4節 マッチサマリー(サントリー 42-17 キヤノン)

サントリーサンゴリアス 42-17 キヤノンイーグルス
【week4/2012年9月22日(土) at 東京・秩父宮ラグビー場】

ここまで開幕3連勝のサントリーサンゴリアスに対して、トップリーグ昇格1年目のキヤノンイーグルスが、どこまで対抗するのか楽しみな一戦である。

キヤノンのキックで始まる。
キヤノンは開始直後から思い切った攻撃を仕掛ける。キヤノンの反則からサントリーが速攻を仕掛けるが、これをよく防ぎ、ターンオーバーして切り返す。サントリーたまらずオフサイドの反則。キヤノンは直ちにリスタートして攻め、13番ベネットが先制トライ。ゴールも成功しキヤノンが先行し、会場が盛り上がる。ここまで3分。
サントリーも攻めるが、キヤノンが出足よく前に出て、サントリーの攻撃を止める。序盤はキヤノンの健闘が光る。

サントリーが得点したのは18分。10番小野がペナルティゴールを決めて3点を返し、3対7とする。更に22分。サントリーは自陣から攻め続け、11番小野澤がキヤノンのタックルを次々にかわし、50メートルを走りぬきトライ、8対7と逆転する。その直後にキヤノンも反撃。サントリーの反則から、12番三友がペナルティゴールを決め8対10と逆転する。
しかしサントリーはここから得点を重ねる。28分に10番小野がペナルティゴールを決め、11対10とする。30分には中央付近のスクラムから連続して攻撃を仕掛け、11番小野澤が大きくゲイン、最後は4番篠塚がトライ。ゴールも決まり18対10とする。前半終了間際にも3点を重ね、21対10と、サントリーがリードして前半を終了する。

キヤノンは積極的に前に出て、サントリーを苦しめていたが、サントリーのプレッシャーの前に肝心なところで反則を繰り返し、なかなか思う通りのゲームをすることができない。サントリーもキヤノンの体を張ったプレイの前に苦戦を強いられていたが、ブレイクダウンでの攻防でキヤノンに勝り、徐々にサントリーのペースとなっていった。

後半に入るとサントリー攻撃が長くなる。キヤノンも激しいディフェンスでこれを拒むが、先に得点を挙げたのはサントリー。7分。キヤノンゴール前10メートルでのラインアウト。モールの後、FW、BKが一体となった攻撃で13番平がトライ。ゴールも決まり28対10とする。
キヤノンも前に出て対抗しているが、なかなかトライをとることができない。10分にはサントリーのパスミスをインターセプト、サントリーゴール前に迫り、執拗に攻めたがノットリリースザボールの反則でトライすることができない。これをサントリーが速攻で攻め、自陣ゴール前からFW、BK、8人が次々にボールをつなぎ、最後は5番ロッソウがトライ、ゴールも決まり35対10とキヤノンを突き放す。

キヤノンは攻め続けても、ノックオンや反則が多くチャンスを逃し、自分たちのリズムに乗ることができない。19分にも、サントリーの反則からゴール前7メートルまで迫り、ラインアウトからモール、ラックと攻め続けるが、もう一歩というところでパスされたボールを落とし、トライチャンスを失う。
サントリーは22分にも22番ピシがトライを決め(ゴールも決まり)42対10とする。キヤノンも終了間際に連続攻撃から、13番ベネットがこの日2本目のトライを奪い意地を見せる。
42対17でサントリーの勝利。

サントリーは、タックルなどブレイクダウンでの接点で、終始キヤノンにプレッシャーをかけ続けていた。アタックでもディフェンスでもよく前に出ていた。キヤノンも思い切りよく攻め、健闘したが、サントリーのパワーとスピードが上回り、一歩及ばなかった。

会見ダイジェスト
キヤノンイーグルス
永友監督(右)、和田キャプテン
永友監督(右)、和田キャプテン

■キヤノンイーグルス
永友洋司監督

「ありがとうございました。今日もたくさんの方に応援していただき、その中で試合ができることを本当に感謝したいと思います。選手はハードワークしてくれたと思います。サントリーさんの素晴らしいラグビーに、すべてのアタック、ディフェンスでプレッシャーを受けました。言い方はおかしいかもしれませんが、良い経験をしました。そのプレッシャーの中で、ハンドリングエラーなどのミスが出てしまいましたので、この経験を生かし、修正して次の試合に臨んでいきたいと思います」

──良く出せた部分と課題の部分は?

