今シーズンより開始した、特集「TOPマッチプレビュー・レポート」。 |
ワイルドカード、プレーオフトーナメントと、引き続き、スポーツライターの目から見る試合プレビューとマッチレポートをお送りいたします!! |
佳境となった今シーズン。どこがトップリーグチャンピオンになるのか? |
どこが日本選手権に出場するのか??? |
見どころ満載の試合をもっと面白く、楽しく観戦するために、必見です! |
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終盤のチャンスを生かしたリコーが再逆転で2点差勝利
──ワイルドカードトーナメント1回戦マッチレポート[2]
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後半23分WTB星野が3点差に迫るトライを奪い(写真)、SO河野のゴール&PGでリコーが鮮やかな再逆転勝ち。2回戦に勝ち進んだ
(C)2011,JRFU(photo by Kenji Demura RJP) |
16日、ワイルドカードトーナメント1回戦2試合が福岡・レベルファイブスタジアムで行われ、福岡サニックスブルースとリコーブラックラムズが、それぞれ近鉄ライナーズとコカ・コーラウエストレッドスパークスを破り、2回戦に勝ち進んだ。
2回戦は23日に大阪花園ラグビー場でNECグリーンロケッツ対リコーブラックラムズ、神戸製鋼コベルコスティーラーズ対福岡サニックスブルースの組み合わせで行われ、勝者が日本選手権出場権を獲得する。
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リコーブラックラムズ ○31-29● コカ・コーラウエストレッドスパークス(前半21-10)──1月16日
レギュラーシーズン7位とワイルドカードトーナメント1回戦出場チーム中最上位にもかかわらず、コカ・コーラウエストのホームである福岡でのアウェー戦を余儀なくされたリコーには、それ以外にも試合前から厳しい条件が重なった。
トッド・ローデン ヘッドコーチが両親の看病のため豪州に帰国。先発が予定されていたCTBタマティ・エリソンは東京での直前練習で負傷し、急遽ジョエル・ウィルソンと入れ替えとなった。
あるいは、そんな想定外の出来事が影響したのか、リコーは試合開始2分にあっさりコカ・コーラFL山口智史に先制トライを許してしまう。
それでなくとも、強風が吹き荒れ、最高気温が2度までしか上がらなかった、この日の福岡。
ラグビーをプレーするには極めて厳しい条件が揃っていたものの、リコーの選手たちは敵地での先制トライにもパニックになることはなかった。
「トッド(ヘッドコーチ)が言ってきた『いつでも、どこでも、誰でも』を実践して、どんな状況でもしっかりプレーする準備ができていたので、問題なかった」
ゲームキャプテンを務めるLO相亮太の言葉どおり、7分にSO河野好光が落ち着いて相手DFのギャップをついてトライを返して同点に追いつくことに成功。
さらに、河野のトライ時にも好突破を見せた、この日1回戦マン・オブ・ザ・マッチ"級の活躍を見せたCTBロイ・キニキニラウが27分、37分と連続トライを奪い、リコーが21-10とリードして前半は終了した。
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1人で2トライを奪うなど、MOM級の活躍を見せたリコーCTBキニキニラウ。2回戦ではNECのDFを打ち破れるか?
(C)2011,JRFU(photo by Kenji Demura RJP) |
最後まで攻め切れなかったコカ・コーラウエスト
ハーフタイム入り直前には、コカ・コーラウエストに自陣深くに攻め込まれ、ペナルティキックから攻められ続けたものの、トライラインを越えさせなかったリコー。
その代償として、LOカウヘンガ桜エモシが反則の繰り返しによりシンビン退場。
後半はいきなり1人少ない状況でのリスタートとなったが、その影響もあったのか、試合巧者のコカ・コーラウエストに14分までに3トライを重ねられ、一気に逆転を許してしまう(21-29)。
「コーラが後半最初の10分で攻めて来るのはわかっていたし、受けるんじゃなく攻めようと話していたのに、自分たちのミスで墓穴を掘ってしまった」(SO河野)
それでも、トップリーグ再昇格2年目の今季は、サントリー(20-26)、東芝(22-31)、トヨタ自動車(26-29)といった強豪に善戦し、それ以外のチームとの対戦では多くの接戦をものにしてきたリコー。
どんな状況でも自分たちの力を出し切って、最終的に勝利をものにする力ではコカ・コーラウエストを上回っていたかもしれない。
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1トライ、4ゴール、1PGの計16点をひとりで叩き出し、勝利の立役者となったリコーSO河野。指令塔の役割を十分果たした
(C)2011,JRFU(photo by Kenji Demura RJP) |
23分にFLマイケル・ブロードハーストの突破からつかんだチャンスに、ラックからボールの回ったWTB星野将利が迷いのない鋭いステップでコカ・コーラウエストDFを切り裂いて値千金の追撃トライ。
SO河野がこのコンバージョンと29分のPGを落ち着いて決めて、リコーが劇的な1点差での逆転勝ちを収めた。
勝負どころで、「いったん逆転されても、『勝ちにいこう』と、みんなあきらめてなかった気持ちが結果につながった」という星野のトライ、そして河野のゴール&PGで逆転したリコーに対して、コカ・コーラウエストは32分の入れば再逆転のPGを外し、さらに終了間際にも自陣からのPKでノータッチキックを蹴り、万事休す。
コカ・コーラウエストとしては、前半のチャンスにPGを狙ったり、狙わなかったり、どこか中途半端だったことも含め、「攻め切ることができなかった」(向井昭吾監督)シーズンを象徴する幕切れに。
一方のリコーは「簡単にインサイドブレークされた点など、まずはDFを修正して」(WTB星野)、次週、レギュラーシーズンでは5点差で惜敗したNECへのリベンジを狙う。