11節 マッチサマリー(神戸製鋼 24-35 三洋電機)

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C:2010, JRFU(Photo by A. HASEGAWA)

神戸製鋼コベルコスティーラーズ 24-35 三洋電機ワイルドナイツ
【week11/2010年12月19日(日) at 兵庫・ホームズスタジアム神戸】

滑り出しから、双方キックによるエリアマネジメントを試みるも、細かなミスが多く、静かな立ち上がり。5分 ハーフウェイライン付近からのPGチャンスをモノにした神鋼(3-0)だが、アタックに連係ミスが目立ち、追加点を奪えない。一方、三洋の猛攻は連続10以上のフェイズを重ねるも、それを凌ぐ神鋼の集中力に、高い潜在能力を感じさせる。責め疲れしない三洋は、17分神鋼陣5mラックから左展開、WTB14北川が巧みなスワーブでスペースをつくり左隅にT(G成功3-7)、逆転に成功する。

キックのエリアマネジメントが決まらない神鋼だが、28分FWの踏ん張りで得たPGを決め6-7と食い下がる。三洋の波状攻撃を前に出て正面から受けとめる神鋼、見応えのある攻防が続いたが、37分三洋NO.8ホラニからFLバツベイのオフロードパスで神鋼DFを突破、LOアイブスがとどめを刺しT(G成功6-14)。DFの意思統一、集中力とも今季一番といえる出来の神鋼は前半終了間際のPGを決め後半に希望をつなぐ。

後半開始直後、ジャブの応酬を制した神鋼、三洋陣の連続ラックからラインに入ったHO松原がグラバーキック、WTB11濱島が快走し左隅にT(G不成功14-14)、振り出しに戻す。その後共にPGを一本ずつ決め17-17。神鋼のキックによるエリアマネジメントが決まり出せば、献身的なDFで僅かな綻びも簡単に繕う三洋。レヴェルの高い消耗戦は、どちらが先に‘糸'を切らすかに焦点が絞られた。

勝負のアヤを一気に手繰り寄せたのは三洋WTB山田。57分自陣10m付近から交替出場のSO入江が放ったパントキックが神鋼ゴール付近に転がる。自慢のスピードで競り勝った山田が拾って左隅にT(G不成功17-22)。さらに64分、攻めあぐねた神鋼のミスからこぼれたボールを‘狩人'と化した山田が足に引っ掛けそのままT(G成功17-29)。

致命傷を受けたかと思われた神鋼だったが70分、三洋陣30m付近からショートパントで仕掛けたWTBアンダーソンが自らキャッチ、蹴りこんだボールをFLブラッキーと山田がチェイス、気迫で競り勝ったブラッキーが右中間に押さえT(G成功24-29)。再び射程圏内に捕えるが、FWの消耗が激しい神鋼の動きが鈍り、三洋に2PGを加点され24-35でタイムアップ、三洋電機のプレーオフ進出が決まった瞬間だった。チェイスの醍醐味を存分に観せてくれたマン・オブ・ザ・マッチ山田のビッグプレーが際立つゲームであったが、勝負を下支えした三洋FWの高い能力を再認識させられたゲームでもあった。(廣島 治)

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会見ダイジェスト
神戸製鋼コベルコスティーラーズ
苑田ヘッドコーチ(左)、平島主将
苑田ヘッドコーチ(左)、平島主将


◎神戸製鋼コベルコスティーラーズ
○苑田右二ヘッドコーチ
「本日はホームズスタジアムの良いグランドコンディションの中で試合ができたが、残念な結果となった。試合前のスカウティング通りに厳しいターンオーバーを予想していたが、それを起点に取られた2トライがもったいなかった」

○平島久照主将
「自分たちのミスから苦しい試合となったことが悔しい」

──後半良くボールが動いていたが、今後につながると考えてよいか?
○苑田ヘッドコーチ
「ボールを動かせば、得点につながることは明白である。今後も続けていきたい」

──ハーフタイムにはどんな指示を与えたのか?
○苑田ヘッドコーチ
「自分たちのアタックをすればゲインラインは越えられる。キック処理を確実に行おう。ディフェンスのバランスが崩れている部分があるので修正しよう、と指示した」

──FLにマパカイトロを起用した理由は?
○苑田ヘッドコーチ
「三洋は帰化選手も含め多くの外国人選手がいるので、その対策として起用した」

──前半と比べて後半はボールがよく動いていたが、前後半で作戦の変更があったのか?
○苑田ヘッドコーチ
「方針は前後半では変えていない。自分達の決め事をしっかりやって、きちんとアタックできれば逆転はできると考えていた」

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三洋電機ワイルドナイツ
飯島監督(右)、龍コリニアシ ゲームキャプテン
飯島監督(右)、龍コリニアシ ゲームキャプテン


◎三洋電機ワイルドナイツ
○飯島均監督
「先週、久々の敗戦で、故障者も出た。そういった意味からも今週の試合は、今後も戦っていくうえで大切だと思っていた。苦しい場面でも選手が辛抱し、三洋らしい試合ができた。CTBに大澤・三宅という新たなコンビが入って活躍できたのはうれしい。また交代で入った入江が活躍したのはさすがだ。結果としてチームとして少ないチャンスをモノにできた」

○ホラニ龍コリニアシ ゲームキャプテン
「多く詰めかけた関西の三洋ファンの前で、勝利できたことはうれしい」

──先程「少ないチャンスを」との言葉があったがなぜそのような展開となったのか?
○飯島監督
「引いた感じのディフェンスをしていたので、結果として数少ないチャンスとなった。相手に意図的に回させたが最後は破られないようにしていた」

──引いた感じのディフェンスとは?
○飯島監督
「群馬から東京を経由して、神戸まで来ることは、コンディションを整えるのが難しい。加えて神戸製鋼の両CTB(今村・大畑)は日本を代表するプレイヤーなので、決して逃げるという意味ではなく、慎重に対処した結果である。三洋のCTBはよく対応していた」

──ふだんWTBの三宅選手をCTBで起用した意味とは?
○飯島監督
「三宅のリーダーシップに期待した。対面の大畑選手を止め、ハイボールも確実に処理していた」

──トニー・ブラウンと霜村主将が欠場だったが復帰の見込みは?
○飯島監督
「詳しくはチーム戦略もあるので秘密だが、さほど時間もかからず復帰できるはず」

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