1節 マッチサマリー(パナソニック 26-31 サントリー)

パナソニック ワイルドナイツ 26-31 サントリーサンゴリアス
【week1/2011年10月29日(土) at 東京・秩父宮ラグビー場】

パナソニック 26-31 サントリー   パナソニック 26-31 サントリー   パナソニック 26-31 サントリー   パナソニック 26-31 サントリー
パナソニックワイルドナイツ対サントリーサンゴリアスという昨季のトップリーグチャンピオンと日本選手権王者が対決する、開幕戦にふさわしい好ゲーム。

前半はSH日和佐のリードでテンポよく繰り出されるサントリーの攻撃を、パナソニックが固いディフェンスで防ぐという場面の多い、お互いにトライを許さない展開が続いた。パナソニックの田邊、サントリーのピーター・ヒューワットが、決して楽な位置だけではなかったペナルティゴールを決め、30分過ぎの時点で9-6とパナソニックのリード。前半33分、CTB平からパスを受けたサントリーLO篠塚が初めてのトライ。ゴールも決まって9-13サントリーのリード。前半終了間際、サントリー攻撃中にFB田邊が故意の反則でシンビンを受ける。このPGが決まり、前半は9-16でサントリーリードで折り返した。

後半、キックオフのボールをサントリーが奪い、ハーフ団がゴール前まで縦にボールを運び、左に展開しFL佐々木がノーホイッスルトライをあげた。ゴールも決まり、9-23とサントリーがリードを広げた。その後パナソニックは、シンビンでキッカーの田邊を欠いていたこともあり、ゴールを狙える位置のペナルティを、ゴール前ラインアウトにする場面が2回あった。しかしサントリーが巧みに防ぎ、パナソニックのミスもありこのチャンスでトライを奪えなかった。

9分、サントリーSOトゥシ・ピシは、狙いすましたようにSHとSOのディフェンスの間隙をすり抜け、内側にフォローしたCTBニコラス ライアンがパナソニックのタックルを振り切ってトライ。9-28とさらにリードを広げた。

このままサントリー優勢で試合が進むかに思われたが、13分パナソニックは、HO堀江の好タックルでボールを奪い、CTB野口がライン際のWTB北川に上手いパスを通し、北川は巧みなチェンジオブペースで2人のディフェンスをかわし貴重なトライを返した。ゴールが決まり16-28。

21分にもHO堀江のトライと田邉のゴールで23-28とした。さらに26分、10mライン付近からの難しいペナルティゴールを田邊が決め26-28と2点差に迫った。

しかし、29分にサントリーがPGで26-31とまた点差を広げ、終了間際までパナソニックがゴール前でサントリーボールのスクラムを奪うなど、執拗な攻撃を続けたが、サントリーが逃げ切って開幕戦を飾った。

お互い譲らなかった前半30分過ぎまでの攻防、後半10分ころまではサントリー、その後30分前まではパナソニックとお互いの見せ場を作り、最後はわずか1トライ差という開幕戦にふさわしい好ゲームであった。勝ったサントリーはもちろん、敗れたパナソニックも確かな手ごたえを感じた試合だったのではないだろうか。

会見ダイジェスト
パナソニックワイルドナイツ
中嶋監督(右)、霜村キャプテン
中嶋監督(右)、霜村キャプテン


◎パナソニック ワイルドナイツ
○中嶋則文監督
「キックオフのレシーブでキャッチできず、リズムが崩れました。それ以外は選手はタフに戦ってくれました。最後までトライを狙ってくれた選手を誇りに思います」

──できたところは?
「ディフェンスの時間が長かったのですが、最後まで機能していたところです。キックオフのレシーブでしっかりマイボールにしていれば、攻めるオプションを用意していたのに、強みを出せませんでした」

──デラーニ選手は?
「劣勢な試合展開でしたが、彼の持ち味は出ていました。アタックでもディフェンスでもチームに馴染んできています。もっと試合をやれば、さらに付いてくると思います」

