3節 マッチサマリー(近鉄 35-16 ヤマハ発動機)

近鉄ライナーズ 35-16 ヤマハ発動機ジュビロ
【week3/2011年11月12日(土) at 大阪・近鉄花園ラグビー場】

昨シーズンは、近鉄ライナーズ(9位)、ヤマハ発動機ジュビロ(11位) と下位にとどまったが、今シーズンに入って開幕以来2連勝と好調な両チームの対戦、ともに3勝目を挙げてさらに勢いに乗りたいところ。

試合は、前半3分からいきなり動き始める。近鉄、ハーフウェイ付近ラックから展開し9→10→13とつなぎ最後FLレプハ・ラトゥイラが左中間に飛び込みトライ、GKも成功して7-0と幸先の良いスタートを切る。しかし、ヤマハも負けるものかとばかりに、7分、連続攻撃、最後ラックからNO.8モセ・トゥイアリイが強引に持ち出しトライ、7-7と試合を振り出しに戻す。さらに、ヤマハは18分にFB五郎丸歩のPGで加点し、7-10とリードを奪う。その後しばらくヤマハの接点での優勢が続くが、その流れを変えたのが近鉄LOトンプソンルーク、相手ボールキャリアーにからみターンオーバーすると、近鉄は22mライン近くまで攻め込み、23分、ラックから左展開、最後14番から12番CTB大西将太郎にわたりトライ(ゴール)、14-10と逆転、この後両チーム一進一退の展開でこのまま前半は終了した。

後半先手を取ったのは、ヤマハ。前節、後半半ばまでペナルティを侵さず、ディシプリンの高さでファンをうならせた近鉄も、4分にこの日6つ目となる反則を犯すと、ヤマハ迷わずPGを狙い、14-13と1点差に追い上げる。しかし、この頃から近鉄の前に出るDFが機能するようになり、ヤマハの攻撃の芽をことごとく摘むようになると、20分までに近鉄は3PGを成功させ、23-16とじりじりと点差を拡げる。
そして、32分、近鉄のDFで、ヤマハ、ポイントを下げ続けられる中、苦し紛れのパスアウトを近鉄20番SH北村一真がインターセプトし、60メートル近くを独走して中央にトライ、30-16として勝利を大きく引き寄せた。この後近鉄は、焦って反則を繰り返すヤマハの隙に乗じて相手陣深く攻め込み、39分に4トライ目となるダメ押しのトライを10番SO重光が挙げ35-16で勝負を決めた。

試合後の会見でヤマハの清宮監督は、開口一番、DF側に回った時の近鉄のブレイクダウンでの健闘がこの試合の全てだと語ったが、その近鉄DFの要として活躍したCTB大西選手がMOMに選ばれた。

デフラグビー国際親善試合第二戦
日本選抜 vs オーストラリア選抜
(この試合についてはこちら、第一戦についてはこちら

オーストラリアのキックオフで始まったこの試合、立ち上がりから日本が優勢に試合を進めたが、オーストラリアは、30分あたりからBKのラインブレイクをきっかけにペースを掴み、前半終了までに立て続けに3トライを挙げ、0-21で前半を折り返した。

後半に入っても、前半終盤からのオーストラリアの勢いはとまらず、さらに4トライを加え、0-47で勝利を収めた。ピッチのどこからでも攻めてくるオーストラリアのパス・アンド・ランニングラグビーが日本を圧倒した試合だった。

近鉄ライナーズ 35-16 ヤマハ発動機ジュビロ   近鉄ライナーズ 35-16 ヤマハ発動機ジュビロ   近鉄ライナーズ 35-16 ヤマハ発動機ジュビロ
激しい肉弾戦 トーマス選手の突進 五郎丸選手も厚いディフェンス網に
写真提供:ヤマハ発動機(株)
会見ダイジェスト
ヤマハ発動機ジュビロ
清宮監督(左)、五郎丸ゲームキャプテン
清宮監督(左)、五郎丸ゲームキャプテン


