トップチャレンジ1 マッチサマリー(キヤノン 7-38 NTTドコモ)


キヤノンイーグルス 7-38 NTTドコモレッドハリケーンズ
トップチャレンジ1 第1節/2011年1月15日(土) at 東京・秩父宮ラグビー場】

トップイースト1位のキヤノンイーグルスと、トップウェスト1位のNTTドコモレッドハリケーンズの対戦。トップリーグ自動昇格を勝ち取るためにどちらも負けられない一戦だ。メインスタンドの南側半分を占めるNTTドコモ応援団の大声援の中、NTTドコモのキックオフで試合が始まった。
NTTドコモはキックオフ早々キヤノンゴール前に迫りプレッシャーをかける。5分、ゴール間近のラック右にタイミングよく走りこんだNTTドコモのロック熊谷が先制のトライを奪った。(G成功0-7)
キヤノンもすぐに反撃し11分、敵陣25mライン後方でペナルティキックを得てゴールを狙うが惜しくも失敗。

その後しばらくはどちらも譲らずハードな試合が続いたが、25分、キヤノン10mライン付近のスクラムから、SOガードが左ウィングに巧みなキックパスを放ち、ライン際を二人つないでCTB13宮里のトライ。(G不成功0-12)
引き続き激しい攻防が続くが、35分、10m付近のスクラムからNo.8シオエリとFL箕内が抜け出て、最後はオフロードパスを受けたWTB11沼田のトライ。(G成功0-19)
38分にもNo.8シオエリがゲインした後のラックから右に回しWTB14平瀬のトライ(G不成功0-24)と、NTTドコモの第3列の活躍が目立った。

後半キヤノンは3人を入れ替え巻き返しを狙うが、開始早々の2分、NTTドコモが25m付近ラックから左へ展開し、FL尾方、HO水山とFWがつないでトライ、キヤノンを突き放した。(G成功0-31)
しかしその後この試合の重要な時間帯を迎える。11分、14分と続けてNTTドコモのNo.8シオエリ、キャプテンのFL尾方がそれぞれ不当なプレー、反則の繰り返しでシンビンを受け10分間の退場となった。
15人対13人となった絶好のチャンスにキヤノンは何とかトライをと執拗に攻めるが、NTTドコモの粘り強いディフェンスはなかなか破れない。逆に数で劣るNTTドコモのフォワードが反撃する場面もあった。19分にラックを連取され、キヤノンFB新井にトライを許す(G成功7-31)が、NTTドコモはこのピンチを1トライでしのいだ。

結局24分にも、NTTドコモは自陣スクラムから左ライン際をWTB11沼田と後半出場のFB渡辺が快走しトライ(G成功7-38)、トップリーグ昇格に向け大きな勝利を勝ち取った。

会見ダイジェスト
永友ヘッドコーチ(右)、宍戸キャプテン
永友ヘッドコーチ(右)、宍戸キャプテン


◎キヤノンイーグルス
○永友洋司ヘッドコーチ
「本日はありがとうございます。会社も沢山の応援を出してくださって、非常に素晴らしい環境で試合ができたことに感謝しています。トップイーストではうまく戦えましたが、予想していた通り、まだまだうちのチームはここから先の部分で、小手先では通用しないと感じました」

──足りなかったところは?
「ブレイクダウンのところで、少ない人数でどれだけボールをリサイクルできるか、動かせるか追求してきましたが、ドコモさんのレベル、トップリーグのレベルではどうしても我々は人数を掛けて出さざるを得ません。ドコモさんはトップのレベルでやれる準備をしていると感じました。想像以上に素晴らしいチームです。やっぱり、そこの部分かと、足りないなと思わされました」

──どの点で上回ろうと?
「しっかり、我々の強みを出し、ドコモさんの弱みを消そうと、外のスペースを作り出そうとしましたが、FWが圧力をかけられ、BKも淡白になってしまいました。向こうのキーになる選手も素晴らしかったが、我々がプレッシャーを掛けられず、自由に走らせ、蹴らせてしまったと反省しています」

