2節 マッチサマリー(サントリー 34-29 九州電力)

サントリーサンゴリアス 34-29 九州電力キューデンヴォルテクス
【week2/2012年9月8日(土) at 東京・秩父宮ラグビー場】

サントリー 34-29 九州電力   サントリー 34-29 九州電力   サントリー 34-29 九州電力   サントリー 34-29 九州電力

ラグビートップリーグ下剋上戦国時代へ突入!!

第1試合はトヨタ自動車ヴェルブリッツが逆転の1点差で昨年度トップ4のNECグリーンロケッツを下したためか、試合前のスタジアムはざわついて異様な雰囲気の中にあった。

昨年度、トップリーグと日本選手権の2冠を取ったサントリーサンゴリアスと3年ぶりにトップリーグに返り咲いた九州電力キューデンヴォルテクスの試合は、サンゴリアス恒例の試合前の全員ダッシュから両チームが円陣を組んで気合を入れて各自ポジションへ散らばった。

試合前にこれから起こる光景をだれが予想したであろうか。

キューデンヴォルテクスのキックオフで試合が始まった。

2分サンゴリアスがCTB12番ニコラス選手のオフロードパスを受けたFB15番有賀選手からSO10番ピシ選手へパスが渡り、走り込んできたWTB14番長友選手がスピードで突破してキューデンヴォルテクスのディフェンスがついていけずに中央へトライ。CTB12番ニコラス選手がゴールキックを決めて7-0。

6分キューデンヴォルテクスがトライを取られた後、敵陣でのバックスの連続攻撃でサンゴリアスの外側のディフェンスが薄くなり、WTB14番吉田選手が右隅へトライ7-5。

10分キューデンヴォルテクスのラックからWTB11番早田選手がSHの位置でボールを受けて密集をかいくぐって抜け出し、FL7番平田選手へパスをしてその外側をフォローしたLO4番浦選手がインゴールへなだれこんで左隅へ逆転のトライを奪ってスタジアムがどよめく7-10。

16分サンゴリアスのラインアウトからPR3番畠山選手がラックサイドをついて再逆転トライで左25mのゴールキックをCTB12番ニコラス選手が決めて14-10。

27分サンゴリアスの猛攻撃を何とかタックルでしのいでいたキューデンヴォルテクスのディフェンス。ラックから9-10-12-13-11とバックスのライン攻撃についていけずWTB11番小野澤選手がトライで中央のゴールキックをCTB12番ニコラス選手が決めて21-10。

29分サンゴリアスのオフサイドのペナルティからFB15番荒牧選手が速攻でサンゴリアスの不意をついて最後はショートパントを自ら拾って左隅へトライをあげる。SO10番齊藤選手がポストに当てながらゴールキックを決めて21-17。

37分キューデンヴォルテクスのノットロールアウェイのペナルティをPR3番畠山選手がクイックスタートして自ら持ち込んで中央左側へトライ。ボーナスポイントを取ると共にひょっとしたらという思いを断ち切らせたかに思われた。ゴールキックはCTB12番ニコラス選手が決めて28-17。

後半はサンゴリアスのキックオフで始まった。
9分キューデンヴォルテクスのノーボールタックルで22m中央からペナルティゴールを狙ってCTB12番ニコラス選手が決めて31-17。徐々にサンゴリアスのペースになっていくように思われた。

14分キューデンヴォルテクスが敵陣10m付近のペナルティをSH9番プライス選手からNo8 19番ルアマヌ選手が突進して力ずくでトライを奪ってキューデンヴォルテクスもボーナスポイントをゲットした。ゴールキックは惜しくもポストに嫌われた。

16分キューデンヴォルテクスはFB15番荒牧選手がペナルティからのクイックスタートからFL7番平田選手へパスで縦突破して、荒牧選手が回り込んでパスを受けて中央へトライをあげ、SO10番齊藤選手がゴールキックを決めて31-29。スタジアム全体がもしかしたらを思い始め、観客がキューデンヴォルテクスの応援をし始めた。

22分キューデンヴォルテクスが22m中央付近でオフサイド。サンゴリアスはペナルティゴールを狙ってSO22番ピーター選手が決めて34-29。でもまだ5点差でキューデンヴォルテクスは2つ目のボーナスポイント圏内にあり、緊迫した状態がノーサイドまで続いた。

あとひとつ攻めきれなかったキューデンヴォルテクスではあったが、後半は完全に主導権を握り5トライをあげてトライ数では上回ったが、試合巧者のサンゴリアスが後半ノートライながら辛うじてペナルティゴールで逃げ切って暫定首位になった。