──ツイ選手は?
「彼も夏から加わりましたが、アタックでもディフェンスでも彼の安定したパフォーマンスが出ています。ただ、今日は少しディシプリンに欠けるところがあり、ラック周辺でも行かなくてよいところを行っていましたので、もう少しですね」

○霜村誠一キャプテン
「お疲れ様でした。自分たちが練習してきたことが、サントリーさんのアタックとディフェンスの強さで行かれてしまったところがありましたが、こちらのシステムは崩されていませんでした。強いサントリーさん相手にここまでできたという得たものも大きかったです。まだ、全然できるという感触もあったので、あと12節ステップアップしていきたいと思います」

──田邉選手のシンビンの際に獲られたが?
「後半始めに獲られたのはアンラッキーでした。もし、自分たちがキックオフのボールを取っていたら違っていたかもしれません」

──後半、1トライ獲られたあと、ペナルティを狙わなかったのは?
「キッカーがいないので、時間を使おうかなと思いました。今、思えばミスだったかもしれません(笑)。トライを獲りたかったのと一人少ない時間を使おうと思って選択しました」

──準備してきたことが出せなかったところは?
「ディフェンスシステムが機能して、前へプレッシャーをかけることはできましたが、1対1のところで相手のピシ選手のように核になる選手がキープして、こちらはプチ・パニックになりました。ただ、去年のようにやられている感じはなく、去年やられた部分で用意してきたことが通用したと思います」

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サントリーサンゴリアス
ジョーンズ監督(右)、竹本キャプテン
ジョーンズ監督(右)、竹本キャプテン


◎サントリーサンゴリアス
○エディー・ジョーンズ監督
「(日本語で)ちょっとぎりぎり。(英語で)良いプレーもありましたが、今日は一貫性のあるプレーができず、シンプルなハンドリングのミスがありました。嬉しかったのは去年はトップリーグ決勝で負けた相手に、今日はそうならなかったところです。十分な得点で勝つつもりでしたが、パナソニックさんは素晴らしいチームで攻撃されました。良いスタートが切れましたが、タケ(竹本選手)のキャプテンシーに依るところが大きかったです」

──竹本キャプテンのキャプテンシーとは?
「5ポイント、リードしたところでゴールを狙わず、タッチに蹴り出させたところです。私としては嬉しくなかったが(笑)、本当にサントリーのプレーの方針を理解して、チームがやるべきことをやり続けてくれました」

──新しいアタックシステムを解説すると?
「できません(笑)。まあ、アタックのフォーカスを変えて、9番・10番・12番からアタックできるようにしました。個人としての良いランナーがいるわけではないので、チームワークで試合を進める方針です」

──ワールドカップ後のレフリングについて?
「面白かったのは、ワールドカップでは最初のうち、オフサイドラインが厳しかったが、試合が進むとリラックスしてきたことです。本当に美しいラグビーをするなら、そうなります。今日のレフリーは良い仕事をしてくれました」

──今後の選手起用は?
「何人かはまだ80%ですからね。ダニーは南アフリカでハンティングに成功して5kgほど重くなっているし(笑)」

○竹本隼太郎キャプテン
「パナソニックさんのターンオーバーからの良いアタックに僅差の勝負になってしまいました。去年に比べて、自分たちがタフになり、ミスしたあとに我慢できるようになったと感じます。確か、4年ぶりの開幕戦勝利だと思いますが、勝ちは勝ち、嬉しいです」

──5ポイント、リードしたところでゴールを狙わず、タッチに蹴り出させたが?
「確実に決められるところなら決めましたが、時間をスローにしたかったのと、ちょっと角度があったので、キックのリスクを考えてシンプルに判断しました。モールからの自信がありましたし」

──ジョージ・スミス選手が来て、3列は競争が激しいのでは?
「キャプテンが出られるか分からないくらいです(笑)。プレー中の余裕ある判断、オプションもあるので、行ってくれれば、真似するだけで良い感じです。佐々木も競争が激しくなったのでレベルアップして、今日のマン・オブ・ザ・マッチを獲れたと思います」

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