12節 マッチサマリー(NEC 19-28 NTTドコモ)

NECグリーンロケッツ 19-28 NTTドコモレッドハリケーンズ
【week12/2012年1月28日(土) at 東京・秩父宮ラグビー場】

NTTドコモ、NECのナドロを抑え、勝ち点5のうれしい勝利

時間は後半34分となっていた。NECは後半、追加点は取れず、スコアボードのスコアはNEC 12-21 NTTドコモ。しかし、チームの地力の差を考えると、9点差はNTTドコモにとっては決してセーフティリードとは言えない。
後半30分を過ぎたころから、NECが敵陣でよくボールを展開してきていた。NTTドコモは、NECのアタックを執拗なタックルで止める。しかし、ノット・ロール・アウェイのペナルティを取られ、その直後のNTTドコモ陣ゴール前でのNECボールのラインアウトからNECバックスに出したボールに、WTBナドロがタテに突っ込んできた。NTTドコモの選手はゴールに突進してきたナドロを3人がかりで止めたが、NTTドコモのタックラーに対して、戸田レフリーはノット・ロール・アウェイのペナルティの笛を再び吹いた。「チームによる反則の繰り返し」となり、NTTドコモのCTB清瀬がシンビン。ゴールポストまで5mのポイント。残り時間は6分しかないが、これで、大きく試合の流れが変わりそうだ、と誰もが思った。

しかし、何が起きるかわからないのがラグビーだ。トライを狙ったNECは、スクラムを選択し、SOマッキンタイアーから左への飛ばしパスを、NTTドコモのWTB平瀬がインターセプト。平瀬はそのまま95m走り切り、NTTドコモとしてこの日4つ目のトライ。ゴールも決まり、スコアはNEC 12-28 NTTドコモと、NTTドコモは、最大のピンチの直後に、逆にトライをとり、点差を大きく広げた。
NECも40分にCTB釜池がトライ(ゴール成功)を返し、スコアを19-28したが、ここでノーサイド。

トップリーグリーグ戦の順位争いで重要となる4位以上のボーダーラインにいるNEC、そして、13位以下の自動降格からの脱出争いのボーダーラインにいるNTTドコモ。この2チームの戦いは、前半から両チームともボールをよく動かし、速い展開を競うゲームとなった。前半8分にNTTドコモがFLセテファノのトライ(ゴール成功)で先制するも、NECもすぐに、11分にFLニリ・ラトゥのトライ(ゴール成功)で追いついた。NECは更に23分、ラインアウトのモールからHO臼井のトライで12-7とリードするも、NTTドコモは後半2分にPR許のトライ(ゴール成功)で逆転、8分にはFLセテファノのトライ(ゴール成功)で12-21とリードを広げていた。その後、NECにもチャンスは何回かあったが、NTTドコモは全員ディフェンスでNECの「切り札」WTBナドロをよく止め、走らせず、最後には主将平瀬自らのインターセプトでのトライで試合を決め、うれしい勝ち点5を取ったゲームとなった。

NECはこの日での「4位以内」を確定できなかったため、最終節の試合は「必勝」で臨む。一方、NTTドコモは、「13位以下の自動降格対象チームからの脱出レース」で、他の2チームに対し、一歩リードして最終節を迎える。(正野雄一郎)

会見ダイジェスト
NECグリーンロケッツ
岡村ヘッドコーチ(右)、ラトゥ キャプテン
岡村ヘッドコーチ(右)、ラトゥ キャプテン


◎NECグリーンロケッツ
○岡村 要ヘッドコーチ

「力負けというか、我々に勝つ力がなかったことを真摯に受けとめます。ただ、今日のゲームがどうのこうのというよりも明日からどういう風に我々が前を向いてやっていくかが大事なので、この一瞬から次のゲームのためのマインドになっているような状態です」

──ラインアウトはサインを読まれていたのでは?

「その原因は分析してみないとわかりませんが、このゲームで苦しんだひとつの大きな要因であることは確かだと思います」

──先週までチームとして勢いのあった上手くいっていたメンバーを、今日は変えた理由は?

「コンディションの状態の問題で、今のベストで臨みました。先発では二人変わりました。櫻井選手は体調を崩しました。今回は釜池選手など準備できているプレーヤーが多かったが、今日の釜池選手のプレー、タックル、最後のアタックなど予定通りのプレーをしてくれました」

──インターセプトされたところではどうでしたか?

「選手の判断ですが、シンプルに右にナドロ選手をおいていたので、あれ位の距離であればシンプルにいっても良かったのではないかと。後、準備していなかった」

──準備の問題?

「準備の問題というよりは、シンプルにいくべきであったかなと」

──プレーヤーが開く、開かないということですか?

「そこよりも、その前段階ですね」

──ナドロ選手へのマークがきつかったのでは?
「前の試合もそうであったのですがボールが動かなかった。もっと早く展開したかった。ナドロ選手云々というよりもボールが動かないことが原因です」

──これは、グラウンドの問題か?

「我々がクリーンアウトの質をもう少し上げなければならない。グラウンドの状態がなくはないですが、それに対応していかねばならないと思います」

──最終戦にプレーオフがかかっているが、最終戦に向けて修正しなければいけないことは?

「皆のビッグハートがあり、良かった点は最後まであきらめないことを春からやってきました。諦めないで、最後のワントライは次につながるものです。修正するのはクリーンアウトとコンタクトエリアを修正すれば勝利できると思います」

○ニリ・ラトゥ キャプテン

「今日勝てなかったのは残念な結果ですが、NTTドコモさんは我々よりもハングリーで、相手に勝利を与えた結果に至りました。この時期、下位のチーム、特にボトムの4チームはハードに来るので相手の勝利に貢献してしまった。我々もミスを多くしすぎてしまったのが敗因でした」

──12-21でインターセプトされる前のところで、ショットではなくスクラムを選択したが、まず3点入れて6点差にする考えはなかったか?

