13節 マッチサマリー(東芝 59-25 パナソニック)

東芝ブレイブルーパス 59-25 パナソニック ワイルドナイツ
【week13/2012年2月5日(日) at 東京・秩父宮ラグビー場】

トップリーグ最終節、11勝1敗 勝点52のパナソニック ワイルドナイツと、10勝2敗 勝点50の東芝ブレイブルーパスの対決。13000人の観衆が見守る中、東芝のキックオフで試合が始まった。

開始早々から東芝が激しい攻撃を仕掛ける。ノットリリースザボールの反則を犯し自陣10mライン付近に一旦戻されるが、その相手ボールラインアウトを奪った後、確実にボールを動かしゴールに迫る。
前半4分、PR久保知大がゴール間際までボールを運びラック、左サイドでパスを受けたSOデイビッド・ヒルからWTB伊藤真に飛ばしパスが通りトライ。SOデイビッド・ヒルのゴールが決まり7-0と先制した。
7分にはパナソニックが反撃、相手バックスのパントをチャージ、それを拾ったFLバツベイシオネがハーフ付近からうまくゴールに蹴りこみ、WTB山田章仁がおさえトライ。FB田邉淳のゴールは不成功で7-5。

その後は再び、ブレイクダウンに強い東芝が攻め込む。14分、ゴール前中央のラックから左に回しSOからFB松田努にパスが通りトライ。テンポの速い攻撃でパナソニックのディフェンスに穴ができてしまった。ゴール成功で14-5。本日先発出場の松田は、先週に引き続き自身が持つトップリーグ最年長トライ記録を塗り替えた。
東芝は19分にも、相手22m付近ラインアウトからモールを押し込み、SH藤井淳がほぼ真横に走ったところにアングルを変え走り込んだSOデイビッド・ヒルとクロス、相手WTBのタックルを激しいあたりで撥ね除け中央右にトライ。自身のゴールも決まり、21-5。

東芝にも細かいミスはあるがカバーが早い。倒れてすぐのパスのつなぎ、ブレイクダウンを有利に制した後のすばやい球出しとプラン通りの試合運びだ。一方のパナソニックは相手の圧力から攻撃が単発で終わることが多い。
東芝はスクラムでも優勢で、前半終了間際のゴール前の攻撃では、数回にわたりペナルティキックを得てもスクラムを選択し、37分押し込んだスクラムからNo8豊田真人が右サイドに抜け出てトライ。26-5で前半を終了した。

後半開始直後は、パナソニックのペース。ただし大事な場面でノックオンを犯したり、ラインアウト後のモールが不安定だったりする。それでも後半9分、ラックから右サイドを抜けたNo8ヘンドリック・ツイが、相手に絡まれる前に外にフォローしたHO設楽哲也にオーバースロー気味のパス、そのままトライとなった。ゴールは不成功で、26-10とする。

13分には東芝FLマイケル・リーチがラックからブラインドに回りこみ、捕まりながらも左手を伸ばしてコーナーポストぎりぎりにトライ。31-10。
17分、ゴール前攻防のラックから、東芝SOデイビッド・ヒルの意表をついたハイパント。ゴール前5mでFLスティーブン・ベイツがキャッチしてトライ。ゴール成功で、38-10。

20分、パナソニックWTBに交代で入っていた21番ジャック・フーリーが、自陣10mから個人技でゴール前まで走り、ゴール手前で捕まったがWTB北川智規と連携し、タッチぎりぎりから最後はFL西原忠佑にパスが通りトライを返した。38-15。

27分、左ゴール前5mのラインアウトモール。東芝のモールは安定していて崩れない。モール左サイドをNo8からSH藤井淳とつなぎトライ。ゴール成功で45-15。
その後も東芝は32分、35分とトライを重ね59-15まで点差を広げた。

後半終了間際パナソニックが意地を見せ、38分相手スクラムで得たフリーキックからすばやく攻撃し、HO16番堀江翔太がトライ。終了のホーンがなった後にも自陣から攻め、22番霜村誠一がロングゲイン。ゴール前で捕まるがフォローした21番ジャック・フーリーのトライ。59-25でノーサイドとなった。

前の試合でサントリーのリーグ戦1位が確定していたので、両チームの2位と3位が決まっていたが、東芝はそのことは考えずひとつひとつのブレイクダウンでタフになり切り、前にボールを運ぶラグビーに徹して勝利を得た。
2週間後のプレーオフトーナメントでも同じ対戦となるが、パナソニックも終わってみれば5トライを上げており、今日にも増した熱戦が期待される。(白石良多)

サントリー 18-21 東芝   サントリー 18-21 東芝   サントリー 18-21 東芝   サントリー 18-21 東芝
会見ダイジェスト
パナソニックワイルドナイツ
中嶋監督(右)、田中ゲームキャプテン
中嶋監督(右)、田中ゲームキャプテン

◎パナソニック ワイルドナイツ
○中嶋則文監督

「お疲れ様です。フィジカルの強い東芝さんに対し、アタックもディフェンスも前へ出ていこうと臨みました。接点で人数をかけさせられ、ボールを動かされてトライを獲られ、80分間、修正できませんでした。プレーオフではしっかり修正して戦いたいと思います」

──プレーオフのために準備した布陣か?

