12節 マッチサマリー(NTTコミュニケーションズ 13-10 近鉄)

NTTコミュニケーションズシャイニングアークス 13-10 近鉄ライナーズ
【week12/2012年12月22日(土)/東京・秩父宮ラグビー場】

     

NTTコミュニケーションズ、冷雨の中、近鉄に競り勝ち10位以内を確実に

リーグ戦12節目ともなると、トップ4入りか、5位から10位の6チームが戦うワイルドカードに進むのか、または入替戦出場となる13位・14位かと、どのチームにとっても一つの勝利が大きく順位に影響する大事な試合となる。11節を終え、勝ち点31で7位の近鉄ライナーズはこの試合に勝ち点5で勝つと、わずかながらも、トップ4入りのチャンスが残され、一方、勝ち点23で9位のNTTコミュニケーションズシャイニングアークスは10位以内を確保するためには絶対負けられない試合となる。

秩父宮は気温3.7度で冷雨と、選手には厳しいコンディションの中でキックオフとなった。
雨中戦なので、両チームともボールをあまりバックスへは展開せず、キックとFW戦を中心に戦っていく。試合開始2分、近鉄CTB大西がPGを決めると、すぐにNTTコムも8分にSO君島がPGを決め3-3と追いつく。20分、近鉄FL中井がノット・ロール・アウェイでシンビンとなってからの人数的優位となった10分間、NTTコムはアイザック・ロス、トッド・クレバーの両外国人選手が先頭になってFWで敵陣に攻め込み、前半27分には、近鉄陣22m付近でPKを得て、君島がPGを決めNTTコムが6-3とリードして前半を終了した。

後半20分、ゴール前に攻め込んだ近鉄は、スクラムから数次に亘りサイドをFWで攻撃し、最後は途中出場でLOに入っている松岡がゴールライン上にトライ(ゴール成功)、近鉄が6-10と逆転した。
しかし、NTTコムのFWも負けていない。後半28分、NTTコムは敵陣ゴール前に攻め込み、ゴール前で何度もラックからFWのサイド攻撃でトライを狙う。最後はゴール前のラックから出たボールをSO君島がインゴールに向けチップキックし、そのボールが近鉄FLタウファ統悦にチャージされるが、こぼれたボールをすぐに君島が自ら拾い、そのままトライ(ゴール成功)、NTTコムが13-10と再逆転し、このスコアのままノーサイドとなった。

冷雨の中、秩父宮に観戦に来てくれた2,361人のラグビーファンに感謝したい。そして、「マン・オブ・マッチ」を獲得したNTTコムの君島選手のみならず、80分間、冷雨に打たれながらプレーを続けてくれた両軍のプレーヤー全員に「敢闘賞」をあげたいと思う厳しいコンディションでの試合だった。(正野雄一郎)

会見ダイジェスト
近鉄ライナーズ
前田監督(右)、高キャプテン

■近鉄ライナーズ
前田隆介監督

「悪天候の中にもかかわらず、ファンの皆様の応援に感謝します。NTTコムさんにもミスはあると思っていましたが、うちの方が多かったと思います。最後、1節残っていますので、切り替えて臨みたいと思います」

──ゴール前のキックパスについて?

「崩せなかったので、ああいうオプションになったかと思います。結果論で、つながっていればトライでしたが、小泉君が良いキャッチをしたと思います。この天候の中、チャレンジした選手に敬意を表します。風が強く、スリッピーでゲームプランを少し変更して対応しましたが、その中でミスが出たと思います。もちろん、ボーナス点もありますが、どんな内容でも勝って帰ろうと準備してきました」

──ハーフタイムの指示は?

「パスの数を少し減らして、ボールを継続させようと伝えました」

高 忠伸キャプテン

「寒かったです。隆さん(監督)が言ったとおり、うちの方のミスが多かったです。チャンスのところを獲り切れなかったし、運がNTTコムさんの方にあったかなと思います」

──相当かじかんだようだが?

「体中、麻痺している感じです。前半は風もちょっと吹いていて、指先の感覚がありませんでした。キックを蹴るのも一苦労です。結果は残念ですし、心も寒いです(苦笑)。今までに経験した中で、1,2の寒さでした。一昨年の福岡サニックス戦のレベルファイブスタジアムも寒かったですが、同じくらいですね」

     
NTTコミュニケーションズシャイニングアークス
林監督(右)、小林バイスキャプテン

■NTTコミュニケーションズ シャイニングアークス
林雅人監督

「大変寒い天候の中、ありがとうございました。連敗の中で迎えた試合で、どうしても勝ちたい中、勝てて良かったと思います。どちらが勝ってもおかしくない試合で、ディフェンスが好調だった時のように戻ってきて、ボールキャリアーもキープし続けることができて何とか勝つことができました。あと1試合、次のステージへ進めるようにしたいと思います」

──君島選手が蹴って、結果としてトライになったが?

「敵陣でキックを蹴るなと言いましたが、その指示を聞かずに(笑)トライになりました。難しい判断だったと思いますが、いろいろな面で、運がコムに傾いていたと思います。イーブンプレーでこちらにボールが転がってきました。また、小泉選手のキャッチは素晴らしかったです。取れていないと、トライでしたね。こうした雨の試合では、ハーフタイムでも選手がかじかんでいて難しいです。どちらが勝ってもおかしくない試合で、時の運に任せた試合でした」

──こうしたコンディションでどんな指示を?

「まず、ボールを下げない事です。端にパスすると下がるので、パスの数を少なくし、ゲインラインを守ろうと伝えました」

小林訓也バイスキャプテン

「寒い中、ありがとうございます。今日はあいにくの雨で、FWで行こうと臨みました。セットプレーで特にスクラム中心に良かったと思います。そこが勝負を分けたかと思います。FWは、前の3戦、セットプレーで少しへこんでいましたので、特にミスをしても下を向かず、前を向こうとしました。そこで、皆で盛り上げて圧倒できたかと思います」

──FWとBKの寒さの違いは?

「自分たちFWは比較的あったかいです。でも、今日は汗が出ず、寒かったです。たぶんBKはもっと寒かっただろうなと思います」

──最後に守り切った時は?

「ノーペナルティがまず大切で、抜かれないようにしっかり立つことを意識していました。あの時間帯、天候、エリアでは少しくらい攻撃されても、相手がミスしてくれるので、ブレイクダウンに人数を掛けるより、広がって守るという意識でした」

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