10節 マッチサマリー(三洋電機 15-17 サントリー)

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三洋電機ワイルドナイツ 15-17 サントリーサンゴリアス
【week10/2010年12月11日(土) at 東京・秩父宮ラグビー場】

サントリーのアタッキング・ラグビー、開花する

後半29分、1点差を追うサントリーのエディ・ジョーンズ監督は、同時に4人の選手の入れ替えをしてきた。新たにピッチに入ったSHグレーガンら、4人の平均年齢は33.5歳。これまでの試合でも最後の20分で得点の45%をとっているサントリーは、最後の10分に経験豊富な選手のゲームコントロールで、なんとか得点につなげて、逆転したい。

SHグレーガンと、これも後半から入ったSOヒューワットを軸に、タテへの切り込みからFW、バックスと何人もつなぎ、ゴールに迫る。三洋もこれによくタックルし、ゴールを守る。サントリーはこの10分間にトライこそ取れなかったが、38分、三洋のペナルティを誘い、CTBニコラスが中央25mのPGを入れて逆転し、三洋にとってトップリーグリーグ戦では3年ぶり、今年初めての黒星をつける試合となった。

試合は前半、サントリーFWがよくボールをキープし、ラックからSH日和佐がリズム良くバックスにボールをまわし、チャンスにつなげるが、三洋の堅いディフェンスに阻まれ、サントリーの反則やミスにつながり、なかなか得点にはつながらない。
一方、三洋はチャンスを確実に得点につなげた。前半12分、三洋はラインアウトからFWがよくつないで展開し、最後はWTB北川が小野澤のタックルをうけながらよくボールをグラウンディングし、右隅にトライ(ゴール不成功)、5-0とした。さらに、34分にはサントリーの攻撃でのノッコンのミスのボールを獲得した三洋LOヒーナンからパスを受けたWTB山田が、50m独走し中央にトライ(ゴール成功)、その後、PGも加え、三洋が15-0とリードして前半を終えた。

サントリーは15点のビハインドを負って、後半に入ったが、アタッキング・ラグビーにミスが減ってきた。後半11分にはゴール前スクラムの二次攻撃からFL佐々木-WTB小野澤とつなぎトライ(ゴール成功)、15-7とし、さらに、その直後の14分にはSH日和佐-FL佐々木のサイドアタックからゴール前に迫り、ラックからSOピシ-CTBニコラス-SOピシ-CTB平と素早く回すサインプレーでトライ(ゴール成功)、15-14と1点差に迫った。

その1点差を追う最後の10分間の監督の采配がうまくいった結果となった。

エディ・ジョーンズ監督が、今年、スローガンに掲げたアグレッシブなアタッキング・ラグビーはシーズン序盤には未完成で、トヨタ、NECに敗戦するなど、苦戦が続いていたが、強豪同士の対決が続くリーグ戦終盤に向けてしっかりチーム作りができてきた。残り3節となったリーグ戦の終盤と、プレーオフ、日本選手権での強豪同士の対決が大きな楽しみとなった。(正野雄一郎)

会見ダイジェスト
三洋電機ワイルドナイツ
飯島監督(右)、霜村キャプテン
飯島監督(右)、霜村キャプテン


◎三洋電機ワイルドナイツ
○飯島均監督
「選手は非常に良くやってくれました。アクシデントがありましたが、良く経験のないポジションでプレーをしっかりしてくれました。あまりにも多くのけが人が出ましたので、来週に向けてケアしていきたいと思います」

──サントリーに対してのプランは?
「サントリーさんは、ご覧の通り、浅いところに走りこんでくるので、しっかり前に出てディフェンスすることでアドバンテージラインを出させないようにしました」

──これだけけが人が出たが?
「野口、大澤がサントリーさんのベストメンバーを相手に出場して、山田がセンターをやって、FWもたくさんのことを感じたし、勉強になったと思います」

○霜村誠一キャプテン
「お疲れ様です。僕らも身体を張っていたのですが、本当に少しずつのところでサントリーさんが一枚上だったと思います。サントリーさんに学ぶことがたくさんありました。これを生かして、負けないチームになります」

──サントリーは?
「サントリーさんの攻めている時間が長く、アタックがすごく楽しそうでした。そこで、こちらのアタックの時間になったときにちょっとあせったと言うか、外から『1点勝っているから、落ち着いて盛り上げていこう』と声を掛けましたが、そうさせてくれませんでした」

三洋電機 15-17 サントリー   三洋電機 15-17 サントリー   三洋電機 15-17 サントリー   三洋電機 15-17 サントリー
サントリーサンゴリアス
ジョーンズ監督(右)、竹本隼太郎キャプテン
ジョーンズ監督(右)、竹本隼太郎キャプテン


◎サントリーサンゴリアス
○エディ・ジョーンズGM兼監督
「サントリーが過去4年間で1回しか勝てていない相手でした。もちろん勝ちたかったのですが、自分たちのスタイルでやることが肝心でした。三洋さんは素晴らしいディフェンスのチームで、ハーフタイムでは0-15で負けていました。簡単にやろうとすれば、キックでポジションを取っていくところですが、そうしなかった。勝ち方がすごく良かったです。プレーのスタイルで勝ったことに意義があります。キャプテンを中心とするリーダーたちがよくやってくれました。勝利に導いてくれました。アタックはシャープでないところもありましたし、簡単なミスもありましたので、これからチームをさらに良くしていきたいと思います」

──後半、リザーブを一度に4名投入したが?
「みんなロートルだから20分くらいしかプレーできない(笑)。若いメンバーが多いので、FWは平均25歳、最後は経験豊富なメンバーを出しました。ジョージにはコントロールを任せました。FWは勢いが加わってとても良い仕事をしてくれました。今シーズンは最後の20分で45%の得点を挙げています。そのとおりになりました」

○竹本隼太郎キャプテン
「良い準備をして臨みました。相手が三洋さんということで力がこもり、いつもは起こらない小さなミスも起こりました。苦しい面が多かったのですが、自分たちのラグビーを貫いて、結果、僅差で勝てたのは良かったと思います」

──前半、15点差で厳しいと思わなかったか?
「厳しいとは思っていませんでした。風下で偶発的な2トライを獲られただけですので。ハーフタイムにもスタミナがありましたし、ぜんぜんピンチとは思っていませんでした」

──ラスト5分まで勝てていなかったが?
「最後の20分はもどかしい思いでした。攻めていて獲れない、三洋さんの見えない何かがあったのかもしれません。ただ、攻められる危機的状況はなかったので、攻めていれば獲れると思っていました」

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