7節 マッチサマリー(神戸製鋼 21-10 トヨタ自動車)

神戸製鋼コベルコスティーラーズ 21-10 トヨタ自動車ヴェルブリッツ
【week7/2011年12月17日(土) at 滋賀・皇子山総合運動公園陸上競技場】

もみじや柿の木々が色鮮やかに紅葉する比叡山延暦寺の麓、皇子山総合運動公園陸上競技場で行われたトップリーグ第7節。
共に3勝3敗。
前節、トップリーグ初昇格のNTTドコモレッドハリケーンズ に逆転負けした神戸製鋼コベルコスティーラーズ。
同じく第5節まで勝利のない福岡サニックスブルースに敗戦したトヨタ自動車ヴェルブリッツ。
プレーオフを視野に入れる両チームにとって、是が非でも勝ち点5を手に入れ上昇気流に乗りたいところ。

まずは風下に立つトヨタ自動車ヴェルブリッツのキックオフで始まった前半、両チーム共これまでの不調を表すかのようなイージーミスの連続で、互いに集中力を欠くスローテンポな立ち上がり。得点が動いたのは前半19分。今季2試合目トヨタSO文字がペナルティーゴールを確実に決め(0-3)、トヨタ先制。直後の21分には神戸製鋼のノックオンから、トヨタ自動車ヴェルブリッツ左CTBブレット・ガレスピー、右CTBスティーブン・イェーツを軸に、左WTB松下馨が走りきってトライ(0-8)。トライ後のゴールもきっちり決めて(0-10)トヨタ自動車ヴェルブリッツがリード。
31分には神戸製鋼右CTBフレイザー・アンダーソンを起点に、左WTB大橋由和へとつなぎ、最後はNo.8マパカイトロ パスカがインゴールへ飛び込んでトライ(5-10)。
その後、両チームともPGを狙うが得点ならず。トヨタリードで前半終了(5-10)。

後半4分、またもトヨタ自動車ヴェルブリッツのノッコンから神戸製鋼FB正面が前進、SOピーター・グラントも続きラックサイドをSH佐藤貴志が突いてトライ、ゴールも決まり12-10と逆転成功。
その後両チームにトライがうまれることなく、神戸製鋼がPK3本を確実に決めて最終スコア21-10で神戸製鋼の勝利となる。
MOMはFB正面健司が選ばれた。

試合後、両チームの監督・キャプテンの会見を聴きながら、ふと10年程前の両チームを思い出した。
職人をイメージさせるような強靭で強力なフォワードを擁する全国社会人大会5回優勝のトヨタ自動車。
豪華バックスを擁し、華麗なランニングラグビーで相手を翻弄する全国社会人大会7連覇を達成した神戸製鋼。

「トヨタ自動車 対 神戸製鋼」とは、絶対王者同士の戦い。

先人の築いた「伝統」と「誇り」をかけ、「意地のぶつかり合い」を一人のラグビーファンとして期待している。(滋賀県協会 福岡幸治)
会見ダイジェスト
トヨタ自動車ヴェルブリッツ
朽木監督(右)、上野キャプテン
朽木監督(右)、上野キャプテン


◎トヨタ自動車ヴェルブリッツ
○朽木泰博監督
「宜しくお願いします。トップリーグ、そして滋賀県協会の皆様、素晴らしい芝生の環境でさせて頂きありがとうございました。また非常に苦しい成績の中ファンの皆様、トヨタ自動車従業員の皆様、グラウンドまで足を運んで頂きありがとうございました。
結果、非常に苦しい戦いで勝ち切ることができませんでした。しかし選手たちは良くやってくれたと思います。
ただ、勝てなかった現実から目をそむける事はできません。プレーオフに向けても非常に厳しい状況に立たされた事も間違いありません。来週も試合があります。残された試合で我々がやるべきこ事は、毎試合ベストを尽くす事です。まずは来週のサントリー戦に向けてベストの試合をできる事だけ考えて、準備していきたいと思います」