◎ヤマハ発動機ジュビロ
○清宮克幸監督
「全勝同士のゲームで気持ちを入れて挑んだ試合だったが、近鉄DFの激しいブレイクダウンを超えられなかったことに尽きる。
近鉄FLタウファ統悦の素晴らしいプレーにやられた感がある。ボールを動かすラグビーができなかった」

○五郎丸歩ゲームキャプテン
「ブレイクダウンでの執拗なプレーに対処できなかった」

──今日の敗因は。
○清宮監督
「後半20分でのSO大田尾の交替が痛かった。激しいプレッシャーでストラクチャー以外のプレーに注力してしまった。スクラムの出来が良かったので、敵陣22m内での攻防に持ち込むべきだった」

──序盤の戦い方について肝要だと常々言っていたが。
○清宮監督
「今はひとつひとつを模索しながらのチャレンジ。日頃から限界を超える練習を積み重ね、レベルアップしていく。今日の敗戦は残念だが、こうした厳しいゲームを重ねていくことが大事だ」

──今日のゲームについて。
○五郎丸ゲームキャプテン
「近鉄の激しいブレイクダウンは、戦前から予想していたが、そのための対策を生かし切れなかったことを反省し、次に繋げていきたい」

──次のゲームについて。
○清宮監督
「3連勝して秩父宮へ乗り込む算段が狂ってしまった。緒戦、2戦目と良い勝ち方だったので、ホッとした部分があったかもしれない。今日の敗戦である意味‘手負いの狼'となったので、サントリー戦は、より研ぎ澄まされた集団となって、チャレンジしたい」

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トライを決めたレプハ選手 攻守に活躍MOMの大西選手 接点で強さを発揮タウファ選手 独走トライ北村選手
写真提供:加守理祐
近鉄ライナーズ
前田監督(右)、高キャプテン
前田監督(右)、高キャプテン


◎近鉄ライナーズ
○前田隆介監督
「大学、指導者として大先輩である清宮さん率いるヤマハに勝ちたい気持ちを抑えきれず選手をピッチに送り出したが、最高のパフォーマンスを見せてくれた。出場メンバー、控え関係なくいい準備ができた一週間だった」

○高 忠伸キャプテン
「良いコンディションでゲームができたことがまず嬉しい。監督も言われたが、結果が出たことで、いい準備の一週間だった」

──ゲームを振り返り。
○前田監督
「激しいブレイクダウンは予想したいたが、コンテストに負けないように、控え選手がヤマハの動きを充分理解した上で、‘仮想ヤマハ'としての動きをしてくれた。本当にありがたく、今日の勝利はチーム全体で勝ち取ったといって過言ではない」

──ディフェンスの良さが目立った。
○前田監督
「DFがよく前でプレッシャーをかけてくれた。SH矢富の動きを注意していたが、キッチリ抑えてくれた」

──終盤、積極的にアタックしたことについて。
○高キャプテン
「4トライ=ボーナスポイントを意識して攻めたわけではないが、FWの意識とゲームの流れが自然と積極的なアタックに繋がった」

──後半20分過ぎのPGチャンスについて。
○高キャプテン
「近鉄20-16リードの場面でのPGチャンスでは、ゴール前タッチを選択、トライを狙うつもりだったが、(SO)重光さんが狙うとポイントにやってきた(笑)。結果、あの加点で、こちらに大きく流れが傾いた。

──ヤマハ戦という意識はあったか。
○前田監督
「大先輩である清宮さんに敬意を表するとともに、強い対抗意識もあった。そうした気持ちを選手に伝え、高揚させてピッチに送り出すのが、監督の役目であり、また自分が指揮官になって、より闘う集団になったことをみせたかった。

──練習量が変わったのか。
○前田監督
「量より質の高い練習内容に変わった。アップを含め2時間以内で練習を終えているが、高主将を中心に、全員で練習内容をしっかり理解し、集中力を高めて練習できている」

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