試合後のロッカー前では元気で「惜しかった」と口々に言うキューデンヴォルテクス選手に比べて、下を向いてうなだれていたサンゴリアスの選手にどっちが勝ったチームかわからない状態。またキューデンヴォルテクスは観客の心を完全に鷲掴みにしていた。

マン・オブ・ザ・マッチはボールを保持すると確実にゲインラインを突破し、自らの判断で勝利を呼び込んだトライを含めて2トライをあげたPR3番畠山健介選手が選ばれた。
今日の試合は、昨年度のNZワールドカップで日本代表選手が敗者チームでマン・オブ・ザ・マッチを取ったように、九州電力キューデンヴォルテクスの選手にマン・オブ・ザ・マッチを与えたくなるような試合内容であった。

今年は確実に上位チームと下位チームの差が縮まっていた。

次節のサントリーサンゴリアスはまだ勝点のないリコーブラックラムズと9月14日(金)にナイターで東京秩父宮ラグビー場で対戦。勝って首位をキープしたい。
また、九州電力キューデンヴォルテクスは9月16日(日)にナイターで、逆転でNECグリーンロケッツを破ったトヨタ自動車ヴェルブリッツと愛知・瑞穂公園ラグビー場で対戦。今シーズンの初勝利を目指す。(奥山 禎晴)

会見ダイジェスト
九州電力キューデンヴォルテクス
平田監督(右)、松本キャプテン
平田監督(右)、松本キャプテン

■九州電力キューデンヴォルテクス
平田輝志監督

「今日は、サントリーさんとの戦いに多くのお客様が観に来てくださって、嬉しく思います。ありがとうございました。サントリーさん相手に4トライ以上獲り、7点差以内でボーナス2を獲得できたことは大変嬉しく思います。一番の成果は、一戦一戦、勝ちにこだわりながら、すべてを糧にしてチームとして成長していくことで、今日はそれができたことを非常に嬉しく思います」

──他にうまくいった部分は?

「負けて元々ですので、勝敗よりも4トライ以上と数値目標を掲げました。4トライ獲れれば、勝敗にもかかわってくると。また、ブレイクダウンはサニックス戦で、そこに人数を掛けるか否かの見極めが良くなかったので、ブレイクダウンを捨てる判断と勇気が必要と練習しましたが、それがうまくいったと思います」

松本 允キャプテン

「本日はありがとうございました。私たちはチャレンジャーとしてトップリーグ王者のサントリーさんに、自分たちの持っているすべてをぶつけようと臨みました。試合前、勝敗は気にせず、やるべきことを40分、40分忠実にすれば必ず結果は付いてくると言ってきました。前後半ともサントリーさんのアタックに対し、ディフェンスでしっかりプレッシャーを掛けられました。ワンチャンスもしっかりスコアに結び付けられたことが、接戦にできた要因です。試合の流れから言うと、勝つチャンスはたくさんあったと思います。あと一歩のところが差なのかなと思います。シーズン通して、1試合1試合、成長していきたいと思います」

──善戦したが勝てなかったのは?

「全体的にゲームを通じ、勝負どころでの勝負強さ、全体的な経験の差だと思います。サントリーさんの試合巧者ぶりは一枚上手でした」

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サントリーサンゴリアス
大久保監督(右)、真壁キャプテン
大久保監督(右)、真壁キャプテン

■サントリーサンゴリアス
大久保直弥監督

「今日は特に勝ったこと以外に収穫はない試合でした。九電さんの激しいタックル、リアクション、ボールへの執着心は我々よりはるかに上だったと思います。勝てて良かったです」

──デュプレア選手は?

「足の打撲です。今日のプレーはリスクがあるので、先のシーズンを考えて大事を取りました。今年はかなりフィジカルなゲームが予想され、彼のゲームコントロール力と日和佐の力との差は、今のところ大きなものがありますので」

真壁伸弥キャプテン

「勝って反省できることだけが良かった試合です。試合前から、九電さんをリスペクトし、最初から力を出そうとしましたが、もっと自分が引っ張っていかねばならないと感じました。修正して、次のゲームに向かっていきたいと思います」

──ターンオーバーを数多くされたが?

「九電さんは、もっとブレイクダウンに人数を掛けるイメージがありました。そこで、一人、二人と負けたのが原因です」

──最後の5分から10分は?

「個人的にはヤバいとは思っていませんでした。自分たちのラグビーにまず帰りたい、直したいと思って、まず、攻め続けようとしていました。いつもと違うのはダイレクトプレーで、自分たちの流れを持ってくるために、もっとシンプルなプレーにすべきだったと思います」

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