13節 マッチサマリー(東芝 50-30 近鉄)

東芝ブレイブルーパス 50-30 近鉄ライナーズ
【week13/2013年1月6日(日)/東京・秩父宮ラグビー場】

     

東芝ブレイブルーパスが、NO8豊田主将やSOヒルらの活躍で前後半万遍なく得点し、近鉄ライナーズに快勝。順位を1つ上げて、2位でリーグ戦、総当たりステージをフィニッシュ。2週おいて始まるプレーオフトーナメントに向けてリーグ戦をいい形で締めくくった。

鳩が4羽、やや荒れた秩父宮のピッチに落ちている何かを必死についばんでいる。選手が迫ってくる度に舞い上がり、低空飛行する鳩と、東芝のヒルや近鉄SO重光のキックが交錯する。そのキッキングゲームでやや押し気味の東芝は11分、ヒルのPGで先制。その後、近鉄に1PG、1トライされやや悪い流れ。その流れを断ち切ったのが26分、豊田のインターセプト。相手BKのパスを読んで鋭くカット、独走して中央へトライ。さらに32分、ヒルが相手キックをチャージ、自ら拾って持ち込んでのトライ。前半終了間際には、ラックからのパスを受けたヒルがインサイドブレイクしてゴール前へ。ラックからのボールを回してWTB廣瀬がトライ、リードを広げて折り返した。

東芝は後半立ち上がりから畳み掛ける。ゴール前ラインアウトから盤石のモールで豊田が自身2つ目のトライと、12分にはゴール前の混戦から廣瀬も2つ目。途中近鉄に2つのトライを奪われながらも終盤、NZ代表が前回W杯決勝で見せたようなラインアウトのサインプレーで、同国代表キャップ1のFLベイツ(途中入替出場)が会心のトライをあげると、最後はWTB伊藤が俊足を飛ばして締めくくった。

敗れた近鉄は序盤、SO重光の長く丁寧なパスからBKラインがチャンスを作り、1回はWTB坂本のトライに結びついた。しかし、その重光のパスをインターセプトされたあたりから東芝にペースを奪われ、やや油断した感のあるキックをチャージされたのも痛かった。後半には、スーパーラグビー(南半球のスーパークラブによるリーグ)で活躍したCTBフェアバンクスやWTBギアが2人で3トライしたが、東芝を脅かすことはできなかった。

終始試合を尻目に食事に夢中だった鳩は、ノーサイドの頃にはどこかへ飛び去っていた。(米田)

会見ダイジェスト
近鉄ライナーズ
前田監督(右)、高キャプテン

■近鉄ライナーズ
前田隆介監督

「今日もバックスタンドに、遠くからファンの方に大勢来ていただき、ありがとうございました。東芝さんという素晴らしいチームと試合できたことを幸せに感じています。日本選手権に向けて、何かを持って帰ろうと臨みましたが、ラインアウト等の我々のミスによって相手に得点されたゲームでした。また、切り替えてワイルドカードに向け、しっかり準備したいと思います」

──前半30分過ぎから取られたが?

「インタセプトや、アンラッキーなトライもありました。前半の終盤、ラインアウトの精度が低くてボールを失ったためです」

──モチベーションが持ちにくい試合では?

「トップリーグは1戦、1戦、目の前の相手に準備して臨みます。今日は東芝さんを負かすことだけを考えて臨みました。モチベーションとしては、春に総括の試合を東芝さんとして、惜しい試合結果でした。そのため、リーグ戦の最後に東芝さんと当たれる幸せを噛みしめていました。選手たちは勝つつもりで臨みました」

高 忠伸キャプテン

「まあ……、悔しいです。消化不良が凄くある試合でした。次に当たることがあれば、締まったゲームをして勝ちたいと思います」

──東芝との差は?

「差は、別にそんなにないと思いますが、ディシプリンと言うか、ラグビーの質と言うか、ラグビーのアプローチの仕方がうちと違うチームだと感じます。そこらへんが、東芝さんに有利に働いたと思います。そういうところが、すべて点差に表れたとは思いませんが」

     
東芝ブレイブルーパス
和田監督(右)、豊田キャプテン

■東芝ブレイブルーパス
和田賢一監督

「本日はありがとうございました。本当に多くの皆様が来てくださって、感謝します。年明けということで、皆様、明けましておめでとうございます。近鉄さんはフィジカルを前面に出して来るチームで、接点の攻防がカギになると臨みました。グラウンドコンディションを考え、フィジカル勝負になると思い、我慢するところは我慢して、チャンスのところは掴み取ろうと伝えました。規律の面で、自滅した中、4つのトライを獲られたと思います。プレーオフに向けてしっかり修正したいと思います」

──勝ち点で2位から4位になる可能性のあるゲームだったが?

「勝ち点より、結果として勝つことが重要で、あまり、2位から4位のことは考えていませんでした。自分たちの強みを生かすことだけを考えていました」

──パナソニックとの準決勝に向けて?

「去年のリベンジもあります。今年はブレークスルーを合言葉に、今までの自分たちの殻を破りたいとやってきました。パナソニックさんも一発勝負に強いので、しっかり準備して戦いたいと思います」

──サントリーは無敗を保ったが?

「去年も含めて王者だと思います。その王者と同じ土俵に立てるようにしたいと思います」

──これまで、できたことと、そうでないところは?

「良いところもかなり出てきました。ラグビーは立ってやるスポーツですので、いかにボールを立ってつなぐか、そこは強みだと思います。ただ、ディフェンスになると非常に脆いので、どう修正するかですね」

豊田真人キャプテン

「本日も大変お寒い中、たくさんのファンの方にご来場いただき、本当にありがとうございます。試合の位置づけとしては、プレーオフ準決勝に向けて、何かつかもうと臨みました。非常に良いアタックがあったし、ディフェンスし続けることもできましたが、ペナルティが非常に多く、しっかり修正してプレーオフに臨みたいと思います。相手がパナソニックさんになったので、昨年のリベンジをしたいと思います」

──キャプテンのインタセプトから反撃が始まったが?

「たまたまです。前半20分くらいまで、ペナルティからのキックにチーム全体として動いていなくて、出ている選手同士で叱咤激励して、走れ、走れと言っていました。しっかり立て直せたのは、ラッキーなトライを2つ獲れたからだと思います」

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