"勝負に勝ってゲームに負けた"感が残るゲームだった。
マン・オブ・ザ・マッチは、神戸製鋼コベルコスティーラーズ WTBフレイザー・アンダーソンが選出された。(廣島 治)

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会見ダイジェスト
コカ・コーラウエストレッドスパークス
向井監督(左)、福田ゲームキャプテン
向井監督(左)、福田ゲームキャプテン


◎コカ・コーラウエストレッドスパークス
○向井昭吾監督
「一言でいって悔しいです、前半は準備していた通りのゲームができたが、後半は風上になりエリアを確保していかなければならないのにそれができなかった。もう少し攻める気持ちでいけばトライもとれたはず。しかし今の形を変えずに次戦にのぞみたい」

○福田哲也ゲームキャプテン
「途中までは自分たちの思うラグビーができていたが、後半になって自分たちのミスで崩れた。また来週にむかってやりなおしたい」

──前半リードしてのハーフタイムの指示は?
○向井監督
「風上に立つのでエリアをとることを指示した。しかし、とる方法に問題がある。強い風が吹いていたのに逆の方向に蹴っていた。これはなぜなのか選手に聞きたい」

──BKのミスが目立ったが?
○福田ゲームキャプテン
「風の影響でSHからのパスが乱れ少しむずかしかった。雨の中でも精度をあげるように距離を詰めるなりの工夫をすればよかった」

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神戸製鋼コベルコスティーラーズ
苑田ヘッドコーチ(左)、大橋ゲームキャプテン
苑田ヘッドコーチ(左)、大橋ゲームキャプテン


◎神戸製鋼コベルコスティーラーズ
○苑田右二ヘッドコーチ
「先週に続き雨の中たくさん応援にきてもらって感謝しています。開幕から4ゲーム、いい練習をしていながら結果がともなわず苦しい思いだった。『きょうは1点差でも勝とう』と自分たちのやるべきことを80分間やり続けたことが結果につながった」

○大橋由和ゲームキャプテン
「3ゲーム続けての逆転負けで、今日はシンプルで基本的なことをやりきることで、最後に勝ちきることができて自分たちの自信につながってよかった」

──今日のゲームで大きく布陣を動かしたのは?
○苑田ヘッドコーチ
「雨になったのでいいアタッカーにボールを回したいということで、正面をSOに、その後どこかのタイミングでピーター・グラントを投入し、彼のキックをいかそうとした構想です」

──今年から指揮をとって3敗をどう思うか?
○苑田ヘッドコーチ
「まず目の前のゲームを全力で戦うこと、そのために1週間いい準備をすること、それで最終的に結果を残せなかったら自分の責任です」

──3敗したあとの修正点は?
○苑田ヘッドコーチ
「映像を使ったフィードバックは行わず、それぞれでミーティングをやりながら修正した。火曜日にいい練習ができてそこから雰囲気が良くなった。ペナルティーをしない、ミスをしないという基本的なことをやってきたことで、今日のゲームの最後に我々が運を引き込んだと思う」

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