「すごく悔しいのはもちろんですが、こちらの形でトライを獲れたことは選手の頑張りに尽きます。今日は2つしかトライを獲れませんでしたが、次は4つ、5つと獲っていきたいと思います。ディフェンスする時間が長くなるのは覚悟していましたが、サントリーさんのブレイクダウンの集散が予想以上に良く、前へ出て止められませんでした。サントリーさんの素晴らしいラグビーにやられたと思います。まだまだ、何度でもチャレンジしていきたいと感じています」

和田拓キャプテン

「先週の課題であった試合の入りについては、最初にトライできたこともあり、良かったと思います。これまで経験したことのないプレッシャーを感じました。その中で、自分たちのラグビーをやらなければならないと感じました」

──経験したことのないプレッシャーとは?

「ディフェンスに行きたくても、相手のラックが速くて、止められず、後手後手になりました。そのため、こちらのペナルティが多くなり、ペースを崩しました。内側を止められたところもあったが、食い込まれたところもありました」

サントリーサンゴリアス
大久保監督(右)、畠山ゲームキャプテン
大久保監督(右)、畠山ゲームキャプテン

■サントリーサンゴリアス
大久保直弥監督

「今日はありがとうございました。良い試合と悪い試合のギャップがあり、ジェットコースターのような4ゲームでしたが、今日はひとまず集中力という意味では、良くできた試合でした。内容に関しては多々ありますが、最初の難しい4試合を総勝ち点20で乗り切ったので、良い自信を持って次の試合に臨めると思います」

──相手の指導者は元サントリーだが?

「今日はたぶん、今までで一番守っている時間が長かったと思います。アンディ(アンディ・フレンド ヘッドコーチ)も洋司さん(永友洋司監督)も選手に自信を持たせる素晴らしいコーチです。若い選手がやってきたことを信じて、自信をもって臨んでいました」

──ダニー・ロッソウ選手とジョージ・スミス選手の起用については?

「一つには真壁キャプテンの腰が本調子ではない事もあり、キヤノンさんの高いフィットネス相手に60%のコンディションでは相当きついと予想されました。もともと、9月の4試合はフィジカルで難しいと思っていましたし、実績ある選手でも体のどこかに不安があると難しいです。とにかく今年は一貫して、調子のよい選手を使うという方針で、選手とコミュニケーションをとってベストの選手を使っていきます。今日も芦田とティムは初キャップで、15週間やってきたことを、自信を持って出してくれました。今日は、前半はジョージ、ダニーでスマッシュするというプランでした。ダニーはノックオンもゼロで、スプリングボクス63キャップの実力を示してくれましたね」

畠山健介ゲームキャプテン

「今日はブレイクダウンをテーマに準備してきましたが、ゲームのスタートでトライを獲られ、後半はプレッシャーを重ねて、ピンチを自分たちで対応し、最後は我慢してサントリーらしいラグビーができたと思います」

──若いキヤノンに対して?

「たぶん、プロフィールを見れば、若い選手を多く起用されていたと思います。思い切って楽しくラグビーをしている気持ちが伝わってきました。その中でも、ティム・ベネット選手等、キープレイヤーが入っています。永友洋司さんらしいチームだと思います。想像ですが(笑)」

──前半、回されてトライされたが?

「ボールを外へ運ばれると、ディフェンスはしっかり横とコミュニケーションをとっていかねばなりません。(2013-2014シーズンから参加チーム数が14から16に増加されるため)来年、自動降格がないので、下位の各チームとも、いろいろなことを試している印象を受けています。やりづらい部分はあるが、我慢してコミュニケーションでカバーしていきたいと思います」

RELATED NEWS