NECグリーンロケッツ 29-26 トヨタ自動車ヴェルブリッツ
【week3/2011年11月12日(土) at 東京・秩父宮ラグビー場】
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勝利の女神、NECに微笑む
ラグビー日和となったこの日、トップリーグ第3節、NECグリーンロケッツ対トヨタ自動車ヴェルブリッツの試合が、秩父宮で行われた。是非とも初勝利が欲しいNECが、昨年のリーグ戦3位のトヨタにどのように挑むか、注目された。
前半開始早々の1分、トヨタはラックでの相手オフサイドから得たPGをSOアイイが手堅く成功(0-3)。5分、NECもPGのチャンスを得るも、不成功。トヨタは、リズム良く大きく繋いで相手陣内に攻め込み、ラックから右に展開。14分、SOアイイからのロングパスを得たFB久住がゴール右隅にトライ(0-8)。 しかし、NECも負けていない。16分、カウンターからラックを連取し、FLラトゥからボールを得た195cm、129kgの巨漢WTBナドロが相手タックルを振り払いながら左ライン際50m近くを豪快に疾走。ゴール前でタックルされながらも強引にトライ(5-8)。これで勢いに乗ったNECは、26分、ラックから右に回してLO浅野が右隅に逆転のトライ(ゴール成功12-8)。さらに、28分には、FLラトゥ、LO村田と繋いで前進、ラックから左に回してFB大東がトライ(ゴール成功19-8)。
トヨタもSOアイイのテンポの良い動きで反撃。35分のPG成功(19-11)に加えて、相手ペナルティから得たキックでゴール前に攻め込み、39分、味方ラインアウトからHO上野が右隅にトライ(19-16)。トヨタの3点ビハインドで前半を終えた。
後半、先制したのはNEC。12分、相手ラインアウトを奪取したNECがラックから攻め込み、FLラトゥがトライ(ゴール成功26-16)。しかし、トヨタは18分、SOアイイが右約35mからのPGを成功(26-19)。さらにトヨタは、SOアイイのループパスを交えながら相手陣内を縦横に力強く攻め込み、28分、パスを受けたCTBイェーツがトライ(ゴール成功26-26)。 これで同点に追いつくも、32分、トヨタは自陣で痛恨のペナルティ。約30mのPGをNECのCTB田村が決めて再びリード(29-26)。再逆転を狙ったトヨタはFW、BK一体となった果敢な連続攻撃を仕掛け相手ゴール前に迫ることもあったが、ミスやNECの厳しい防御により得点に至らない。NECが3点差を守りきってノーサイド。
セットプレイが終始安定していたNECが僅差の勝利を収めたが、最後まで力の入った、見ごたえのある好ゲームであった。なお、マン・オブ・ザ・マッチには、前半、逆転のトライをしたNECのLO浅野選手が選ばれた。(小林吉文) |
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朽木監督(右)、上野キャプテン
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◎トヨタ自動車ヴェルブリッツ
○朽木泰博監督 「日本協会、トップリーグ関係者の皆様に感謝します。今日は勝ち点1で、最後に勝ち切れなかったのは残念です。NECグリーンロケッツさんの激しいコンタクトとボールへの絡みのために、攻撃のリズムを出せなかったのが良くありませんでした。ボールへの執着心がNECさんは一枚上手でした。3節目に入り、激しいボールへの絡みを経験できたのは良かったと思います。選手たちも、まだ、自分たちがやっているレベルではクイックにボールを出せないことが分かったと思います。この課題を生かすことが、我々にとって最も重要です。東芝さん、ホンダさんとのゲームも良いゲームではなかったので、真摯に受け止めて、この壁を破っていきたいと思います」
──SOのスターターを代えたのは?
「うちはSOに個性豊かな選手がいますので、いろいろな良さを出させようとしました。NECさんは前節でもスロースターターでしたので、そこで前半からペースアップをしようとオレニ・アイイ選手を起用しました」
──後半、同点の場面では?