「ショットを選んでいても相手のキックオフから攻められるという状況があったし、50:50の判断でしたが、まずはトライをとってからという逆の戦略で臨みました」

──相手にはNECのスタイルを良く知っている選手がたくさんいたことについて、どのようなフィーリングだったか?

「今日の元NECの選手3人はドコモのプレーをしっかりしていましたが、今日はNECのラグビーができなかったのが敗因です」

──相手は、NECの持ち味を止めようとディフェンスにしつこく絡んでいると感じたか?

「NTTドコモさんからラック周辺でプレッシャーを受けるのは事前にわかっていましたが、プレッシャーを受けてしまったことは事実です。先方も勝利を望んでいて、NECが本来の力通りプレーできなかったのが結果となりました」

──今日勝っていれば、プレーオフが決まっていたが、プレッシャーを感じていたか?

「最後20分にとった戦法としては、まず普通に勝って4点を、それからボーナスポイントをと思って戦いましたが、NTTドコモさんもディフェンスが良く、我々はミスをおかし過ぎてしまったことで結果が実りませんでした」

──最後トライをとって試合が終わる前にハドルを組んで熱く語っていたようですが?

「プランとしていた、勝利してプレーオフに行くということがまだできないもののポジティブに位置づけ、トップ4に入るために今年ハードに練習してきたこと、まだプレーオフを狙えるチャンスがあるという話をしました」


NTTドコモレッドハリケーンズ
高野ヘッドコーチ(右)、平瀬キャプテン
高野ヘッドコーチ(右)、平瀬健志キャプテン

◎NTTドコモレッドハリケーンズ
○高野一成ヘッドコーチ

「秩父宮にNTTドコモの本社・ファンの皆様、会社の大勢の方々が駆けつけていただいた中で勝利を手にとることができ、嬉しく思っています。前のホンダ戦で勝ち点をとれて、タイトな試合になると思っていましたが今回勝ち点5をとることができ、最終のサニックス戦に向けてまた勝ち点をとってリーグ残留できるように頑張っていきます」

──元NECの人達が体を張った試合、今日のパフォーマンスについては?

「相手がNECさんで個々の意識は高かったと思います。平瀬選手も今回は入って、相手に勝つというメンタルな部分がどれだけ強いか、貪欲に攻め続けることに対し、元NEC組がしっかり鼓舞してくれたことを試合上すごく感じました」

──NECのナドロ選手対策は?

「ナドロ選手はケアすべき選手の一人です。NECさんのワイドオプションにマッチアップできるかでした。前半はスペースを作らせてしまいましたが、後半ハーフタイムに修正し、しっかりプレーできました。平瀬選手も片足で止めていたところもあり、対策としてはできたと思います」

──ラインアウトは、元NECの選手達から情報を得ていたのか?

「ある程度、過去の試合のアナライズはしていたことと、我々がどの程度リアクションできるかがポイントと思っていましたので、今日のラインアウト獲得率は上がったと思います。聞いた情報で動いたものではありません」

──ハーフタイムではどのような修正ポイントを指示し、次節に向けてどのように戦うのか?

「前半、敵陣に3度ほどチャンスをもらったが、イージーミスで取りきれませんでした。スペースはできていたので、そこへしっかりボールを運ぶことやナドロ選手対応でも指示したことを後半に修正してくれました。次節に向けては、ホンダさんとは1ポイント差なので、サニックスさんのワイドオプションにしっかり対策して、勝ち点の5ポイントを取りにいきます」

○平瀬健志キャプテン

「NTTドコモは、第6節の神戸製鋼戦以降、勝利から遠ざかっています。リーグ降格という危機を感じて今日の試合がラストチャンスと思って泥臭い試合をしようと臨み、それができました。もう一試合あり、今日のような体を張った試合をすれば勝てると思いますので頑張っていきます」

──試合前にホンダが勝ち点5をとって勝ったということを踏まえて、試合に臨む選手たちの心理状態は?

「この試合に勝てば特別気にすることはないので、このNECさんとの試合に集中しようと心がけました」

──最後のインターセプトのところでは大ピンチでしたが?

「あの時間帯は、清瀬選手がシンビンでバックスが少なくなったところでしたので、味方ゴール前でいちかばちかのチャンスで、ピンチからトライになったので良かった」

──そこは相手センターが開くのは読んでいたのか?

「相手選手が飛ばしパスが多く、もう受けてしまうとトライされてしまうので、取りに行くことにしました」

──まさに狙っていたということか?

「そうですね。受けてしまうとトライされるので」

──後半、モールのトライで逆転し、後半の3本目のところで正面でショットを狙わなかったのは?

「ショットは頭に入っていましたが、FWが乗っていて前半もモールで取れて、ここはトライを取ろうという確信があったためです」

──今まで試合に出られなかったことと、久し振りの試合は?

「チームの競争レベルが高く、キャプテンとして試合に出ることや勝つこともできず悔しい気持ちでした。久し振りに試合に出させてもらって、対面が現在トライ王のナドロ選手で自分が止めないと試合に勝てないと思っていたので試合に思いをぶつけました」

──ナドロ選手対策は、試合中他の選手と連携しながらやっていたようですが事前に話をしていたのか?

「過去の試合からもSOからのキックパスも多かったようなので注意して、一人目がタックルに、二人目はオフロードパスを防ぐことを意識してディフェンスしました」

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