「特に準備をしたわけではありません。選手には、トーナメントに臨む前に、しっかり集中して臨もうと伝えました。メンバーは手の内を隠したように思われるかもしれないが、怪我人の関係です。堀江も前のゲームで頭を打っていた状態で大事をとりました。今日は、現在のベストのメンバーで臨みました」

──後半は、来週以降のメンバーで得点できたようだが?

「点差が開いて、東芝さんも集中が切れたからだと思います。あまり参考にならないと思いますが、メンバーがそろえば対抗できると思います。ただ、霜村もパフォーマンスで流れを変えることのできる選手ですので、彼がいると選手が落ちつきます。帰ってきてくれたのは大きいと思います」

──現行方式だと、初戦と最終戦に山場がくるスケジュールだが?

「グラウンド状態もそうですが、もう少し工夫があれば、もっと良い内容の試合になると思います。ただ、今シーズンに関しては結果論ですので、あまり気にせず、選手には集中するよう伝えます」

○田中史朗ゲームキャプテン

「お疲れ様でした。単純に力と力の勝負で負けたことが敗因です。プレーオフでは接点でしっかり前へ出させないように修正して臨みたいと思います」

──秩父宮のピッチの感じは?

「足場が良くなかったので、本来のプレーができなかったのは、お互い一緒です。言い訳はできません。しっかり、このグラウンドをイメージして練習したいと思います」

サントリー 18-21 東芝   サントリー 18-21 東芝   サントリー 18-21 東芝
東芝ブレイブルーパス
和田監督(右)、豊田キャプテン
和田監督(右)、豊田キャプテン

◎東芝ブレイブルーパス
○和田賢一監督

「本日はありがとうございます。多くの皆様に来場していただき、寒い中、チームの力になって下さったことに感謝申し上げます。ありがとうございました。タイトなゲームになると選手には言い続けてきました。去年、日本選手権準決勝で終止符を打たれた相手ですので、相手の時間帯でいかにタフになれるかが勝負だと言ってきましたが、一つ一つのブレイクダウンで勝つことができたのが勝因だと思います」

──すでに2週間後のマッチが試合前に決まっていたが?

「セミファイナルの相手がどことか、相手のメンバーとか、選手にはまったく言っていません。目の前の試合に全力で臨むことだけでした」

──2位と3位の間でアドバンテージがないが?

「まったく関係有りません。プレーオフというステージに行ける、試合ができる。その相手がパナソニックさんということだけです。再来週はどうなるか分かりません。しっかり臨むしかありません」

──2位とはいえ、サントリー、パナソニックを破っているのは東芝だけだが?

「やってきたブレイクダウンに手応えを感じています。ただ、確かにサントリーさん、パナソニックさんには勝っているものの2位ですから、まだ、成長する余地はあると思います。もっと立って、ボールを動かすラグビーをしていきたいと思います」

──立ち直りのきっかけは?

「12月の2敗が大きかったが、サテライトでのクボタ戦でBチームのメンバーが、今私たちのやっている戦い方をしてくれました。そのことがきっかけと言えると思います」

──昨年は2週間前に勝って、逆にやられたが?

「去年の、『1位通過しながらのセミファイナルの敗戦』という教訓を生かしてやっていきたいと思います。今日も最後の10分間で、たくさんトライを獲られています。締めるだけでなく、何を準備するか整理してやっていきたいと思います。例えば、ボールを動かす、ここぞというタイミングでスローボールになっています。もっとナチュラルに動かして良いですね。僕らはシーケンスのラグビーではないので、ペネトレーターだけでなく、フロントローもアタックに行けるような精度を高めたいと思います」

○豊田真人キャプテン

「まず、初めに、観戦された多くのラグビーファンの皆様に感謝いたします。去年の終止符を打たれたリベンジということで、チームの中でもすごく気合いを入れて臨んだ試合でした。勝てたことはすごく良かったですが、後半の最後に5トライ目を獲られた時、もう一回リベンジしなくてはと感じました」

──第一試合の結果は気にならなかったのか?

「正直、どっちが勝ったか知らなくて、あれ、一位通過ではないのかとがっかりしました(笑)。サントリーさんが勝ったのを聞いて、ショックでした」

──キャプテンが前へ出られるようになったきっかけは?

「僕一人でなく、今日は15人全員がボールを持って前へ出ようとしました。決まった選手がいるわけでなく、とにかく15人全員が同じ意識をもったことがこの結果につながりました。12月の2敗で、自分自身の中にも、考えすぎず、持っているものを100%出そうという考えが生まれました」

──サントリーのアタックする戦法に対して勝ったが?

「手応えはまだつかんでいないと思っています。僕たちのできるラグビーはああいう形のラグビーです。一人一人がやり抜くタフさを身に付けたいです」

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