──トゥプアイレイ選手を前半から出さなかったが?
「前半はタイトなゲームになると思い、ある程度コントロールした上で強みをぶつけたかったので、そうしました。前半の戦いをもう一度立て直す必要があり、今日は数的優位とエリアマネジメントが足りなかったと思います。選手は良く頑張ってくれたが、ドコモさんは素晴らしいゲームをしたと思います」

──試合後、向こうの知り合いの選手、コーチに声を掛けたか?
「向こうは楽しげにミーティングをしていましたので(苦笑)。あと二つ、チャンスはあるので、この一週間でどこまで精度を上げるかです。単純なミスなので、苦しい展開ですが、もう一度やり直していきます」

○宍戸要介キャプテン
「ありがとうございます。沢山の応援の方がいらっしゃってくださったのに、結果を出せずに残念です。一人一人のレベルが足りないと感じました。ドコモさんの激しいディフェンス、プレッシャーに80分間、自分たちのラグビーをさせてもらえませんでした。残り2戦、気持ちを切り替えてやっていきます」

──13人対15人の場面では?
「とにかく二人少ないので、ボールを良く動かして外で勝負しようとしましたが、継続して外で余らせるところが徹底できませんでした。スクラムでもプレッシャーを掛けていこうとしましたが、自分たちのミスや相手のプレッシャーがあって攻めることができませんでした」

──やり直す点は?
「特に新しいことをするのでなく、やってきたことをどれだけ出せるかということだけです。ドコモさんはやってきたラグビーができたが、うちはプレッシャーに負けてしまったと思います」


マコーミック ヘッドコーチ(右)、尾方キャプテン
マコーミック ヘッドコーチ(右)、尾方キャプテン


◎NTTドコモレッドハリケーンズ
○アンドリュー・マコーミック ヘッドコーチ
「(すべて日本語で)本当に皆さん、こんにちは(笑)。今までのリーグ戦の試合を見て、キヤノンは攻めてくると思っていました。うちはサントリーとやって凄く良い練習になりました。悪いところがいろいろあって直したいと臨みましたが、今日は良かった。うちのチャンスは少なかったけれど、確実に獲ったのが良かったです。今日は今日、明日は明日の風が吹くけれど、次のホンダさんとの3試合目をしっかり戦って行くために、選手はリカバリーとコンディションを整えることが大事です」

──去年はここで悔しい負け方をしたが?
「去年の横河戦ですね。去年と違うのは、リーグ戦の後、九州電力さんとタフな試合をやって最後に勝ったことです。皆、選手が試合の勝ち方を分かるようになったことが大きいと思います。ホンダ戦の最後の20分の勝負は自信が凄くありました。勝つときは、(ボールの)連続キープができています。試合中の経験が生きていると思います」

──箕内選手の加入は?
「やっぱり、今年、彼が入って良かったのは、予測と気持ちの部分です。今日もサイドを予測してうまく止めたし、選手に足りないところを練習からうまく言ってくれます」

○尾方宏之キャプテン
「タフな試合になると予想していたのですが、二度のホンダ戦に勝って、自信をもってキヤノン戦に臨めました。しっかりディフェンスからやっていこうと、試合中声を掛けて、練習どおりできたと思います」

──今シーズン、一番伸びたところは?
「リーグ戦が始まってから、どんどん力を付けたと思います。特にディフェンス面ではコミュニケーションが取れ、個々のタックルや役割が明確になったと思います」

──箕内選手の加入は?
「ドコモというチーム自体、レベルの高い経験が少なく、練習中からレベルの高い発言をしてくれます。ただ、その人に任せるのでなく、選手個々も伸びているので、凄い影響力があります」

──関東でのスタンドの応援が力になったか?
「特に凄いプラスです。ドコモ関西が中心ですが、ウェストで優勝して、会社も盛り上がってくれています。今日も、こんなに来てもらえると高ぶるものがありました。試合中は良く分からないのですが、終わった瞬間、見上げたらスタンドが赤く染まっていて、グッと来るものがありました」

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