プレーオフ セミファイナル マッチサマリー(パナソニック 37-25 東芝)

プレーオフトーナメント

パナソニック ワイルドナイツ 37-25 東芝ブレイブルーパス
【プレーオフトーナメント セミファイナル/2012年2月19日(日) at 東京・秩父宮ラグビー場】

トップリーグ王者を決めるプレーオフトーナメントのセミファイナル第一試合は2週間前に行われたリーグ戦最終節と同じ顔合わせとなった。
東芝はNEC、神戸製鋼に敗れリーグ戦2位通過だが、トライ数・得失点差はリーグ戦トップの実績で、特に後半に調子を上げてきておりパナソニックに対しても最終節に59-25と大差で勝利している。
パナソニックは同様に2敗を喫し3位通過だが、その大敗の東芝戦以外は惜敗のサントリー戦も含め攻撃力に加え粘り強い防御網を展開してきており、昨年に続きプレーオフトーナメントを制する実力は充分持ち合わせている。
晴天の秩父宮ラグビー場は1万人超の観衆のもと、パナソニックのキックオフで試合が開始された。

東芝は開始早々よりパナソニック陣営に攻め込みボールを保持するものの、ミスが相次ぎ決定的な場面を作る事が出来ない。
前半5分、東芝のオブストラクションの反則によりパナソニックNO.15田邉のPG成功(3-0)。その後も東芝の攻勢が続くものの、パナソニックのFWの接点での頑張りとFW・BK一体の防御が目立つ展開となり東芝は得点を挙げられない。
前半31分にオーバーザトップ、また36分にはオフサイドと東芝のペナルティによりパナソニック田邉がPGを連続成功させ徐々に点数が開いて行く。(9-0)

前半42分、東芝の連続攻撃に耐えきれずパナソニックが自陣ゴール前にてハンドの反則、東芝NO.10ヒルがPGを成功させて前半を終了した。(9-3)

後半1分、東芝はゴール前モールを押し込んでNO.2湯原がトライ。ゴール失敗。(9-8)
後半8分、パナソニックはカウンターアタックからNO.14北川がトライ。田邉が右端からゴールも成功。後半早々のトライより流れが東芝に行きかかっていたが、パナソニックとしては貴重な初トライを挙げた。(16-8)
後半11分、東芝BKのパスミスを突きパナソニックNO.13フーリーが50Mの独走トライ。ゴール成功。(23-8)

後半16分、東芝は敵ゴール前からモールで押し込みゴールを割ったかに見えたが、TMO(テレビマッチオフィシャル)判定によりトライは認定されず。
後半19分、東芝は引き続きFW攻勢によりゴール直前まで攻め込むが上記同様にTMO判定にてトライは認定されない。

後半22分、パナソニックは自陣ゴール前まで攻め込まれるが、東芝のパスミスのボールを拾ったNO.13フーリーが90Mの独走トライ。ゴール成功。(30-8)
後半26分、東芝はBKが左展開するもグランド中央にてパスミス。それをパナソニックNO.14北川がキックでゴールまで持ち込みトライ。ゴール成功。(37-8)

後半29分、東芝はゴール前モールを押し込み左中央にNO.2湯原がトライ。(37-13)
後半32分、東芝はFWを起点に連続攻撃しNO.22宇薄が左中央にトライ。ゴール成功。(37-20)
後半36分、東芝が一体攻撃を仕掛け右ゴール前ラックよりNO.10ヒルが右中央にトライ。(37-25)

試合終了10分前の東芝の3連続トライによりトライ数は4-4、また点差は12点と接戦となったが、試合全般を通じパナソニックがブレイクダウンで常に優位に立ちまた接点も支配する中で東芝のミスを誘発させるという会心の試合展開により、リーグ戦での雪辱を果たす結果となった。
両チームの今シーズンの残る試合での健闘を大いに期待したい。(岡本 満)

パナソニック 37-25 東芝   パナソニック 37-25 東芝   パナソニック 37-25 東芝   パナソニック 37-25 東芝
会見ダイジェスト
東芝ブレイブルーパス
和田監督(右)、豊田キャプテン
和田監督(右)、豊田キャプテン

◎東芝ブレイブルーパス
○和田賢一監督

「本日は多くの皆様にご来場いただき、また、注目される舞台を与えていただき、ありがとうございました。今日に限っては、パナソニックさんに、強さ、上手さ、すべての面で上回られてしまったと思います」

──敗因は?