──スタンドオフは文字選手でいったが、アイイ選手の状態はどうなのか?
「コンディション的にベストな状態ではない」

──怪我という事ですか?
「そうです。なので現状一番良いスタンドオフの文字を起用した」

──後半風上を活かせなかった原因はどこにあるのか?
「ボールを保持する時間が短かった事、また保持したにも関わらずキックを蹴る前に致命的なエラーを犯してしまった事。風の利を活かす事はハーフタイムで意思統一したつもりだったが、グラうンド上で体現できなかった。結果、私の落とし込みが不足していたと言わざるを得ない」

──ハーフタイムではどういった指示を出したか?
「スコアでトヨタが勝っていたので、神戸とすれば攻めざるを得ない。気持ちでのアドバンテージを活かし、早いフェーズで敵陣に入って行こうと指示した。
結果的には少ないフェーズでキックを蹴る前にミスを犯してしまった。後半敵陣に入っても致命的なミスで相手にボールを渡す。こういった所が直接的な敗因につながった」

○上野隆太キャプテン
「お疲れ様です、今日の試合は神戸製鋼さんとやるという事で、タイトな試合になる事は予想していました。その中でも前半リードしたまま折り返せた事は非常に良かったと思います。
後半に入ってから、自陣に入っての簡単なペナルティーやタックルミスなどそういった所で完全に自滅をして、自らの首を絞めてしまったなという風に感じています。先ほど監督もおっしゃってたんですけど、まだまだリーグ戦は続きますし、目標である優勝、次のサントリー戦に向けてチームを作り直していきたいと思います」

──簡単なミスでチグハグな所が多かったが、そうなった原因は?
「本来やるべき事がおろそかになってしまってチームがパニック状態になってしまった。気持ちでは前に行こうとしていたが、切り返す事ができなかった」

──ハンドリングエラーは寒さも原因になったのか?
「寒さは関係ない。風があったがその分パスが流れた部分はあった。ただ寒さや風が影響したのではなく自分達のミスです」


神戸製鋼コベルコスティーラーズ
苑田ヘッドコーチ(左)、平島キャプテン
苑田ヘッドコーチ(左)、平島キャプテン


◎神戸製鋼コベルコスティーラーズ
○苑田右二ヘッドコーチ
「本日は遠い滋賀まで沢山の方に駆けつけて頂きありがとうございます。今週3勝3敗同士の戦いということで、ポイントとしてはコンタクトエリアを制圧できたチームが勝負を分けると位置づけ、一週間練習してきました。またチーム全員が今までやってきた事を信じて今日の一戦にのぞみ、全て出し切ってくれた事で今日の勝利を得られたと思っています」

──前半風上をとって敵陣に入る時間が長かった割にはミスが出て、しんどい展開だったと思うが、ハーフタイムでは後半どのように戦っていく事を確認したか?
「前半はいいアタックができていたが、細かいハンドリングエラーでリズムを崩す場面があった。なので我慢強くボールをキープし続け、できたスペースにアタックし続けようと確認をした。またこの試合でのキーワードである『コンタクトエリア制圧』の再確認もした」

──後半は狙い通りになったと受け取っていいのか?
「そうですね。風上・風下に関わらず、ボールをキープしながら裏にスペースがあればキック、横にスペースがあればボールを回していく事をずっとやってきたので、その戦い方を選手がしっかりとグラウンドで体現してくれた」

──先週負けてから、その反省点をこの試合でどのように活かしたのか?
「僕自身が選手は力を出し切っていないと感じてたので、まずはやりきる事。セットプレーからのアタック、攻める時間等再確認しこの試合に挑んだ。
トヨタさんに関してはセットプレーからの攻撃で、大きなゲインを許すと勢いが出てくるチームなので、そこの制圧をキーポイントとしてやってきた」

○平島久照キャプテン
「本日はありがとうございました。ゲームにかける気持ちが強かったほうが勝利をつかむと思い、その気持ちは負けてなかったと思います。
また自分達のやってきた事に自信をもってできた事がゲームの結果に出たと思います」

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