6節 マッチサマリー(パナソニック 35-18 ヤマハ発動機)

パナソニック ワイルドナイツ 35-18 ヤマハ発動機ジュビロ
【week6/2012年10月13日(土)/東京・秩父宮ラグビー場】

パナソニックがヤマハ発動機に快勝

爽やかな秋晴れの下、パナソニック ワイルドナイツとヤマハ発動機ジュビロとの注目の一戦がパナソニックのキックオフで開始された。

ヤマハ発動機は、No.8モセ・トゥイアリイなどの強力FWがラックサイドを攻め続けるが、パナソニックの堅守によりペースがなかなかつかめない。10分、パナソニックは左ラインアウトから右に展開。ループプレーから巧みなステップで相手ラインを突破したCTB ソニー ビル・ウィリアムズからバックフリップパスを受けたWTB山田が、ノーマークで先制のトライ(5-0)。
これで調子をつかんだパナソニックは、13分、自陣25m付近でのラックから右タッチライン際を小刻みに疾走したWTB山田から FL西原 - CTBソニー ビル・ウィリアムズ - CTB霜村とワイドにパスを繋いで中央に余裕のトライ(ゴール成功12-0)。
続けて15分、左ラインアウトから右に展開し、CTBソニー ビル・ウィリアムズがハーフウェイライン付近でグラバーキック。これに鋭く反応したFB田邉から素早いパスを受けたWTB山田が、約35mを快走して二つ目のトライ(ゴール成功19-0)。

ゲームの勢いは完全にパナソニックに傾くかと思われたが、ヤマハ発動機は全力で反撃を開始。18分、ハーフウェイライン付近のラインアウトからCTBマレ・サウがゲインラインを突破し約50mを激走、ゴール前でパスを受けたLOトーマス 優デーリックデニイが豪快にトライ(ゴール成功19-7)。しかし、その後22分にパナソニックFB田邉が相手ゴール前20m付近から冷静にPGを決め(22-7)、26分にはヤマハ発動機FB五郎丸がPGを決める(22-10)という展開で点差はなかなか縮まらない。

29分、相手選手がシンビンで一時退場したこともあり、38分、ヤマハ発動機の猛攻で相手ゴール前のラックから右に展開、SO大田尾からパスを受けたCTB宮澤が、相手防御の隙を突き勢い良く飛び込んでトライ(22-15)。7点差まで詰め寄ったところで前半が終了。

後半もヤマハ発動機のさらなる追い上げが期待され、攻撃のテンポ良くパナソニックのゴール前まで迫るも、相手の強力なプレッシャーによるミスもありトライに至らない。逆に、出足鋭いタックルで攻撃を凌いだパナソニックは、9分、相手をタックル後のターンオーバからスピードに乗ったWTB三宅 - LO飯島と繋いでトライ(27-15)。一方、ヤマハ発動機は後半序盤から途中出場したCTBシアレ・ピウタウが随所で果敢なライン突破を図るなど反撃に努める中、21分、相手陣内25m付近のPGをFB五郎丸が着実に決め(27-18)、離されまいとする。

しかし、パナソニックは30分、FB田邉が約40mのPGを成功させ(30-18)、続く31分にも相手タックルを振り払う豪快な突進で自陣からNo.8ホラニ 龍コリニアシが大きくゲイン。相手陣内22m付近でパスを受けたWTB山田が、力強い走りを見せてノーホイッスルトライ(35-18)。
結局、パナソニックがほぼダブルスコアでヤマハ発動機に快勝した。BK陣の活躍が目立ったパナソニックだが、これもFW陣の安定した球出しによるものであり、次節のサントリー戦の行方が大いに注目されるところである。
なお、マン・オブ・ザ・マッチには、3トライをあげたパナソニックのWTB山田が選ばれた。(小林吉文)

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会見ダイジェスト
ヤマハ発動機ジュビロ
清宮監督(右)、笠原キャプテン
清宮監督(右)、笠原キャプテン

■ヤマハ発動機ジュビロ
清宮克幸監督

「後半勝負と臨みましたが、前半に3連続失トライはあり得ないです。選手がソニー ビル・ウィリアムズ選手の顔ばかり見過ぎていて、ファンに申し訳ないスタートでした。中盤、良く盛り返して7点差で、風があったし、行けるかと思いましたが、ヤマハ発動機が未熟で、全般的に頑張っているが、少し足りないところが出てしまいました。足りない選手、足りないスキルがあって、ゲームが壊れてしまいました」

──スクラムの出来は?

「先週、神戸製鋼さんに思い切りやられて、強みのスクラムのプライドを失ったのですが、今日は少し取り戻したのは収穫です。パナソニックさんは、夏の練習試合でスクラムが強くて、自分たちが勝っていると思っているところで勝てていなかったのは厄介だと思っていました。勝てる時間帯で獲りきれていないので、改善したいですね」

笠原雄太キャプテン

「前半の入りと後半の途中で集中力が切れていました」

──ソニー ビル・ウィリアムズ選手について?

「意識し過ぎて、二人、三人と行ってしまったのが良くありませんでした。(横から清宮監督が『それは違う。見過ぎたというのは訂正、見とれているんだよ(笑)』とコメント)」

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パナソニック ワイルドナイツ
中嶋監督(右)、霜村キャプテン
中嶋監督(右)、霜村キャプテン

■パナソニック ワイルドナイツ
中嶋則文監督

「どうもお疲れ様です。今日の試合は、まず、セットプレー、ブレイクダウンでどれだけプレッシャーを掛けられるのかと臨みましたが、FWがセットプレーを安定させて球出ししてくれました。前半20分くらいまではゲームプランどおりで、敵陣でゲームを運ぶことができました。残りの20分はペナルティで流れを悪くさせて、ペナルティゴールだったり、トライだったりと良くありませんでした。次のサントリー戦では修正したいと思います。後半最後の10分の攻防はペナルティをせず、選手が良く我慢してしのいでくれました。(次節の20日)サントリーさんにどれだけ80分、それができるかが勝負を分けると思います」

──ハーフタイムには?

「ブレイクダウンでボールに仕掛けるところでペナルティをとられているので、ボールでなく、スペースを取って行こうと指示し、選手が良く実行してくれました」

──ラグビーの形ができてきたようだが?

「80分トータルすると、60から70%でしょうか。15人全員が、この場所で何をするか意思統一できてきました。合格点までは行かないが、良かったと思います」

──山田選手が3トライ獲ったが?

「嗅覚がすごいですね。本当に去年のシーズンはチャンスを窺うことがあまりなかったのですが、今は相手のスペースを見つけることができています」

──次節への抱負は?

「我々はチャレンジャーなので、しっかり自分たちのラグビーがどれだけできるかということです。サントリーさんの強みをどれだけ消せるかですね。サントリーさんは、去年と何か変わったというところは見えませんが、自分たちのラグビーをすごく信じて、15人全員が動き出すところが素晴らしいチームです」

霜村誠一キャプテン

「お疲れ様です。自分たちのラグビーが少し、確立されたように感じられるゲームでした。前半20分は、すごく良いラグビーができました。そこからペナルティが多く、タックルミスもあったので、修正すべきところが明確になりました。次節は80分、今日の前半20分間のようなラグビーをしたいと思います」

──ソニー ビルを真似て、他の選手もオフロードをしているようだが?

「たぶん、関係ないです。前から、空いているスペースにボールを運ぼうとしていて、フィフティ・フィフティのパスは個人の判断だと思います」

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