「トライは獲れていましたが、自分たちが獲りたい形では獲れていませんでした。CTBスティーブン・イェーツがこじ開けたり、FWがこじ開けたりで、その前の2、3フェイズで崩し切れていませんでした。そこで、ランニングコースのミスやサポートミスがあってちょっとストレスのたまる展開でした」
○上野隆太キャプテン 「お疲れ様です。結果として、3点差で負けて非常に残念です。ファーストスコアはしたものの、終始、NECさんのペースで試合をしてしまいました。後半は切り替えて、敵陣でアタックラグビーをしようとしましたが、結果は3点差で非常に悔しいです。しかし、得るものも大きかったので、次は修正して頑張ります」
──ラインアウトは不調だったが?
「一言では言えませんが、サインミスややろうとしたプレーをやり切れなかった場面が2、3ありました。相手のプレッシャーというより、自滅でした」
──やり切れなかった場面は?
「自分たちは攻撃的なラグビーをしたかったのですが、ブレイクダウンでNECさんの強いプレッシャーに負けてしまったからだと思います」
──後半、同点の場面では?
「監督と同じで、トライは獲れていても獲りたい形ではありませんでした。自分たちの中でもフラストレーションがありました」
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岡村ヘッドコーチ(右)、ラトゥ キャプテン
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◎NECグリーンロケッツ
○岡村 要ヘッドコーチ 「選手がビッグハートで80分戦ってくれたことに尽きます。2敗していましたが、内容が悪いわけでなく、前半の入りで苦しくなっていただけで、後半は良かったので、今日は前半からやるだけだと選手には言ってきました。先制点は取られましたが、試合開始から良く戦っていたし、フィットネスには自信を持っていますので、安心して見ていられました」
──アンソニー・ツイタヴァキ選手は?
「木曜日の練習で足の具合がひどくなり、トヨタ自動車さんには申し訳なかったのですが代えさせてもらいました。本人は、やりたい、やれると言いましたが、うちにはメンバー外に良い選手がたくさんいますので、自信を持って代えました。そんなに大きなけがではありません」
──キャメロン・マッキンタイアー選手をSOに、田村優選手をCTBに起用したが?
「荒療治です。春からやってきたメンバー構成ではありませんでしたが、あのくらいはやってくれると予想していた通りでした。トップリーグのコンタクトが入るとどうなるかというところだけを心配していましたが、一つ、ポジティブな要素が得られました」
──1年目の選手が活躍したが?
「もちろん実力です。スターター15人中、5人が新しい選手で、春からチームにフィットして、コンタクトして勝ち取ったポジションです」
──もう少しブレイクダウンでクイックにしたかったのでは?
「相手が固めた後にラックに入るので、最後の20分は絶対に待つなと指示しました。ラスト20分、キープできた対応力も素晴らしかったです」
──同点の場面は?
「どこも悪いところはなく、明らかにトヨタ自動車さんは攻めあぐねていましたので、エリアを取られるだけで、ノーペナルティだけ指示していました」
○ニリ・ラトゥ キャプテン 「チームを誇りに思います。2試合、負けてしまって残念な状況でしたが、1,2節とも勝てた試合だったことは、選手は分かっていました。今日は本当に良いラグビーができました。チームとしてベターになっていくだけです。去年のトップ4に接戦で勝ったのは、ちょっと遅かったが、チームとして良いスタートになりました。自信になったと思います」
──FWの出来は?
「FWコーチと網野正大コーチが、トヨタ自動車戦は空中でボールを取ろうと分析していました。ラインディフェンスもリーダーがいて、しっかり反応できていました。やはり若いPRや若い選手が力を発揮している素晴らしいチームだと思います」
──同点の場面は?
「ああいう状況は練習でもしっかり理解していました。トヨタ自動車さんのスタイルは強いので、どうしてもディフェンスが必要と認識していました。最後の数分はそれを出してしっかり守れました。自信になりました」
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