「それは前半の戦い方がダメだったからです。2週間前は、一つ一つのブレイクダウンで相手を下げさせてスペースを作りましたが、今日はボールのデリバリーを考えて、ドライブできなかったのが敗因です」

──ハーフタイムの指示は?

「FW、BKを集めてブレイクダウンで1対1をドライブしないで逃げているぞと指摘しました。低さの部分はディフェンスも一緒で、ファーストタックルの質が悪いのと、ボディポジションが悪いと伝えました」

──悪かった理由は?

「パナソニックさんの圧力で、先に当たられて身体が浮いてしまったからです」

──今日の戦いを総括すると?

「15人はいろいろなプレッシャーを感じていたと思います。こんなはずではないと思いながら戦ってくれたと思います。ブレイクダウンの中に人がいて、マイボールを下げさせられてミスが起きました。後半、トライを獲られたのはミスからですので、しっかり修正して日本選手権に切り替えていきたいと思います」

○豊田真人キャプテン

「本日は多くのラグビーファンの皆様にご来場いただき、ありがとうございました。試合はブレイクダウンの部分で、パナソニックさんの圧力に少し受けたりする甘さが出て、ドライブがあまりできず、この点差になってしまいました。もう一度、チャンスがあるので、そのチャンスを生かせるように良いチームをつくって臨みたいと思います」

──オプションのミスがあったようだが?

「オプションと言うより、1対1を制することを意識したのですが、ミスが多かったです。パナソニックさんの接点でのプレッシャーが大きかったです」

──後半、15点差の所でPGを狙わなかったのは?

「FWのラインアウトモールに自信がありました。トライを獲りに行けると確信して判断しました」

──パナソニックは2週間前とスタメンが7人も代わったが?

「今日のメンバーがベストだと感じています。2週間前とは、接点でのプレッシャーが違いました」

パナソニック 37-25 東芝   パナソニック 37-25 東芝   パナソニック 37-25 東芝   パナソニック 37-25 東芝
パナソニックワイルドナイツ
中嶋監督(右)、霜村キャプテン
中嶋監督(右)、霜村キャプテン

◎パナソニック ワイルドナイツ
○中嶋則文監督

「お疲れ様です。多くのファンの皆様が、会場に足を運んでくださったことに感謝します。東芝さんとの最終節では、ブレイクダウンで受けに回ってしまったので、そこにフォーカスしてトレーニングを積んできました。選手は80分間集中してくれました。それに尽きると思います」

──ハーフタイムの指示は?

「前半40分、しっかり集中してプレッシャーを掛けることができた、ここからが勝負だと送り出しました。モールからトライを獲られた後も、選手がディフェンスでしっかり切り返してくれてターンオーバーからトライを獲ってくれました。選手を誇りに思います」

──連覇がかかるが?

「今日のように、うちの持ち味であるディフェンスからしっかりエリアを取って、強みを出していきたいと思います」

○霜村誠一キャプテン

「2週間前に負けて、立ち直ると言うより、自分たちが何をやるべきかに集中していました。自信になる戦いができました。次もこうしたゲームがやれるよう、しっかり練習していきたいと思います」

──前半からブレイクダウンを圧倒したが?

「練習でやってきたことを、皆が同じ方向を向いて、同じ力を出す強さがありました。集中力があったと思います。今日は、東芝さんの強みであるブレイクダウンでもプレッシャーが感じられず、怖くなかったですね」

──ターンオーバーが多かったが?

「トライを獲れたのは、FWがしっかりプレッシャーを掛けてくれたおかげです。そこで取ったチャンスで、足が速い二人が行ってくれました」

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